一方通行
一方通行(いっぽうつうこう)は、道路あるいは鉄道で、車両の通行を一方向に限定すること。また、その道路である。
目次
道路標識
日本において一方通行の規制をする場合には、矢印の「一方通行」(326-A・B)の道路標識を設置して一方通行の方向を指定し、交差点等の一方通行の出口付近では「車両進入禁止」(303)の標識を設置するのが通常である。
また、歩道・自転車道において自転車の一方通行の規制をする場合には、矢印に自転車のマークの「自転車一方通行」(326の2-A・B)の道路標識を設置して一方通行の方向を指定し、交差点等の一方通行の出口付近では「車両進入禁止」(303)の標識(補助標識で「この歩道」・「この自転車道」などと指定する)を設置するのが通常である。
危険運転致死傷罪の適用
自動車運転死傷行為処罰法(平成25年11月27日法律第86号)の施行により、自動車・原動機付自転車を運転し、一方通行の規制に違反して交通事故を起こし人を死傷させた者は、危険運転致死傷罪(通行禁止道路運転)として、最長で20年以下の懲役(加重により最長30年以下)に処されることとなっている。
目的
主に道路の幅員不足による対面通行の困難さによる措置であるが、その一方で周辺道路との交差面で安全性を向上させたり、右折車(右側通行においては左折車)による渋滞発生を抑えるために、比較的幅員に余裕のある道路であっても、一方通行にさせる場合がある。後者では特に、住宅街の通り抜け交通の抑止や、繁華街の駐車場が多い地域において、車両の流れを変更する事によって、交通事故や交通渋滞を緩和しようという意図がある。
狭隘道路に多いが、都心部(清洲橋通り・御堂筋など)では多車線の一方通行がある。ニューヨークのマンハッタンでは、碁盤の目状に大通りが整備されているが、そのほとんどが一方通行である。
都市計画上の問題を、この一方通行で強制的に改善しようとする動きが見られる。広島市の平和大通り周辺は、民家が密集していて通りを逸れると一方通行が非常に多いが、これが観光客ドライバーには不評で、迂闊に路地に入り込んだばかりに、道に迷う(一方通行のため、思う方向に進めず、幹線道路にやっと抜けたと思ったら、目的地から遠く離れていたりする)ケースも少なからず見られる。
京都市では観光バスの乗り入れを抑制する目的で、大型バスのみ一方通行規制を行っている。この場合は「大型乗用自動車通行止め」を使用している。
高速道路(高速自動車国道・自動車専用道路)や高架道路等で、道路の構造上、往復の方向別に分離されている場合も、一方通行となる。特に高速道路においては、構造上往復方向別にするのが原則であり、暫定2車線等は例外であるため、一方通行・車両進入禁止の道路標識は特殊な場合を除いて設置されない。それが原因かは不明であるが、高速道路等において高齢者等が誤認して逆走することによる重大事故も多発している。
運用
車両による違い
一般の一方通行道路では、歩行者以外のすべての車両が一方通行になるが、補助標識で「自動車・原付」・「自転車を除く」・「軽車両を除く」・「自動車(二輪を除く)」などと指定されていることも多い。それぞれ除かれている車両が反対側から走行してくる可能性があるので,注意が必要。なお、「二輪」とは標識令により「自動二輪車および原動機付自転車」と規定されているため自転車は含まれない。
時間帯による違い
珍しい例では、繁華街や商店街の中を通る細い道には午前と午後で進行できる方向を逆転させる「逆転式一方通行」とする場合もある(東京都千代田区富士見から新宿区神楽坂の早稲田通り(九段中等学校前交差点 - 神楽坂上交差点間、12:00–13:00の1時間に限り歩行者天国)・杉並区阿佐ヶ谷北の松山通り(日大通り交差点・世尊院前交差点間)など)
別の例では、住宅街や学校のそばを経由して、主要道路と並行して走り別の主要道路と交差する道(いわゆる抜け道になるような道)を指定された時間帯のみ一方通行にしてそれ以外の時間帯は両方向に走ることのできる一方通行道路もある。 (神奈川県相模原市古淵の市営斎場前交差点・鵜野森の鵜野森旧道交差点(鎌倉街道)までの区間など)
一方通行の日本の国道
現在
- 国道2号 - 兵庫県内の2区間が指定されている・
- 国道14号 - 千葉県千葉市内(東進)
- 国道25号・国道26号・国道165号 - 大阪府大阪市御堂筋(南進)
- 国道112号 - 山形県山形市の七日町大通り(北進、多車線)、下条町周辺(南進)
- 国道153号旧道 - 愛知県名古屋市昭和区山中交差点から約330mの区間(北進)
- 国道166号 - 大阪府羽曳野市古市1丁目の近鉄古市駅前踏切西から東側へ約150mほどの区間(西進)・奈良県大和高田市北片塩町付近→大中橋交差点までの旧街道約650mほどの区間(西進)
- 国道299号と国道407号の重複区間 - 埼玉県入間市の霞橋から河原町交差点にかけての区間。
- 国道308号 - 大阪府東大阪市東豊浦町の近鉄奈良線ガード東付近の約0.1km(西進)および奈良県生駒市小瀬町西交差点→生駒南小学校の西約0.4km(西進)
- 国道332号- 沖縄県那覇市奥武山方面から那覇空港向け(高架橋部分)
- 国道340号 - 青森県八戸市(荒町から柏崎の東行き)
- なお、西行きは、一本南に入った八戸市道上組町湊線を利用する。
- 国道349号 - 福島県伊達市保原地区。西から東に向かう一方通行で、1本南側の市道は逆向きの一方通行で国道に接続する。
- 国道399号 - 福島県伊達市保原町の上記国道349号重複区間に加え、福島県喜多方市内。隣接して平行する市道が逆向きの一方通行になっている。
- 国道425号 - 三重県尾鷲市坂場西町の坂場交差点(=同国道起点)から同市倉ノ谷町までの区間(西進)。
- 国道472号 - 富山県富山市八尾町今町から同市八尾町東町まで(南進)。1963年(昭和38年)より実施[1]。
他
過去
鉄道の一方通行
単線環状鉄道を、列車を片方にしか進めない一方通行で運用することがある。
比喩
道路の一方通行の意味から転じて、意思の伝達などが一方的であることも指す。この場合は、何を言っても聞くばかりで、何も話さない人、また、何を言っても「わからない」と答え、返事をせず議論しようとしない人、さらには自分の意見をとうとうと喋るばかりで、他人の意見には耳を貸さない人を指して、このように表現する。また理由は、「障害者同士だから」、「考えていることが違うから」など様々である。コミュニケーションが相互理解の構築を目的とする点で、このような状態は些か具合が悪いため、一般にこのように形容される場合は蔑称である。