ブラックジャックによろしく

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テンプレート:Sidebar with collapsible listsブラックジャックによろしく』は、佐藤秀峰による日本漫画、またそれを原作とした同名のテレビドラマ研修医が目にする日本の大学病院医療現場の現状を描く。医療監修は長屋憲。

概要

2006年1月まで、講談社モーニング』誌上で連載された。2002年第6回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞。本作は2003年TBS系列テレビドラマ化された。臨床研修制度の不条理さ、医局の都合により歪められる医療、健康保険制度の矛盾、患者や家族との葛藤などを経て主人公は成長してゆく。

題名は手塚治虫の漫画『ブラック・ジャック』と『ブッキラによろしく!』に由来するが、内容的には直接の関係はない。

「精神科編」終了後1年以上にわたって連載が中断していたが、小学館の『ビッグコミックスピリッツ』に移籍し、2007年8号から『ブラックジャックによろしく』と改題し「移植編」に舞台を移して連載を再開した。その後数ヶ月は毎週、以降隔週掲載のスタイルを経て、2010年33号でシリーズ連載終了を迎えた。単行本1-13巻(第一部)の累計発行部数は1000万部を超える。

最終巻(第二部9巻)は、佐藤がカバーイラストの報酬が支払われないことに激怒したなどの理由でカバーイラストの製作を拒否、結局タイトル以外は真っ白の表紙という異例の事態となった[1]。その代わりとして、佐藤は2010年10月1日に幻のカバーイラストの製作の様子をニコニコ生放送Ustreamで生中継した[2]。2012年4月には契約期間満了を待たずに講談社との出版契約を解除した(小学館の『新』は対象外)[3]。オンラインコミック配信サイト『漫画 on Web』での無料配信は続けられている。

2012年9月15日より本作を著作権フリー化し、あらゆる二次利用を自由にできるようにすることをTwitter上で発表した[4]

2013年6月21日から同年7月31日にかけて、作者公認の下で本作のMAD作品コンテストがニコニコチャンネルにて行われる[5]

2013年8月ソフト・オン・デマンド系列でAV版「ブラックジャックによろしく」が発売。佐藤自身は制作を許諾していないものの、先述の通り著作権フリー化及び二次利用の自由を認めているために、実現化した[6][7]

2013年9月キャノンピクサススペシャルポータルサイトPIXUS Roomにおいて、パロディ漫画「純正インクをよろしく」が公開される[8]

登場人物

※演 - はTBSのドラマ版でのキャスト

斉藤 英二郎(さいとう えいじろう)
演 - 妻夫木聡
名門の永禄大学卒の研修医。北海道函館市出身。現在の実家は千葉県銚子市。5人兄弟の2番目で、父親は中学校の英語教師。大学卒業時には医者としての理想を抱き希望に燃えていたが、実際の医療現場に携り、理屈や正義で解決しない辛辣な現状を知ることとなる。性格は純粋で一直線。患者のためを思い奔走するが、そのたびに医局や教授、日本の医療事情の現実と衝突する。
皆川 由紀子(みながわ ゆきこ)
演 - 国仲涼子特別出演
新生児集中治療室(NICU)の看護師。後に斉藤と付き合うようになるが、仕事一筋な斉藤にもどかしさを感じることが多い。現場で騒動を起こす斉藤に振り回されるため看護師を辞する覚悟を決めたこともあったが、今では嘱望される看護師として職責を果たそうと努力している。後に脳外科に異動。連続ドラマやTBSの新春ドラマ企画(2004年1月3日放送)では皆川泰子(みながわ やすこ)となっている。
赤城 カオリ(あかぎ かおり)
演 - 鈴木京香
手術部勤務の看護師。色っぽい風貌で、藤井教授から何度もナンパされている。現実的で冷静に周囲を観察し、その一方で医療現場で奮闘する斉藤を応援している。幼い頃よりI型糖尿病を患い、それに因る腎不全から人工透析を受け、父親の腎臓を移植された経験を持つ。実家は斉藤の地元・函館の隣である亀田郡七飯町大沼。
出久根 邦弥(でくね くにや)
演 - 加藤浩次
斉藤の同期。やたらと合コンをやりたがる。斉藤ほど医師という職業に情熱を注いではいないため、円満な研修医生活を送る。5浪して永禄大学に入学した。
宗形 正臣(むなかた まさむね)
演 - 松尾政寿
椿 理沙子(つばき りさこ)
演 - 綾瀬はるか
田中 恵美(たなか えみ)
演 - 今井陽子

