ユーロファイター タイフーン

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テンプレート:Infobox 航空機 ユーロファイター タイフーン(Eurofighter Typhoon)は、NATO加盟国のうちイギリスドイツ(計画開始当時西ドイツ)、イタリアスペイン、の4ヶ国が共同開発した戦闘機で、デルタ翼コックピット前方にカナード(前翼)を備え、カナードデルタ(canard-delta)と呼ばれる形式の機体構成をもつマルチロール機

開発経緯

背景

1970年代アメリカ合衆国ヨーロッパの各国空軍ソビエト連邦の新型戦闘機の登場に直面し、自国の戦闘機が陳腐化し始めたという認識が生まれた。1977年までにフランスSEPECAT ジャギュアの代替、西ドイツF-104の代替、イギリスはジャギュアとホーカー・シドレー ハリアーの代替を検討していた[1]

イギリス空軍はジャギュアやハリアーより多くの搭載量を持ち、低コストで対空戦闘能力に秀でていて、かつ、ハリアーのように短距離で離陸が可能な戦闘機を望み、AST(Air Staff Target)396を発行した。しかし、あまりに多くの性能を1つの航空機に要求しすぎていると分析されたため、計画は見直された。1972年に対空戦闘能力に絞った戦闘機として仕様書AST 403を発行し、ブリティッシュ・エアロスペースでP.106Bが設計された。西ドイツのメッサーシュミット・ベルコウ・ブローム西ドイツ空軍(当時)から出されたTKF-90(Taktisches Kampfflugzeug 1990)の条件に合う制空戦闘機の開発を行っていた[1]

それぞれ独自の開発が進んでいた状況であったが、1979年にイギリスと西ドイツの間で共同開発の協定が結ばれた。引き続きイギリス側はブリティッシュ・エアロスペース、ドイツ側はメッサーシュミット・ベルコウ・ブロームが設計を担当した。この計画は当初ECF(European Collaborative Fighter)と名付けられ、後にECA(European Combat Aircraft)とプログラム名は変更された[2]。両国とも冷戦の軍事支出による予算の制約があったことから、他国の参加が求められ、フランスとの協議によりダッソーを基幹に参加が決まった[1]

フランスは開発費用の拠出に消極的であったことが1980年の政府間協議において問題化した。西ドイツのTKF-90やイギリスのP.106Bは1981年までに開発が中止された。ブリティッシュ・エアロスペースは独自に輸出向けとしてP.106Bを基にP.110を設計したが、顧客は現れなかった。しかし、TKF-90とP.110のコンセプトを取り入れたパナヴィア トーネードモックアップ1982年ファーンボロー国際航空ショーにおいて公開された。その後、フランスが後のダッソー ラファールとなるACX(Avion de Combat Experimenatal)の開発を開始したため、イギリスはEAP(Experimental Aircraft Program)の開発を開始し、EAPの開発費援助を受けるため1983年5月にイタリアのアエリタリアと契約した[1]

共同開発計画

1983年イギリスフランス西ドイツイタリアに加えてスペインの5ヶ国でEAPを基にした設計に合意がなされ、詳細の協議が始まった。しかし、イギリスとスペインがマルチロール機を希望していたのに対し、西ドイツとイタリアは制空戦闘機を希望していた。これらの設計にはSTOL性能や視界外射程(BVR)戦闘能力も含まれ、F/EFA(Future European Fighter Aircraft)と称した。1985年8月の会議で議論は行き詰まり、F/EFAとは別にイギリス、ドイツ、イタリアの3ヶ国で新たなEFA(European Fighter Aircraft)プログラムが立ち上げられた[2]

1986年6月にスペインがEFAへ参加し、イギリスと西ドイツにそれぞれ33%、イタリア21%、スペイン13%の作業分担が合意された[2]。生産は1992年開始を目指した。計画は1987年9月に正式な仕様が発行された。フランスは艦上機としての能力を備えることとパワープラントに自国産のSNECMA M88を採用することを最後まで妥協せず、1985年7月に共同開発計画から脱退した[1]

