けっこう仮面
テンプレート:Sidebar with collapsible lists 『けっこう仮面』(けっこうかめん)は、永井豪とダイナミックプロによる日本の漫画作品。『月刊少年ジャンプ』(集英社)に連載されていた。
目次
概要
『月刊少年ジャンプ』1974年9月号に読み切りとして発表。顔を隠して体を隠さない怪人少女・けっこう仮面が、スパルタ学園内で行われる体罰から女生徒・高橋真弓を助け出す。けっこう仮面の正体を暴こうと学園長・サタンの足の爪は生徒らを身体検査にかけるが、そこに現れたけっこう仮面にまたしてもやられてしまう。「『少年ジャンプ』がまた掲載させてくれるなら、次こそはけっこう仮面の正体を暴いてくれる」と負け惜しむサタンの足の爪の要望に応え、1975年2月号、5月号、8月号と読み切りとして掲載、1975年10月号より連載化。以後、好評のまま連載は続き、1978年2月号で最終話を迎える(全30話)。変身ヒロイン物であるにもかかわらずけっこう仮面の正体が読者にも知らされず、作品中でさまざまなヒントが作者から投げかけられる独自の作風を貫いている。最終話ではいちおう正体が確定するものの、永井自身、豊福きこうとの対談で途中まで何も考えていなかったことを認めている。
あらすじ
どこの誰かは知らないけれど カラダはみんな知っている…。
長野県の山奥深くにある恐怖の進学校「スパルタ学園」。有名高校への進学率100%のこの学園では、日夜過剰な体罰を行っている。そこに現れたのは、顔を全頭型マスクで覆い、他にマフラー・グローブ・ブーツ(マスクも含め、それらの色はすべて赤で統一されている)も着けているが、それ以外は全裸という謎の少女、けっこう仮面。彼女の魅惑的な姿に、「けっこう!」と叫びやられていく仕置き教師たち。学園長のサタンの足の爪はけっこう仮面の正体は学園内部にいると判断し、あぶり出しにかかるのだった。
登場人物
主要人物
- けっこう仮面
- 顔を隠して体を隠さない丸裸の女であり、謎の正義の味方。『月光仮面』のパロディで、テーマソングは「月光仮面は誰でしょう」の替え歌。武器はヌンチャクと己の裸体で、大股開きで敵の顔にめがけて飛びつき呼吸困難に陥らせる「おっぴろげジャンプ」が必殺技(けっこう仮面の股間に目を奪われてしまうので、男性には回避不能)。スパルタ学園の女生徒が体罰により辱めを受けると現れ、女生徒達から「けっこうのおねえさま」と慕われている。「けっこう仮面は誰でしょう?」が本作品のテーマ。
- サタンの足の爪
- スパルタ学園の学園長。スパルタ教育の名目で女生徒へのハレンチ行為を繰り返す変態中年。その障害であるけっこう仮面の正体を暴こうとする。『月光仮面』の宿敵「サタンの爪」のパロディ。悪魔の足と爪が描かれた仮面をつけている。最終話では、その衝撃の正体がサタンの足の爪のアカである事が暴かれた。
- 高橋真弓(たかはし まゆみ)
- スパルタ学園1年S組の生徒。彼女が体罰を受けるたびにけっこう仮面が現れるということを学園長に気づかれて以降、ことあるごとに仕置き教師たちから辱めを受けることになる。
疑われた人々
- 結花千草(ゆうか ちぐさ)
- 2年A組の生徒。けっこう仮面の正体ではないかと疑われた最初の人物。実は彼女には隠された秘密が存在するのだが……
- 夏綿けい子(なつわた けいこ)
- 体育教師。A級ライセンスを持ち、月給100万円以上。数少ない生徒想いの教師。
- 生徒を守ろうと奮闘するが、毎度あっさりと全裸にされてしまう。
- 面光一(おもて こういち)
- 夏綿けい子の妹。男子高校に入学を希望しているために女であることを隠していたことから、学園長に疑われた。