誠同病院

服部 脩(はっとり おさむ)
演 - 緒形拳
斉藤がアルバイト当直をする誠同病院の医院長。診療報酬が高いことから交通事故の救急患者を拒まず受け入れている。重体の救急患者に何も出来ずに逃げた斉藤に「強くなれ」と激励する。
牛田 克雄(うしだ かつお)
演 - 杉本哲太
斉藤がアルバイト当直をする誠同病院の勤務医。斉藤とともに当直したことを機に打ち解け、後にたびたび斉藤に当直を頼むことになる。

第一外科編(ブラックジャックによろしく第1巻)

春日部 一郎(かすかべ いちろう)
演 - 伊東四朗
永禄大学医学部第一外科の教授。30年手術ミスが無い名医といわれるが、実際は皮膚切開のみで普段はウナギの解剖と研究しかしていない。
金子敏夫(かねこ としお)
演 - 三川雄三
斉藤が研修医として初めて受け持つ75歳の患者。内臓疾患を併発し昏睡状態に陥り、緊急手術等の延命処置で命を取り留めるが、回復の見込みは薄い。
金子 明子(かねこ あきこ)
演 - 泉ピン子
敏夫の親族。
金子 満男(かねこ みつお)
演 - 河原田ヤスケ
敏夫の親族。
白鳥 貴久(しらとり たかひさ)
演 - 三浦友和
斉藤の第一外科の指導医。手術は丁寧で実力もあり、患者の前では笑顔も見せる。延命処置は国家の医療費の無駄遣いと考えている。教授が絶対的権力を握る医局制度に不満を持ち、医療制度を変えるためにいつかは自らが教授になろうと思っている。

第一内科編(ブラックジャックによろしく第2巻)

久米 憲一(くめ けんいち)
演 - 甲本雅裕
斉藤の第一内科(循環器内科)の指導医。
川上 寛(かわかみ ひろし)
演 - 浅野和之
宮村 和男(みやむら かずお)
演 - ガッツ石松
53歳。信濃町で小さな酒屋を経営している。狭心症で転院してくる。真実を話さないとともに院内部の事情を優先する医師たちについて不信感を抱いていたが、自分のために熱心に取り組む斉藤に心開いていく。
斉藤 トモ子(さいとう ともこ)
演 - 浅茅陽子
英二郎の母親。息子に内緒で函館から上京し、その様子を見に訪れる。
藤井 義也(ふじい よしなり)
演 - 石橋凌
心臓外科医の教授。金と女と権力が大好きで医者というより政治家に近い。オープンカーで出勤し軽い言葉でナンパをする。斉藤が宮村を退院させ別の病院を紹介したことから斉藤と対立する。
北 三郎(きた さぶろう)
演 - 原田芳雄
南林間病院の心臓外科医。一匹狼タイプの敏腕医師であり、日本の大学の医療に絶望し、オーストラリアで修行を積んだ。手術後は必ずスナックでカラオケを歌う。顔と名前は北島三郎がモデル。
鳥 一郎(とり いちろう)
演 - 神保悟志
北の後任の心臓外科医。顔と名前は鳥羽一郎がモデル。

NICU(新生児集中治療室)編

高砂 春夫(たかさご はるお)
演 - 笑福亭鶴瓶
新生児集中治療室(NICU)の医師。子供が4人おり妻は看護師。強面で仕事中はオシメをかぶっている。
田辺 秀勝(たなべ ひでかつ)
演 - 吉田栄作
弁護士。未熟児で誕生しダウン症の双子の子供に対し、手術を拒否するなど冷徹な態度をとるが、実は誰よりも子供を愛している。精子減少症で夫婦で不妊治療をしていた。
田辺 佳子(たなべ けいこ)
演 - 横山めぐみ
秀勝の妻。妊娠28週で双子の子供を出産。しかし未熟児で誕生しダウン症を抱える子供に対して戸惑うとともに、子供を巡り秀勝とうまく行かなくなり苦悩する。

