我孫子市
テンプレート:Infobox 我孫子市(あびこし)は、千葉県北西部に位置する市である。旧相馬郡・南相馬郡を経て旧東葛飾郡。通勤率は、東京都特別区部へ32.3%、柏市へ12.4%(いずれも平成22年国勢調査)。
目次
概要
利根川と手賀沼に挟まれた、茨城県との境に位置する。JR常磐線と成田線、国道6号と国道356号が分岐する交通の要衝。我孫子宿及び布佐の市街地を除き、概ね農業地域であったが、1970年代からはベッドタウンとして一部区画が開発され、人口が増加した。利根川沿い・手賀沼沿いを中心とした稲作、台地上での野菜の生産が盛んに行われている。
江戸時代には水運が栄え、特に東端の布佐地区は利根川の主要な河岸であった。大正時代から昭和初期にかけて我孫子は「北の鎌倉」と称されることもあり[1]、志賀直哉、武者小路実篤、柳宗悦、バーナード・リーチなど多くの著名な文化人が居を構えたり別荘を持ったことで白樺派の拠点となっていた。
地理
千葉県北西部東葛飾地域の利根川と手賀沼に挟まれた海抜約20mのなだらかな台地が東西に約14km、南北に約4km - 6kmにわたってひろがり、南東部の手賀沼沿いと北西部の利根川沿いは平らな水田になっている。南東は印西市、南西は手賀沼をはさんで柏市、北は利根川をはさんで茨城県の取手市、北相馬郡利根町と隣接している。東京からは40km圏内に位置している。
歴史
旧石器時代より人類が住んでいた痕跡が確認されており[2]、江戸時代には利根川の水運が隆盛したこと、水戸街道沿いに我孫子宿ができたことで、交通の要衝として大きく発展した[3]。明治時代に入り鉄道や自動車、汽船などの交通機関が発達するにつれて、利根川の水運は衰退したが、現在のJR常磐線・成田線の開通に伴いベッドタウンとして人口が増加した。
1911年(明治44年)に嘉納治五郎が別荘を構える。嘉納は現在の我孫子市白山に土地を購入し農園を設け、「嘉納後楽農園」と名付けている。この嘉納の甥である柳宗悦が1914年に移住し、彼に誘われる形で1915年には志賀直哉が移住している。この時期我孫子で執筆された作品に、「城の崎にて」「和解」「暗夜行路(前篇のみ)」がある。さらに1916年には武者小路実篤が移住し、1922年には瀧井孝作が居を構える。さらに中勘助も、志賀直哉とのつながりから仮寓している。加えて柳宗悦の屋敷内にバーナード・リーチが窯を築くなど、明治後期から大正時代にかけて多くの文化人が移り住み、白樺派の拠点にもなる。 その他、村川堅固(西洋史学者)や杉村楚人冠(ジャーナリスト、随筆家)、柳田國男(民俗学者)、坂西志保(教育家)なども居を構えていた。
1929年(昭和4年)には嘉納治五郎や杉村楚人冠の奔走により我孫子ゴルフ倶楽部が創立(1931年開場)。 関東屈指の名コースと言われ、我孫子市出身のゴルフ指導者である林由郎を師と仰ぐ青木功や尾崎将司ら弟子たちは「我孫子一門」と呼ばれる。
自治体としての歴史
- 1889年(明治22)4月1日 - 町村制施行により南相馬郡我孫子町、湖北村、布佐町が誕生。
- 我孫子町 ← 我孫子宿,我孫子村新田,下戸村,高野山村,青山村,柴崎村,岡発戸村,都部村,高野山新田,岡発戸村新田,都部村新田,都部新田
- 湖北村 ← 中里村,中峠村,新木村,古戸村,日秀村,中里村新田,新木村下,中峠村下,日秀村新田
- 布佐町 ← 布佐町,江蔵地新田,布佐下新田,浅間前新田,大作新田,相島新田,三河屋新田
- 1897年(明治30)4月、東葛飾郡が南相馬郡を編入し東葛飾郡我孫子町、湖北村、布佐町になる。
- 1954年(昭和29)11月1日 - 東葛飾郡富勢村の一部が我孫子町に編入。(残部は東葛市〔現在の柏市〕へ編入。)
- 1955年(昭和30)4月29日 - 我孫子町、湖北村、布佐町が合併し新制我孫子町が誕生。
- 1970年(昭和45)7月1日 - 市制施行により我孫子市が誕生。全国で565番目、県下で22番目。