- 男なら恥ずかしくないという理由で、幾度となく衣服や水着を没収される。
- 若月香織(わかつき かおり)
- 保健室の先生。実写版オリジナルビデオの第1作目では生徒役の名前だったが、第2作目では原作どおりに校医の役。
- 紅恵(くれない けい)
- 女番(すけばん)。衣服を全て没収され全裸のまま馬に乗せられ校内を引き廻される。
既存の有名作品のパロディとして登場した悪役
毎回登場する悪役は既存の有名作品のパロディで、けっこう仮面に倒される時にはモデルとなった作品の作者に対して「○○先生ごめんなさい」と言い残して力尽きるのがお約束。下段はそれぞれの元となった作品、およびキャラクター。
- 血狂魔剣の助(ちぐるま けんのすけ)
- 堀江卓の「矢車剣之助」。
- 齢十郎(よわい じゅうろう)
- 川内康範の「月光仮面」に登場した探偵「祝 十郎」。ただし、名前と職業以外はほとんど関係なく、キャラクターとしてはむしろ「刑事コロンボ」に近い。
- 悪童鈴の助(あくどう すずのすけ)
- 武内つなよしの「赤胴鈴之助」。
- 鉄人似獣八五郎(てつじん にじゅうはちごろう)
- 横山光輝の「鉄人28号」。面光一が実は女であることを暴いたのは彼。
- 干病魔(ほし びょうま)
- 梶原一騎の「巨人の星」に登場した「星飛雄馬」。キャラクター的には父親の星一徹の方に近い。
- イガガリくん
- 福井英一の「イガグリくん」。[1]下の多羅尾番外とともに、死亡がはっきりと確認された数少ない悪役。
- 多羅尾番外(たらお ばんがい)
- 片岡千恵蔵主演の「多羅尾伴内」。ライオンの餌食となり死亡。
- 下下下の下太郎(墓場下太郎)(げげげのげたろう/はかば げたろう)
- 水木しげるの「ゲゲゲの鬼太郎(墓場の鬼太郎)」。
- まぼろしパンティー(藤進)(ふじ すすむ)
- 桑田次郎の「まぼろし探偵」、富士進。途中までしおき被害者のふりをしていた。 ※後の姉妹作「まぼろしパンティ」の原案キャラ。
- 少女王者、牧村真子(まきむら しんこ)
- 山川惣治の「少年王者」に登場した「牧村真吾」。
- 鉄椀オツム(てつわん オツム)、豚馬飛雄(とんま とびお)
- 手塚治虫の「鉄腕アトム」、天馬飛雄(てんま とびお)。こちらは老人である。
- リボンの志士(りぼんのしし)、紗琲愛(さはい あい)※ただし、悪役ではない。
- 手塚治虫の「リボンの騎士」、サファイア姫。なお「手塚先生ごめんなさい」に対しては、コマの隅で手塚が「僕は関係ない」と、憤慨しながらツッコミを入れている。
- 裁縫部009(さいほうぶ009)、島村お嬢
- 石ノ森章太郎の「サイボーグ009」、島村ジョー。なお、オリジナルでの001~008をパロディとして女性化させた8人(元から女性である003は除く)の仲間を連れている。
- オメンホテップ、(正体は少女王者こと牧村真子)
- 山川惣治の「少年王者」に登場した「アメンホテップ」。
- 丸ゴチ(丸ゴチエモン)(まるごち)
- 永井豪自身の「ハレンチ学園」に登場した、丸ゴシ(荒木又右衛門)。この回では「永井先生ごめんなさい」と力尽きた丸ゴチに、コマの隅で永井が「許す」とコメントしている。
- 乳房の小天狗(ちぶさのこてんぐ)、佐丹朱実(さたん あけみ)
- うしおそうじの「朱房の小天狗」。
- 無情ノ介(むじょうノすけ)
- さいとうたかをの「無用ノ介」。実写版オリジナルビデオの第1作目にも登場するが、その時のシチュエーションは鉄人似獣八五郎の話から採られた。
- 七エロ仮面(ななエロかめん)、江口奈々
- 川内康範の「七色仮面」。けっこう仮面と同様、テーマソングとともに姿を現わす。
