エアジハード
テンプレート:Infobox エアジハード(テンプレート:Lang-en、香:空中聖戰、1995年4月9日 - )とは、日本の競走馬で、現在は種牡馬である。おもな勝鞍は1999年安田記念、マイルチャンピオンシップ、1998年富士ステークス。馬名は冠名「エア」+「ジハード」。
※馬齢は同馬の現役時代に合わせて旧表記とする。
戦績
1997年12月の3歳新馬戦でデビューし、初勝利を挙げる。3歳初戦の500万下条件戦のカトレア賞に勝利した後、スプリングステークスに出走するが、スタート前にゲート内で暴れて出遅れ4着に終わり、皐月賞の優先出走権を獲得できなかった。また、ゲート内で暴れたことから発走調教再審査が行われ、なかなかこの審査に受からなかったために皐月賞だけではなく、ニュージーランドトロフィー4歳ステークスにも出走できなくなってしまった。果敢にも挑戦したNHKマイルカップも8着に敗れ、休養に入る。
復帰後、900万下条件戦、準オープン競走の奥多摩ステークスを連勝した勢いでGIII富士ステークスに出走。古馬を一蹴し重賞初制覇を果たす。レース後、調教師の伊藤正徳は「タイキシャトルの後継者になれる馬」と発言した。富士ステークスの後、脚部への負担がかかるのを避けるため[1]に休養に入った。
明けて5歳、陣営は安田記念を前半シーズンの最大目標とし、それまでに2回レースに出走させることにした。休養明け初戦の谷川岳ステークスでは早めに先頭に立ったものの手前を変ることができず、ゴール前で交わされ僅差の2着に敗れた。2走目の京王杯スプリングカップでも先行策から直線で抜け出しを図ったもののゴール前でグラスワンダーに交わされ2着に敗れた。これらの敗戦を受けて安田記念では脚質を先行から差しに転換し、グラスワンダーの後方からレースを進め[2]、グラスワンダーをハナ差交わし優勝。GI初制覇を達成した。
後半シーズンはマイルチャンピオンシップ優勝が目標に据えられた。当初は毎日王冠が初戦となる予定であったが体調が思わしくなく、ステップレースを経由せず天皇賞(秋)に出走し3着と好走した。続くマイルチャンピオンシップは1番人気に応え、レースレコード(当時)で優勝。前年のタイキシャトルに続く春秋マイルGI連覇の偉業を成し遂げた。その後香港カップ参戦のため香港に遠征するが、屈腱炎を発症しレースを回避、そのまま引退となった。この年の活躍が評価され、1999年度のJRA賞で最優秀短距離馬、最優秀父内国産馬に選出された。
競走成績
年月日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | オッズ | 着順 | 距離 | タイム(上3F) | 着差 | 騎手 | 勝ち馬/(2着馬) | ||
1997 | 12. | 7 | 中山 | 3歳新馬 | 1.8(1人) | テンプレート:Color | 芝1200m(良) | 1:10.8(35.6) | 3 1/2馬身 | 武豊 | (ファーディーン) | |
1998 | 2. | 1 | 東京 | カトレア賞 | 5.8(3人) | テンプレート:Color | ダ1200m(良) | 1:13.6(36.8) | 1 1/2馬身 | 武豊 | (アイアムアブラザー) | |
3. | 22 | 中山 | スプリングS | テンプレート:Color | 4.0(2人) | 4着 | 芝1800m(良) | 1:49.8(36.9) | -0.2秒 | 武豊 | クリールサイクロン | |
5. | 17 | 東京 | NHKマイルC | テンプレート:Color | 60.5(10人) | 8着 | 芝1600m(良) | 1:34.5(35.2) | -0.8秒 | 橋本広喜 | エルコンドルパサー | |
10. | 18 | 東京 | 4歳上900万下 | 2.9(1人) | テンプレート:Color | 芝1600m(重) | 1:36.4(36.0) | 1 1/2馬身 | 橋本広喜 | (コンキスタクラウン) | ||
11. | 14 | 東京 | 奥多摩S | 3.7(2人) | テンプレート:Color | 芝1400m(良) | 1:22.2(35.3) | クビ | 橋本広喜 | (ワカサバロン) | ||