1986年に計画を管理するユーロファイター社とパワープラントのEJ200の開発を管理するユーロジェット・ターボ社が設立され、EAPの成果を認めたユーロファイター社は1987年以降の試験に資金を提供する事を決定した。運用開始時期は当初計画の1990年代前半から1997年に延びたものの開発はこのまま順調に進むと思われた。

東西統一で、東ドイツ地域のインフラ整備に多額の資金が必要となった事により、1992年ドイツが開発コスト問題から計画の脱退を示唆、この動きに対し、複数の代替案が検討されたが、代替案のすべてが今まで以上のコストがかかるか、仮想敵機であるMiG-29Su-27に能力面で劣るものばかりであった。同年年末に開発参加国の国防相会議が開催され従来の計画を維持することを確認した。方針維持の要因として、これまでに投入された資金が無駄になる事や外国製戦闘機の導入を行っても大幅なコストの削減ができない、参加国の航空機産業からの圧力などがあった。

ファイル:Eurofighter 9803 5.jpg
ドイツ空軍のEF-2000(複座型)

計画の推進が確認された後に、政治的な理由から想定運用開始時期を遅らせ2000年からの運用としたため、機体名称の変更が行われた。名称はEFAからEF(Eurofighter)-2000に変更され、1998年には輸出市場向け名称として名付けられたタイフーン(Typhoon)が愛称となっている。ただしこの愛称は第二次世界大戦においてドイツ攻撃に活躍した戦闘爆撃機ホーカー タイフーンを想起させることからドイツとイタリアでは採用されておらず、単にユーロファイターと呼ばれている。なおBAEシステムズの日本語公式サイトではユーロファイター・タイフーンと表記されている。

メーカーと名称[1]
テンプレート:Flagicon イギリス BAe(33%)
後継:BAEシステムズ
単座型:タイフーン F.2(ブロック2/2B)/FGR.4(ブロック5以降)
複座型:タイフーン T.1(ブロック1/2/2B)/T.3(ブロック5以降)
テンプレート:Flagicon ドイツ MBB(33%)
後継:EADS-ドイツ
ユーロファイター EF-2000
テンプレート:Flagicon イタリア アエリタリア(21%)
後継:アレーニア
EF-2000
テンプレート:Flagicon スペイン CASA(13%) 単座型:C.16
複座型:CE.16

イタリアとドイツの単座型と複座型は機体毎のナンバーで識別している。2002年夏から量産開始。アフターバーナーなしで超音速飛行を可能としており、機体構成などが他の4.5世代型ヨーロッパ戦闘機と共通する点が多い。

生産

開発国向けの量産機数合計620機は3段階に分けて生産され、各段階に向けたスパイラル方式での近代化が行なわれる。それぞれの段階はトランシェ(Tranche:フランス語で"区分"の意)と呼ばれ、1から3までの各トランシェ内でもその初期型から後期型までの仕様の違いに応じてブロック数で表される。トランシェは発注段階の区分であり、仕様の違いではない[3]

従ってトランシェ数のみによって機体の能力を決め付けるのは必ずしも妥当ではない。また、ブロックについても改修をすることにより、その後のブロックと同等の能力を得ることが可能で、例としてイギリス空軍が取得したトランシェ1 ブロック2/2Bは、その後の改修により、ブロック5と同様の能力を付与され攻撃、偵察も可能な多目的機となっている[3]


現在、以下のブロックが生産されている。

  • トランシェ1:ブロック1、ブロック2、ブロック2B、ブロック5、ブロック5A[4]
  • トランシェ2:ブロック8、ブロック8A ブロック8B ブロック10、ブロック15 ブロック20[4][5]

また、2009年7月31日には共同開発4ヶ国でトランシェ3の生産が締結されたとされる[5]

  • トランシェ3A[6]

関連報道

2004年5月24日付けのロンドン・イブニング・スタンダードに飛行制限問題が掲載され、コンピューター及びディスプレイの問題で悪天候時の高機動運動が危険であると報じられた。

