F-5 (戦闘機)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:Infobox 航空機 F-5は、アメリカ合衆国ノースロップ社が1950年代に開発した戦闘機。小型軽量で取得や運用も容易であったため、冷戦当時にアジアアフリカ南アメリカなどのアメリカと友好的な発展途上国にも大量に輸出された。愛称はA/B型がフリーダム・ファイター(Freedom Fighter)、改良型のE/F型はタイガーII(Tiger II)姉妹機として、練習機型のT-38 タロンが存在する。

機体概要

極めて小型の機体に、直線翼に近いような浅い後退角を持った主翼を組み合わせており、翼端には空対空ミサイルあるいは増槽(A/B型のみ)を装備する。この主翼形式はロッキードF-104の影響が大であるとされている。主翼の後退角を大きく取れば最高速度や遷音速での加速性能に優れるが、翼幅荷重が大きくなって旋回性能(運動性)は低下する。対して後退角を小さくすれば旋回性能は向上し、特に低速域での運動性が大きく向上する[1]

主翼前縁に小型のLERXが付いているのも特徴である。これは元々、前縁フラップ電動作動器を収めるため、主翼前縁と胴体の間に三角形のフェアリングを設けたもので、飛行性能の向上を意図したものではなかったが、着陸性能の向上や失速防止など、全く予想外の大きな効果が得られる結果となった。偶然の産物ではあったが、後のE/F型やF-20では大型化され、さらにその浅い後退角の翼やLERXは、ノースロップ社が開発したYF-17F/A-18の原型機)にも継承されている。

F-5の操縦性の高さには定評があり、カスタマーにはおおむね好評を持って迎えられた。例えば原型機N-156Fの初飛行に臨んだノースロップ社の主任テストパイロット、ルー・ネルソンは、「教養ある夫人(well-educated lady)」のような特性だと評している。この優れた操縦性は、発展型のF-20まで受け継がれた。また、降着装置の外見からは想像しにくいが、不整地や未舗装滑走路から運用することもできた。

エンジンゼネラル・エレクトリック社製のJ85 ターボジェットエンジンを2基搭載する。J85は元来ミサイル用として開発された画期的な小型ジェットエンジンであり、推力重量比(エンジン重量に対しての推力の大きさ)は当時の重く大きな大推力ターボジェットを遥かに凌ぐものであった[2]。J85の双発としたことで、F-5は極めてコンパクトにまとめられたのである。

小型エンジンは整備性の向上にも役立っている。重量が軽いため、ジャッキなど特別な工具を使わなくても数人の人手さえあれば簡単にエンジンを着脱でき、設備の乏しい途上国や前線基地でも整備、運用が容易だった。加えてF-5は整備の便を考慮して、エンジンの着脱を斜めのラインで行えるように後部胴体の形状を工夫している。双発であるため、被弾、故障の際の生存性も高い。

小型エンジンを複数積む場合の短所は、燃費効率が悪くなる点とコストの上昇である。しかしJ85はミサイルや無人標的機、他の小型機にも大量に採用されたエンジンであり、量産効果によってコストを下げることができた。また、後述の通り本機は、冷戦下においてアメリカと友好関係にあった発展途上国向けの供与機であり、燃費効率の良いエンジンによる長大な航続力を持った航空機では周辺国に脅威を与えることにもなるため、供与する側のアメリカとしてもあまり望ましいことではなかったのである。

航続力、搭載力が制限されている一方で、F-5は反復出動を考慮した設計となっており、例えば給油口は加圧式の1点給油で、短時間での燃料補給を可能としている。構造が単純で整備性の高い機体も相まって高い稼働率を実現しており、後述のスコシ・タイガー作戦では、アメリカ本土からフェリーされてきたばかりのF-5が、整備・再装填の上、わずか5時間後に初出撃を記録した例もあった。

開発の経緯

F-5A/B

F-5A/Bは、他社との新戦闘機競争で大きく水をあけられていたノースロップ社が、第二次世界大戦中に建造され、まだ当時多数残っていたアメリカ海軍軽空母艦載機として計画されたのが萌芽であった。しかし、海軍は、それら軽空母を退役させることにしたため、ノースロップは海外輸出市場に活路を見出す事になった。同時に空軍練習機T-33の後継にも目をつけ、戦闘機型をN-156F、練習機型をN-156Tとして並行して開発を進めた。このN-156Tは空軍にT-38として採用され、N-156Fも自社資金で開発を継続した。

