地方紙
テンプレート:国際化 地方紙(ちほうし)とは特定の地方を販売対象とする新聞である。特に、アメリカ合衆国で多い(内容が郡市町の広報レベルの新聞がある)。
一方で、一国の全域又はほぼ全域を販売対象とする新聞は全国紙と呼ばれる。
本項では日本の新聞事情に関する解説を行う。世界的な事項については当てはまらないこともあるので注意されたい。
分類
明確な定義は存在しないが発行部数や発行エリア、発行シェアによって地方紙の分類を行うことがある。また地方紙と地域紙を別のものと考え、県域より広い範囲を配布域とするブロック紙と県紙(それに準じる第二県紙等)を狭義の地方紙とし地域紙を除外して捉えることも多い。
ブロック紙
- 発行地域が複数の府県を含む広域にまたがり、発行部数の多い地方紙。
県紙
- 一般的には全国五紙(読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、日本経済新聞、産経新聞)、ブロック三紙(北海道新聞、中日新聞、西日本新聞)以外で発行エリアが一府県の全域にわたる新聞を指す。多くは第二次世界大戦下の「一県一紙」統制時に多数の新聞を統合してその県の唯一の地元紙として成立した新聞であり、戦後に創刊され、これらに準じる配布域を持つに至った新聞も含まれる。なお、中日新聞東京本社発行の東京新聞、宮城県(東北地方)の河北新報、広島県(中国地方)の中国新聞は、県紙ではなくブロック紙に含める場合も多い。
- 日本新聞協会では単に全国紙、ブロック紙以外の新聞という意味で用いている(夕刊フジを含む)テンプレート:要出典。
- 地域に密着した編集方針や、府県内における発行シェアを誇る意味で用いる場合がある(県民紙)。
- 一県一紙統制の経緯から、県紙がその県において圧倒的シェアを持つ場合、県政と持ちつ持たれつの馴れ合いが起こることもある。
第二県紙
- 県域内における政治的対立等の事情により、従来の県紙に対抗して創刊された新聞を指す。後述の「第二地方紙」に比べて、政治的意味合いが強い場合に使用される。
- 県紙と比較すると発行部数や普及率などで劣勢に立っていることと、それゆえの経営基盤の脆弱さから1990年代以降廃刊に追い込まれる例も目立つようになっている(以下の例の年号は休廃刊年)。
- この他、新聞の発行自体は継続しているものの、経営難から新旧分離方式での再建(かつての岡山日日新聞)や同業他社への経営譲渡(日刊福井)を余儀なくされるケースも見られる。
第一地方紙と第二地方紙
- 各都道府県における全国紙、ブロック紙を除いた発行シェアトップを「第一地方紙」、それ以外を「第二地方紙」と呼ぶことがある。
地域紙(地域新聞)
- 都道府県の一部を発行エリアとする新聞を指す。ただし、デーリー東北のように複数の県にまたがって配布されているものもある。
- 狭義にとる場合の「地方紙」は、地域紙を含まない。
- 有力な日刊地域紙は、地元市町村で県紙や他の新聞を上回る世帯普及率に達していることが多い。また一部の有力な日刊地域紙は小規模な県紙に匹敵する発行部数をもち、日本新聞協会に加盟している例もある。
- 離島部や北海道の北部・東部など、県紙以上の規模の新聞の影響力が及びにくい地域や、歴史的経緯の中で県紙が無くなったり弱体化した県(和歌山県、山口県など)では小規模ではあっても地元市町村で高い世帯普及率に達し、地元での影響力も大きい地域紙が存在していることが多い。
ローカル紙(ローカル新聞)
- メジャー紙(全国紙)の対義語として地方紙と同じ意味で用いられることが多い。
- 発行エリアや発行部数が少ないことを強調する文脈で使用されることがある。
特徴
紙面構成は概して政治・経済・健康・娯楽(主にスポーツ)・社会・地域の6分野で構成され、この点は全国紙とさほど変わりない。しかし、ニュースの配分が販売領域とする地方を重点的に置くことが特徴である。
取材網は発行エリアに限られるため、国政、日本経済全体に関するニュースや国際面はその多くが共同通信社・時事通信社などから提供された記事であり、紙面の半分以上を占める場合も少なくない[1]。ただし、販売地域内出身の政治家やスポーツ選手もしくは販売地域内に本社や大規模工場をもつ企業をクローズアップして記事を掲載することがある。