2008年8月20日付けイギリス経済紙フィナンシャル・タイムズは、「イギリス国防省が発注したユーロファイターの一部が財政難で購入が難しい、しかしキャンセルすると膨大な違約金が発生するため、日本を始め、サウジアラビアインドなど数ヶ国に購入を打診している」と報じた。しかし、BAEシステムズは2008年国際航空宇宙展で「(日本とは)ライセンス生産を前提とした提案活動を行っており、同紙の報道は誤りである」と強調した。また、この時、ブラックボックスも設けないことを明らかにしている。さらに会場で配られた資料によれば、三菱重工業三菱電機IHIとライセンス生産に向けた話し合いが行われていると明記されている。

2011年10月10日付の産経新聞において、技術開示や、日本国内でのライセンス生産の容認、日本国産兵装の搭載が可能であるなど、日本に最も好条件であり、防衛産業維持、リスク分散の面からもユーロファイターを選定するべきという趣旨の記事が掲載された。

特徴

電子機器

ファイル:ILA Berlin 2012 PD 193-2.JPG
キャプターEを搭載したデモンストレーター機

レーダー

テンプレート:Main トランシェ1・2が搭載するレーダーのCAPTOR(キャプター)は、ユーロレーダー社製の多モードパルスドップラーレーダー(メカニカルスキャン方式)[3]アンテナ直径約70cm[3]。チャンネル数:3チャンネル[7]戦闘機レベルの大きさの目標については約160km、大型目標では約320kmの探知能力があり、同時に20個の目標の追跡ができるという[5][8]

トランシェ3では、フロントエンドを改良したアクティブフェーズドアレイレーダー方式のキャプターEが搭載される予定であるが、導入国間に意見の相違がある為、当初計画の約45%に当るトランシェ3Aにおける搭載は見送られる見通し[6]。キャプターEは2007年5月より飛行試験を開始しており、探索距離など、巡航ミサイルのような小型目標やステルス性のある目標を探知する能力に資する性能向上を目指すといわれる[7]

なお、CAPTORは旧称をECR90、キャプターEは別名をCAESAR(カエサルシーザー)と言い[7][4]2015年に実用化される予定[9]。また、代替レーダーとしてテンプレート:仮リンク(Airborne Multirole Solid State Active Array Radar:機上多モードソリッドステート・アクティブレーダー)を開発中とされる。

DASS

防御支援サブシステム(DASS; Defensive Aids Subsystem)は以下の各機器により構成される。[4]

各種システムを統合化する防御支援コンピュータ(DAC)は、機体の全周をカバーする各センサーにより探知した脅威の内容を判断し、自動的に最も適切な方法で対処するようになっている[4]

タイフーンの自己防御システムは、キャノピー下の両側と主翼後縁付け根のレーザー警戒装置、主翼前縁付け根と垂直安定板内のミサイル接近警報装置、主翼両端の筒の中にECM装置とESM装置を備え、イギリス向けの機体は右側筒の標準のECM装置を外して曵航式デコイ2基を内蔵するECM装置に変更している。

PIRATE(赤外線捜索追跡装置)

PIRATE(IRST)は、探知走査中にも追跡機能を持つ。さらに空中と地表上の両目標への対処能力を有し、航法用にも前方監視赤外線画像を利用でき[4]、情報は操縦席ヘッドアップディスプレイ多機能表示装置ヘルメット装着式表示装置などの、いずれにも表示させる事ができる[10]。ユーロファーストが開発したこの装置は、戦闘機サイズの目標が発する赤外線を145kmの距離で探知でき、複数目標の同時処理も可能[11]

