不死鳥の騎士団

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不死鳥の騎士団(ふしちょうのきしだん、Order of the Phoenix)は、J・K・ローリングの小説『ハリー・ポッター』シリーズ、およびその派生作品に登場する架空の組織である。

概要

アルバス・ダンブルドアが、ヴォルデモート陣営に対抗すべく創設した組織。1981年10月にヴォルデモートが失踪してからは活動していなかったが、1995年初夏(第4巻末)にヴォルデモートが復活したことを受けて活動を再開した。

魔法省には秘密で活動しているが、団員には闇祓いをはじめ魔法省職員も少なくない。正規の団員に加え、団員の家族など協力者もいる。なお、騎士団の活動方針に賛同していても、未成年および学生は入団できない。

活動内容

犯罪者の逮捕の権限は魔法省(魔法警察部隊・闇祓い)にあるため、民間団体である騎士団の第2期(1995-)における主要な活動は、

が主体である。これらの活動に際し、死喰い人から攻撃を受けた場合、戦闘に発展している(1996年:魔法省神秘部の戦い、1997年:ホグワーツ城天文塔の戦い・七人のポッター作戦)。

1997年8月、ヴォルデモート陣営が魔法省を陥落させてからは、レジスタンス運動を展開。

  • マグルおよび魔法使いの、正確な死因の調査
  • 地下放送『ポッター・ウォッチ』
    • 死傷者、行方不明者、投獄者の公表
    • 「マグル保護」の呼びかけ
    • ヴォルデモート陣営に対する抗戦、およびハリー・ポッター支持の呼びかけ

1998年5月2日のホグワーツの戦いでは、騎士団員がホグワーツ防衛隊の指揮を執り、ヴォルデモート陣営と交戦。少なからずの戦死者を出すが、最終的にヴォルデモート陣営に勝利する。ヴォルデモート死亡後、騎士団員のキングズリー・シャックルボルトが魔法大臣に就任しているが、その後の騎士団の扱いは不明。

本部

ブラック邸

第5巻における騎士団の本部。キングス・クロス駅から徒歩20分、ロンドン市「グリモールド・プレイス 十二番地」にある。

ブラック家の邸宅であり、シリウスの母ヴァルブルガの死後、10年あまり放置されていたが、第5巻でシリウスが騎士団の本部として提供した。

旧家らしく年代物の凝った品々があるが、家具にの意匠があしらわれ、壁には屋敷妖精の首が飾られている等、陰気な雰囲気も漂っている。加えて約10年にわたり放置されていたため荒んでいる。屋敷内にはヴァルブルガやフィニアス・ナイジェラスの肖像画が飾られている。

2階には、客間、バスルームと家系図のタペストリーがある。最上階には、シリウスとレギュラス兄弟それぞれの部屋がある。

シリウスの父オリオンが知りうる限りの安全対策を施したため位置探知等は不可能であり、加えてアルバス・ダンブルドアが秘密の守人になることで絶対の安全が保障されている。

第5巻終盤でシリウスが亡くなったことを受けて、騎士団の本部はブラック邸から移動するが、第6巻で邸宅の所有権を継いだハリーにより安全が確認される(その後、再使用されたかは不明)。

1997年8月(第7巻)時点では、騎士団はブラック邸から完全に退去しており、代わりに隠れ穴が集合場所となった。

なお、セブルス・スネイプの「裏切り」の後、ブラック邸にはスネイプ除けの呪いも施された。

団員

団員の数は明らかになっていないが、リーマス・ルーピン曰く「前の時(第1期)は20対1で死喰い人の数が上回っていた」。第2期で騎士団本部に滞在したロン・ウィーズリーは「約20名に会ったがそれ以上いる」と発言している。