1950年代末より東側諸国やその友好国へMiG-17MiG-19の供与を進めていたソビエト連邦に対抗するべく、アメリカはこれらのソ連製戦闘機を上回る性能を持ち、かつ廉価で運用・整備が容易な戦闘機を西側諸国と友好関係にある発展途上国向けに供与する計画を進めていた。しかし既にF-86は旧式化しており、より新しい機体は複雑さ・性能・価格・軍事機密などの面で途上国に輸出できるものではなかった[3]。これに対し、航法・測距用のレーダーや見越し計算式照準器さえも搭載せず、小型エンジンを使用したN-156Fは、廉価かつ運用・整備が容易だったため途上国向けの海外供与戦闘機に選ばれることとなる。こうしてN-156FはF-5Aと命名されると共に、機関砲を装備しない複座練習機型F-5Bも開発され、1964年から配備が開始された。

供与された国は、南ベトナムタイイランエチオピアサウジアラビアヨルダン大韓民国リビア(王政時代)モロッコなどである。また、高価なF-104を保有していた中華民国ノルウェーギリシャトルコにも補助戦闘機として供与された。この他にパキスタン第三次印パ戦争中に、リビアのF-5Aをパイロット[と共に「提供」され、数機使用していたとされる(サウジアラビアがF-5E飛行隊を同国に派遣していたともいわれる)[4]

ベトナム戦争では、南ベトナム空軍が主に北ベトナム軍への対地攻撃に使用したほか、北ベトナム軍が鹵獲した南ベトナム空軍のF-5Aでサイゴン南ベトナム大統領府爆撃した。南北統一後のベトナムでは、南ベトナム空軍から接収したF-5A(ベトナム空軍の展示ではF-5E)が対地攻撃任務機としてカンボジア侵攻に用いられていた。

ライセンス生産権を取得したカナダでは、自己資金によって空戦フラップや2段伸縮式前脚の追加といった改良が行われ、カナダ向けをCF-5オランダ向けをNF-5と呼称して製造した。この2つのライセンス生産型は、ベトナム戦争での使用経験と共にF-5E/F開発の大きなヒントとなった。他にライセンス生産を行った国にはスペインがある。

ファイル:F-5Cs KC-135A 020906-f-9999r-003.jpg
スコシ・タイガー作戦によってベトナム戦争に投入されたF-5C

上記の通り、F-5A/Bは純粋に供与機として用いられ、外国空軍への技術指導と訓練以外にアメリカ空軍での使用予定はなかった。しかし、供与された国からの実績要求などから、評価試験用のF-5A飛行隊が臨時編成され、ベトナム戦争において対地攻撃に投入された。このF-5Aは空中給油プローブ装甲の追加など、従来のF-5Aとは異なる「特別仕様」のため、F-5Cという非公式の形式番号で呼ばれることもある。F-5Cが参加する作戦は「スコシ・タイガー作戦」と命名され、F-5の作戦能力と双発エンジンによる被弾時の生存性が高く評価されることとなった。機体は試験終了後、南ベトナム空軍に引き渡されている。なお、「スコシ」とは日本語の「少し」であり、元来は「リトル・タイガー」とすべきところを、外国語風の語感にするため「スコシ・タイガー」とした[5]

F-5A/Bは、経済性や発展途上国において初のジェット戦闘機としての利便性に加え、高価な戦闘機に勝るとも劣らない抜群の機動性で広く使用された戦闘機である。ベトナム戦争以外で目立った戦績は無いが、西サハラ紛争でモロッコ(モロッコ王立空軍:英語版)が、オガデン紛争で(革命後の)エチオピアが実戦に使用したといわれる。ただしその多くは対地攻撃に用いられた。