MIDSデータ・リンク端末

テンプレート:Main ユーロファイター タイフーンは、多機能情報伝達システム(MIDS)のMIDS-LVT(1)端末を搭載しており、北大西洋条約機構の新しい標準的戦術データ・リンクであるリンク 16(TADIL J)のネットワークに参加することができる。リンク 16は、海軍用のリンク 11空軍用のリンク 4を統合する新しい規格であり、航空自衛隊アメリカ軍の作戦機、早期警戒管制機、地上レーダーサイトに加えて、イージス艦航空母艦パトリオット地対空ミサイル部隊など他軍種の部隊との情報共有をも実現するもので、その情報を元に効率的な統合作戦行動を可能とする[5][12]。データリンク情報はコックピット内にある3基のMHDD(多機能ヘッドダウンディスプレイ)に表示される[5]

一部のメディアではタイフーンが欧州製であるため、アメリカ軍との共同作戦が難しいといった報道があるが、アメリカ軍との連携に問題は発生していない[5]

VTAS

VTASとは、HOTAS概念が導入された、各種スイッチ類が付いたスロットルレバーと操縦桿、そしてDVIと呼ばれる直接音声入力装置によって構成され、パイロットの作業効率を上げる為の装置である[4]

DVIは音声で以下のシステムの操作を行える[4]

HMSS(ヘルメット装着式シンボリックシステム)

JHMCSに該当するもので、ヘルメット自体に多くのセンサーが付けられ、パイロットは機体の各種センサー、電子機器類が取得した情報を融合してラスタースキャン型バイザーに投影して見ることが可能で[13]、オフボアサイト照準能力の他、夜間飛行の際にPIRATEの映像を映し出せる。両脇には夜間飛行用の暗視スコープを搭載可能。炭素繊維複合材が使用されており重量が2kg以下と軽く、パイロットへの負担が少ない。2010年7月より、各国空軍に納入され始めた[10]。ストライカーの別名でも呼ばれる。

2014年7月18日、ストライカーIIが公開された。ストライカーIIでは暗視装置を内蔵し、別途装着していた暗視スコープを不要とすることでパイロットの首への負担を軽減している[14][15]。ストライカーIIには開発が中止されたF-35の代替ヘルメットの技術が生かされているとされる[16]

飛行操縦システム関連

  • ケアフリーハンドリング機能
パイロットがどのような操作を行っても飛行状態が異常にならないように自動的に操縦システムが制御するもので、失速、オーバーG、スピン、デバーチャーなどを防ぐ効果がある[4]
  • 混乱時回復機能
自機の飛行状態を把握できない混乱(空間識失調など)に陥った場合でも、ボタン一つで自動的に300ノットの速度を維持したまま機体姿勢を水平に保ち、安定させるなどパイロットの安全をサポートする[4]

機体

クロースカップルド・デルタ翼はデジタル・コンピュータに常時制御されていて、操縦者の命令に従い安全な飛行姿勢が維持できる範囲内で最適化され、超音速飛行時だけでなく低速時でも安定性が確保される。

操縦者は耐Gスーツと加圧呼吸装置で長時間9Gに耐えられる。これにより急激な速度変化や旋回が可能となった。人体と機体が耐えられる限界は9Gである。なお、従来機ではこの荷重に数秒しか耐えられない。

F-22同様、アフターバーナーを使用しなくても超音速飛行が可能なスーパークルーズ性能を備える。空虚重量でマッハ1.5、全備重量でマッハ1.3を発揮できる。 テンプレート:-

ステルス性能

前方からのRCS低減のみに配慮されたと言われる機体は、電波吸収材の多用により、トーネードに比べレーダー反射断面積(RCS)が4分の1以下に減少した[3]。BAESの評価では正面からのRCSの値は最新型F/A-18E/Fラファールよりも小さく、ステルス機に次ぐという評価もある[17]。最近の報道では機体のRCSは一般的な中小型戦闘機の20%、もしくはそれを下回る数値である1m²以下だと推定されている[5]。また、2010年時点の情報によれば、0.05-0.1m²とも言われている[18]

能力

ファイル:BVR combat rating against Upgraded Su-27 Flanker (Core).PNG
Su-27を相手にした空中格闘戦での想定勝率グラフ[注 1]
性能向上型のSu-27Su-27Mに相当)と空戦時の勝利確率をそれぞれの機体の能力から求めたもの。開発主体であるBAEシステムズ社によるデータ[3][19]

