逆走事故
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逆走事故(ぎゃくそうじこ)とは、高速道路や片側2車線以上の幹線道路等において、流入ランプや交差点で間違えて進入し、交通事故を起こすことを言う。そのほとんどが高速で正面衝突するため、死傷者の発生する事故となっている。逆走事故はインターチェンジ(複雑になるほど発生しやすい)、サービスエリア、パーキングエリアが多い。
高速道路会社6社[1]と地方公社3社[2]が管理する高速道路で確認された逆走件数は2002年-2008年までの7年間で計7146件[3]確認されており、連日のように全国で逆走事故が発生している。
目次
概要
テンプレート:独自研究 本線車道上のUターン・流出ランプからの誤進入が主な原因である。これはドライバーがICからランプ途中の分岐地点で行き先を間違えてUターンしたり、目的のICの流出ランプを通り過ぎてUターンしてしまうことが要因とされる。
対策としてランプと本線が合流・分流する分岐点に「進入禁止」や「一方通行」標識の設置、路面への「進入禁止」や「一方通行」の標示の設置がなされている。また、ランプに設置されたセンサーが逆走を感知すると電光掲示やサイレンや赤色灯などでドライバーに知らせるなどの対策もある。
サービスエリア・パーキングエリアの駐車場においても、「本線→」の標識の設置や矢印の路面標示などの対策を各高速道路会社が行っている。更なる対策として、下の写真のように駐車マスの白線が施設に対して垂直方向ではなく斜め方向に引かれていることがあるが、これは休憩後にドライバーが逆走方向ではなく本線へのランプ方向に自然に向かうことができるためである。
2009年2月6日には、逆走をした場合にカーナビゲーションが画面や音声でドライバーに逆走を警告・防止するシステムの実証実験を、供用前の新名神高速道路甲南ICの甲南Cランプで日産自動車がNEXCO西日本の協力を得て実施した。2年以内の実用化を目指している。
危険運転致死傷罪の適用
自動車運転死傷行為処罰法(平成25年11月27日法律第86号)の施行により、自動車・原動機付自転車を運転し、逆走して[4]交通事故を起こし人を死傷させた者は、危険運転致死傷罪(通行禁止道路運転)として、最長で20年以下の懲役(加重により最長30年以下)に処されることとなっている。
ただし、逆走事故の原因のほとんどを占める、認知症や過失(標識の見落とし等)による場合は対象外であり、あくまでも逆走していることを認識していた場合[5]が対象である。
最近の事例
2004年
- 1月15日:静岡県御殿場市の国道246号バイパスで、逆走してきたSUV車を避けようとしたトラックが玉突き衝突。死亡者1名、重軽傷者4名。
- 1月28日:九州自動車道鳥栖JCT下り線に軽トラックが誤進入逆走して3台に衝突、2名死傷。
- 8月4日:秋田自動車道で、軽トラックがワゴン車と正面衝突。重傷者1名、軽傷者1名。
- 8月22日:静岡県浜松市の国道1号バイパスで、乗用車が逆走。衝突事故で4人が死亡。
- 8月23日:東北自動車道で、乗用車が逆走し乗用車とオートバイに接触。重傷者1名、軽傷者2名。
- 9月4日:静岡県静岡市の国道1号バイパスで、軽自動車が逆走。対向車と正面衝突し死亡者1名、重傷者1名。
2007年
2009年
- 1月21日:東京都世田谷区北鳥山の中央自動車道下り線で男が運転する小型トラックが逆走し、追越車線を走行中の大型トラックと正面衝突。小型トラックの運転手は死亡、大型トラックの男性運転手に怪我はなし。また、この事故の約20分前に約2.5km離れた地点で逆走した小型トラックを避けようとした乗用車が側壁に衝突。乗用車に乗っていた男性3人が軽症。この小型トラックは北鳥山で大型トラックと正面衝突した小型トラックと同じ車両と思われる。
- 8月4日:愛媛県東温市の松山自動車道川内ICから入った乗用車が下り線を47kmに渡って逆走。
- 10月17日:山梨県笛吹市の中央自動車道で82歳男が運転する軽自動車が逆走、この車を避けようとした乗用車が中央分離帯に衝突。
- 12月11日:熊本県熊本市の九州自動車道上り線で、パーキングエリアで飲酒し入口から約200m逆走した14トントラックがライトバンと正面衝突。
2010年