- 2000年(平成12)5月 - 降雹被害。
- 2002年(平成14)4月 - 平成の大合併の流れで周辺の柏市、沼南町と共に「柏市・我孫子市・沼南町まちづくり研究会」発足。
- 2002年(平成14)12月 - 手賀沼、全国水質ワースト1を返上。
- 2003年(平成15)2月 - 住民投票の結果などから「まちづくり研究会」を離脱、合併を白紙に。
- 2007年(平成19)1月 - 福島浩彦の任期満了に伴う我孫子市長選挙で、星野順一郎が当選。
- 2011年(平成23)3月 - 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で布佐地区などで液状化現象が発生し、道路や家屋に大きな被害。
- 2012年(平成24)5月19日 -利根川から有害物質ホルムアルデヒドが検出され、県内3つの浄水場が取水を停止したため、我孫子市、柏市、野田市、流山市、八千代市で断水、市内では、3万5千世帯が断水した。
人口
行政
- 柏市と共に、毎年8月初旬に行われる柏・我孫子花火大会in手賀沼(旧:手賀沼花火大会)を共同主催する(2009年・2011年・2012年は中止)。
- 利根川を挟んで隣接する茨城県取手市とは、公共施設の相互利用がなされており、我孫子市の市民体育館・老人福祉センター「つつじ荘」、取手市の「グリーンスポーツセンター」は、いずれも市内料金で利用できる。また、図書館については取手市立図書館・利根町図書館についても相互利用できる。
市長
市町村合併
かつて流山市・柏市・東葛飾郡沼南町との合併研究会が設けられたことがあるが、合併に向けた市民の関心は薄かった。当時の福嶋浩彦市長は、地方分権による自立を掲げ、平成15年1月6日から1月24日に市民3,000人を対象に世論調査方式の「市民意向調査(住民アンケート)」(人口比2.3%・有権者数比2.9%・回答率は56.76%)を行ない、その結果を参考に平成15年2月、合併協議(研究会)からの離脱を表明した。
現在も、野田市・柏市・流山市・松戸市・鎌ケ谷市と我孫子市のいわゆる「東葛6市」での合併による政令指定都市構想があり、この6市で構成される東葛広域行政連絡協議会内に「政令指定都市研究会」を設けている。この研究会の委員は、6市の企画担当部長職で構成され、その下に担当課長等で構成するワーキンググループを設けている。研究会は基本的に公開されており、会議の開催情報や結果の概要について、ホームページ等で公開されている。この研究会は、「社会経済情勢の変化と生活圏の拡大から、東葛地域の現状と課題および将来像に関する調査・研究、政令市に関する情報の収集および調査・研究を行うもので、東葛地区で合併することを前提としたものではない」としている。
立法
市議会
- 定数:24名
- 任期:2011年(平成23年)12月1日~2015年(平成27年)11月30日
- 議長:木村得道(公明党、3期)
- 副議長:椎名幸雄(清風会、2期)
会派名 | 議席数 | 議員名(◎は代表) |
---|---|---|
清風会 | 6 | ◎秋谷明、松島洋、掛川正治、茅野理、椎名幸雄、西垣一郎 |
あびこ未来 | 4 | ◎印南宏、早川真、坂巻宗男、飯塚誠 |
公明党 | 4 | ◎木村得道、江原俊光、関勝則、戸田智恵子 |
無所属ネットワーク | 2 | ◎豊島庸市、水野友貴 |
緑政 | 2 | ◎日暮俊一、甲斐俊光 |
無会派 | 5 | 佐々木豊治、川村義雄、内田美恵子、岩井康、芹沢正子 |
計 | 23 |
2013年(平成25年)5月7日、議員の久野晋作が辞職したため、現在欠員1となっている。辞職の理由は「維新の公認決定を受け、参院選に挑戦するため」[4]。
千葉県議会(我孫子市選挙区)
- 定数:2名
- 任期:2011年(平成23年)4月30日~2015年(平成27年)4月29日
氏名 | 会派名 | 当選回数 |
