1980年の日本シリーズ
テンプレート:Infobox プロ野球日本シリーズ 1980年の日本シリーズ(1980ねんのにっぽんシリーズ、1980ねんのにほんシリーズ)は、1980年10月25日から11月2日まで行われたセ・リーグ優勝チームの広島東洋カープとパ・リーグ優勝チームの近鉄バファローズによる日本プロ野球の日本選手権シリーズである。
目次
戦評
西本幸雄監督率いる近鉄バファローズと古葉竹識監督率いる広島東洋カープの2年連続の対決となった1980年の日本シリーズは、広島が4勝3敗で勝利し、2年連続2度目の日本一(2014年現在、セリーグ球団の日本シリーズ連覇は1981年以降達成されていない)。前年も第7戦までもつれ込み、「江夏の21球」に屈した近鉄は雪辱に燃えていた。前年同様連勝でスタートしたが、地元で連敗。しかし、第5戦にエース鈴木啓示の力投で王手をかける(西本監督は8度目の出場にして初の王手、第6戦終了時を除く)。悲願の初制覇目前と思われたが、広島の底力に屈した。広島は前年も活躍した山根和夫を中心投手として据え、第4戦は完封、第7戦でも味方の逆転を呼んで2勝。シリーズ男と言われた。
なお、前年と同様の理由で近鉄主催試合は大阪球場で開かれた。これが大阪球場における最後の日本シリーズの開催となった。
試合結果
第1戦
10月25日 広島 入場者29037人
近鉄 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 6 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
広島 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 |
(近)井本、○柳田(1勝)-梨田
(広)山根、大野、福士、●江夏(1敗)、安仁屋-水沼
本塁打
(近)羽田1号2ラン(12回江夏)
(広)ライトル1号2ラン(1回井本)、ライトル2号ソロ(6回井本)
[審判]セ谷村(球)パ斎田 セ山本 パ藤本(塁)セ岡田功 パ岡田豊(外)
初回、ジム・ライトルの2ランで広島が先制するが、近鉄は4回、投手の井本隆の安打を口火に小川亨、佐々木恭介、羽田耕一の適時打で3点を挙げ逆転。広島は6回、ライトルの2本目の本塁打で同点に追いつき、8回には2死1、2塁から水谷実雄が勝ち越しのタイムリー二塁打。広島のマウンドには8回から江夏豊が登っており、勝負あったかに見えたが、9回四球とヒットで無死1、3塁とし、途中出場の吹石徳一の犠飛によって同点に追いつかれてしまう。試合は延長戦に入ったが、江夏は続投。シーズン中1度もなかった4イニング目となる11回も三者三振の力投を見せていたが、5イニング目となる12回、小川に二塁打を打たれ、2死を取ったものの羽田にレフトスタンドに運ばれてしまう。古葉監督はそれでもなお江夏に続投させたが、クリス・アーノルド、梨田昌孝に連打され、ついに力尽き降板。9回からリリーフし、ここまでパーフェクトに抑えていた柳田豊が12回裏も三者凡退にしとめ、近鉄が先勝した。
第2戦
10月26日 広島 入場者29668人
近鉄 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 5 | 0 | 1 | 0 | 9 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
広島 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
(近)○鈴木啓(1勝)-有田
(広)●池谷(1敗)、渡辺秀、大野、北別府-水沼
本塁打
(近)吹石1号3ラン(5回池谷)、マニエル1号3ラン(6回池谷)
[審判]パ岡田豊(球)セ岡田功 パ斎田 セ山本(塁)パ前川 セ松橋(外)
3回池谷公二郎のタイムリー二塁打、4回マイク・デュプリーのタイムリーヒットで第1戦に続き広島が2点を先制したが、近鉄は5回、2死から吹石が逆転3ラン。6回にも平野、小川に連打を許した後チャーリー・マニエルが3ランを放ち、リードを広げた。続く栗橋茂に四球を与えたところで池谷はKO。渡辺秀武に交代したが、古葉監督が「交代が遅すぎた」と悔やんだとおり、もはや近鉄打線の勢いを止めることはできなかった。1死を取ったものの羽田、石渡茂、吹石に3連打を浴び、さらに2点の追加を許した。近鉄の先発・鈴木啓示は3回、4回以外は全く危なげなく、完投勝利。昨年に続いて近鉄が最初の2戦を連勝した。
