ハングル

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テンプレート:特殊文字テンプレート:Infobox WS テンプレート:Infobox ハングルテンプレート:Lang-ko-shorthangeul)は、朝鮮語を表記するための表音文字である。1446年李氏朝鮮第4代国王の世宗が、「訓民正音」(テンプレート:Lang-ko-shortHunmin Jeong-eum)の名で公布した。北朝鮮ではチョソングルチャテンプレート:Lang-ko-shortChosŏn'gŭlcha)とも呼ばれる。

韓国、北朝鮮以外でも、旧ソ連の一部などで朝鮮民族の居住地域を中心に使われている。

歴史

朝鮮語は15世紀半ばまでそれを表記する固有の文字を持たず、口訣(こうけつ・くけつ)・吏読(りとう)など漢字を借りた表記法により断片的・暗示的に示されてきた。このような状況の下で李氏朝鮮(朝鮮王朝)第4代国王の世宗(在位1418年-1450年)は固有の文字であるハングルの創製を積極的に推し進めたが、その事業は当初から事大主義的な保守派の猛烈な反発を受けた。1444年に集賢殿(世宗が設立した諮問機関)副提学だった崔萬理らはハングル創製に反対する上疏文を提出し、「自古九州之内、風土雖異、未有因方言而別爲文字者。唯蒙古・西夏・女眞・日本・西蕃之類、各有其字、是皆夷狄事耳、無足道者。(昔から中国の諸地は風土が異なっても、方言に基づいて文字を作った例はない。モンゴル西夏女真日本チベットなどは文字を持つが、これらはみな未開人のなすことであり、言うに足るものではない。)」と述べている。世宗はこのような反対を押し切り、鄭麟趾など集賢殿内の新進の学者に命じて1446年に訓民正音の名でハングルを頒布した。字形の由来については起一成文図起源説、パスパ文字起源説がある。日本の神代文字のひとつの阿比留文字起源説があるが、これは阿比留文字が日本独自の文字であるとする主張するための説(阿比留文字がハングルを元にした後世の偽作であるという説への反論)であり、純粋にハングルの起源を探求する目的で唱えられた説ではなく、学問的には認められていない。

当時の支配者層である両班(りょうはん、양반〈ヤンバン・韓国〉、량반〈リャンバン・北朝鮮〉)における公的な書記手段は漢文であり、中人・下級官吏の書記手段は吏読であった。従って、ハングルがこれらの階層において正規の書記手段として受け入れられることはなく、その結果ハングルは大体において民衆の書記手段として広まることになる[1]。とはいえ、実際には民衆のみならず、両班階層の私信や宮中の女子間の公文書などにもハングルが盛んに用いられ、その使用はかなり広範囲に及んでいた。

ハングルはまず、発案者である世宗のもと国家的な出版事業において活用された。ハングル創製直後1447年には王朝を讃える頌歌『竜飛御天歌』、仏を讃える頌歌『月印千江之曲』、釈迦の一代記である『釈譜詳節』が相次いで刊行され、次いで1448年には韻書『東国正韻』を刊行した。その後も国家によるハングル文献の刊行は続き、諺解書(中国書籍の翻訳書)を中心にその分野は仏典・儒教関連書・実用書など多岐にわたる。刊行された書籍は各地で覆刻され版を重ねることが少なくなかった。

