ピーター・ペティグリュー

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テンプレート:Infobox character ピーター・ペティグリュー(Peter Pettigrew)は、J・K・ローリングの小説『ハリー・ポッター』シリーズ、及びその派生作品に登場する架空の魔法使いである。

登場巻

全巻(※但し1巻2巻では正体を隠していた。5巻では回想に登場。)

概要

主人公ハリー・ポッターの父ジェームズ・ポッターの旧友。ハリーの両親をヴォルデモートに売ったシリウス・ブラックを追跡し、殺害されたとされていたが…。

人物

名前・通称

4巻以降、敵味方を問わず、基本的にワームテール(Wormtail)と呼ばれるが、これは元々、学生時代にジェームズたち友人の間で使われたあだ名である。「worm」と「tail」から成る造語であり、ピーターがネズミの動物もどきであることから命名された(ネズミの尾はミミズのような形をしている)。ちなみにリリー・ポッターからはワーミーと呼ばれていた。

またホグワーツ魔法魔術学校在学中、シリウスと行動を共にする機会が多かったためか「シリウスの腰巾着」と呼ばれていた。

外見

小柄で鼻が尖っており、どことなくネズミに似ている。瞳の色は薄い。髪はくすんだ茶色でくしゃくしゃ。更に頭頂部は広く禿げている。

来歴

1971年9月1日ホグワーツ魔法魔術学校に入学、グリフィンドール寮生となる。当初リーマス・ルーピンと親しくなった後、彼を通してジェームズ・ポッターとシリウス・ブラックに認知され、4人で仲良くつるむようになった。後にルーピンが人狼であると分かると、ジェームズやシリウスと共に動物もどきとなる。

ホグワーツ卒業後は友人と共に不死鳥の騎士団に加わり、ヴォルデモートに命を狙われたポッター家の秘密の守人になる。しかし既に裏で死喰い人に加わっていたピーターは、ポッター家の居所をヴォルデモートに密告、ジェームズとリリー夫妻を死に追いやった(しかしヴォルデモートはハリーの殺害には失敗、失踪する)。その後、夫妻を死に追いやった罪をシリウスに着せた上に自身は死を偽装して逃亡した。以降、ネズミに姿を変えてウィーズリー家に潜伏し、魔法省と、「ピーターがヴォルデモートを裏切った」と思う死喰い人の双方の追及を逃れ続けた。

ウィーズリー家では「スキャバーズ」という名を与えられ、ペットとして飼われていた。1991年夏(ロン・ウィーズリーがホグワーツに入学する年)まではパーシー・ウィーズリーが、それ以降はロンが飼い主となっている。ロンがハリーの親友となり、ホグワーツでの寮でも同室になったことから、3年次までハリーのすぐ傍で生活していたことになるが、アルバス・ダンブルドアが校長を務めていたため、ハリーに危害を加えることは一切無かった。

3巻終盤、アズカバンを脱獄したシリウスや、「闇の魔術に対する防衛術」教授に就いていたルーピンに正体を暴かれ、殺されそうになるが、「父の親友であるシリウスやルーピンを罪人にしたくない」という理由でハリーに命を助けられる。その後、一瞬の隙に逃亡し「仲間と主君への恐怖心から」ヴォルデモートの下に走る。

その後、4巻で自分の右手(手首から先)を「下僕の肉」として捧げてヴォルデモートを復活させた。この時、代わりとしてヴォルデモートから銀色のを与えられる。

その後、ヴォルデモートよりスネイプの補佐を命じられ、6巻ではスピナーズ・エンドでスネイプと同居し、彼の身の回りの世話をしている。

7巻でマルフォイの館にてハリーの殺害を躊躇った為、この銀色の手に絞め殺されてしまう。

性格・才能

小心者で、いつも強い者の後ろについて歩くような腰巾着タイプ。自分の立場が悪くなると情に訴えて助けを請うなど、卑怯な面も見られる。ホグワーツの組分け帽子が、勇敢さを信条とするグリフィンドール寮に彼を組み分けした理由は判然としない(しかし組分け帽子は直に生徒の資質を見極めず、生徒自身が誇りに思うものを寮の振り分けの基準にする為、ジェームズやシリウスのような人物に憧れていたピーターは、同時に勇敢さや気高さに対する憧れがあった為にグリフィンドールになったと考えられる)。

作中における「愚」(知性の面ではなく道徳の面での“愚”)の象徴であり、正義と勇気を重んじるグリフィンドール出身者でありながら、己の心の弱さに屈して破滅の道を選ぶという「善」ではないが「悪」とも言い切れぬ特異な性質を体現する。第3巻でシリウスにハリーの両親を裏切ったことを咎められた時も、誰もがシリウスのように向こう見ずになれる訳ではないことを主張している。