- 猛劣先生(もうれつせんせい)
- 寺田ヒロオの「もうれつ先生」。実写版オリジナルビデオの第1作目にも登場する。
- ゲリー・パック
- 河島光広の「ビリー・パック」。結花千草の秘密を暴くが、若月香織から、ある「医療ミス」をされ、それが元で敗れる。
- タタリ
- 白土三平の「ワタリ」。門外の番人で、何人もの子分を従えている。
- 弁教師(べんきょうし)
- 「ベン・ケーシー」。実写版オリジナルビデオの第1作目にも登場する。
- スーパー黄金バットマン
- 「スーパーマン」・「黄金バット」・「バットマン」の合成。3超人の三角関係の果てに生まれたとされる。
- ウルトラQ太郎
- 「ウルトラQ」・「オバケのQ太郎」の合成。もっともウルトラQというキャラクターは存在しないので、お化けのQ太郎を悪役化した外見に駄洒落のネーミングをかぶせたキャラクターとして、元ネタとの縁故を説明された唯一のキャラクターである。
- 仮面ライオン丸
- 「仮面ライダー」・「快傑ライオン丸」の合成。
- 朱悪津ネガ太郎
- アーノルド・シュワルツェネッガーのパロディ。OVAに登場。
必殺技
- おっぴろげジャンプ
- デカパイロック
- ヒップボンバー
- すっぽんぽんアタック
- 柔肌固め
- デルタホールド
- Y字バランス
単行本
派生作品
オリジナルビデオ(実写)
けっこう仮面役が伏せられているのは、実写版『月光仮面』で月光仮面役が「?」という表記になっていたことのパロディである。
1990年代の3作品ではけっこう仮面はマントも着けており、その第1作目ではクライマックスにマントを脱ぎ捨てる演出が盛り込まれた。
けっこう仮面 (1991年版)
けっこう仮面2 (1992年版)
- 監督:秋山豊
- 制作:ジャパンホームビデオ
- キャスト
けっこう仮面3(さん) (1993年版)
- 監督:秋山豊
- 制作:アートポート+ジャパンホームビデオ
- キャスト
けっこう仮面 MASK OF KEKKOU (2003年版)
舞台の設定が、スパルタ学園からマングリフォンアナウンス学院へと変更されている。R指定作品。
けっこう仮面 マングリフォンの逆襲 (2003年版)
- 監督:長嶺高文
- 製作:アートポート
- キャスト
- けっこう仮面:?
- 夏綿けい子:斎藤志乃
- 高橋真弓:稲原樹莉
- アレサ・ベアード:鈴木ヒロミツ
- 五千恵門:石丸謙二郎
- 桜木瑞穂:久保恵子
- 仲田詩乃子:江口ナオ
けっこう仮面 RETURNS (2004年版)
- 監督:長嶺高文
- 製作:松下順一
- 企画:加藤東司
- プロデューサー:米山紳
- アソシエイトプロデューサー:福島重幸
- 脚本:岡野勇気
- 音楽:清水真理
- 撮影:大沢栄一、大西俊哉
- 美術:石毛朗
- キャスティングプロデューサー:松本治朗、吉田隆則
- 協力:ダイナミック企画
- 製作:アートポート
- キャスト
けっこう仮面 SURPRISE (2004年版)
- 監督:長嶺高文
- 脚本:岡野勇気
- キャスト
けっこう仮面 ロワイヤル (2006年版)
けっこう仮面 プレミアム (2006年版)
- 監督:鈴木浩介
- 脚本:坪田塁
- 製作:アートポート
- キャスト
- けっこう仮面:?
- 結花千草:小澤マリア
- 高橋真弓:北村ひとみ
- 夏綿けい子:寧々
- 面光一:範田紗々
- サタンの足の爪:ノッチ
- 他に、大堀こういち・関暁夫・林克治
けっこう仮面 フォーエバー (2006年版)
- 監督:鈴木浩介
- 脚本:坪田塁
- 製作:アートポート
- キャスト
- けっこう仮面:?