BAEシステムズ社のマーケティング資料では、本機がアメリカ製の最新戦闘機F-22には空戦能力の点では劣ると認めた上で、F-22とF-35の両機それぞれの得意分野である空中戦闘能力と対地攻撃能力の両方を1機種でカバーできる、フォース・ミックスの観点でも優れた戦闘機として各国軍への宣伝を行なっている。また、タイフーンは、対空対地両方の装備をした上で作戦中に、敵航空戦力の迎撃を受けた場合でもその状態のまま反撃を行うことが可能としている。これは、航空作戦時に敵の航空機による攻撃を受けた場合には、爆装を放棄し自機の迎撃を行うしかない既存機よりも大きなメリットであるとしている(これをBAEシステムズ社では、マルチロールと区別する意味でスイングロールと呼んでいる)[20]

低翼機であるが、空気取込口が胴体下にあることもあって主翼下のグランドクリアランスが広く、また、翼端を除いて13ものハードポイントがあり、7.5トンの兵装搭載容量を持つため、攻撃機としての能力が高い。トランシェ1ブロック5からはPIRATE(受動式赤外線探知装置)を装備し、胴体下にイスラエルのラファエル社製、ライトニングIII目標指示ポッドを搭載できる。

制空

小型の機体に出力の大きなエンジンを備え、高速での格闘戦闘でも有利な性能を備える[3]。制空仕様の場合には中/長距離空対空ミサイルを6発、短距離空対空ミサイルを2発、外部燃料タンク3つを同時に搭載できる[3]

機動性

また、空対空ミサイルを6発装備した状態で超音速巡航飛行が可能[3]とされ、空対空装備時にマッハ0.9からマッハ1.5へアフターバーナーを使用し加速する場合、所要時間はF-35の2/3で済み、マッハ1.5における維持旋回率はF-35の二倍とされる[5]。空対空装備時における推力重量比は1.13[5]

イングランド北西部において2005年に行われた共同訓練中に、タイフーン複座機に2機のF-15Eが襲いかかったものの、ドッグファイトでタイフーンに撃退されたという説がある[5]

イギリス防衛評価研究所(DERA)の試算をもとに、改良型Su-27Su-27M相当)と撃墜/被撃墜を比較するとタイフーンは3から4.5対1の割合で有利である[21]

対地

トランシェ1ブロック5よりレーザー誘導爆弾の運用能力が付加され、トランシェ2ブロック15から巡航ミサイルや対装甲ミサイル、超音速で爆撃可能な各種爆弾の運用を可能にする計画がある[4]

対水上

トランシェ2以降はハープーンなどの対艦ミサイルを最大6発搭載し、艦船に対する攻撃能力を有する[11]。この場合でも、対艦ミサイルの他に外部燃料タンクと6発の空対空ミサイルを同時に積載できる[11]ため、海上脅威に対する任務遂行中に航空脅威に遭遇しても十分対応できる能力を持つ。

相互運用性(インターオペラビリティ)

イギリス空軍のユーロファイター タイフーンFGR4は、2008年5-6月にネバダ州ネリス空軍基地で行われた共同演習「グリーンフラッグウエスト」に参加し、アメリカ空軍アメリカ陸軍地上部隊との共同作戦をこなしていることから、BAEシステムズ社は、タイフーンのアメリカ軍兵器システムとの相互運用性について問題はないとしている[3]

また、2011年2月2日には、在日イギリス大使館におけるユーロファイター説明会において、デイビッド・ウォレン駐日イギリス大使は、「ユーロファイターはアメリカ軍との定期的な合同演習で完全な相互運用性が実証されている」と述べ、同機がアメリカ軍との相互運用性で問題が無い事を、イギリス政府として公式に認めている[22]

各発注区分とブロック

ファイル:Italian Eurofighter Typhoon.JPG
EF-2000(イタリア空軍)
ファイル:Spanish Air Force Eurofighter.jpg
ユーロファイター タイフーン C.16
(スペイン空軍)