小児科編

安富 良之(やすとみ よしゆき)
演 - 鹿賀丈史
小児科医。常に笑顔を絶やさない小児科医。赤字と人手不足の小児科の現状を憂いている。

第四外科編

内海 まどか(うつみ まどか)
演 - 伊東美咲
宇佐美が担当する全身にがんの転移が進んでいる患者。26歳。宇佐美と出会ってから抗がん剤を使用せず、がんと付き合いながら天寿を全うする選択をする。
児玉 典子(こだま のりこ)
演 - 藤谷美紀
10年前に庄司と宇佐美が担当した膵臓がんの患者。当時23歳。未承認の抗がん剤治療を受け延命に成功するものの完治には及ばず、高額な医療費と目前に迫る死の恐怖に怯え続けることとなる。宇佐見の求婚を受け入れた直後に死去。
庄司 直樹(しょうじ なおき)
演 - 阿部寛
斉藤の指導医。性格は明るく軽いノリだが仕事はよくでき、次期教授候補でもある。抗がん剤を使用しがんと戦う方針の医師。児玉の闘病と死をきっかけに、抗がん剤の見解をめぐり宇佐美と不仲である。後に宇佐美と和解し緩和ケア科を創設する。
宇佐美 孝志(うさみ たかし)
演 - 石橋貴明
第四外科の医師。庄司とは同期だが、児玉の死をきっかけに極力抗がん剤を使用しない方針のため不仲。後に庄司と和解し緩和ケア科の医師となる。
辻本 良江(つじもと よしえ)
演 - 薬師丸ひろ子特別出演
末期の膵臓がんを患った43歳の患者。夫と2人の子供がいる主婦。庄司の勧めで抗がん剤治療を受け副作用に打ち勝つが、治療の効果は無く悪化。斉藤から病状と余命の宣告をされショックを受けるが、宇佐美や内海との出会いや斉藤の説得などを受け模索した結果、別の抗がん剤治療を受け延命しつつ自分と家族にとって最善の末期を送っていく。
辻本 正志(つじもと まさし)
演 - 梨本謙次郎
良江の夫。45歳。良江が末期がんと知らされ思い悩む。
堀内 清司(ほりうち きよし)
演 - 古谷一行
第四外科の教授。研修医としてやってきた斉藤に対し「分をわきまえない人間はがん細胞と同じ」と告げる。連続ドラマやTBSの新春ドラマ企画(2004年1月3日放送)では川淵 清司(かわぶち きよし)となっている。

精神科編

伊勢谷(いせや)
精神科精神科医で、斉藤の指導医。新聞記者の門脇を通じて、精神科の現状を世に知って欲しいと願う。モデルは坂本龍一
門脇 耕太郎(かどわき こうたろう)
読捨新聞社の記者。精神科の内情を新聞記事にすることで、精神病患者に対する偏見を無くそうと、精神科へ体験入院する。モデルは大熊一夫
小沢(おざわ)
精神科に入院している統合失調症の患者。元来、真面目で勤勉な大学生であったが、就職活動に失敗。卒業後、アルバイト勤務するコンビニの店長に窃盗の疑いをかけられ、統合失調症を発症。早川との恋愛や斉藤の努力の甲斐あって回復の兆しが見え退院するが、周囲の偏見に押しつぶされ自殺を図る。緊急手術で一命を取り留め、快方に向かう。
早川 小百合(はやかわ さゆり)
精神科に入院している統合失調症の患者。旧姓「磯村」。両親の離婚とそれに伴う転校など、さまざまな要因が重なって、たびたび家出援助交際をするようになり、妊娠人工妊娠中絶を経て、統合失調症を発症。堕胎したことにの意識を持ち続けている。「ウェンディ」と自称し、「ティンカーベル」を探し「ピーターパン」を待ち続けている。

移植編

近藤 ムツミ(こんどう ムツミ)
泌尿器科の医師で斉藤の指導医。夫(近藤 敏夫)とは逆に移植には反対の考えを持つ。旧姓は「オオサワ」。額のテカリが特徴。
近藤 敏夫(こんどう としお)
近藤ムツミの夫。泌尿器科兼先進移植医療が専門。若い頃はオールバックのヘアスタイル。夜遊びと女遊びを好む。
吉田 浩(よしだ ひろし)
20歳の専門学生。交通事故で脳死状態になった。臓器提供意思表示カードを所持し、移植のすべての項目に同意していたため、結果的に臓器提供者となった。
高輪 美和(たかなわ みわ)
泌尿器科教授の娘。泌尿器科教授が教授でなかった頃、脳死者ドナーからの腎移植を受けるが、強い拒絶反応により再び腎不全に。その後自殺。享年18。
高輪教授(たかなわきょうじゅ)
泌尿器科の教授。かつて腎臓と一緒に膵臓を摘出し、殺人罪死体損壊罪で告訴されたことがある。

単行本

単行本はモーニングKCから全13巻、ビッグコミックススペシャルから全9巻が発行されている。また、公式ガイドブックも発行されている(「ブラックジャックによろしく」は講談社から、「新ブラックジャックによろしく」は小学館から発行されている)。

  • 「ブラックジャックによろしく」(1)【第一外科編】(2002年6月
  • 「ブラックジャックによろしく」(2)【循環器内科編】(2002年6月)
  • 「ブラックジャックによろしく」(3) - (4)【NICU(新生児集中治療室)編】(2002年10月 - 2003年1月
  • 「ブラックジャックによろしく」(5) - (8)【がん医療編】(2003年4月 - 2004年2月
  • 「ブラックジャックによろしく」(9) - (13)【精神科編】(2004年7月 - 2006年1月
  • 「ブラックジャックによろしく 〜ホスピタル・クライシス 衝撃の事実〜」【公式ガイドブック】(2003年4月)
  • 「新ブラックジャックによろしく」(1) - (9)【移植編】(2007年2月 - 2010年10月