  1. 仏典:李朝初期には刊経都監が設置(1461年)され仏典翻訳が盛んに行われた。その後、国家によって仏教が弾圧されはじめたにもかかわらず、『楞厳経諺解』(1461年)、『法華経諺解』(1463年)、『金剛経諺解』(1464年)、『般若心経諺解』(1464年)、『円覚経諺解』(1465年)など、15世紀中頃に多くの仏典が刊行された。
  2. 儒教関連書:李氏朝鮮が儒教を国教としたことにより、儒教関連書は李朝を通して盛んに刊行された。四書五経などの翻訳本として『翻訳小学』(1517年)、『大学諺解』(1590年)、『周易諺解』(1606年)、『詩経諺解』(1613年)などがあり後世に重刊本も刊行された。また『三綱行実図諺解』(1481年)は儒教の民衆教化書として各種の版本が李朝後期まで何度も重刊されている。
  3. 実用書:『救急方諺解』(1466年)、『救急簡易方』(1489年)、『牛馬羊猪染疫治療方』(1541年)、『分門瘟疫易解方』(1542年)などの医書・家畜防疫書がたびたび刊行されている。また、通訳官養成所である司訳院からは日本語学習書『伊路波』(1492年)、中国語学習書『翻訳老乞大』(16世紀)、満州語学習書『清語老乞大』(1704年)、モンゴル語学習書『蒙語老乞大』(1741年)などハングルで音を示した外国語学習書が刊行された。

もっとも、ハングルの普及がつねに順風満帆だったわけではない。1504年、燕山君(在位1494年-1506年)によってハングルの教育・学習禁止、世宗時代に設立されていた正音庁(諺文庁とも。ハングル関連の事務・研究機関)などが所蔵するハングル文書の焼却、使用者の処刑といった弾圧が行われた[2]。また、燕山君が宮廷クーデターによって失脚し江華島に流された後、後継者として王位についた異母弟の中宗(在位1506年-1544年)は、即位早々の1506年に正音庁そのものを閉鎖し、公式な場でのハングル使用を禁じた。正音庁は燕山君の弾圧以来あまり実のある活動をしていなかったが、それでも担当する官庁がなくなったことを機にハングルの公的な地位失墜は決定的となり[3]、以後政府の文書に登場することはなくなった。しかし為政者の意に反して、ハングルはその後も漢字使用者以外の層へと認知され、使用されてゆくことになる。

上述のような経緯のため、主に民衆の書記手段として用いられたハングルであるが、宮廷や両班階級におけるハングルの使用も少なくない。国王の記したハングル書簡としては、世祖の『上院寺御牒』(1464年)、宣祖の『御筆諺簡』(1603年)などをはじめとした筆写文献が現存している。また、李珥李栗谷)、権好文金尚容ら両班の文化人が時調(朝鮮の詩歌で和歌のようなものに当たる)を詠む際にも、ハングルが利用された。

ハングルによる文学作品も李朝を通して世に出ている。ハングル創製初期の詩歌『竜飛御天歌』、『月印千江之曲』は上述の通りであるが、それ以降にも『杜詩諺解』(1481年)などの翻訳漢詩集が刊行されている。ハングル使用が国家レベルで禁止された中宗以降にも、金絿(1488年-1534年)の「花田別曲」、李賢輔(1467年-1555年)の「漁夫歌」、李滉(1501年-1570年)の「陶山十二曲」など、数々の詩歌が作られている。ハングル小説として本格的なさきがけとなったのは許筠(1569年-1618年)の『洪吉童伝』であり、また日記文学『癸丑日記』なども17世紀から見られる。その他にも『春香伝』、『沈清伝』(いずれも年代未詳)などパンソリを起源とする小説がハングルによる書籍として刊行されたりもした。

開化期になると民族意識の高揚とともにハングルが広く用いられるようになる。開化派井上角五郎の協力により、朝鮮初の近代新聞(官報)である『漢城周報』(1886年創刊)が発行され、これには漢文のほかにハングルのみによる朝鮮文が採用された。それまで公的な文書においてハングルが正式に用いられることがなかった朝鮮において、政府の関与した文書にハングルで記された朝鮮文が採用された意義は大きい。

また、『漢城周報』では漢文的要素の強い朝鮮文である「国漢文」と呼ばれる新たな文体も同時に創作・採用された。国漢文の創作・採用に当たっては日本の漢文書き下し文の文体を参考にしたと見られるが、そのような経緯には福澤諭吉門下の井上角五郎の助力があったと見られる[4]。しかしながら、国漢文は漢文の素養を必要とする文体であったため、一般に広く流布するには至らなかった。1896年に創刊された『独立新聞』はハングルと英文による新聞であった。これは分かち書きを初めて導入した点でも注目される。公文書のハングル使用は、甲午改革の一環として1894年11月に公布された勅令1号公文式において、公文に国文(ハングル)を使用することを定めたことに始まる。