トランシェ1 (Tranche 1)

ブロック1
最初の量産仕様機で、メインコンピューターのソフトウェアはPSPI。DASSは搭載されていない。複座型しか製造されておらず、初期の乗員訓練と防空訓練のみに使用。飛行試験用5機と量産機31機。
ブロック2
防空能力を高めた完全な初期作戦能力を持った機体で、ソフトウェアをPSPI2に変更。一部簡略化されたDASSを搭載。また、キャプターレーダー、IFF、MIDS、についてある程度のセンサー融合がなされた。更に自動操縦装置、マイクロ波着陸装置、直接音声入力装置の簡易版を搭載。47機を生産。
ブロック2B
ブロック2と同じだがケアフリーシステムを追加。38機を生産。
ブロック5
完全作戦能力を持った機体。GBU-16などのペイブウェイIIや1,000lb通常爆弾の携帯が可能になった他、BK-27の空対地使用が解禁され、DASS、直接音声入力装置、センサー融合共に完全な能力を得た。また、PIRATEを追加した(独向け機体を除く)21機を生産。
ブロック5A
ブロック5に準じたオーストリア向け、下記4ヶ国分から調達した15機。

2005年3月迄の総生産機数148機。

各国での初期調達予定

実際の調達数

トランシェ2 (Tranche 2)

ブロック8/8A/8B
能力向上と旧式化した部分を取り除いた新しいミッションコンピューターを導入するもの。初期のソフトウェアはブロック5と同じだが8A/8Bではバージョンアップしている。
ブロック10
ペイブウェイIIIJDAMなどが携帯でき、スイングロール(空対空と空対地任務を同時にする事)が可能になった。また、GPS、IFF、MIDSの能力が強化された。
ブロック15
ストームシャドウテンプレート:仮リンク巡航ミサイルなど、空対地能力を更に向上させ、最大離陸重量を引き上げた。スイングロール能力も向上。

2005年12月17日に開発参加4ヶ国合計で236機の導入契約を締結。これに加えトランシェ1でオーストリアの分を各国で計15機調達が減った分トランシェ2が15機増産される。 また、イギリスは自国の調達分のうち24機をサウジアラビアに譲っている。

当初の調達予定

236機

トランシェ3 (Tranche 3)

対地攻撃能力を完全実装したタイプで、開発参加4ヶ国合計で236機を調達する予定であった。2009年7月の会議において、3Aと3Bの二種に分けて調達することが決定した。この決定と同時に合計112機のトランシェ3Aの調達を確定させたが、残りの3Bのオーダーについては各国における防衛費削減を原因として不確定さが増している。イギリスは3Bの調達を予定しておらず[23]、さらに、調達を急いでいたサウジアラビアへ自国のトランシェ2の調達枠24機分を譲り、その代替として既に注文を確定させたトランシェ3A 40機のうち24機をあてるとしている[24]

当初の調達予定

計236機

トランシェ3A確定分

計112機

ユーロファイター2020

ユーロファイター2020とは、ユーロファイター・ワールド6月号で掲載されたコンセプトであり次のような改良が盛り込まれている。

なおこれらの一部はブロックにより実装されている(新型ポッド、・ミサイルなどへの対応、HMSSなど)

