レッドブル
レッドブル(Red Bull)は、オーストリアのRed Bull GmbHが販売する清涼飲料水である。タイ人創業者のChaleo Yoovidhya(チャリアオ・ユーウィッタヤー)がタイ王国で見出したKrating Daengという清涼飲料水を元に作られた。現在はオリジナルであるタイ産よりも、世界的に展開されるレッドブルの方が圧倒的に有名である。一般的に両者は全くの別物として認識される。
目次
概要
シャープな缶に入ったオーストリア産レッドブルは、主にカフェイン、アルギニン、ナイアシン、パントテン酸を含みパフォーマンスを発揮したい時のために開発された。
レッドブルは日本を含め、世界160か国以上で販売されている。エナジードリンクとして売上、シェアともに世界で第1位で、2012年には全世界で52億本が消費された(内、2億6000万本はイギリスで消費)。2009年の売上げ本数は39億本[1]で、売上額は32億6800万ユーロ[1](およそ3500億円)である。
各国の法規制(特に薬品関連の規制)の関係からそれぞれ分量・成分の違いはあるが(例えば日本向け製品にはタウリンが全く含まれていない)、エナジードリンクとしてコンビニエンスストアなどで販売している。また、炭酸ガスを含んでいることから、日本での扱いは炭酸飲料となっている。
一方、タイ産のKrating Daengは、オーストリア産のものとは品質が異なり、タイ国内で多量に服用した場合の危険性が指摘されている。
商標は、太陽を背に2頭の赤い雄牛 (Red Bull) が向かい合い、角を突き合わせているデザインとなっている。
歴史
1978年に設立されたTCファーマシューティカル・インダストリーにより、「Krating Daeng」(タイ語で、「赤いガウル」という意味。ガウルはウシ亜科の動物。)の名前でタイで開発された。その経営者であるChaleo Yoovidhyaは、元々TCマイシンという会社を設立し、痛み止めの製造・販売を行なっていた。
当初、タイではOsotspaが代理で販売を行なっていたリポビタンD(大正製薬)が、ほぼタイでの市場を独占していた。そこでTCファーマシューティカルはターゲットを低所得者層に絞り、積極的な売り込みを行なった。しかし、独自開発したM150やリポビタンDを擁するオソサッパー社を上回ることは出来ず、マーケットシェアは10%強に留まっている。
1984年にオーストリア人のディートリッヒ・マテシッツが国際的な販売権を獲得。独自の配合で数年をかけて改良をし、今までに無いエナジードリンクを開発、Red Bull「レッドブル」の名称で販売を始めた。マテシッツは、ビジネスで日本に来た際に、日本を中心とするアジア諸国で栄養ドリンクが大きな市場を形成している事を知り、欧米でも同種のビジネスが成り立つのではないかと考え、調査を進めている内にKrating Daengに出会ったという。また、商品開発に当たっては、特に日本のリポビタンDから大きな影響を受けているとインタビューで語っており[2]、その成分が参考にされた[3]。
レッドブルエナジードリンクはヨーロッパ地域は元より、北アメリカ地域や、オセアニア、アフリカ、そして、アジアにも進出した。アメリカ・イギリス、日本等では「レッドブル、翼を授ける。(Red Bull Gives You Wings)」のキャッチコピーが使われている。
日本では現地法人のレッドブル・ジャパン株式会社(東京都港区白金台に所在)が販売及び輸入を担当。2005年12月、初めてクラブやバーに登場し、その後の2006年4月より、関東・関西地区のセブン-イレブンでの販売を皮切りにファミリーマート(2006年6月~)や一部のエクソンモービルのガソリンスタンドでも販売されたほか、その後はコンビニなどでも販売する。なお、日本で売られているレッドブルは各個原産国が異なっており、オーストリアの他にスイスなどの原産国が見受けられる。
カフェイン含有量
レッドブルにはカフェインが含まれている。レッドブルを含めた主な飲料のカフェイン含有量は以下の通り。
- レッドブル(250ml缶)1本 80mg(32mg/100ml)[4]
- コーヒー1杯 40~180mg
- お茶1杯 50~80mg
- コーラ系1缶 30~50mg
- 栄養ドリンク系1瓶 30~80mg
レッドブル・シリーズ
以下はレッドブルのシリーズであるが、オーストリアのレッドブルとタイのKrating Daengとは会社も中身も全く異なっている。
オーストリア産のレッドブル・シリーズ
- レッドブル
- レッドブル・シュガーフリー
- レッドブル・ミネラルウォーター
- レッドブル・コーラ
- レッドブル・エナジーショット
- レッドブル・ザ・レッド・エディション(カンの印刷が赤い、プルトップも赤い)
- レッドブル・ザ・ブルー・エディション(カンの印刷が青い、プルトップも青い)
- レッドブル・ザ・シルバー・エディション(カンの印刷が銀、プルトップも銀)
タイ産のKrating Daeng
- ゴールデンブル
- エキストラ
宣伝活動
スポーツスポンサー