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2009年にはハングル世界化プロジェクトによってインドネシアの少数民族チアチア族チアチア語の文字表記にハングルを導入した[5]。チアチア語にはアルファベットやアラビア文字では表せない音があるが、ハングルなら表記が可能であるかもしれないと採用された。現在までのところ不具合もなく2010年より教科書が発刊され今後の行方が注目されている[6]。ただしこの報道には誤報の疑いがあり[7]世界日報では、実際には現地に韓国教師は派遣されていない上、ハングルがチアチア族の公式文字に採択されたという事実もないとしている[8]。また、朝鮮日報は2011年10月、このプロジェクトが頓挫していることを報じた[9]。さらに、産経新聞は2012年10月、これらの情報はハングルの優秀性を示すために行われた虚報だと報じた[10]

系統

テンプレート:Main ハングルの系統については諸説ある。ハングルの音体系については、子音字母が三十六字母に対応するように作られているなど、中国音韻学に則っている部分が多く、少なくともこの面においては漢字(の音韻)の影響は明らかである。しかし字母の字形などについては、『訓民正音』の「制字原理」に書かれていることが全てか、更に原形となるものがあるのかについて議論がある。

『訓民正音』にはハングルの字形について「象形而字倣古篆」、すなわち「古篆」を参考に作成したとの記述があり、伝統的にはハングルの字形は篆書体に基づいて作られたと解釈されている。そのこともあってか、敢えて他の文字との関係を挙げる場合は、漢字から派生した文字だとされる場合が多い。

レッドヤードの仮説

ファイル:Phagspa-Hangul comparison.svg
パスパ文字とハングルの比較

一方、コロンビア大学名誉教授で朝鮮の歴史やハングルの研究で知られるテンプレート:仮リンクは、「古篆」は当時「蒙古篆字」の名で知られていたパスパ文字を指すとしており、ハングルの子音字母のうち最も基礎になるものはパスパ文字に由来し、おそらくラテン文字とも同系統であるとの説を唱えている。

『訓民正音』によれば最も基本的な子音字母は(k) (n) (m) (s) (ʔ)であるが、レッドヤードによればㅇ系を除く字母で最も基礎になっているものは(k) (t) (l) (p) (ts)であり、これらはパスパ文字のꡂ(k) ꡊ(t) ꡙ(l) ꡎ(p) ꡛ(s)に由来し、究極的にはチベット文字のག(ga) ད(da) ལ(la) བ(ba) ས(sa)に由来するとしている。

ここでチベット文字はブラーフミー系文字の一つで、その起源はフェニキア文字とされている(さらに遡ればヒエログリフにたどり着く)。すなわち、ハングルはフェニキア文字から派生したギリシア文字ラテン文字とも同系統であり、ㄱ ㄷ ㄹ ㅂはおそらくギリシア文字のΓ Δ Λ Β、ラテン文字のC/G D L Bと同系統であろうとしている(ㅈについては、チベット文字とラテン文字とで同系統の文字を抽出するのが困難)。

ゼロ子音を表すㅇについては、ハングルにおいて独自に発明された字母だとしている[11]。ただし、古ハングルで唇軽音を表した に現れるㅇはパスパ文字にならったもの(音価はw)としている。

以上よりハングルの子音字母は、ブラーフミー系文字(究極的にはヒエログリフ)に由来するㄱ ㄷ ㄹ ㅂ ㅈと独自に開発されたㅇの計六つの字母を基本とし、中国音韻学に基づいて他の字母をそれらの変形により派生させたものとなる。