運用国

テンプレート:Flagicon イギリスイギリス空軍
テンプレート:Flagicon イタリアイタリア空軍
テンプレート:Flagicon スペインスペイン空軍
テンプレート:Flagicon ドイツドイツ空軍
8つの閣議決定の下で1997年10月、F-4FファントムIIトーネードの後継として180機が計画された。計画生産率は年間15機であった。最初の7機は2004年に第73戦闘航空団"シュタインホフ"に引き渡された。その後2006年にはドナウ川沿いのバイエルン州ノイブルクの第74戦闘航空団に配備された。
テンプレート:Flagicon オーストリアオーストリア空軍
当初24機の導入が決まっていたが、2002年の洪水により計画を2007年まで凍結し導入機数も結局15機に削減された。また、スウェーデンがサーブ・グリペンの不採用の報復として、同国が運用していたサーブ・ドラケンのメンテナンス費用を正規価格に変更したため(オーストリアは以前グリペンの導入を約束し、スウェーデンから中古のドラケンを受領していた)、オーストリア側は対抗策としてスイスからリースしたF-5Eと入れ替える形でドラケンを退役させた。
引き渡しは2007年から始まり、2009年に完了した。パイロットの訓練はドイツで行われるため、複座型は導入していない。
テンプレート:Flagicon サウジアラビアサウジアラビア空軍
2005年12月下旬に導入が決定したと報じられた。ヨーロッパ諸国以外では初の受注となる。導入機数は72機で、内48機はサウジアラビア国内で組み立てられる予定であったが、交渉の結果国内組み立ては実現しなかった。引き渡しは2009年から開始されている。
代替されるのは空軍のトーネード ADVもしくはF-5E/Fと言われている。同国に関連する汚職事件[注 2]に関し、イギリス側の司法当局が捜査を行っていたが、両国の信頼関係を損なう恐れとまとまった商談が破棄される恐れがあるとして捜査を中止したことに際し、まとまった商談はタイフーンの輸出に関する事柄だったのではと一部で言われている。

開発参加国以外への販売

タイフーンの価格は、F-16よりは高く、F/A-18E/FF-15Eよりは安い価格が示されているとされる[3]が、情報は少ない。2005年サウジアラビアが当時のレートで約1兆2,000億円で約72機(諸説有)購入したことから、当時の価格は1機100億円以上であったと憶測されている。インドF-X商戦においてのラファールのライセンス生産提案価格が約189億にあたり、タイフーンはその22%増と発表されているために一機約230億で提案されていたものと思われる。

採用決定・納入待ちの国家

テンプレート:Flagicon オマーン
2008年に中古のトランシェ1を24機購入する予備契約を交わしたが、F-16の追加発注によりご破算になったという見方をする報道があった[25]。しかし2012年12月21日に新造機12機の採用を決定した[26]

検討中の国家

テンプレート:Flagicon ポーランド
現在のところポーランド東側時代のソ連戦闘機にかえてF-16C/D Block52アドバンスドを主力迎撃戦闘機としているが、これに加えてさらに強力な主力迎撃戦闘機を導入する計画を立てており、ユーロファイター社はポーランド空軍によるタイフーンの大量購入を見込んで売り込みを開始しており、購入数は50-70機ほどと推測される[27][28]
テンプレート:Flagicon カタール
インドへ売却する予定のミラージュ2000-5の後継としてF-35F/A-18E/FF-15Eラファールと共に候補に挙がっており、24-36機を導入する予定[29]
テンプレート:Flagicon チェコ
2014年末にリース期限が切れるグリペンの後継として提案されており、イタリアドイツスペインイギリス各空軍の中古機を新品の30-40%引きで提供できるとしている[30]
テンプレート:LBY
2012年7月内戦に伴い崩壊した空軍を再建するべくラファールとともに購入する計画を発表した[31]
テンプレート:Flagicon ペルー
スペイン空軍から中古のトランシェ1 18機の譲渡を提案されている[32]
テンプレート:Flagicon アラブ首長国連邦[31]
テンプレート:Flagicon クウェート[31]
テンプレート:Flagicon バーレーン[31]

過去に検討された国家

テンプレート:Flagicon インド
インド空軍が購入を予定している126機の多目的戦闘機の最終候補として欧州の2戦闘機ラファールとタイフーン)が残っていた。ラファールが独占交渉に入ったと報道され、その後フランス国防相もこれを認めた[33]
テンプレート:Flagicon 日本