- 1月11日:東京都江東区大島2丁目の首都高速7号小松川線上り線で、91歳男が運転する乗用車が錦糸町料金所を通過した直後にUターンし、バーの開いていた料金所のゲートを逆方向から通って上り線に戻って逆走。約1.3km先の追越車線上で、乗用車に正面衝突。
- 2月21日:埼玉県八潮市浮塚の首都高速6号三郷線上り線八潮南IC-加平IC間で、道路を逆走してきた77歳男の乗用車がタンクローリーに正面衝突。逆走した男は「自分は逆走していない。加平ICから入った」と供述。
- 2月22日:山口県下関市中国自動車道下関ICから北九州市側へ約600mの関門自動車道上り線で、52歳男の乗用車がタンクローリーと衝突。男は間もなく死亡。「乗用車が逆走している」との110番通報を受けて出動した高速隊員らが事故現場を見つけた。乗用車は下関ICから高速に入り、逆走したとみられる。
- 2月23日:三重県伊勢市藤里町の伊勢自動車道下り線で、28歳男の軽乗用車と乗用車が正面衝突。本線上でUターンして逆走したとみられる。衝突された車の同乗者が死亡。同年8月、三重県警は、男が自殺しようと故意に事故を起こしたとして傷害致死などの疑いで逮捕。
- 2月28日:静岡県焼津市の東名高速道路下り線の日本坂トンネルで61歳男の乗用車が逆走、避けようとした乗用車4台が相次いで追突事故を起こし4人が軽傷を負った。高速隊によると、逆走し現行犯逮捕された61歳男は「道を間違えた」と話しているという。
- 3月24日:山口県岩国市の山陽自動車道上り線の岩国IC-玖珂IC間で82歳男の軽貨物車が逆走、大型トラック等と衝突、男は死亡。岩国ICから上り線に入り、関戸トンネル内中央部付近で非常駐車帯からUターンするところが監視モニターで確認された。
- 3月25日:千葉県成田市古込の新空港自動車道で41歳男の乗用車が成田空港第二ゲート前でUターン、逆走し、第一ゲートに向かった。無免許、酒気帯び運転だった。
- 5月23日
- 6月11日:三重県伊賀市柘植町の名阪国道下り線(自動車専用道路)で逆走していた69歳女の軽四貨物と13トントラックが正面衝突。女は全身を強く打って死亡。トラック運転手は左足骨折の重傷。事故の約10分前から10件以上の110番通報が寄せられており、女は少なくとも10分以上にわたって逆走していた。
- 6月15日:大阪市北区中之島3丁目の阪神高速池田線の下り線で72歳男が運転するタクシーが逆走しワゴン車と正面衝突した。タクシー運転手は重傷、タクシーの乗客とワゴン車運転手は軽傷を負った。出入橋出口から進入するのが目撃されており、タクシー運転手は高速隊に「(数百メートル離れた)上り線の梅田入り口から入ったと思っていた」と話している。
- 8月4日 :茨城県笠間市矢野下の北関東自動車道西行きで81歳男が運転する乗用車が追い越し車線を逆走しトラックと正面衝突した。男は肋骨を折るなどして重傷。トラックの運転手も頭に軽いけが。現場は友部インターチェンジ-友部ジャンクション間。男は「どこから逆走したのか分からない」と話しているという。県警高速隊には事故前「笠間IC方面から車が逆走している」との通報が数件あったという。
- 11月16日:埼玉県三郷市天神の東京外環自動車道外回り三郷西ICを逆走する軽トラックの通報があった。県警高速隊の調べによると、軽トラックが逆走したのは少なくとも約9kmの区間。年配の男が運転しており、三郷西IC出口から進入して逆走したが、川口ジャンクション以降の足取りはつかめていない。軽トラックは乗用車と大型トラックと接触、よけようとした乗用車2台が中央分離帯に衝突、運転していた23歳と59歳の男性が顔や首に軽傷を負った。
- 12月18日:京都市西京区大枝沓掛町の京都縦貫道下り線沓掛IC - 篠IC間で、64歳男運転の原付きバイクが逆走して軽ワゴン車に衝突。さらに後続の軽乗用車にもはねられ、男は頭などを強く打ってまもなく死亡。衝突した2台にけが人はなかった。監視カメラの映像から、バイクは現場から約2km離れた篠IC出口車線から進入したとみられる。
- 12月31日:東京都練馬区大泉町の関越自動車道下り線新座料金所―大泉JCT間で、76歳男が運転する軽トラックが逆走し対向の乗用車など2台に衝突した。男は少なくとも新座料金所から約3kmを逆走したとみられ「間違って逆走してしまった」と話しているという。
2011年
