ルビウス・ハグリッド
ルビウス・ハグリッド(テンプレート:Lang-en-short)は、J・K・ローリングの小説『ハリー・ポッター』シリーズ、及びその派生作品に登場する架空の魔法使いである。
概要
主人公ハリー・ポッターが初めて接した魔法使い[1]。ハリーとは親子以上に年齢が離れているが、以降よき友人となる。
ホグワーツ魔法魔術学校では領地の番人であり、禁じられた森の森番を務める。また第3巻以降、「魔法生物飼育学」の教授も兼任する。
登場巻
人物
名前
ルビウスはラテン語で「木苺の茂み」もしくは「赤」を意味する。姓のハグリッドは英語のhagriddenに由来し、hagriddenには「魘される」の意味がある。作者曰く「(酒飲みのハグリッドは)二日酔いで悪夢に魘されている」イメージから名付けたとのこと。
外見
体躯は非常に大柄。長髪に加え、顔の下半分を針金のようなもじゃもじゃ髭が覆っている。瞳はしばしばコガネムシに喩えられる。
来歴
1928年12月6日、魔法使いの父と巨人族の母フリドウルファの間に生まれる。3歳の頃に母は失踪、以後は父の手で育てられた。
1940年、ホグワーツ魔法魔術学校に入学、グリフィンドール寮生となる。2年生の時に父親が死亡、天涯孤独の身となる。
3年生の時に「秘密の部屋」事件が起こり、当時密かに飼っていた巨大蜘蛛のアラゴグがある女子生徒を死亡させたとして、監督生トム・マールヴォロ・リドルに告発され、ホグワーツを退学処分となった[2]。なお、退学に際してハグリッドの杖は折られたことにされたが、実際には彼が持つピンク色の傘にそのまま隠され、現在でもたびたび使用している。
無実の罪で退学になったハグリッドだが、アルバス・ダンブルドアの配慮により森番として訓練され、ホグワーツに残ることになった。こうした経緯や、魔法界において巨人族が「血に飢えた凶暴な人種」として差別されていることから、ハグリッドが自らの過去を他人に語ることはほとんどない[3]。
第2巻で「秘密の部屋」事件が再び発生すると、前回の犯人として再犯を疑われ、アズカバンへ収監される。後にハリーとロン・ウィーズリーが事件を解決し、真犯人が明らかになると釈放され、前回の事件も含めて名誉を回復した。
第3巻で「魔法生物飼育学」の教授に就任するが、最初の授業でドラコ・マルフォイに授業をめちゃくちゃにされるなど苦労を強いられる。
第4巻終盤でヴォルデモートが復活すると、不死鳥の騎士団のメンバーとしても活動を始める。第5巻ではダンブルドアの意を受け、巨人の協力を仰ぐためにオリンペ・マクシームと共に巨人の頭を訪ねる。その後、異父弟グロウプを連れてホグワーツに戻る。
第7巻では、自身の小屋で「ハリー・ポッター応援パーティー」を開き、魔法省から追われる身となる。その後はホグズミード村付近の洞窟にグロウプと共に潜伏していたが、グロウプを伴ってホグワーツの戦いに参戦し、生き残る。
性格
粗野な面もあるが、純朴で優しい。しかし親しい人物や魔法生物を守るために力、魔法を行使することもあり、その時は恫喝も辞さず、「凶暴」な巨人の血が流れていることを垣間見ることができる。
見た目に反してかなりのあがり症。第3巻ではバックビークの裁判で上手くバックビークを弁護できず、第5巻ではドローレス・アンブリッジに監視されたため、緊張して授業を円滑に進められなかった。また仲間がいないため寂しがりやで、オリンペ・マクシームに積極的にアタックしたりし、ハリーたちに距離を置かれるとすねたこともある。 屋敷しもべ妖精の解放を目指すハーマイオニーの活動に反対したりなど考え方は古く、自分の考えに固執する性格でもある。
才能
半巨人であるため、常人を超える怪力を有しており、また生身で「失神の呪文」を跳ね返すなど非常にタフである。ハリーの肩を軽く叩いたつもりが、彼を馬車へ突っ込ませてしまったということもよくある。
魔法生物の知識に精通しているが教師適正は高くないようで、作中で授業を批判したルーナ・ラブグッドに対し、ハーマイオニー・グレンジャーは反論することができなかった。
嗜好
猫以外の動物をこよなく愛する。しかし危険な珍獣や猛獣ほど飼いたがる傾向があり、自ら交配して尻尾爆発スクリュートを作り出すなど危険な怪物を作り出してしまったこともある。加えて自分の好きなものは自分の友人も好きだと考えるタイプなので、友人であるハリーたちがトラブルに巻き込まれることもしばしばである。