総じて関東地方や近畿地方では全国紙のシェアが大きく(群馬県、栃木県など一部地域に例外あり)、地方紙の読者層は全国紙程は大きくない。しかし、他の地方では圧倒的なシェアを誇る。郷土紙を自認し、全国紙を侮蔑する傾向も有る。記事や社説も市町村長・知事や地方議会の動向や、イベントに関する内容が多い。政論よりも生活密着、とも言える。
また、テレビやラジオのローカル局を系列会社として経営する地方紙も多い。
地方紙のネットワーク組織として「地域新聞マルチメディア・ネットワーク協議会」や「47NEWS」などがある。
地方紙の会社が中心となって、「政経懇話会」という勉強会が各都道府県に設立されている。時事問題の勉強と同時に地元政・財・官界要人同士の交流を主な目的としている。会費は年10万円前後。
呼称の由来
「地方紙」「中央紙」の呼称は、第二次世界大戦中の新聞統制で使われ始めた。首都・東京に本社を置く新聞社の内、全国を網羅する新聞を「中央紙」と呼び、東京とその近辺を対象とする新聞を「地方紙」と呼んだ事が由来である。
持ち分合同
太平洋戦争の激化による新聞統制の実施で、複数あった地方紙を原則として「1都道府県1紙」とする取り決めがなされていたが、1945年の東京大空襲以後、各地での空襲実施による輸送事情の悪化などを理由に、「持ち分合同」として、その都道府県の地方紙に全国紙(中央紙)の題字を一緒に掲載する処置をとったことがあった。しかし、地方紙の社屋・工場が空襲の被害に遭った影響で使用不能となったことから、近隣の地方紙や全国紙の工場に委託して印刷した例もあった。
全国紙との関係
地方紙の中には、特定の全国紙との関係が特に深いところがある。社によっては、事実上その全国紙の子会社化しているケースもみられる。
読売新聞と深い関係の地方紙
読売新聞東京本社が1997年から始めた地域紙記事写真配信サービスを受けている新聞
- 函館新聞
- 北海民友新聞
- プレス空知
- 釧路新聞
- 道北日報
- 北空知新聞
- 遠軽新聞
- 網走タイムズ
- 十勝毎日新聞(印刷委託も行っている)
- 盛岡タイムス
- 石巻日日新聞
- 岩手日日新聞
- 大崎タイムス
- いわき民報
- 阿武隈時報
- 桐生タイムス
- 長野日報
- 信州日報
- 市民タイムス
- 紀南新聞
- 島根日日新聞
- 八幡浜新聞
- 今日新聞
- 南九州新聞
- 奄美(大島)新聞
- 八重山毎日新聞
- 宮古新報
現地印刷で提携委託を結んでいる新聞社
朝日新聞と深い関係の地方紙
現地印刷で提携委託を結んでいる新聞社
- 十勝毎日新聞
- 新潟日報
- 南日本新聞
毎日新聞と深い関係の地方紙
業務提携中心の新聞社
日本経済新聞と深い関係の地方紙
現地印刷での提携委託を結んでいる新聞社
産経新聞と深い関係の地方紙
- いずれも主義主張は異なるが、販売面(委託販売)を中心に協力関係を結んでいる。またサンケイスポーツは道新スポーツの地元記事を除く紙面の大半を提供。西日本スポーツにも中央競馬面を提供していたが2013年4月からは、同じブロック紙の中日スポーツと提携している[2]。
特定団体の機関紙の側面を持つ地方紙
- 東京民報 - 東京民報社発行。日本共産党東京都委員会の機関紙。
- 京都民報 - 京都民報社発行。日本共産党京都府委員会の機関紙。
- 大阪民主新報 - 大阪民主新報社発行。日本共産党大阪府組織と同党委員会と共闘する特定の諸団体の機関紙。
- 兵庫民報 - 日本共産党兵庫県委員会発行。日本共産党兵庫県委員会の機関紙。
- 長周新聞 - 長周新聞社発行。事実上の日本共産党の機関誌である。
その他
- 関東地方(山梨県含む。東京都除く)では関東7、九州地方(沖縄県除く)ではプレス9と題して地方紙間での交流を実施中である。
- また、地域新聞マルチメディア・ネットワーク協議会主催で「きょうのニッポン」というニュースポータルを行っていたが、2007年4月より共同通信社と産経新聞大阪本社、地方紙51社が共同主催する「よんななクラブ」にポータルを発展移行。
脚注
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ 西スポは九州以外のスポーツと、社会・芸能面は基から中日スポーツと東京中日スポーツから提供を受けている。