11. | 28 | 東京 | 富士S | テンプレート:Color | 6.2(4人) | テンプレート:Color | 芝1400m(良) | 1:23.0(35.2) | クビ | 橋本広喜 | (プレストシンボリ) | |
1999 | 4. | 25 | 新潟 | 谷川岳S | OP | 2.2(1人) | 2着 | 芝1600m(良) | 1:32.5(34.7) | 0.0秒 | 橋本広喜 | ナリタプロテクター |
5. | 15 | 東京 | 京王杯SC | テンプレート:Color | 8.8(4人) | 2着 | 芝1400m(良) | 1:20.6(34.0) | -0.1秒 | 蛯名正義 | グラスワンダー | |
6. | 13 | 東京 | 安田記念 | テンプレート:Color | 17.7(4人) | テンプレート:Color | 芝1600m(良) | 1:33.3(35.1) | ハナ | 蛯名正義 | (グラスワンダー) | |
10. | 31 | 東京 | 天皇賞(秋) | テンプレート:Color | 8.3(5人) | 3着 | 芝2000m(良) | 1:58.2(35.1) | -0.2秒 | 蛯名正義 | スペシャルウィーク | |
11. | 21 | 京都 | マイルCS | テンプレート:Color | 2.2(1人) | テンプレート:Color | 芝1600m(良) | 1:32.8(34.4) | 1 1/2馬身 | 蛯名正義 | (キングヘイロー) |
種牡馬として
2000年に社台スタリオンステーションで種牡馬入りした。2003年にブリーダーズスタリオンステーションに移動、2005年からはレックススタッドで繋養されていた。産駒デビュー5年目の2007年に、初年度産駒のアグネスラズベリが函館スプリントステークスを制して、産駒の重賞初勝利を挙げた。同年の種付けシーズン後の10月31日に再びブリーダーズスタリオンステーションに移動した。2010年にはショウワモダンが安田記念を制して同レースの父仔制覇を果たすとともに産駒のG1初勝利となった。2012年からは北海道十勝の中川郁夫牧場で種牡馬生活を送ることになった。
主な産駒
- ショウワモダン(安田記念、ダービー卿チャレンジトロフィー)
- アグネスラズベリ(函館スプリントステークス)
- ナナヨーヒマワリ(マーチステークス)
- ドリームチャッター(華月賞、ひまわり賞、ビューチフル・ドリーマーカップ)
- ユキノアラシ(兵庫ダービー、菊水賞)
血統表
エアジハードの血統(テスコボーイ系/Nasrullah4×5×5=12.5%) | |||
父 サクラユタカオー 1982 栗毛 北海道静内町 |
*テスコボーイ Tesco Boy 1963 黒鹿毛 イギリス |
Princely Gift | Nasrullah |
Blue Gem | |||
Suncourt | Hyperion | ||
Inquisition | |||
アンジェリカ 1970 黒鹿毛 北海道静内町 |
*ネヴァービート Never Beat |
Never Say Die | |
Bride Elect | |||
スターハイネス | *ユアハイネス | ||
スターロツチ | |||
母 アイシーゴーグル 1987 栗毛 北海道千歳市 |
*ロイヤルスキー Royal Ski 1974 栗毛 アメリカ |
Raja Baba | Bold Ruler |
Missy Baba | |||
Coz o'Nijinsky | Involvement | ||
Gleam | |||
シャダイアイバー 1979 鹿毛 北海道早来町 |
*ノーザンテースト Northern Taste |
Northern Dancer | |
Lady Victoria | |||
*サワーオレンジ Sour Orange |
Delta Judge | ||
Lady Attica F-No.8-g |
主な近親
- シャダイアイバー - 優駿牝馬(オークス)
- ペインテドブラック - ステイヤーズステークス、青葉賞
- ブラウンアイボリー - 中央6勝
- ガレオン - NHK杯2着
脚注
参考文献
- 田中直成「記憶の中の名馬 エアジハード」『週刊Gallop』2007年11月25日号 - 12月2日号、産業経済新聞社