母音字母については、朝鮮語の音韻にあわせて独自に作られたものとしている。

ハングルの呼称について

分断以前

1446年にこの文字が頒布された当時は「訓民正音」あるいは略して「正音」と呼ばれた。これは「民を訓(おし)える正しい音」の意である。しかしながら、この文字は当初から「諺文언문、オンムン)」という卑称でも呼ばれていた。「諺」とは本来俗語の意であり、中国語に対して朝鮮語を指して「諺」あるいは「諺語」と呼んだものである(文字頒布の書である『訓民正音』においてもこの用語が現れている)。従って「諺文」とは「俗語(朝鮮語)を表す文字」という意味である。この「諺文」という呼称はその後広く用いられ、日本併合時代までこの呼称が用いられた。ハングルはまた「諺書」とも呼ばれたが、これは「真書(眞書、漢文を指す)」に対する呼び方である。漢字を正統な文字とし、ハングルを卑俗の文字とするこのような呼称は、あたかも日本において漢字を「真名」、カナを「仮名」と呼んだことにも通じる考え方である。それ以外にも「アムクル(암클、女字の意)」、「アヘグル(아해글、子供字の意)」という呼び名もあったようだが、これらはこの文字の主要な使い手が女性や子供であったことに由来する。

「ハングル」という呼称が文献上に初めて現れるのは1912年のことであり、周時経に始まると言われる(異説もある)[12]。この呼称が一般にあらわれたのは、1927年にハングル社から雑誌『ハングル』が刊行されてからとされるテンプレート:要出典が、総督府は国語教育では一貫して「朝鮮語」「諺文」(おんもん)を用いている(諺文綴字法など)。「ハン」は「偉大なる」の意であり、「ハングル」は「偉大なる文字」の意といわれるが、「ハン」を「大韓帝国」の「韓(ハン)」とする説も有力である[13]

韓国

大韓民国では以前からの呼称「ハングル」を用いている。また、コンピュータ関連の用語としては「朝鮮語」の意味でしばしば用いられ、朝鮮語版ウィンドウズのことを「ハングル ウィンドウヂュ(한글 윈도우즈)」などと呼ぶことがある。

北朝鮮

朝鮮民主主義人民共和国では「チョソングルチャ」(조선글자、朝鮮文字の意)、「チョソングル」、もしくは「ウリグル」(우리글、我々の文字の意)と呼ぶ。「ハングル」という呼称は「ハン」が「韓(ハン)」に通じることを嫌ってか、一時期は辞書にすら登録されていなかったが、近年になり朝鮮語学会に対する再評価を受けて「ハングル」という単語も辞書の見出し語として掲載されるようになった。ただし、実際には「ハングル学校」など解放前・解放直後の歴史的な事柄にもっぱら用いられるようである。

日本

日本では、かつては「諺文」が日本語読みの「オンモン」と呼ばれていた。また「朝鮮文字」とも呼ばれていたが、現在はハングルと呼ぶ場合が多い。

中国

現在でも中国では「諺文」(テンプレート:繁体字 テンプレート:簡体字 テンプレート:ピン音 テンプレート:注音)と呼ばれている。

議論

ハングルを「ハングル文字」と呼ぶこともあるが、ハングルの「グル(クル)」が「文字」という意味なので、重複表現であり、適切でないとされることがある。

また、朝鮮語を「ハングル」あるいは「ハングル語」と呼ぶこともあるが、「ハングル」はあくまで文字の名称であるので、朝鮮語をこの呼称で呼ぶのは誤りだと指摘されることがある。 テンプレート:Main

字母と文字構成

ハングルの字母

ハングルは表音文字である。ひとつひとつの文字が音節を表す文字体系だが、子音と母音の字母(자모チャモ)を組み合わせて文字を構成する。このような文字体系をテンプレート:仮リンク文字#字形の規則性を参照)と呼ぶ研究者もいる。

子音字母は基本字母が14個、合成字母が5個の計19個、母音字母は基本字母が10個、合成字母が11個の計21個であり、合成字母を含めた字母の総数は40個である。それぞれの字母は以下の通りである。

なお、1446年当時と現在とでは文字の構成要素も変化している。朝鮮語の音韻に関する諸々の事柄については「朝鮮語の音韻」を参照のこと。また、ハングルの成り立ちについては「訓民正音」を参照のこと。