ハリーたちが小屋へ遊びに来るとよく手料理を振舞うが、その内容は「歯が欠けるほど硬いロックケーキ」「鈎爪入りシチュー」「イタチ肉のサンドイッチ」などであり、食事に関してもハリーたちとはかなり異なる嗜好の持ち主であることが窺える。
周囲との関係
父は魔法使い、母はイギリスで最後の巨人・フリドウルファで、いずれも故人。後に異父弟の巨人・グロウプの存在が判明、禁じられた森で共に暮らすようになる。ハグリッドにとってグロウプは父が死んで以来の家族であり、非常に可愛がっている。グロウプも当初はハグリッドの言うことをあまり聞かなかったが、第7巻では共にホグワーツの戦いに加わり、生き残っている。
ホグワーツを退学処分になった自分を無実であると信じ、「森番」という形でホグワーツに残してくれたダンブルドアを尊敬し、全幅の信頼を置いている。そのため彼へ敵対する者には容赦しない[4]。
ハリーとはホグワーツ魔法魔術学校への入学案内を届けて以来の間柄であり、ハリーには絶対の信頼を寄せている。ハリーを通じてロンやハーマイオニーとも知り合い、親しくなる。
不死鳥の騎士団の創立メンバーの1人であり、他の騎士団のメンバーとも面識がある[5]。ロンの実家・ウィーズリー家の人々とも面識があり、特にロンの次兄チャーリー・ウィーズリーとはお互い魔法生物好きであることから仲が良い。
オリンペ・マクシームとも仲が良く、一旦は良い雰囲気になりかけるも、作者はインタビューで「洗練されたフランス人のマクシームと無骨で粗野なハグリッドでは結婚まで至らなかった」「ハグリッドは生涯独身を通した」と明かしている。
禁じられた森に棲むケンタウルスとも友好関係にあるが、第5巻でホグワーツの教職を引き受けたことで群れから攻撃されるフィレンツェを助けたために仲違いする。ホグワーツの戦いで共闘し、また決戦後にフィレンツェが群れに戻ったことから、ハグリッドとケンタウルスの仲も修復されたと思われる。
ペット
- ファング
- 大型犬。いかつい外見に反し、臆病で人懐っこい。
- フラッフィー
- 三頭犬。第1巻で賢者の石を守るためにダンブルドアに貸したが、その後の消息は不明。
- ノーバート/ノーベルタ
- ドラゴン(ノルウェー・リッジバック種)。
- 第1巻で卵を購入し、孵らせた。ハグリッドは当初自分で育てようとしたが、後にチャーリーに預ける。当初はオスだと考えられていたが、後にメスと発覚。
- アラゴグ
- アクロマンチュラ。白濁した眼を持ち、眼が視えない。ハグリッドが学生時代に卵を孵し、ホグワーツ退学後は禁じられた森に隠していた。後にハグリッドによってモサグという妻を得、現在は多くの家族と共に森に棲んでいる。
- アクロマンチュラは本能的に人間を襲うが、アラゴグはハグリッドの体面を保つために人間を襲ったことはなく、また自らの家族にもハグリッドを襲わないように言い聞かせている。
- 第6巻(謎のプリンス)で老衰の為、死去。ハグリッドはアラゴグの葬儀を開くが、この葬儀を通じてハリーはヴォルデモートを倒す手がかりを手に入れる。第7巻では彼の家族がヴォルデモート陣営につく。
- バックビーク/ウィザウィングズ
- ヒッポグリフ。第3巻で無実の罪を問われ処刑されそうになったが、シリウスと共に逃亡する。シリウスの死後は「ウィザウィングズ」と名を変えて再びハグリッドが面倒を見る。
- 尻尾爆発スクリュート
- ハグリッドがマンティコアと火蟹をかけ合わせ、創り上げた雑種。第4巻から授業の一環として生徒と共に飼育し始めたが、共食いを繰り返し、第4巻終了時点で生き残ったのは1匹だけだった。
- テネブルス
- セストラル。
映画・ゲーム
映画ではロビー・コルトレーンが演じた(日本語版の吹き替えは斎藤志郎が担当した)。
日本語版のゲームでは玄田哲章が声を担当していた。
脚注
- ↑ それ以前にもハリーと接触した魔法使いはいたが、自分が魔法使いであると明かしたのはハグリッドが最初。
- ↑ 実際は濡れ衣であり、真犯人はバジリスクを操っていたリドルである。
- ↑ 第4巻でリータ・スキーターに半巨人であることを知られ、歪曲も混ぜてそれを報道されると大いにショックを受け、一時全ての仕事を休んで小屋に閉じこもった。
- ↑ 第1巻ではバーノン・ダーズリーがダンブルドアを侮辱したため、息子のダドリー・ダーズリーに対して魔法を行使した。第4巻ではダンブルドアに唾を吐いたイゴール・カルカロフを攻撃している。
- ↑ シリウス・ブラックからは第1巻冒頭で空飛ぶ大型バイクを借りている。
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