斜里町
テンプレート:Infobox 斜里町(しゃりちょう)は、北海道オホーツク総合振興局管内の斜里郡にある町。
町名の由来はアイヌ語の「シャリ」(アシがはえているところ)から。 斜里郡の中心となる町。世界遺産の知床を有し、夏季は多くの観光客が訪れる。
斜里町は斜里郡下3町の最大都市である。生活圏は原則斜里郡と網走市であるが、中標津町にも依存することがある。 農業、漁業、観光業が主要産業。知床国立公園が斜里町と羅臼町に跨って存在している事から、知床100平方メートル運動と呼ばれるナショナルトラスト運動の先進地であり自然保護活動に関して長い歴史を持つ。
地理
オホーツク総合振興局東部に位置する。東部は知床半島北部に位置し、知床国立公園の一角をなす。 北部はオホーツク海に面する。南部は山岳で斜里岳などを有する。
気候
町内の大部分がオホーツク海側に面するため、冬の寒さはそれほど厳しくはない。最寒月の2月の平均気温は-7.8℃、最暖月の8月の平均気温は19.3℃である。オホーツク海側のウトロ地区は夏季にはフェーン現象で夜になっても気温が下がらないことがあり、1999年8月1日には最低気温が27.6℃[1] という熱帯夜を記録している。
歴史
知床市問題
平成の大合併においては当初網走市主導の「網走市・女満別町(現・大空町)・東藻琴村(現・大空町)・小清水町・斜里町・清里町」の6市町村での合併を目指したのだが、網走市以外は賛成しなかった。それぞれ生活圏の違いなどから法定協議会を立ち上げることはできなかった。 その後、斜里郡下3町での協議をすることになったのだが、清里町が離脱し、任意の協議会も設立できなかった。
同時期に近隣の根室管内中標津町および羅臼町の飛び地合併の協議における「知床市」問題が起きた。中標津・羅臼両町が合併協議における新自治体名として「知床市」を候補としたのである。これは全国からの名称公募の結果による。これに危機感を抱いた斜里町も町名に関する町民アンケートを実施したが、結果は「斜里」という現状の町名維持の意見が「知床」等を含む町名変更をわずかに上回った。それを受け斜里町は名称変更を断念すると同時に両町に自治体名として知床を使わないように申し入れた。 知床が全国有数の観光地で国立公園でもあり、また知床国有林伐採問題に代表されるように以前から斜里町の町政はマスコミの注目を浴びてきた為、知床市問題の報道は地元での論調以上に過熱していった。
羅臼、中標津両町はこれを受け名称決定を延期。1か月後、合併協議会は名称を無記名投票で決めることとした。知床ブランドの魅力や中標津空港の改称問題もあり「知床市」の名称にこだわる中標津側と、斜里町への配慮から知床に冠をつけ「東知床市」とするべきとする羅臼側の意見は拮抗していたが、最終的には「東知床市」に決定した。この決定は知床の名称を独占してしまえば、長年知床を共有してきた斜里町との間に、軋轢が生じることを憂慮した羅臼側の意向を、中標津側がくんだものである
斜里町側では当時の午来昌斜里町長が「共有財産の知床の名を、一自治体名に軽々しく使うべきではない」と発言し抗議するなど、斜里町側の反発は根深く大きかった。だが羅臼町は法的拘束力のない斜里町の申し入れに対し真摯に対応を検討していた。その結果斜里町内では羅臼町の斜里町への配慮を受け入れるべきという声が聞かれるようになり、中標津側も譲歩している事実を考慮すべしという意見も聞かれるようになってきた。それを受け最終的に午来町長は町議会全員協議会において翻意し、冠のついた「東知床市」を容認した。また議会も全会一致でそれを承認した。
最終的には中標津町民の6割が住民投票で合併そのものに反対した結果、合併は破談となり知床市問題は避けられた。 合併断念の原因は地理的に距離のある飛び地合併であることなどであり、知床市問題は合併断念の直接の原因ではない。 また斜里町民の側からも斜里郡三町を念頭に置いての合併断念と知床市問題はそれぞれ異なる問題として認識されている。
平成の大合併では同じく世界遺産である白神山地近郊で白神市問題が起き、新自治体名が主因となって合併が断念された。 このような問題は白神市の他、南セントレア市、中央アルプス市等でも発生し、新自治体名が問題になって合併そのものが断念された他の例と知床市問題は混同されやすい。 しかし前出のように両町の合併は名称以外の問題が主因となって断念されており、異なる性質の問題である。知床の名称問題も合併断念以前に自治体同士の話し合いなどにより解決していたため、それが発端の感情的対立が尾を引くことにもならなかった。
経済
