名鉄津島線
|} 津島線(つしません)は、愛知県清須市の須ヶ口駅から愛知県津島市の津島駅までを結ぶ名古屋鉄道(名鉄)の鉄道路線。
津島神社の門前町津島市との都市間輸送を担う名古屋西郊の通勤・通学路線である。
運賃計算区分はB(運賃計算に用いる距離は営業キロの1.15倍)。すべての駅でmanacaなどの交通系ICカード全国相互利用サービス対応カードが使用できる。
路線データ
- 路線距離(営業キロ):11.8km
- 軌間:1067mm
- 駅数:8駅(起終点駅含む)
- 複線区間:全線
- 電化区間:全線電化(直流1500V)
- 閉塞方式:自動閉塞式
- 認可最高速度:105km/h(普通90km/h)
- 最小曲線半径:200m(須ヶ口駅構内。上り3番線進入箇所のみ160m)
運行形態
以下のような運行形態をとる(本数は1時間あたり)。上り・下りは津島線内の区分である。
朝と深夜に運転される一部の列車を除き、尾西線佐屋駅・弥富駅まで直通運転している。
下り(津島・佐屋・弥富方面)は優等列車がほとんど運転されないのに対し、上り(須ヶ口方面)は毎時2本が準急として運転されているため、普通列車のみ停車する駅は日中毎時下り6本・上り4本と乗車機会が異なるといった異例なダイヤパターンを取っている(通常は上り・下りとも種別ごとに運行・停車本数を揃えて、上下とも乗車機会をほぼ同等にすることがほとんどである)。最大編成は下り、上り共に8両であるが、高架化された藤浪駅を除く中間駅は、下り6両・上り8両とホームの長さが異なることが特徴である(下りの8両は後部2両ドアカット。他に阪急今津(北)線にも同様の事例あり)。路線距離が短く待避が無いこともあり、全区間の所要時間は優等列車が12 - 13分、普通列車が16 - 17分で大差はない。
特急
テンプレート:See also 2008年12月27日のダイヤ改正より、平日の夕方18時台 - 21時台に一部特別車で佐屋行きが毎時1本、合計4本運行されている(折り返しは名鉄名古屋駅まで回送)。当初は河和駅始発だったが、2011年3月26日の改正からは内海駅が始発となっている。車両は20時台のものが2200系または1700-2300系であるほかは1000-1200系が使用されている。
2008年12月改正以前は、2005年1月29日改正時から2008年6月28日まで朝と平日のみの夕方以降に吉良吉田駅・西尾駅 - 佐屋駅間に全車特別車で毎時1本運行していた。(2005年1月改正後は昼間時間帯は西尾駅 - 名鉄名古屋駅間での折り返しで運行)また、2005年1月28日までは全日ともほぼ終日に亘り、西尾駅発着の急行・普通とおよそ30分間隔で吉良吉田駅 - 佐屋駅間で設定されていた。 当時の津島線内の停車駅は甚目寺駅を通過する以外は快速急行・急行と同じで、名古屋本線系統の特急が通過する須ヶ口駅にも停車していたが、2001年9月30日までは一部を除き須ヶ口駅 - 津島駅間はノンストップだった。かつては7000系や7700系、後に8800系や1000系で運転されるようになり、晩年は主に1600系の3両で運転していた。知多半田駅発着の普通(上りは急行)や佐屋駅 - 須ヶ口駅間の折り返し列車の代わりに西尾駅発着の普通・快速急行と合わせて30分間隔で運転していた。また、甚目寺駅 - 須ヶ口駅間には2008年6月改正後も1000系による回送列車が見られた。
なお、尾張津島天王祭などのイベント時には臨時特急が津島駅から運転される。2008年度までは一部特別車が金山行き、全車特別車が神宮前行きであったが、2009年以降は定期列車の区間延長での対応となり、2009年と2010年は内海行きと西尾行き(ともに一部特別車)が各1本、11年は河和行き(一部特別車)1本のみである。2012年は普通列車の増発のみでの対応となり、臨時特急は運転されなかった。他に、2005年ダイヤ改正以前は正月に佐屋駅発着の臨時全車特別車特急が豊川稲荷駅まで1往復だけ走っていた(1000系4両。この特急は甚目寺駅にも停車していた)。