また、講談社版の2次利用フリー化に伴い、2012年11月からは双葉社から廉価版が発行されている。印税を作者へ支払わない事により2巻分を450円という低価格となっている[9]

このほか、東京国際ブックフェアなどで大日本スクリーン製造株式会社製のオンデマンド製本機実演デモで単行本が製作され、来場者に配布される。

テレビドラマ

テンプレート:基礎情報 テレビ番組 テンプレート:Sidebar with collapsible lists 2003年4月11日より6月20日まで毎週金曜日22:00 - 22:54[10]に、TBS系列の「金曜ドラマ」枠で放送された。主演は妻夫木聡

更に2004年1月3日(土曜日)21:00 - 23:24に、新春ドラマ特別企画として、「ブラックジャックによろしく〜涙のがん病棟編〜」が放送された。視聴率13.1%。

ストーリー

名門「永禄大学医学部」を卒業した斉藤英二郎(妻夫木聡)は、永禄大学附属病院で研修医として働くことになった。医師になるには医師免許を取得してから2年間、実際の現場の指導医の元で臨床研修を受けなければならない。しかし、月給は3万8千円。上京して一人暮らしをしている英二郎はそれだけでは当然足りない。そのために、他の病院で夜間救急の当直医のアルバイトをすることになるが、結果として厳しい日本の医療事情を身を以て経験することとなる。

研修医・英二郎が持つ理想の医療現場とは掛け離れた、病院が抱えている矛盾や医療問題に、苦悩しつつも懸命に立ち向かっていく姿を描いていく。

ドラマでは5つの医局に派遣された。

  • 「第一外科(一般外科・消化器外科)」編(第1話 - 第2話)
  • 「第二内科(循環器内科)」編(第3話 - 第5話)
  • 「NICU(新生児集中治療室)」編(第6話 - 第9話)
  • 「小児科」編(第9話 - 最終話)
  • 「第四外科(癌病棟)」編(スペシャル版)

キャスト

※主要人物は#登場人物を参照。

連続ドラマ
※小林と岩松は終盤で物語のカギを握る人物として本格的に登場する予定だったが、トラブルのため第5話で途中降板。
スペシャル

スタッフ

放送日程

連続ドラマ
各話 放送日 サブタイトル 演出 視聴率
第1話 2003年4月11日 医者ってなんなんだ!? 平野俊一 15.4%
第2話 4月18日 延命治療 15.7%
第3話 4月25日 一流の嘘 三城真一 14.6%
第4話 5月テンプレート:02日 無力な研修医 テンプレート:Color
第5話 5月テンプレート:09日 医療はギャンブルか 平野俊一 13.6%
第6話 5月16日 小さな命 12.6%
第7話 5月23日 愛する涙 山室大輔 14.3%
第8話 5月30日 命の選択 三城真一 14.4%
第9話 6月テンプレート:06日 弟の命名 平野俊一 12.6%
第10話 6月13日 幼い叫び 三城真一 テンプレート:Color
最終話 6月20日 戦場! 平野俊一 14.3%
平均視聴率 14.2%(視聴率は関東地区ビデオリサーチ社調べ)
スペシャル
放送日 サブタイトル 演出 視聴率
2004年1月3日 ブラックジャックによろしく 〜涙のがん病棟編〜 平野俊一 13.1%

撮影協力

その他

  • 大半は原作どおりではあるが、ストーリーや登場人物の設定が原作から変更されている部分も多い。

テンプレート:前後番組

テンプレート:TBS金曜ドラマ (1989年以降) テンプレート:ザテレビジョンドラマアカデミー賞

脚注

テンプレート:Reflist

関連項目

外部リンク

  • 緊急生中継! 表紙絵のない『新ブラックジャックによろしく』最終巻、作者による幻のカバーイラスト描きおろしライブ、未来検索ガジェット通信、2010年10月1日
  • 佐藤秀峰さんカバーイラストができるまで密着深水英一郎未来検索ブラジル代表取締役)ブログ、2010年10月3日
  • 人気マンガ「ブラックジャックによろしく」の出版契約が解除…絶版に 作者が明かすシネマトゥデイ 2012年4月27日
  • テンプレート:Cite news
  • テンプレート:Cite web
  • 『ブラックジャックによろしく』 THE AV
  • テンプレート:Cite news
  • テンプレート:Cite web
  • ブラックジャックによろしく:印税ゼロで超廉価版出版テンプレート:リンク切れ - 毎日新聞、2012年11月9日
  • 初回は15分拡大(22:00 - 23:09)。