子音字母

字母 発音 ローマ字 名称(韓国) 名称(北朝鮮)



[k/ɡ] g 기역 giyeok 기윽 gieuk geu
[n] n 니은 nieun neu
[t/d] d 디귿 digeut 디읃 dieut deu
[r/l] r/l 리을 rieul reu
[m] m 미음 mieum meu
[p/b] b 비읍 bieup beu
[s/ɕ] s 시옷 siot 시읏 sieut seu
([ŋ]) (ng) 이응 ieung eung
[ʨ/ʥ] j 지읒 jieut jeu
[ʨʰ] ch 치읓 chieut cheu
[kʰ] k 키읔 kieuk keu
[tʰ] t 티읕 tieut teu
[pʰ] p 피읖 pieup peu
[h/ɦ] h 히읗 hieut heu



[kʼ] kk 쌍기역 ssanggiyeok 된기윽 doen-gieuk kkeu
[tʼ] tt 쌍디귿 ssangdigeut 된디읃 doendieut tteu
[pʼ] pp 쌍비읍 ssangbieup 된비읍 doenbieup ppeu
[sʼ/ɕʼ] ss 쌍시옷 ssangsiot 된시읏 doensieut sseu
[ʨʼ] jj 쌍지읒 ssangjieut 된지읒 doenjieut jjeu

ローマ字は2000年大韓民国文化観光部告示第2000-8号「国語のローマ字表記法국어의 로마자 표기법)」による。

字母「」は音節頭の位置にあるときには子音がないことを表し、音節末にあるときには鼻音[ŋ]を表す。

訓民正音創製当時には中期朝鮮語の音韻を表す子音字母として [z], [ŋ], [ʔ] があったが、現代朝鮮語の表記には用いられない。

母音字母

字母 発音 ローマ字 名称



[a] a a
[ja] ya ya
[ɔ] eo eo
[jɔ] yeo yeo
[o] o o
[jo] yo yo
[u] u u
[ju] yu yu
[ɯ] eu eu
[i] i i



[ɛ] ae ae
[jɛ] yae yae
[e] e e
[je] ye ye
[wa] wa wa
[wɛ] wae wae
[ø/we] oe oe
[wɔ] wo wo
[we] we we
[y/wi] wi wi
[ɯi] ui ui

ローマ字は2000年大韓民国文化観光部告示第2000-8号「国語のローマ字表記法국어의 로마자 표기법)」による。合成字母の配列順序は韓国の順序に従う。

訓民正音創製当時には中期朝鮮語の音韻を表す母音字母として [ʌ] があったが、現代朝鮮語の表記には用いられない。

字母の組合せ

字母(チャモ)を2つ以上組み合わせて1文字を成す。1文字の構成は子音字母 + 母音字母あるいは子音字母 + 母音字母 + 子音字母のどちらかである。音節頭の子音字母を初声、母音字母を中声、音節末に来る子音字母を終声またはパッチム받침。「支えるもの」の意)と呼ぶ。

初声と中声の組み合わせ方には3つのタイプがある。

テンプレート:Larger ga 中声が「」のときは、初声を左に、中声を右に配置する。
テンプレート:Larger go 中声が「」のときは、初声を上に、中声を下に配置する。
中2
中1
テンプレート:Larger gwa 中声が「」のときは、初声を左上に、中声を下から右にかけて配置する。

終声があるときは、これらの下に終声を置く。

中2
中1
テンプレート:Larger
gan
テンプレート:Larger
gon
テンプレート:Larger
gwan

なお、終声として用いることのできる子音字母は、 dd, bb,ㅉ jjを除いた16個である。また、朝鮮語の形態音素表記のために、終声では2つの子音字母を左右に組み合わせることがある。正書法で認められている組み合わせは、 gs, nj, nh, lg, lm, lb, ls, lt, lp, lh, bsの11種類である。 テンプレート:ハングル終声