---|---|---|
今井勝 | 自由民主党千葉県議会議員会 | 2 |
(欠員) |
2013年(平成25年)7月21日に行われた第23回参議院議員通常選挙に県議の花崎広毅が出馬。花崎の辞職により、現在欠員1となっている。
地域
明治から大正にかけて別荘地として栄えたことから多くの文化人ゆかりの地が市内に散在し、別荘の一部は今も残っている。手賀沼は関東でも有数の野鳥の飛来地であり、鳥類の研究施設や博物館も所在する。
名所・旧跡
- 別荘跡・旧邸
- 嘉納治五郎別荘跡
- 旧武者小路実篤邸
- 志賀直哉別荘跡
- 旧村川別荘(旧村川堅固別荘)
- 楚人冠公園(旧杉村楚人冠邸)
- 岡田武松邸跡(現近隣センターふさの風)
- 近衛文麿別荘跡(現近隣センターこもれび)
- 文化施設
- 神社・仏閣
- 竹内神社 - 毎年秋に大規模な祭礼を行う。
- 将門神社 - 平将門の遺臣が将門を祀ったといわれる。当地には将門伝説が残る。
- 子の神大黒天 - 源頼朝が脚気にかかると夢に白ネズミに乗った翁が現れ、柊で足を祓うと治ったといわれる。
- 柴崎神社 - 日本武尊が征途の安全と武運長久を祈願し幣を立てたことが社の起こりであるといわれる。柴崎神社(我孫子市)参照。
- 自然
公園・自然
- 気象台記念公園
- 湖北台中央公園
- 五本松公園
- 手賀沼公園
- 利根川ゆうゆう公園
- 中峠亀田谷公園
- 宮ノ森公園
- 古利根公園「自然観察の森」
- 根戸船戸緑地
- 岡発戸市民の森
- 中里市民の森
- 布佐市民の森
- 谷津ミュージアム
歌・民謡
- 市民の歌 あびこ市民の歌
- (作詞:平塚歌子、作曲:小椋佳)
- 河童音頭
- (作詞:松島たまみ、作曲:飯田景応)
- 一緒に歌おう 我孫子の子供たちのための歌
- (作詞:駒崎亜衣菜、作曲:黒澤吉徳)
名物
スポーツ
- ラグビー
- 毎年7月に、NEC我孫子事業場ラグビーグラウンドにて「あびこラグビーフェスタ」を開催している。
- サッカー
- 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)
主なイベント
- 手賀沼花火大会
- 手賀沼トライアスロン
- 手賀沼エコマラソン
- ジャパンバードフェスティバル
住宅団地
- 湖北台団地
- 我孫子新木団地
- あらきの団地
教育
小学校
- 我孫子市立
中学校
高等学校
- 千葉県立
- 私立
特別支援学校
大学
近隣センター
- 布佐南近隣センター
- 天王台北近隣センター
- 根戸近隣センター
- 新木近隣センター
- 湖北台近隣センター
- 久寺家近隣センター
- 近隣センターこもれび
- 我孫子南近隣センター
- 近隣センターふさの風
交通
- JRE-abikoSTATION.JPG
我孫子駅
- FusaStminami.jpg
布佐駅
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阪東自動車本社
鉄道
- 今後の予定
- 2000年1月の運輸政策審議会答申第18号で「目標年次の2015年までに整備着手することが適当である路線」に、東京地下鉄11号線(半蔵門線)の押上 - 松戸の延伸計画が明記された。さらに「必要に応じ、松戸から千葉県北西部方面への延伸の可能性を検討する」と付記されており、市内では布佐駅がルートに含まれている。
バス
- 阪東自動車
- 大利根交通自動車
- 市民バス(あびバス/ABIBUS)
- 我孫子市が阪東自動車および今井タクシーに運行委託するコミュニティバス。阪東自動車運行分は33人乗りのノンステップ小型バス、今井タクシー運行分はマイクロバスを使用している。料金は大人150円、小学生80円(小学生未満の未就学児は無料)。2014年3月現在は「新木ルート」、「栄・泉・並木ルート」、「船戸・台田ルート」「布施ルート」(以上阪東自動車運行分)、「根戸ルート」(以上今井タクシー運行分)の5ルートが運行されている。