また、休日朝には名古屋本線国府駅から佐屋行き全車特別車特急も1本走っていた。かつては尾西線直通の特急が走っていた。停車駅は弥富行きが須ヶ口駅・津島駅・佐屋駅・弥富駅。玉ノ井行きが須ヶ口駅・津島駅・六輪駅・丸渕駅・森上駅・萩原駅・苅安賀駅・新一宮駅・奥町駅・玉ノ井駅。
急行・準急
平日の夕方ラッシュ時間帯・土休日の朝から夕方までの時間帯に、上りのみ佐屋駅 → 西尾線の吉良吉田駅間に、準急を毎時2本、30分間隔で運転。下りにも同じ区間で毎時2本、30分間隔で準急が設定されているが、下りは津島線・尾西線内は普通である。ほとんど4両編成での運転。
佐屋駅 - (下りは普通・上りは準急。土休日の夜は上りも普通) - 須ヶ口駅 - (準急)- 名鉄名古屋駅 - (下りは準急・上りは急行) - 神宮前駅 - (名古屋本線・西尾線/急行。夕方以降は西尾線内は準急) - 吉良吉田駅、と種別変更を繰り返して運行する。時間帯によっては弥富駅発着、深夜には西尾行きや新安城行きもある。
平日については、昼間帯にも佐屋駅 - 吉良吉田駅間の準急が毎時2本(下りは津島線・尾西線内普通。上り名鉄名古屋駅・下り神宮前駅 - 吉良吉田駅間は急行)が設定されていたが、2011年3月26日のダイヤ改正で、佐屋駅(上りは弥富駅) - 豊明駅間の普通(上り名鉄名古屋駅・下り神宮前駅 - 豊明駅間は準急)と統合する形で、運行されなくなった。
基本運行系統は昔から変わらず、佐屋駅 - 西尾駅間に毎時1本(2005年1月までは急行、2005年1月から2008年6月までは快速急行。下りは津島線・尾西線内は普通)設定され、同じ運行系統の全車特別車の特急と合わせて約30分間隔での運転だった(特急のみ吉良吉田駅発着)。かつては、吉良吉田駅から先の蒲郡線と直通していたこともあった(末期は蒲郡線直通の特急は1日上下1本のみで、2005年1月を以って特急の運行を廃止した)。2008年6月から12月までは、全車特別車の特急廃止により、佐屋駅 - 吉良吉田駅間の快速急行が毎時2本(下りは津島線・尾西線内普通。また夕方以降は上下ともに西尾線内準急)となっていた。
また前記に関連し、2005年1月から2008年12月まで津島線・尾西線内は急行として運転する名古屋本線直通の普通が上りのみ昼間帯に毎時1本設定されていた。これは、昼間帯の特急は名鉄名古屋駅折り返しとなったため、補完する形で設定された。快速急行が毎時2本となった2008年6月以降も、上りのみ昼間帯は毎時1本は名鉄名古屋駅始発だったため、設定されていた。
急行は、下りは平日朝に、須ヶ口駅7:00発の佐屋行きが設定されている。下りの急行は3500系・3700系・3300系のいずれかによる8両編成で運転され、当線内では始発の須ヶ口駅と津島駅以外は6両ホームのため(尾西線の日比野駅は6両、佐屋駅は8両)、名古屋寄り2両はドアカットを行う。2008年12月のダイヤ改正以降、津島線の急行はこの下り1本のみだったが、2011年3月26日のダイヤ改正からは、上りにも平日夜に須ヶ口ゆきが2本設定された(弥富発の1本は佐屋駅から急行。もう1本は佐屋発)。
普通
上下線とも、須ヶ口で名古屋本線の急行に連絡するダイヤが基本となっている。
平日昼間帯は、上下ともに、弥富駅 - 吉良吉田駅間に毎時2本、佐屋駅 - 須ヶ口駅間が毎時2本の合計4本運転される。この時間帯は準急は運行されず、上下ともに普通のみ毎時4本約15分間隔での運転となる(毎時4本すべて須ヶ口駅で名古屋本線の急行と連絡する)。
弥富駅 - 吉良吉田駅間の列車は、弥富駅 - 佐屋駅 - 須ヶ口駅 - 名鉄名古屋駅 - (下りは普通・上りは急行) - 神宮前駅 - (名古屋本線・西尾線/急行) - 吉良吉田駅、として運行される。なお、平日夕方ラッシュ時間帯、土休日の昼間帯は、佐屋駅 → 吉良吉田駅間の準急(上りのみ。下りは津島線・尾西線内普通。上り名鉄名古屋駅・下り神宮前駅 - 吉良吉田駅間は急行、夕方以降は西尾線内準急)として運行される。