- 結花千草:小澤マリア
- 高橋真弓:北村ひとみ
- 夏綿けい子:寧々
- 面光一:範田紗々
- サタンの足の爪:ノッチ
- 他に、大堀こういち・遠藤憲一
実写映画
けっこう仮面 新生 (2012年版)
テンプレート:Infobox Film 『けっこう仮面 新生(リボーン)』は、3代目恵比寿マスカッツリーダーの希志あいのを主演に実写映画化[3] 。
キャッチコピーは「愛と正義の使者、参上!」。
- 出演
- スタッフ
- 監督 - 笠木望
- 脚本 - 小松公典
- 製作 - AMGエンタテインメント
OVA
全2巻。
- 製作・発売元:日本コロムビア
- 監督:近藤信宏(第1巻/第1話、第2話)、よしもときんじ(第2巻/第3話、第4話)
- 音楽:石川恵樹
- テーマソング(歌:篠原恵美)
- 「モロダシ・ヒロインけっこう仮面」(歌詞は「デビルマンのうた」のパロディ)
- 「けっこう仮面のうた」(歌詞は「月光仮面は誰でしょう」のパロディ)
- 声の出演
アダルトゲーム
PC-9800シリーズ用アダルトゲームとして2作品が発売された。開発はアイデス、原画は牧野靖弘が担当。主人公はスパルタ学園の教師としてけっこう仮面の正体を探りつつ、生徒に仕置きを行う。
すっぽんぽん戦隊 けっこう仮面V -FIVE-
永井豪監修による『けっこう仮面』の世界のオリジナルストーリーを、5人のAV女優がグラビアで演じるという、写真とコミックを融合させたグラビア本。永井豪描き下ろしの『今宵もけっこう けっこう仮面』が別途収録されている。
けっこう仮面P(ピーチ)
『週刊ヤングマガジン』(講談社)2003年39号から2004年27号まで連載された、永井豪原作、脚本を原田重光、作画を湊青樹が担当。
あらすじ
けっこう仮面が活躍していた時代から30年後、スパルタ学園は再び有名高校進学率が全国トップに返り咲く。元学園長・サタンの足の爪の息子である現学園長は父の教育方針を受け継ぎ、再びスパルタ学園でおしおきの恐怖により生徒たちを支配していた。そこに、けっこう仮面を名乗る仮面以外全裸の少女「けっこう仮面P(ピーチ)」が現れる。
物語が進むにつれ、勝気な2人目のけっこう仮面「L(レモン)」、巨乳を武器に闘う3人目のけっこう仮面「M(メロン)」、女性を相手に苦戦するけっこう仮面達の下に助太刀に現れた男性のけっこう仮面「B(バナナ)」と仲間が増えていく。
単行本
- ヤンマガKC(講談社 全2巻)
特記事項
- 『月光仮面』の大ファンだった永井豪が川内康範に『けっこう仮面』を作る許可をもらいに行ったところ、川内は快く許してくれたという。後年の「おふくろさん騒動」で森進一を擁護して川内の態度を批判する意見が見られた際、その反例に「川内康範は決して著作権に厳しい人間でなく、人としての筋道に厳しい」として、よく引き合いに出されるエピソードである。
- 実写版『けっこう仮面』(1991年版)に出演した関根勤は永井豪からの熱烈なオファーに応え(関根は永井のファンだった)、「公開お仕置き」の場面でシルクハットに蝶ネクタイでキラキラな衣装を着た司会者(一応は先生)を演じたが、あまりに濃すぎる演技だったために後輩芸人・エネルギーの森一弥には、「押しの強い演技」と評された。関根本人も、「関係者やDVDを購入してくれた人、本当にすいません」と謝罪している(『ウラ関根TV』にて)。
- 『ダウンタウンのごっつええ感じ』内の『こづれ狼』のコントなどで、東野幸治がしばしばけっこう仮面に扮していた(股間はマークなどで隠されている)。
- 2008年のサザンオールスターズ『30周年記念LIVE 真夏の大感謝祭』で、「エロティカ・セブン」のダンサー2名がけっこう仮面に扮し、桑田佳祐の横でポールを用いたエロティックなパフォーマンスを披露していた。
脚注
関連項目
- まぼろしパンティ - 本作の姉妹編。けっこう仮面も最終話に登場。
- キューティーハニー - 『SPA!』に連載された作品中で、本作を映画化するという設定で登場。そのため、けっこう仮面の正体は本作と異なる。
外部リンク
テンプレート:永井豪- ↑ テンプレート:Jコミ(外部リンク)
- ↑ 2.0 2.1 テンプレート:Cite book
- ↑ 少女ヒーローが活躍!セクシーなおっぴろげジャンプさく裂!顔を隠して体隠さず!「けっこう仮面」映画版予告編公開!シネマトゥデイ 2012年5月29日