- つつじ荘 送迎バス(つつじ荘・市民体育館利用者のみ利用可能)
道路
- 一般国道
- 都道府県道
- 主要地方道
- 一般県道
- 今後の予定
- 国道16号バイパスとして建設される予定の千葉柏道路が市内を通過する計画がある。
- 2007年に公表された計画のたたき台で、野田市から我孫子市東部まで利根川沿いを進むルートで具体化を目指すこととなった。
- 現在、国道356号我孫子バイパスの整備が進められている。
出身有名人
学術・文学・政治
- 岡田武松 - 第4代中央気象台長、文化勲章受章
- 豊島秀範 - 文学者
- 血脇守之助 - 歯科医師、東京歯科大学創立者の一人
- 中野治房 - 植物学者、東京帝国大学教授
- 秋谷七郎 - 生化学者、法医学者
- 磯崎憲一郎 - 小説家。「終の住処」で第141回芥川賞受賞
- 松本清 - 旧:松戸市市長。マツモトキヨシ創業者
- 星野順一郎 - 我孫子市長、歯科医師
音楽・芸能・放送
- 竹脇無我 - 俳優
- 遠野あすか - 女優。元宝塚歌劇団星組トップ娘役
- 青山倫子 - ファッションモデル、女優
- 山田愛里 - 元TBSアナウンサー
- 塙宣之(ナイツ) - 芸人
- 山本潤 - ジョイスタッフフリーアナウンサー
- 児玉洋介 - テノール歌手(ブレーメン州立劇場所属)
- ジョイまっくす - アダルトゲーム会社ニトロプラス広報担当
スポーツ
- プロゴルファー選手
<我孫子一門> - 赤羽智行 - レーシングドライバー
- 篠田歩 - バレーボール選手
- 金子誠 - プロ野球選手
- 鳥谷部健一 - 元プロ野球選手
- 篠塚一平 - サッカー選手
- 一渡明 - 元力士
居住経験のある有名人
我孫子市に居住経験がある人物。
学術・文学
- 白樺派
- 嘉納治五郎 - 我孫子市に別荘を構える。柳宗悦に当地居住を勧めた。
- 杉村楚人冠 - 大正13年より我孫子市に永住。
- 瀧井孝作 - 一時期居住。当地で代表作「無限抱擁」を執筆。
- 中勘助 - 一時期居住
- 柳田國男 - 一時期居住
- 山下清 - 当地の駅弁屋「弥生軒」に身を寄せ暮らしていた。
- 北畠八穂 - 深田久弥とともに一時期居住
- バーナード・リーチ - 柳宗悦邸に窯を築く。
- 坂西志保 - 評論家。杉村楚人冠邸にて一時期過ごす。
政治
音楽・芸能・放送
- 山遊亭金太郎 - 居住
- 三遊亭とん楽 - 居住
- 7代目春風亭小柳枝(本名:染谷晴三郎) - 一時期居住(我孫子尋常小学校(現我孫子第一小学校)出身)
- 川村ゆきえ - 一時期居住
- 佐々木愛 - 居住
- はなわ - 一時期居住
- 藤田咲 - 声優(川村学園女子大学出身)
- 細川ふみえ - 一時期居住
スポーツ
関連項目
- 北千葉導水路
- 日本電気(我孫子に事業場がある)
- 我孫子市鳥の博物館
- 山階鳥類研究所
- 健康都市連合
- ジャパン・バード・フェスティバル
- 我孫子市民図書館
- 手賀沼ディズニーランド
その他
難読地名
難読地名が多い。市名の「我孫子」も難読地名のひとつであり、かつては日本国有鉄道の採用試験の問題にされた。
- 高野山(こうのやま)
- 岡発戸(おかほっと 又は おかぼっと)
- 下ケ戸(さげと)
- 都部(いちぶ)
- 中峠(なかびょう)
- 日秀(ひびり)
- 江蔵地(えぞうち、えぞち)
脚注
外部リンク
- 行政
- 観光
- ↑ http://www.excite.co.jp/News/bit/00051078124824.html エキサイトニュース はなわの第2の故郷(?)、”北の鎌倉”を歩く
- ↑ 布佐平和台を造成中、旧石器時代の余間戸遺跡が発見された。
- ↑ このころは隣町の木下と共に、布佐が現市域で一番繁栄していた。
- ↑ テンプレート:Cite news