平日の夕方ラッシュ時間帯と土休日の昼間時間帯は、佐屋駅(上りのみ弥富駅) - 豊明駅間に毎時2本、須ヶ口駅 - 佐屋駅(下りは弥富駅)間に毎時2本運転となり、いずれも須ヶ口駅で、名古屋本線の急行と連絡している。この時間帯に準急が運行される上りは毎時4本約15分間隔、下りは準急は運行されないため毎時6本約10分間隔で運転となっている。津島線・尾西線内でのみ完結する列車は、下りは須ヶ口発弥富行き、上りは佐屋発須ヶ口行きである。
佐屋駅(弥富駅) - 豊明駅間の列車は、(上りのみ弥富駅 →) 佐屋駅 - 須ヶ口駅 - 名鉄名古屋駅 - (下りは普通・上りは準急) - 神宮前駅 - (準急) - 豊明駅、と途中で準急に種別変更をする。また、平日昼間帯にも毎時2本運転されていたが、2011年3月26日のダイヤ改正で、佐屋駅 - 吉良吉田駅間の準急(下りは津島線・尾西線内普通)と統合された。
佐屋駅(弥富駅) - 豊明駅間の系統は、2005年1月までは三河線碧南(一部は猿投へも)方面直通(昼間の一部は鳴海駅、豊明駅止まり。須ヶ口駅 - 知立駅間は急行)で、2005年1月から2008年12月までは弥富駅 - 知立駅(2006年4月からは、平日夕方以降の上りを除き東岡崎駅発着に延長、須ヶ口駅 - 前後駅間は準急)として運行されていた。
平日昼間帯を除き、基本的に、同じ系統への折り返しは無く、吉良吉田駅→佐屋駅→須ヶ口駅→弥富駅→豊明駅→佐屋駅→吉良吉田駅というサイクルで運転されることが多い(須ヶ口駅または豊明駅で出入庫となる列車もある)。
2008年12月のダイヤ改正以前は昼間帯に津島線・尾西線内でのみ完結する列車は少なく、常滑線(河和・内海)方面直通の列車と名古屋本線内は優等に種別変更する列車がそれぞれ毎時2本運転されていた。また、2005年1月から2008年12月まで津島線・尾西線内は急行として運転する普通が上りのみ昼間帯に毎時1本、その補完として、佐屋駅 - 須ヶ口駅間の普通が上下に毎時1本設定されていた。
平日朝ラッシュ時間帯のみ尾西線の名鉄一宮駅・森上駅方面からの直通列車も3本(豊明行き、鳴海行き、神宮前行き)だけある。また、過去にはラッシュ時を中心に津島駅でスイッチバックをして尾西線・森上駅まで運転されていた列車も存在していた(現在でも方向幕には津島経由一宮のコマが存在する)。
ほとんど4両編成で運転されるが、平日の朝ラッシュピーク時の上りは6000・6500・6800系や3500・3700・3300系の8両編成により、約10分間隔で運転され、須ヶ口駅で急行や準急に種別変更するパターンとなっている。これらへの送り込みのため設定されている下りの8両編成の列車は、須ヶ口駅、藤浪駅、津島駅を除き、6両ホームのため、名古屋方2両はドアカットを行う。
過去の種別
快速急行
2005年1月29日のダイヤ改正より2008年12月27日のダイヤ改正まで存在した。現在の西尾線直通系統が名乗っていた種別である。津島線内では、現在の急行などと同じく上りのみ設定され、津島線内の停車駅は急行と同じだった(名古屋本線の栄生駅は通過)。現在津島線内でこの種別で運転される列車は存在しない。以前平日朝にのみ、津島・尾西線内は普通、須ヶ口駅で快速急行、名古屋駅でさらに急行に種別変更する国府行きが1本設定されていたが新ダイヤで消滅。前者は3100系か3150系、後者は3500・3700・3300系のいずれかを使用していた。
利用状況
愛知県の統計によれば一日平均、2004年度は21,508人(1キロあたり1,823人)の利用があった。
歴史
名古屋鉄道の前身、名古屋電気鉄道により一宮線、犬山線に続く「郡部線」として開業した。
- 1907年(明治40年)12月10日:軌道特許状下付(西春日井郡西枇杷島町-海東郡津島町間)[1]。
- 1912年(明治45年)3月12日:軽便鉄道法によるべきものと指定[2]。
- 1914年(大正3年)1月23日:名古屋電気鉄道が津島線枇杷島橋駅(現在の枇杷島分岐点) - 須ヶ口駅 - 新津島駅(現在の津島)間を開業[3]。