レッドブルはスポーツを通じて積極的な宣伝活動を行っている。2009年には162分野の500人近いスポーツ選手を支援した[5]。エクストリームスポーツやテレビゲーム(海外ではスポーツの一種とされる)のイベントへのスポンサー活動を精力的に行なっており、若年層の支持が非常に大きい。オーナーのディートリッヒ・マテシッツはモータースポーツの愛好家であり、F1やBMX、motoGP、ダカール・ラリー、NASCARなどにも広く関わっている。
- モータースポーツ
- F1
- 1995年から2004年まではザウバー、2001年から2002年まではアロウズのスポンサーを務めていたが、2004年にはF1撤退を表明したジャガーチームを買収し、2005年からレッドブル・レーシングとして参戦している。また、2006年からはミナルディチームも買収し、レッドブルのジュニアチームとしてスクーデリア・トロ・ロッソを立ち上げた。
- レッドブルチームにはレース本隊とは別にプロモーション部隊があり、旧型のF1マシンをショーカーに仕立てて、世界各地でデモ走行を行っている。
- また、A1リンク(旧:エステルライヒリンク)を買収し、レッドブル・リンクとして所有している。
- WRC
- マニュファクチャラー2チームとしてレッドブル・シュコダがヨーロッパで開催される10戦に参戦し、2008年ラリー・アルゼンチンからはWRC4年連続ドライバーズチャンピオンであるセバスチャン・ローブを擁するチーム・シトロエン・トタルのスポンサーとなっている。
- オートバイレース
- 同じオーストリアのオートバイメーカーであるKTMのワークス・チームのメインスポンサーをつとめており、motoGPをはじめとするロードレース、モトクロス世界選手権やAMAスーパークロスといったモトクロス、トライアル、そしてダカール・ラリーをはじめとするラリーレイドで活躍している。
- また、フリースタイルモトクロスのシリーズ戦であるRed Bull X-Fightersを開催している。
- 競技ドリフト
- フォーミュラ・ドリフトではRed Bull Drifting World Championshipのスポンサーであるほか、同競技でリース・ミレンの駆るマシン(ソルスティス及びジェネシスクーペ)もレッドブルのカラーリングが施されている。他にもニュージーランドで開催されているD1NZシリーズ(※D1グランプリ(全日本プロドリフト選手権)とは関係ない)に参戦しているマッド・マイクをスポンサードしており、同選手が使用するRX-7とRX-8もレッドブルのカラーリングが施されている。
- サッカー
- レッドブル・ザルツブルク(オーストリア・ブンデスリーガ)やレッドブル・ニューヨーク(アメリカ・メジャーリーグサッカー)等のサッカークラブを始め、数多くのスポーツチームを所有している。
- エアレース
- 2003年からはレッドブル・エアレース・ワールドシリーズを開催。
- ヨットレース
- アメリカスカップの若手版として、2013年(第34回)より行われる「Youth America's Cup」の冠スポンサーを務める。
- エクストリームスポーツ大会
- アドベンチャーレース大会のレッドブル X-Alps、アイスクロス大会のレッドブル・クラッシュドアイス、フリーランニングの大会「Red Bull Art of Motion」などを主催。
- その他
- 2012年10月に行われた、有人気球による最高高度記録・人類初の超音速フリーフォールなどを目標とする「レッドブル・ストラトス」プロジェクトを支援。フェリックス・バウムガルトナーが目標とする4記録のうち3記録を達成するなど概ね成功を収めた。
サンプリングカー
レッドブルではPR用に改造されたBMW・ミニを使用している(初代ベース・2代目ベースともに存在)。但し、車体後部に搭載される缶の上部が地上から2.000㎜を超えるため、ベース車の5ナンバー枠を超えて3ナンバー登録となっている。最大の特徴は後部を大幅に改造して設置された巨大な「レッドブル缶」であるが、これはオブジェで、その下部には製品約400~480本を冷やしたまま収納・移動できる冷蔵庫が設置されている。
日本では、「レッドブルガールズ」と呼ばれる女性が2人1組となって東京近郊および各イベント会場にてサンプリング配布を行っている。車両のナンバープレートは全て「・283」となっている。これは、キャッチコピーの「レッドブル、翼を授ける。」の翼(つばさ)と283をひっかけているためである[6]。車両費用は改造費を含めて600万円(推定)。 テンプレート:-
備考
Buzz(バズ)の名称でコカ・コーラ社からレッドブル同等の価格で類似飲料が発売されるも、短期で販売を終了し、2012年にburn(バーン)を新たに発売している。 2014年6月10日からレッドブル・ブルー・エディションが日本でも数量限定でコンビニなどで発売される。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 『F1速報PLUS Vol.17』、イデア、2010年、p.66。
- ↑ 『GRAND PRIX SPECIAL』(ソニー・マガジンズ)2007年10月号・pp.84 - 86
- ↑ 『プレジデント』(2012年5月21日)
- ↑ [1] レッドブル公式ホームページから引用
- ↑ 『F1速報PLUS vol.17』 イデア、2010年、p.67。
- ↑ レッドブル・ミニ(Mini)の秘密基地に潜入取材週アスPLUS 2009年5月25日(2012年11月16日 閲覧)