F-5A/Bはその後、改良型のF-5E/Fもしくはその他の戦闘機に交替していったが、ギリシャ空軍トルコ空軍はアメリカを介して各地で退役したF-5A/Bを大量に入手し、主力戦闘機の補助や対地攻撃、訓練用に充てた。スペイン空軍ではF-5Bを高等練習機として使用している。現在でも一線の戦闘機として就役しているのはベネズエラ空軍などである。この他にカナダで退役したCF-5が、近代化改修後にボツワナ国防軍で再就役している。

F-5E/F

ファイル:F-5.jpg
F-5E(奥)とF-5F(手前)

1960年代後半に入ると、ソビエト連邦MiG-21を中小国空軍向けにも輸出し始めた。MiG-21は簡易ながらレーダーを装備しており、レーダーを持たず目視で戦闘を行うF-5A/Bでは対抗が困難になりつつあった。また、エンジンパワーも劣っていた。そのためアメリカ国防省では、F-5A/Bに代わる新たな供与戦闘機の比較審査を1970年に呼びかけた。

比較審査にはロッキードCL-1200チャンスボートV-1000F-4の簡易型など各メーカーによる提案があったが、アメリカ空軍ノースロップの提案したF-5-21案を採用しF-5Eと命名、1974年から配備を開始した。

F-5E/Fは、基本的にF-5A/Bの改良型であるが、

  1. エンジンを強化
  2. F-5Aでは皆無であったレーダー類を追加
  3. CF-5やNF-5で採用された空戦フラップや2段伸縮式前脚の採用

などが行われ、F-5Aより横幅が多少広くなっている。搭載されたAN/APQ-153レーダーは機能が限定的で目標追尾機能を持たず、射程の長いAIM-7は運用できない。それでもレーダー未搭載のA/B型に比べれば格段の進歩であり、MiG-21を仮想敵とするには必要にして十分と割り切られた[6]。オプションで空中受油プローブ慣性航法装置などを装備可能な他、イランサウジアラビアモロッコ向けの機体にはマーベリック空対地ミサイルの運用能力が追加された。後期生産型の一部には、F-20で採用されたシャークノーズや大型ストレーキが取り入れられている。

当初、F-5Eのパイロット訓練にはF-5Bが使用されていたが、性能差が大きいこと、そしてレーダー操作の訓練が必要という点から専用の複座練習機F-5Fが開発された。F-5Fは機関砲を装備しないF-5Bと異なり、機関砲(搭載数は1門に減少)やレーダーを残し、燃料搭載量もF-5Eと同様にした。このため機首が107 cm 延長されている。

その一方、F-5の得意分野といえる利便性や経済性も受け継がれ、F-5A/Bを運用していた国の他にも、メキシコホンジュラスなどがF-5E/Fを採用した。また、スイス韓国台湾ではライセンス生産が行われた。既に旧式化した2014年現在でも途上国を中心とした多くの国で現役にあり、大規模な近代化改修を施して引き続き運用している国もある。

アメリカ空軍・海軍海兵隊は、ベトナム戦争の終結に伴い南ベトナムへの供与が間に合わなかった機体を大量に引き取り、抜群の運動性能と類似する機体サイズから、トップガンなどの空戦訓練教程での仮想MiG-21あるいは汎用の仮想敵機として長く使用した。空軍では既に退役しているが、海軍・海兵隊では現在も運用中である。特に海軍はスイスで退役したF-5Eを購入し、再生及び改造を施したうえでF-5Nとして再就役させている。