金融
農業・漁業
農業は、畑作が中心であり主要な作物は小麦、馬鈴薯、テンサイである。これら主要産品はそれぞれ小麦粉、デンプン、砂糖の加工原料である。これらは町内の工場で盛んに加工されている。 また食用芋、ニンジン、タマネギ、キャベツ、アスパラ等の青果も高い品質から人気である。畜産業も独自のブランド展開をするなど盛んである。
漁業は、鮭・鱒漁が盛んであり町内漁業の主軸を占める。鮭、カラフトマスの漁獲量はそれぞれ日本一である。そのほかキチジ、ホッケ、ウニ、ケガニ、ホッキ、ツブなど名産品多数。
農協・漁協
- 斜里町農業協同組合(JA斜里町)
- 斜里第一漁業協同組合
- ウトロ漁業協同組合
観光
ウトロ地区は知床への玄関口であり観光基地でもある。ウトロ温泉には大型の観光ホテルが複数あるほか民宿等も多数ある。1987年からは冬期にレーザー光線によるオーロラを表現する「オーロラファンタジー」(全体のイベント名は「知床ファンタジア」)が実施されている[2]。
斜里市街地は知床観光への交通の要所となっている。温泉付きのホテルの他複数の宿泊施設があり、峰浜地区にもスキー場に併設された温泉宿泊施設がある。
知床観光は秘境知床国立公園としてまた、映画「地の涯に生きるもの」、「男はつらいよ 知床慕情」やヒット曲「知床旅情」などの御当地として人気であり、知床ブームと言われるほど流行が過熱した時期もあった。2005年に知床 (世界遺産)として登録されると、国内外からより多くの観光客が訪れるようになった。
観光業も秘境、名所、温泉などの旧来からの観光以外に、各種観光船や流氷観光などアクティビティーや自然体験に重きを置く新しい試みがみられるようになってきた。
- 中国映画「非誠勿擾」
さらに近年海外客の主流を占める中華圏の旅行客から斜里町の観光産業に変革の兆しがもたらされている。それは「非誠勿擾」(2008年公開)という中国映画のロケ地の一つに斜里が選ばれたことに関係する。この映画は中国で記録的な大ヒットとなり、ロケ地を巡るツアーが大人気となった。この映画のファンであるツアー参加者は「知床」ではなく「斜里町」を目的地として海外旅行をしている。知床のネームバリューに隠れた斜里町の魅力を伝えることに長年地元関係者は苦慮してきたが、結果としてそれは海外の映画によって世界に伝えられた。
立地企業
- ホクレン農業協同組合連合会中斜里製糖工場
- 三井農林株式会社 斜里事務所
- ハッピーフーズ株式会社
- 株式会社丸中しれとこ食品
郵便局
- 斜里郵便局(集配局)
- 宇登呂郵便局(集配局)
- 斜里南郵便局
- 中斜里郵便局
- 朱円簡易郵便局
公共機関
警察
姉妹都市・提携都市
国内
地域
人口
住宅団地
- 道営住宅かえで西団地
教育
- 道立高等学校
- 中学校
- ウトロ中学校
- 斜里中学校
- 小学校
- 朝日小学校
- 以久科小学校
- ウトロ小学校
- 川上小学校
- 斜里小学校
- 朱円小学校
- 大栄小学校
- 峰浜小学校
交通
空港
鉄道
根北線が通っていたが現在は廃止されている。町内には以久科駅、西二線仮乗降場、下越川駅、十四号仮乗降場、十六号仮乗降場、越川駅が設置されていた。
バス
道路
道の駅
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
- しれとこ斜里ねぷた(毎年7月下旬の土日に行われる)
世界遺産・文化財
世界遺産
登録有形文化財
- 旧国鉄根北線越川橋梁
その他
- 斜里朱円周堤墓および出土遺物 - 道指定史跡、知床博物館蔵
- 朱円竪穴住居跡群 - 道指定史跡
- 斜里海岸の草原群落 - 道指定天然記念物
- オシュンコシュン粗粒玄武岩柱状節理 - 道指定天然記念物
- 旧斜里神社拝殿 - 斜里町指定有形文化財
- その他斜里町指定有形文化財6件 - 知床博物館、斜里神社、日照寺など蔵
- 津軽藩士墓所 - 斜里町指定史跡
- 津軽藩士シャリ陣屋跡 - 斜里町指定史跡
- シャリ運上屋(会所)跡 - 斜里町指定史跡
- 斜里ハリストス正教会
レジャー
- 知床観光船など各種観光船(4月 - 9月)
観光
祭り
- しれとこ斜里ねぶた
マスコミ
その他
- 男はつらいよ 知床慕情
- 銀のエンゼル 斜里町にてロケ
- 津軽藩士殉難事件
- 斜里ハリストス正教会 - 1912年(大正元年)に始まる正教会(日本正教会)の教会。
出身有名人
脚注
外部リンク
テンプレート:Navbox- ↑ 気象庁(宇登呂の観測史上1~10位の値)
- ↑ オーロラ物語 斜里町ホームページ