- 3月1日:神戸市垂水区星陵台4丁目、神戸淡路鳴門自動車道上り線の舞子トンネル内で、60歳前後の男が運転する普通乗用車が逆走し軽自動車に衝突、軽自動車が弾みで横を走っていた大型トラックに接触した。高速隊の覆面パトカーがふらつきながら走る乗用車を見つけて停止を求めたところ、Uターンして逆走。2キロほど走り続けて事故を起こしたという。
- 8月15日:三重県四日市市の国道23号で、19歳から20歳の計4人が乗った乗用車が逆走し、大型トレーラーと正面衝突した。この事故で4人が死傷した。
2012年
- 5月12日:新東名高速道路で新清水ICから18キロ離れた下り車線で84歳男が運転する車が逆走。これによる事故はなかったが、一部区間で一時時速50キロ規制がされた。新東名高速道路での逆走はこれが初である[7]。
- 5月15日:広島市安佐北区内の中国自動車道上り車線の牛頭山トンネルで、広島県内在住の男が運転する軽自動車が逆走しているのが発見された。この男は、戸河内インターチェンジから広島北ジャンクションまで来たところで逆走に入り、約20kmにわたり逆走を続けた。男は「忘れ物に気付いた」と話した。この影響で中国道は、広島北ジャンクションから吉和インターチェンジまでの区間が一時通行止めとなった[8]。
- 7月3日:東名高速道路を約20kmに渡り逆走したとして、山梨県内在住の女が静岡県警高速隊に現行犯で逮捕された。この女は、同県御殿場市の足柄サービスエリアから逆走を開始、110番通報で駆け付けた高速隊のパトカーに沼津インター付近で制止・逮捕された。調べに対し「用事を思い出した」「途中で逆走には気づいていた」と供述しているという。高速隊によると、逆走車を避けようとした乗用車2台が路肩や中央分離帯に衝突したが、負傷者はなかった[9]。
- 10月11日:午前2時20分頃、東名高速道路上り線を走行中のドライバーから「逆走車がいる」と110番通報。静岡市在住で無職の男性(91)が運転の軽自動車が、沼津インターチェンジ近くの下り線を約13キロも逆走、通報を受けた高速管理隊により停車。男性の妻(89)が車に同乗するも二人共けがはなく、衝突事故等もなかった。高速隊によると男性は沼津ICから東京方面に入る際、誤って下り方面に進入したとみられ、追越車線を15分程走行したという。男性は調べに対し「ドライブしていたが、どこに向かっていたか覚えてない」と話している。同隊は男性に臨時適性検査を受けさせ、問題あれば免許取消とする方針[10]。
参考文献
- JAF Mate2009年5月号 事故ファイル「高速道路で逆走車に出会ったら」より
- イタルダ(交通事故調査分析センタ)「info36危険な高速道路の逆走事故」
- NEXCO東日本「安全・安心|事業案内|逆走防止対策」
- NEXCO東日本「プレスリリース 高速道路での逆走を防止する新しい装置の稼動に先駆けて、現場公開します ~ 新しい取り組み45箇所52基が順次稼動 安全・安心のために ~」
- NEXCO中日本「逆走車両が関係する重大事故が発生しています」
- NEXCO西日本「逆走防止装置 - こんな問題が起こっています」
- NEXCO西日本「高速道路における逆走事故とその対策について(pdf 796KB)」
脚注
外部リンク
テンプレート:Asbox- ↑ NEXCO東日本・NEXCO中日本・NEXCO西日本・首都高速道路株式会社・阪神高速道路株式会社・本州四国連絡高速道路株式会社
- ↑ 名古屋高速道路公社・広島高速道路公社・福岡北九州高速道路公社
- ↑ 京都新聞朝刊社会面(2009年9月22日分)
- ↑ どのような場合が逆走に該当するかについては、自動車運転死傷行為処罰法を参照。
- ↑ どのような場合が故意と認定されるかについては、自動車運転死傷行為処罰法を参照。
- ↑ 高速道路で逆走し衝突、地滑りで列車脱線。中国で相次ぐ(CNN.2010.05.23:17:10)
- ↑ 新東名で初の逆走 84歳事故なしも「免許返納」説得へ Sponichi Annex
- ↑ 中国道:「忘れ物を取りに」20キロ逆走…広島 毎日新聞 2012年5月16日
- ↑ 「用事を思い出した」 東名高速で20キロ逆走! 38歳女を逮捕 産経新聞 2012年7月4日
- ↑ 91歳、東名13キロ逆走 静岡 産経新聞 2012年10月12日