実戦ではイラン・イラク戦争イランが、西サハラ紛争でモロッコが対地攻撃に使用した。また、湾岸戦争にはサウジアラビアバーレーンの機体が参戦した。

派生型

テンプレート:Multiple image

F-5A
初期型。
RF-5A
F-5Aの偵察機型。機首にカメラを搭載。武装は残されているため、機首の換装でF-5Aに戻すことも可能。イラントルコ南ベトナムタイギリシャ韓国モロッコが採用。
F-5B
F-5Aの複座練習攻撃機型。T-38の機首を流用しているため、機関砲を装備していない。
F-5C
スコシ・タイガー作戦のために改修されたF-5A。ただし公式の形式名ではなく、部内での「通称」とされている。作戦名から「スコシ・タイガー」と呼ばれることもある。
CF-5A/D、CF-5A(R)
カナダライセンス生産されたF-5A/B。CF-5A(R)はRF-5Aに準じた偵察機型。カナダ空軍ではCF-116、ベネズエラ空軍ではVF-5と呼称される。
NF-5A/B
オランダ向けにカナダが製造したF-5A/B。
SF-5A/B、SRF-5A
スペインでライセンス生産されたF-5A/B及びRF-5A。
F-5A(G)/B(G)、RF-5A(G)
ノルウェー向けのF-5A/B及びRF-5A。寒冷地での運用のため、JATOアレスティング・フックキャノピーの除氷装置を追加。
F-5E
F-5Aの改良型。エンジンなどを強化し、AN/APQ-153空対空レーダー(後期型は改良型のテンプレート:仮リンクを装備。
RF-5E
機首のレーダー及びコーンを撤去し、代わりにカメラを搭載した専用コーンを装着した簡易偵察型。
RF-5E タイガーアイ(Tigereye)
F-5Eの偵察機型。機首のレーダーと右側の機関砲を撤去して設置した大型カメラ室にカメラを搭載。サウジアラビアマレーシアシンガポール台湾のみ採用。台湾では「タイガーゲイザー(Tigergazer)」と呼ばれる。
F-5F
F-5Eの複座練習戦闘機型。複座での運用に対応したAN/APQ-157レーダーを搭載し、機関砲1門を固定装備。
F-5N
スイスで余剰となったF-5Eがアメリカ海軍アグレッサーとして再就役した際の呼称。レーダーをAN/APG-69に換装。
F-5G(F-20)
F-5のエンジンをJ85の双発からF404 ターボファンエンジンの単発に変更し、電子機器を近代化した機体。台湾がF-16の導入を検討した際にF-16/79と共に提案されたが、台湾の要求能力を満たしていないことや、アメリカによる台湾への兵器輸出禁止(実際は自粛に近かった)を理由に不採用となった。その後、台湾は国産戦闘機の経国を開発した。同国と対立する中国を刺激しないようにあえて新形式とせずF-5の派生型としての命名であったが、台湾への輸出を断念した時点で新形式のF-20と改名した。

テンプレート:Main

F-5S/T、RF-5S
シンガポール空軍の近代化改修型F-5E/F及びRF-5E。右側の機関砲を撤去してレーダーをグリフォF多モードレーダーに換装し、AMRAAMおよびパイソン空対空ミサイルの運用能力を付加。HUD多機能ディスプレイHOTAS概念慣性航法装置などが導入された他、機動性強化のため主翼のストレーキも拡大されている。
F-5EM/FM
ブラジル空軍の近代化改修型F-5E/F。レーダーをF-5S/Tと同じくグリフォFに換装したため右側の機関砲が撤去されている。レーザー誘導爆弾ダービー空対空ミサイルの運用能力を持ち、コックピットは完全にグラスコックピット化されている。
タイガーIII
イスラエルの協力で改修された、チリ空軍の近代化改修型F-5E/F。レーダーはラビ用に開発されたものを改良したEL/M-2032に換装。右側の機関砲は撤去したとされるが、外見上は撤去されていないように見える。イスラエル製の偵察ポッドやパイソン、ダービーの運用が可能。HUD、多機能ディスプレイ、HOTAS概念などが導入された点はF-5S/Tと同様。
タイガーIV
ノースロップ社が独自に開発したF-5Eの近代化改修デモンストレーター。右側の機関砲を撤去してレーダーをF-16 MLUと同じAN/APG-66(V)に換装し、機体構造を強化。HUD、多機能ディスプレイ、HOTAS概念などが導入された点はF-5S/Tと同様。台湾でも「タイガー2000」の名称で同仕様に準じた改修を計画していたが中止されている。
F-5T ティグリス(Tigris)
イスラエルの協力で改修された、タイ空軍の近代化改修型F-5E。形式番号こそ同じだがシンガポール空軍のF-5Tとは別物。レーダーはタイガーIIIと同じEL/M-2032に換装されたが、視程外戦闘能力は付加されていない。
X-29
グラマン社がF-5他の部品より製造した前進翼実験機。
アザラフシュ(Azarakhsh)
イランのHESAがF-5をベースに開発した戦闘機。
サーエゲ(Ṣā‘eqeh)
アザラフシュを更に発展させた、イランの自称"国産戦闘機"。F-5を強引に双垂直尾翼化したような外観を持つ。飛行性能、エンジン、武装、電子機器などの詳細は一切非公開だが、空気取り入れ口やそこからエンジンに繋がるダクトが全く変更されていないことから、エンジンはF-5のものをそのまま用いていると思われる。
その他
NASAは、ソニックブーム低減のためのテンプレート:仮リンクプログラムに、特殊改造を施したF-5Eを使用している。