第3戦
10月28日 大阪 入場者17371人
広島 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 1 | 4 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
近鉄 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 3 |
(広)福士、○江夏(1勝1敗)-水沼
(近)村田、柳田、●井本(1敗)-梨田
本塁打
(広)水谷1号ソロ(5回村田)、山本浩1号2ラン(6回柳田)
[審判]セ松橋(球)パ前川 セ岡田功 パ斎田(塁)セ谷村 パ藤本(外)
大阪球場に舞台を移しての第3戦。近鉄が1死満塁から小川の2点タイムリーで先制するが、広島は5回水谷、6回山本浩二とホームラン攻勢で逆転。近鉄は8回、広島の先発・福士敬章を攻め、無死2、3塁のチャンス。ここで広島は江夏を投入。マニエルのショートゴロの間に1点に食い止めた。9回、デュプリーがショート吹石のエラーで出塁した後、水沼四郎が右中間へ二塁打。1塁走者のデュプリーは一気にホームを狙った。暴走気味に見えたが、中継に入ったアーノルドの返球がショートバウンドになり、これを梨田が弾いてしまった。9回に挙げた勝ち越し点を、今度は江夏が危なげなく守り切った。
第4戦
10月29日 大阪 入場者21254人
広島 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
近鉄 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
(広)○山根(1勝)-水沼
(近)●井本(2敗)-梨田
本塁打
(広)ライトル3号2ラン(1回井本)
[審判]パ藤本(球)セ谷村 パ前川 セ岡田功(塁)パ岡田豊 セ山本文(外)
初回ライトルの本塁打で挙げた2点を守り切り、山根和夫がわずか被安打2、8奪三振の完封勝利。近鉄の井本もライトルの一発以外はほぼ完璧に抑えたが、0点では勝てなかった。広島が2勝2敗のタイに。
第5戦
10月30日 大阪 入場者22287人
広島 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
近鉄 | 1 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | X | 6 |
(広)●池谷(2敗)、大野、渡辺秀、北別府-水沼
(近)○鈴木啓(2勝)-有田
本塁打
(広)水谷2号ソロ(2回鈴木啓)
[審判]セ山本文(球)パ岡田豊 セ谷村 パ前川(塁)セ松橋 パ斎田(外)
小川が1回、2回と連続タイムリー二塁打で計3点。さらに佐々木もタイムリーヒットを放ち、7回にも佐々木、有田修三のタイムリーで6-2と突き放した。鈴木が2試合連続完投勝利。4回、ライトルの打球が左太ももを直撃したが、気力を振り絞ってこのあとわずか1安打に抑えた。昨年と逆に、近鉄が先に日本一に王手をかけた。
第6戦
11月1日 広島 入場者29297人
近鉄 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
広島 | 4 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | X | 6 |
(近)●村田(1敗)、久保、太田、橘-梨田
(広)○福士(1勝)-水沼
本塁打
(近)栗橋1号ソロ(9回福士)
(広)水谷3号満塁(1回村田)、山本浩2号ソロ(5回太田幸)
[審判]パ斎田(球)セ松橋 パ岡田豊 セ谷村(塁)パ藤本 セ岡田功(外)
初回、水谷の満塁本塁打で広島が一気に試合の流れを引き寄せた。5回には山本浩のホームランでさらにリードを広げた。福士は9回1死まで無失点。ここから近鉄は代打・栗橋の本塁打、やはり代打アーノルドのタイムリーで2点を返す意地を見せたものの反撃もここまで。3勝3敗のタイとなり、2年連続で最終戦にもつれ込むこととなった。
第7戦
11月2日 広島 入場者29952人