第1期・第2期共通

アルバス・ダンブルドア
創設者。ホグワーツ魔法魔術学校校長。
ルビウス・ハグリッド
創立メンバー。ホグワーツ魔法魔術学校森番。
リーマス・ルーピン
創立メンバー。ホグワーツ魔法魔術学校元教師。
シリウス・ブラック
創立メンバー。ハリーの名付け親(後見人)。
アラスター・ムーディ
創立メンバー。元闇祓い。
ディーダラス・ディグル
創立メンバー。
紫色のシルクハットを被った小柄な男。興奮しやすい性質で、キーキー声で話す。また軽はずみな性格で、ヴォルデモート失踪時、喜びのあまりケント州で流星群を起こした。
第7巻でダーズリー一家の警護を担当するが、魔法省陥落後、死喰い人に家を焼かれてしまう。
映画では『賢者の石』に登場し、デイビッド・ブレットが演じた。
エルファイアス・ドージ
創立メンバー。
ゼイゼイ声で話す魔法使い。アルバス・ダンブルドアの学友。ダンブルドアはホグワーツ入学初日からの友達であり、在学中はダンブルドアの腰巾着と呼ばれていた。卒業後はダンブルドアと一緒に卒業旅行に行く計画をしていた。現在ではウィゼンガモットの特別顧問を務める。
第5巻では先発護衛隊に参加。第7巻では、ダンブルドアの死に伴い、長い追悼文を新聞に載せた。ダンブルドアを崇拝しており、ダンブルドアに否定的なリータ・スキーターやミュリエルには容赦のない態度を取る。アバーフォースには「兄の毛穴という毛穴から太陽が輝くと思っていたやつ」と評されている。ダンブルドア否定派からは「ドジのドージ」と呼ばれる。
ムーディ曰く、騎士団が創立された頃はバカバカしい帽子を被っていたらしい。
映画では『不死鳥の騎士団』『死の秘宝 PART1』に登場。『不死鳥の騎士団』ではピーター・カートライト、『死の秘宝 PART1』ではデヴィッド・ライオールが演じた。日本語版の吹き替えは村松康雄が担当した。
スタージス・ポドモア
創立メンバー。
顎の角張った魔法使い。麦わら色の豊かな髪を持ち、ロンからは「茅葺屋根」と喩えられた。第5巻時点で38歳、ロンドン市クラッパム地区ラバーナム・ガーデン二番地在住。
第5巻で、任務中に死喰い人から服従の呪文をかけられて神秘部に侵入。逮捕され、アズカバンに6ヶ月収監された。その後の消息は不明。
エメリーン・バンス
創立メンバー。
エネラルド・グリーンのショールを巻いた、堂々とした魔女。第6巻冒頭でヴォルデモート陣営(当局の見解ではヴォルデモート本人)に殺害されたことが明らかになった。
映画では『不死鳥の騎士団』に登場。ブリジット・ミラーが演じた。
マンダンガス・フレッチャー
「騎士団の創立メンバー」の写真には写っていないが、4巻で「昔の仲間」の一員に挙げられていることから、第1期より活動してきたと思われる。
赤茶けたくしゃくしゃの髪で、緑色の刺激臭を発するパイプを吸っている飲んだくれ。通称「ダング」。
ならず者で、時に法を犯すこともある(実際に第6巻でアズカバンに収監されている)が、ダンブルドアに危ないところを助けられたことがあり、ダンブルドアには忠実。儲け話のためにハリーの護衛をサボるなど若干やる気に欠ける面もあるが(第5巻ではハリーの見張りをサボり、ハリーが吸魂鬼に襲われている。また第7巻では七人のポッター作戦中に姿くらましで逃亡する。)、彼ならではの情報を仕入れてくることもある。
第7巻では、シリウスの死後にブラック邸から盗み出した品の中にスリザリンのロケットが含まれていたこと、アバーフォース・ダンブルドアにシリウスが持っていた両面鏡の片方を売っていたことが発覚する。
映画ではアンディ・リンデンが演じた(日本語吹き替えは福沢良一が担当)。小説とは異なり、頭は禿げている。また映画では「死の秘宝 PART1」のみの登場であり、そのためハリーとの初対面も小説から変更されている。
アバーフォース・ダンブルドア
創立メンバー。
アルバス・ダンブルドアの弟。ムーディ曰く「創立メンバーの集合写真撮影以来見かけていない」。騎士団の活動再開後も表立った活動はしていなかったが、第7巻ではハリーたちやダンブルドア軍団を助け、最終決戦に参戦している。
ミネルバ・マクゴナガル
ホグワーツ魔法魔術学校副校長。「騎士団の創立メンバー」の写真には映っていない。
セブルス・スネイプ
ホグワーツ魔法魔術学校教師。死喰い人との二重スパイ。「騎士団の創立メンバー」の写真には映っていない。

第1期(~1981年)