作中に登場した闇の魔法使いは、ヴォルデモートをはじめとしてその多くがスリザリン寮やダームストラング専門学校の出身であるが、ピーターは、作中に登場した死喰い人の中で唯一のグリフィンドール寮出身者である。

また作中では、頭が悪く魔法の才能にも恵まれていないかのような描写をされている(事実、ジェームズとシリウスの助けを得て動物もどきになったことが語られている)。しかし、ホグワーツ在学中に「何でもできた」と言わしめるほど優秀だったシリウスを欺いたり、一度に12人を殺して逃走したり、10年以上も正体を隠して周囲に気づかれないよう潜伏していたり、4巻で高い魔力がないと威力を発揮しない死の呪文を行使したりと、本人の努力無しには困難であろう行動も少なからず見られる。

また、忍びの地図を作った人物のひとりである。

人間関係

前述したように、ジェームズ、シリウス、ルーピンとは友人だった。その中でも、非凡な才能を持つジェームズとシリウスを英雄視していた。またリリー・ポッターとも彼女がジェームズと交際を始めてから親しくなったようで、「ワーミー」と呼ばれたりしていた。しかし後に恐怖心に屈して死喰い人となり、ジェームズとリリーをヴォルデモートに売って死に追いやってしまう。3巻でシリウスとルーピンが彼を追い詰めた際、2人も、亡きジェームズも、ピーターを裏切るくらいなら死を選んだだろうと述べており、他の3人とピーターの間には友情の齟齬があった事が伺える(もっとも、ホグワーツで出来た友人達が、一族から異端扱いされていたシリウスにとって自分を認めてくれる存在であったことや、人狼として社会的に迫害される立場だったルーピンにとって初めて出来た友人だったことを考えれば、彼ら2人程友情に命を掛けられる覚悟を決めるのは難しかったとも言える)。

ミネルバ・マクゴナガルはピーターを「ジェームズやシリウスのようには絶対になれない子だった」と評しており、教師陣からは劣等生として見做されていた。

ポッター家襲撃に貢献し、しかも襲撃直後にヴォルデモートが失踪したことから、仲間である死喰い人からはヴォルデモート失踪の元凶と見なされ、裏切り者として追われる身となる。その後、4巻でヴォルデモート復活に貢献して死喰い人としての立場を取り戻したが、その後も下働きのような役割が多く、死喰い人内での立場は元々低いと思われる。後に同じ死喰い人としてセブルス・スネイプと会っているが、学生時代に仲間のジェームズとシリウスが自分を攻撃するのを後ろで笑って見ていた事、及びスネイプの愛するリリーを死に追いやった張本人であることから、関係は良くなかった。

スキャバーズ時代、飼い主のロンは、愚痴をこぼしつつもスキャバーズを大事にしていた。3巻でスキャバーズが行方不明になったとき、ハーマイオニーのペット・クルックシャンクスがスキャバーズを食べたものと思い込み、ハーマイオニーに対して非常に攻撃的になった。しかしスキャバーズの正体を知った後は、スキャバーズの存在を忘れたかのような態度を取っている。

ハリーに対しては7巻にて直接手を掛けようとしたが、心の奥底で、彼がシリウスとルーピンに対し自分を殺さないよう言ったことの恩を感じていたためか、一瞬殺すのを躊躇ってしまい、結果自分が命を落とす事となった。

財産

栗とドラゴンの琴線。23.5センチ。脆い。オリバンダーが誘拐された時、無理矢理作らされた。

映画・ゲーム

スキャバーズとしては『賢者の石』から、ピーター・ペティグリューとしては、『アズカバンの囚人』から登場。ティモシー・スポールが演じていた(ちなみに『アズカバンの囚人』では出っ歯だったが、『炎のゴブレット』では歯がへこんでいた)。日本語版の吹き替えは茶風林が担当した(茶氏はゲーム版ではセブルス・スネイプを演じていた)。『死の秘宝 PART1』ではドビーに気絶させられた所で出番が終了した為、死亡したかどうかは不明。『死の秘宝 PART2』ではスネイプの回想シーンに登場した。

ゲームでは3・4作目のみ登場。日本語版の声優中博史(ナレーションと兼任)。原語版の声はトム・グッドマン-ヒルテンプレート:ハリー・ポッターシリーズ de:Figuren der Harry-Potter-Romane#Peter Pettigrew en:Death Eater#Peter Pettigrew fr:Univers de Harry Potter#Mangemorts he:הארי פוטר - דמויות משנה#הקונדסאים hu:Halálfaló#Peter Pettigrew no:Dødsetere i Harry Potter-bøkene#Petter Pittelpytt pl:Śmierciożercy#Peter Pettigrew ru:Питер Петтигрю tr:Ölüm Yiyen#Peter Pettigrew