採用国

E/F型を採用した国は太字で示す。 テンプレート:Col

登場作品

エリア51に配備されている。キャノピーを開けた状態で駐機している機体が見られるのみで飛行シーンは無いため、エイリアンとの戦闘に参加したかどうかは不明。
レオナルド・ディカプリオ扮する主人公が、タイ国内の映画館で『地獄の黙示録』を観ているシーンがあり、『地獄の黙示録』におけるF-5Aが飛翔するシーンがスクリーンに登場している。
米空軍のF-5としてナパーム弾によるベトコン陣地攻撃に登場(同作の見せ場の一つでもある)実際はフィリピン空軍のF-5Aを使用(マーキングなどは消されている)。
仮想敵機としてではなく、架空機「MiG-28」として登場する(トップガン入校後のシーンで「仮想敵機としてF-5、A-4を使用する」とのセリフがあるが、F-5自体は登場しない)。

要目 (F-5E)

テンプレート:航空機スペック

参考

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

関連項目

外部リンク

テンプレート:Sister

テンプレート:アメリカ軍の固定翼機 (呼称統一以降)

  1. デルタ翼を採用すれば、翼幅荷重は大きくなっても、翼面積は大きくとれるので翼面荷重は小さくなり、こちらの場合は主に高速域での運動性が向上する。本機のような直線翼に近い主翼形式とは、一長一短である
  2. 理論的にジェットエンジンは2乗3乗の法則に従って小型であるほど推力重量比が大きくなる。あるジェットエンジンを、同じ技術を用いたまま寸法比をそのままにサイズを2分の1にすると、開口部の面積が4分の1になる。つまり推力もおおよそ4分の1になる。一方で重量は8分の1になり、推力が4分の1で重量が8分の1なので、結果として推力重量比は2倍になる
  3. F-100は性能面ではMiG-19に比肩したが、戦闘爆撃機としての性格が強く、途上国向けとしては攻撃力が過大であり、かつチタニウムを多用したため性能の割に高価な機体であった。F-101は長距離侵攻戦闘機として開発された大型戦闘機、F-102は高度な電子機器を搭載する要撃機F-104はマッハ2級の高性能機であり、どれも途上国向けとしては過剰性能・高価格・取扱困難であった。以上の理由から、これらの機体はNATO加盟国を筆頭とする先進国中進国以上の有力な同盟国への供与、あるいは性能的に陳腐化した後の中古機の輸出に限られていた。最新鋭のF-105F-106は、機密度も高く同盟国にすら輸出されなかった。ちなみに同時代のソ連も、高度な電子機器を持つ高性能機であるSu-9は自国のみで運用し、同盟国には供与しなかった
  4. パキスタンにおいてもF-5Aが新型戦闘機の候補として挙げられたが、フランス製のミラージュIIIに敗北している。しかし、ミラージュIIIは廉価な戦闘機とは言えず、当時は追加購入が困難であった事(後に中古機をオーストラリアレバノンから購入)から、より安価なミラージュ5J-6が導入される事となった
  5. 英語のlittleには「少し」という意味と「小さい、可愛い」という2つの意味があり、そこからの誤訳である。本来の意図としては「少し虎」ではなく「小さな虎」であった。また、「少し」のローマ字表記(ヘボン式)は本来"Sukoshi"となる筈だが、"u"が抜けて"Skoshi tiger"となっている。Sukoshiのu音は、日本語においては無声化されるため、日本語の話者以外には聴き取れない場合が多い
  6. セミアクティブ式レーダー誘導ミサイルを装備できないという点はMiG-21も同様であり、かつレーダーの搭載方法から探知範囲が極めて小さいという欠点を抱えていた