近鉄 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 3 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
広島 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 2 | 2 | 2 | X | 8 |
(近)井本、●鈴木啓(2勝1敗)、柳田、村田-梨田、有田
(広)○山根(2勝)、S江夏(1勝1敗1S)-水沼
本塁打
(広)衣笠1号2ラン(7回柳田)
[審判]セ岡田和(球)パ藤本 セ松橋 パ岡田哲(塁)セ山本文 パ前川(外)
6回表、0-2で負けていた近鉄が猛反撃。小川、石渡の適時打で3点を挙げ逆転。しかし広島も6回裏、集中打で2点を挙げ、再逆転。7回から、昨年に引き続き広島最後のマウンドを任せられる江夏に交代。広島は7回8回も2点ずつ挙げ、8-3とし、勝負を決した。昨年のシリーズでは追い詰められた9回も、この年は走者こそ許したものの危なげなく、最後の石山一秀を三塁手への併殺打にしとめ、ゲームセット。広島が2年連続の日本一となった。
日本シリーズ敗戦の翌週、近鉄は未消化となっていた前期の残り3試合をロッテ、南海、阪急相手に行った。
この第7戦の試合で球審を岡田功が勤めたが岡田は1964年の日本シリーズでも第7戦で球審を務めているため日本シリーズ第7戦で2回球審を務めた審判セ・リーグでは第1号である。 (パ・リーグでは二出川延明)が先に達成している。
表彰選手
- 最高殊勲選手賞:ジム・ライトル (広)
※なお、本来MVP受賞者にはトヨタ自動車協賛の乗用車が贈られるが、カープの資本関係上マツダ協賛のものが贈呈された。
テレビ・ラジオ中継
テレビ中継
- 第1戦:10月25日
- 第2戦:10月26日
- 第3戦:10月28日
- 第4戦:10月29日
- 第5戦:10月30日
- 朝日放送≪ANN系列≫ 実況:太田元治 解説:皆川睦雄 ゲスト解説:山内一弘
- 第6戦:11月1日
- 第7戦:11月2日
ラジオ中継
- 第1戦:10月25日
- 第2戦:10月26日
- 第3戦:10月28日
- NHKラジオ第1 解説:藤田元司、上田利治
- TBSラジオ(JRN・テンプレート:Smaller) 解説:米田哲也 ゲスト解説:山田久志
- 文化放送・ラジオ大阪 解説:豊田泰光、辻佳紀
- ニッポン放送(NRN・テンプレート:Smaller) 解説:皆川睦雄 ゲスト解説:福本豊(阪急)
- ラジオ関東 解説:国松彰、笠原和夫
- 第4戦:10月29日
- NHKラジオ第1 解説:鶴岡一人、川上哲治
- TBSラジオ(JRN・テンプレート:Smaller) 解説:杉浦忠 ゲスト解説:山田久志
- 文化放送(NRN・テンプレート:Smaller) 解説:小山正明 ゲスト解説:福本豊
- ニッポン放送 実況:枇杷阪明 解説:金田正一
- ラジオ大阪 解説:豊田泰光、辻佳紀
- ラジオ関東 解説:国松彰、黒江透修
- 第5戦:10月30日
- NHKラジオ第1 解説:藤田元司、上田利治
- TBSラジオ(JRN・テンプレート:Smaller) 解説:米田哲也 ゲスト解説:山田久志
- 文化放送・ラジオ大阪 解説:別所毅彦、辻佳紀
- ニッポン放送(NRN・テンプレート:Smaller) 解説:皆川睦雄 ゲスト解説:福本豊
- ラジオ関東 解説:笠原和夫、黒江透修
- 第6戦:11月1日
- NHKラジオ第1 解説:加藤進、川上哲治
- TBSラジオ(JRN・テンプレート:Smaller) 解説:金山次郎 ゲスト解説:野村克也
- 文化放送(NRN・テンプレート:Smaller) 解説:長谷川良平、豊田泰光
- ニッポン放送・ラジオ大阪 実況:宮田統樹 解説:関根潤三 ゲスト解説:山田久志、若松勉
- ラジオ関西ほか 解説:有本義明
- 第7戦:11月2日
- NHKラジオ第1 解説:加藤進、鶴岡一人
- TBSラジオ(JRN) 解説:長谷川良平 ゲスト解説:野村克也
- 毎日放送ほか(NRN・テンプレート:Smaller) 解説:金山次郎
- 文化放送・ラジオ大阪 解説:別所毅彦、豊田泰光
- ニッポン放送 実況:深澤弘 解説:金田正一
- ラジオ関西ほか 解説:有本義明