辞書における字母の順序

韓国においては次の通りである。

初声:ㄱ ㄲ ㄴ ㄷ ㄸ ㄹ ㅁ ㅂ ㅃ ㅅ ㅆ ㅇ ㅈ ㅉ ㅊ ㅋ ㅌ ㅍ ㅎ
中声:ㅏ ㅐ ㅑ ㅒ ㅓ ㅔ ㅕ ㅖ ㅗ ㅘ ㅙ ㅚ ㅛ ㅜ ㅝ ㅞ ㅟ ㅠ ㅡ ㅢ ㅣ
終声:ㄱ ㄲ ㄳ ㄴ ㄵ ㄶ ㄷ ㄹ ㄺ ㄻ ㄼ ㄽ ㄾ ㄿ ㅀ ㅁ ㅂ ㅄ ㅅ ㅆ ㅇ ㅈ ㅊ ㅋ ㅌ ㅍ ㅎ

一方、北朝鮮においては次の通りである。

初声:ㄱ ㄴ ㄷ ㄹ ㅁ ㅂ ㅅ ㅈ ㅊ ㅋ ㅌ ㅍ ㅎ ㄲ ㄸ ㅃ ㅆ ㅉ
中声:ㅏ ㅑ ㅓ ㅕ ㅗ ㅛ ㅜ ㅠ ㅡ ㅣ ㅐ ㅒ ㅔ ㅖ ㅚ ㅟ ㅢ ㅘ ㅝ ㅙ ㅞ
終声:ㄱ ㄳ ㄴ ㄵ ㄶ ㄷ ㄹ ㄺ ㄻ ㄼ ㄽ ㄾ ㄿ ㅀ ㅁ ㅂ ㅄ ㅅ ㅇ ㅈ ㅊ ㅋ ㅌ ㅍ ㅎ ㄲ ㅆ

ハングルのローマ字表記

文化観光部2000年式マッキューン=ライシャワー式、北朝鮮1992年式などがある。 テンプレート:Main

文字コード

完成型と組合型

字母を組み合わせて作られる文字の理論上の組み合わせは11,172文字だが、実際に使用されるのはその半分以下である(1987年に韓国の国家標準となったコンピュータ用の文字セット(KS完成型、KS C 5601-1987)には日常の99%が表記できる範囲として2,350字しか含まれなかった)。なお、1994-1995年ごろまでは11,172文字全部を表現できる文字セット(組合型、johab)が圧倒的に多く使われていたが、Windows 95でKS完成型を拡張した文字セット(拡張完成型、UHC (Unified Hangul Code))を採用し、後のWindowsにも使用されたため、現在は組合型文字セットはほとんど使われていない。なお、Windows NT系ではUnicode 2.0(KS C 5700、現:KS X 1005-1)以降をサポートしている。

Unicode

Unicode にはハングルを符号化するための文字が数種類あり、標準的に使用されるものは、ハングル字母 (U+1100-11FF) とハングル音節文字 (U+AC00-D7A3) である。

ハングル字母はハングルを構成する字母で、これらを合成する事により15世紀から現代までのハングル音節文字を作成できる。U+1100-115F は初声子音、U+1160-11A2 は中声母音、U+11A8-11F9 は終声子音が定義されている。

ハングル音節文字は、2 つの字母からなる音節 399 文字、3 つの字母からなる音節 10,773 文字の合計 11,172 文字で構成されている。

この他にハングル互換字母 (U+3130-318F) があるが、KS完成型(KS C 5601-1987、現:KS X 1001:1998)との互換性のために存在する。

ハングル大移動

Unicode では、Unicode 1.1 以前と Unicode 2.0 以降ではハングルを定義する領域が異なっており互換性がない。

Unicode 1.1 までは U+3400-4DFF にハングルが定義されていたが、Unicode 2.0 制定時に、新しく U+AC00-D7AF にハングルが定義され旧領域は破棄された。その際、韓国の要求により KS C 5601-1992 の組合型文字セットに基づく現代ハングル音節文字 11,172文字 が網羅されている。なお Unicode 2.0 で破棄された領域は、Unicode 3.0 制定時にCJK統合漢字拡張 A 集合として U+3400-4DBF に定義され、Unicode 4.0 制定時に易経記号集合として U+4DC0-4DFF に定義されている。