テンプレート:Main

航空自衛隊の老朽化したF-4EJ改戦闘機の更新計画として進められていた第4次次期戦闘機F-Xの候補の1つとしてタイフーンの導入が検討され、当機の日本への売り込みは英国のBAEシステムズ社が主に担当し、イタリアのアレニア・アエロナウティカ社もその支援に当っていた[34]。しかし、最終的に日本F-35A 42機の導入を決定した。
今回の日本の次期戦闘機選定に対するBAEシステムズ社の意気込みは大きく、アビオニクスをはじめとする日本独自の電子機器類の搭載や誘導弾などへの対応と、ライセンス生産までも認めるなど、競合機と比べてかなり柔軟な売り込み姿勢[35]をとり、副社長その他の幹部、テストパイロットなどが幾度も来日して会見や日本政府など関係各方面への働きかけを行っていた。
BAEシステムズ社は、日本におけるタイフーンのメリットを、価格水準と取得性の高さ、機体性能の高さ、日本におけるライセンス生産と機体組み立てにおける日本航空機産業の関与、参加の保証、などを以って積極的にアピールしており[36]2007年5月31日には三菱重工業とユーロファイターの生産ライセンス供与について交渉したことを発表している[37]
テンプレート:Flagicon ギリシャ
比較的早い段階から購入の意思表明を行っていたが、アテネオリンピック後に導入計画が白紙化され、2005年に導入コストの問題からF-16C/Dの継続導入が決定された。
テンプレート:Flagicon シンガポール
A-4の後継機として提案当初からシンガポール空軍関係者から有力候補として名前を挙げられていたが、開発の遅れが原因で間に合わず候補から脱落した。その後F-15Eをシンガポールの要求に合わせた改修型のF-15SGラファールが選考対象として残っていたが、F-15SGの採用が決定した。
テンプレート:Flagicon トルコ
F-35Aを導入予定だが、国内生産時の分担比率の問題と、当時はF-35A自体が生産されるか流動的となっていたため、万が一の保険としての打診がトルコから一部の製造企業に対して行われたが、タイフーンではF-35Aのステルス性を代価できないという軍事的事情やアメリカとの結びつきを重視した結果、当初の予定されていたF-35Aの導入が決定した。
テンプレート:Flagicon デンマーク
F-16の更新用として提案されていたが、 同国の企業が製造に参加しているF-35が本命視されている上で、開発が成功しなかった場合の代案としてグリペンNGの破格での提案があったため断念。
テンプレート:Flagicon フィンランド
F-18の更新用として提案されていたが、 同国の企業が製造に参加しているF-35が本命視されている上で、開発が成功しなかった場合の代案としてグリペンNGの破格での提案があったため断念。
テンプレート:Flagicon スイス
ラファール、グリペンと共にF-5Eの後継機候補となっていたが、選定の結果グリペンNGが採用された。
テンプレート:Flagicon 韓国
F-15KラファールSu-35とともにF-4Dの更新用として提案されたが、最終的に韓国空軍は政治的な問題からF-15Kを40機採用した。不採用の要因として、韓国の選定当時はまだ開発段階で、対地攻撃能力実証が間に合わなかったのが原因といわれている。同じくF-4D後継機の第2次FXでは、F-15K選定時の不透明な経緯からボーイング以外の入札が行われなかったため、F-15Kの21機追加と言う形に終わっている。
F-4E後継機の第3次FXの60機でも、F-15SEF-35Aと並んでRFPに応じた[38]
2013年8月16日に最終入札が行われ、F-35Aは予算不足のため選定から脱落し、8月18日、ユーロファイターは書類不備のため脱落したと発表された[39]9月24日、防衛事業庁はF-15SE採用を否決して、入札を白紙からやり直す事を発表した[40]11月23日、入札条件にステルス機能電子戦能力を追加したため、F-35Aのみを検討対象とすることを事実上決定、40機導入する予定[41]

仕様・性能

ファイル:Eurofighter triebwerk.jpg
手前がEJ200エンジン。奥に隠れて見えるのがRB199エンジン。
RB199はかつてタイフーンの試作機に搭載

テンプレート:航空機スペック

兵装

固定武装

テンプレート:Col

出典

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

注記

テンプレート:Reflist

関連項目

外部リンク

テンプレート:Sister

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