ジェームズ・ポッターリリー・ポッター
創立メンバー。ハリーの両親。ヴォルデモートに殺害された。
ピーター・ペティグリュー
創立メンバー。裏でヴォルデモートと通じていた。
フランク・ロングボトム、アリス・ロングボトム
創立メンバー。
ネビル・ロングボトムの両親で、二人とも闇祓い。ベラトリックス・レストレンジたちに「磔の呪い」の拷問を受けて廃人と化し、現在は聖マンゴ魔法疾患傷害病院に入院中。
ギデオン・プルウェット、フェービアン・プルウェット
創立メンバー。モリー・ウィーズリーの兄弟。
アントニン・ドロホフを主犯とする死喰い人5人に殺害された。
エドガー・ボーンズ
創立メンバー。
魔法省の役人アメリア・ボーンズの弟。ヴォルデモート陣営に殺害された。
マーリン・マッキノン
創立メンバー。
創立メンバーの集合写真を撮影した2週間後、トラバースを主犯として家族もろとも死喰い人に殺害された(映画では家族もろともヴォルデモートに殺された)。
キャラドック・ディアボーン
創立メンバー。
創立メンバーの集合写真を撮影した6ヵ月後、行方不明となる。遺体は今も見つかっていない。
ベンジー・フェンウィック
創立メンバー。ヴォルデモート陣営に殺害されたが、その時、死体の欠片しか見つからなかった。
ドーカス・メドウズ
創立メンバー。ヴォルデモートに殺された。

第2期(1995年~)

アーサー・ウィーズリーモリー・ウィーズリー
ロン・ウィーズリーの両親。
ビル・ウィーズリーチャーリー・ウィーズリー
ロンの兄。
ニンファドーラ・トンクス
闇祓い。
キングズリー・シャックルボルト
闇祓い。守護霊はオオヤマネコ。トンクスの先輩に当たる。長身の黒人で、髪は禿げている。瞳の色はブラウン。普段は片耳に金のイヤリングをしているが、マグルの服を着こなすこともでき、声は深くて低くゆったりとしており、人を落ち着かせる(そのため、魔法族嫌いのダーズリー家もキングズリーのことは別格扱いしている)。
騎士団に加わった時点ではシリウス追跡の責任者であり、嘘の情報を流すことでシリウスの安全を確保していた。第5巻末では神秘部の戦いに参戦するが、ベラトリックス・レストレンジに敗れる。第6巻からはマグルの首相を服従の呪文から保護するため、首相の秘書官を担当する(マグルの首相からは、「人の2倍の仕事をこなす」と言われている)。
第7巻ではマグルの首相の警護をする他、「7人のポッター」作戦に参加したり、魔法省陥落を警告したり、「ポッターウォッチ」にも参加している。最終決戦では人員の配置や作戦考案などホグワーツ防衛隊の実質的な総指揮官を担当し、マクゴナガル、スラグホーンと共にヴォルデモートと戦っていた。ヴォルデモートの死後は暫定の魔法大臣に指名され、その後正式に魔法大臣に就任する。
状況判断に優れており、第5巻でダンブルドア軍団の存在が魔法省に発覚したとき、隙を見計らって密告者の記憶を修正し、ハリーの窮地を救った。また、マグルと魔法族は同等だと考えており、公平な思想の持ち主である。
映画ではジョージ・ハリスが演じている。日本語版の吹き替えは立川三貴が担当。
ヘスチア・ジョーンズ
ピンクの頬をした黒髪の魔女。第7巻でダーズリー一家の警護を担当する。

関係者

アラベラ・フィッグ
フルネームはアラベラ・ドーリーン・フィッグ。ダーズリー家の近所(プリペット通りのふた筋向こう)に住むスクイブの老婆。猫をたくさん飼っており、猫とニーズルの交配を行って生計を立てていた。ダーズリー家が外出する際、ハリーはよく彼女の家に預けられたが、家中キャベツの臭いがしたり猫の写真を無理に見せたりする為、ハリーは彼女のことを「変わり者のフィッグばあさん」として好いてはいなかった。しかしその正体は不死鳥の騎士団の関係者であり、スクイブであることを活かしてハリーの監視を担当していた(プリペット通りがあるリトル・ウィンジングにはハリー以外の魔法使いや魔女がいないよう魔法省が監視しているが、スクイブはその対象に含まれていなかった)。
映画では『不死鳥の騎士団』にのみ登場。キャスリン・ハンターが演じた。日本語版の吹き替えは京田尚子が担当した。
フラー・デラクール
第6巻でビル・ウィーズリーと婚約、その後ウィーズリー家に協力する。第7巻では、七人のポッター作戦に参戦、その後結婚式を挙げる。ビルと共に最終決戦にも参戦した。
オリンペ・マクシーム
ボーバトン魔法アカデミー校長。第5巻でルビウス・ハグリッドと共に巨人の説得の任務に就く。

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