その他

ファイル:Hangul keyboard.jpg
ハングルのキーボード

漢字復活論

テンプレート:See also 表音文字であり多数の意味に通じる(同音異義語が多い)ことから、漢字の見直しが始まっている。しかしテンプレート:誰範囲、あまり進んではいない。日本語と違い朝鮮語では音節が多様なので同音異義語が相対的に(完全に回避は出来ないが)少ないことも理由である。

北朝鮮における表記

テンプレート:Main 有声歯茎破擦音は一律平音の「テンプレート:IPA2」で表記し、有声歯茎硬口蓋破擦音は「」の後に「テンプレート:IPA2」か点が2つある母音字 テンプレート:IPA2 で表記する。日本語で言うなら北朝鮮ではザとジャを区別するが南の韓国では区別しないということである。

無声歯茎破擦音は激音の「テンプレート:IPA2」で表記し、無声歯茎硬口蓋破擦音は「」の後に「テンプレート:IPA2」か点が2つある母音字 テンプレート:IPA2 で表記する。日本語で言うなら北朝鮮ではツとチュを区別するが韓国では区別しないということである。

ハングル優越主義

テンプレート:Main ハングル優越主義に基づいたハングルの起源に対する学説が韓国国内に存在する。テンプレート:要出典テンプレート:要出典

しかし、通常、朝鮮語以外の言語は、次のようにハングル転写される(朝鮮語版ウィキペディア)。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

関連項目

テンプレート:Sister テンプレート:Sister

外部リンク

テンプレート:朝鮮

テンプレート:Link GA

  1. 李氏朝鮮を旅したイザベラ・バードは『朝鮮紀行』にて以下の記録をしている - 「朝鮮の言語は二言語が入り混じっている。知識階級は会話の中に漢語を極力まじえ、いささかでも重要な文書は漢語で記されている。とはいえそれは一〇〇〇年も昔の古い漢語であって、現在清で話されている言語とは発音がまるで異なっている。朝鮮文字である諺文(ハングル)は、教養とは漢籍からえられるもののみとする知識層から、まったく軽視されている。朝鮮語は東アジアで唯一、独自の文字を持つ言語である点が特色である。もともと諺文は女性、子供、無学な者のみに用いられていた
  2. テンプレート:Cite web
  3. テンプレート:Cite web
  4. 稲葉継雄 (1987) 「井上角五朗と『漢城旬報』『漢城周報』 : ハングル採用問題を中心に」,『文藝言語研究』言語篇,筑波大学文藝・言語学系
  5. インドネシアの少数民族、ハングルを公式文字に採択 聯合ニュース 2009/08/06
  6. 「インドネシア 文字持たぬ少数民族 ハングル採用」読売新聞2009年10月17日
  7. インドネシア政府、ハングルを公式文字として採用せず コリアンタイムズ 2010/10/07
  8. 찌아찌아족 한글 도입 2년… 그동안 어떤 일이 - 세상을 보는 눈, 글로벌 미디어 - 세계일보 - - 世界日報(朝鮮語)
  9. チアチア族へのハングル教育がピンチに - 朝鮮日報日本語版 2011/10/10
  10. 産経新聞, ソウルからヨボセヨ 「ハングル輸出」は虚報
  11. なお、フェニキア文字にはハングルのㅇに似た機能を持つ文字としてアレフ(𐤀)やアイン(𐤏)があり、それぞれラテン文字のAOの由来となっている。しかし、フェニキア文字がインドに伝わりブラーフミー文字となった段階でこれらに相当する文字は消失しており、ハングルのㅇは独自に再発明されたことになる。
  12. 1981年12月11日付 中央日報
  13. 野間秀樹『ハングルの誕生:音から文字を創る』平凡社新書、2010年、22頁