- 1914年(大正3年)7月3日:甚目寺駅 - 七宝駅間に新居屋駅開業[4]。
- 1915年(大正4年)7月24日:諏訪駅(現在の藤浪) - 新津島駅間に津島口駅開業[5]。
- 1921年(大正10年)7月1日:名古屋電気鉄道が津島線などを名古屋鉄道へ譲渡[6]。
- 1932年(昭和7年)10月25日:新津島駅を尾西線の津島駅に統合。
- 1941年(昭和16年)8月12日:枇杷島橋駅 - 須ヶ口駅間が名岐線に編入され、津島線が須ヶ口駅 - 津島駅間となる。
- 1944年(昭和19年):新居屋駅・津島口駅休止。
- 1948年(昭和23年)5月12日:架線電圧を600Vから1500Vに昇圧。
- 1968年(昭和43年)5月3日:津島駅付近高架化。
- 1969年(昭和44年)4月5日:新居屋駅・津島口駅廃止。
- 1972年(昭和47年):一部区間の最高速度を105km/hに引き上げる。
- 1992年(平成4年)11月24日:昼間帯に特急を設定。
- 2002年(平成14年)7月13日:勝幡駅 - 津島駅間高架化(県道あま愛西線ほかと立体交差化)。
- 2005年(平成17年)1月29日:快速急行設定。昼間帯と朝を除く土休日の特急の運転を廃止。
- 2005年(平成17年)7月14日:トランパス導入。
- 2008年(平成20年)6月29日:特急政策の見直しに伴うダイヤ改正で特急の乗り入れを廃止。
- 2008年(平成20年)12月27日:下りのみ特急運転復活。快速急行を廃止し、準急を設定(上りのみ)。また名古屋本線への直通列車を一部削減し須ヶ口止まりを増加。
- 2011年(平成23年)3月26日:平日昼間帯の運行本数を普通のみ毎時4本に削減。
駅一覧
- 全駅愛知県に所在。
- 停車駅は2008年12月27日からのもの。
- 普通列車は各駅に停車(表中省略)。
- 凡例
- ●:全列車停車 ▼:下り列車のみ停車(上り列車の運転はなし) |:全列車通過
駅名 | 駅間キロ | 営業キロ | 準急 | 急行 | 特急 | 接続路線 | 所在地 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
須ヶ口駅 | - | 0.0 | ● | ● | ▼ | 名古屋鉄道:名古屋本線 | 清須市 |
甚目寺駅 | 2.0 | 2.0 | ● | ● | ▼ | あま市 | |
七宝駅 | 1.7 | 3.7 | | | | | | | ||
木田駅 | 1.7 | 5.4 | ● | ● | ▼ | ||
青塚駅 | 1.9 | 7.3 | | | | | | | 津島市 | |
勝幡駅 | 1.7 | 9.0 | ● | ● | ▼ | 愛西市 | |
藤浪駅 | 1.2 | 10.2 | | | | | | | ||
津島駅 | 1.6 | 11.8 | ● | ● | ▼ | 名古屋鉄道:尾西線 | 津島市 |
廃駅
脚注
- ↑ 『鉄道院年報. 明治42年度』(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ↑ 「軽便鉄道指定」『官報』1912年3月16日(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ↑ 「軽便鉄道運輸開始」『官報』1914年1月30日(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ↑ 「軽便鉄道停留場設置」『官報』1914年7月16日(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ↑ 「軽便鉄道停留場設置」『官報』1915年8月9日(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ↑ 6月13日臨時株主総会可決「鉄道譲渡」『官報』1921年8月8日(国立国会図書館デジタルコレクション)