爆弾

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空対地普通爆弾(500LB爆弾)

爆弾(ばくだん、テンプレート:Lang-en-short)は、容器に爆薬を装填して信管などの発火装置を取り付けた兵器である。一般的に民間利用されるものに爆弾の語は使われないが、発破などに用いられる装置を指して爆弾と言及されることもある。軍事利用の面では、特に航空機から投下される航空機搭載爆弾を指して爆弾の語が使われる。他にも爆薬を使った兵器として、小型で人力により投射される手榴弾、水中に投下される爆雷、大砲から投射するものを榴弾、推進装置を持つ物をロケット弾、さらに誘導装置まで持つものをミサイルと呼ぶ。ただし、推進装置は持たないが誘導装置を持つ物は一般的に誘導爆弾に分類される。

概要

爆弾は、爆発させたときに爆風と破片によって周囲の目標物を破壊または人員を殺傷するように設計されている。そのほかに、中性子爆弾のように大量の中性子線を放射、生物への攻撃を主目的とし、経済的損失をできる限り抑える(戦後の鹵獲(ろかく)・接収を目的とする)爆弾もある。

通常は固体の爆薬が用いられているが、気体相の爆発現象を利用する燃料気化爆弾という例外もある。

爆弾の起爆タイミングの制御には、時計遠隔装置、各種センサーレーダーなどが使われている。内部に充填された爆薬への点火は、信管によって行われ、これが動作すると急速に反応を起こして爆発するものが一般に良く知られている。

爆弾は戦争でよく使われるほか、テロリズムでも使われる。現在最も威力の大きな爆弾は、水素爆弾である。また現在、核爆弾以外で最も威力のある爆弾は、Massive Ordnance Air Blast bomb (MOAB) である。

なおこの爆弾であるが、人の作った物である以上、動作不良を起こす事もある。予期しない時に爆発する場合も在れば、使用したのに爆発しない場合もある。特に後者は不発弾とも呼ばれ、安全装置が外れている事から、非常に危険な状態として扱われる。この危険性は、経年変化によって減少するわけではなく、一般人がみだりに触れるのは禁物である。日本では太平洋戦争中に使用された爆弾の不発弾が現在でも発見されることがあり、その場合陸上自衛隊によって処理されることになっている。

爆弾の種類

爆弾には様々な種類があり、破壊する対象や用法によって工夫されている。単純に破壊する範囲を拡大させるために威力の増強を目指した物から、破壊する対象の種類や方向を限定させた物、被害を与える程度といった多様な工夫が施された物が存在する。

軍事目的の爆弾

特殊な爆弾

テロリズム関連

比喩表現

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いわゆる「漫画表現」的な爆弾

爆弾は古くより戦争において多大な被害を与えるべく頻繁に使用されたため、しばしば一般語においても比喩的に用いられる。

  • 太平洋戦争の終戦後の日本で出まわった、メタノールなどを混ぜた粗悪な密造酒のことを、「バクダン」と呼んでいた。爆弾の言葉をあてた理由として諸説あり、「酔いやすく、時には有毒なメタノールによって失明することがあったことから」、「原料のメタノールは航空燃料から抽出された物が多く、爆撃機からの連想」、「飲むと胃が破裂する・爆発するような酒であったから[1]」などがある。
  • 韓国ビールウイスキーを混合する飲み方、およびそれを一気飲みしたりさせたりする慣習を爆弾酒と言う。炭酸を含んで、アルコールの吸収が早いビールと、アルコール度数が高いウイスキーをカクテルし、さらにそれを一気飲みすることによって短時間で酔いが回る。名前から来る印象通り、健康には良くない飲み方と言える。
  • 手榴弾のような形状や黒い状をした食品を俗に爆弾と呼ぶ。内部にゆで卵を丸ごと入れた薩摩揚げメンチカツスコッチエッグ)、片手では持てないほど大きく丸い形状に握って海苔を巻いたおにぎりなどが爆弾と呼ばれている。新潟県三条市では、形状は円盤状であるが、特産の車麩の中心の穴に鶏卵を落とし入れた煮付けを爆弾を称する。またフランス語で爆弾を意味するボンブは、ケーキの名前である。ただしこれらは形状に由来するもので、特に危険な意味合いは持たない。
  • ポン菓子パットライスなどと呼ばれるとうもろこしなどに圧力を加えながら100℃以上に加熱したのち、急激に大気圧に戻して膨らませた菓子のことを、圧力を下げる工程で大きな音を放つことなどから「爆弾」「爆弾あられ」と呼ぶ場合がある。
  • 心臓病などの重篤な持病の事も爆弾に比喩される。「いつ爆発して命を落とすか分からない」という意味である。スポーツ選手が肩やひざなど傷めているときにも(爆発すれば選手生命が絶たれる、という意味で)爆弾の比喩が使われる。例えば野球では、ピッチャーがに慢性的なトラブルを抱えている時に「肩の爆弾」「肘に爆弾を抱える」などと呼ばれる。
  • 石綿は継続的に吸引すると数十年後に肺癌中皮腫などの深刻な健康被害を引き起こすため、「静かな時限爆弾」とも呼ばれる。
  • Macintoshの旧Mac OSで致命的なシステムエラーが発生したときに出現する爆弾アイコンつきのダイアログ、あるいはエラーそのもののことも「爆弾」と呼ばれる。
  • インターネットメールにおいて、嫌がらせや業務妨害を目的として特定の相手に大量のメールを送りつけることをメール爆弾と呼ぶことがある。多くは専用のスクリプトやウイルスを用いて、相手のメールサーバの容量をパンクさせるまで攻撃が続けられる。
  • 現在はあまり使用されないが、コンピュータウイルスの中で特定の条件が満たされるまでは発動せず、満たされた場合に一気に活動を開始するタイプのものについての訳語として「論理爆弾」「情報爆弾」「ロジック爆弾」などの言葉が当てられる場合がある。
  • 中央省庁の省庁間で所管する法案や政策を巡って対立した場合に、法案や政策を提出した省庁に対して対立する省庁が膨大な質問書や意見書を提出し、短期間のうちに回答を迫るものを「紙爆弾」と呼ぶ。閣議前の各省協議の段階で行われることが多い。対立する省庁の担当者を疲弊させ、閣議までに時間切れにすることを目的とする。多くの政策が他省庁と関連し「喧嘩省庁」の異名のある旧通商産業省などでしばしば見られた。
  • スリーピングボム(sleeping bomb)。
  • 冬の北西太平洋などに見られる急速に発達する低気圧のことを「爆弾低気圧」と呼ぶ。
  • 爆弾発言とは本来秘匿されるべき重大な情報が、予告なしに公式の場で爆弾の如くいきなり発言されてしまうことを指す。
  • 株式や通貨など、価格の変動する金融商品などの相場を急激に動かす(主に暴落させる)ような大量の注文のことを爆弾、または売り爆弾と呼ぶ場合がある。
  • インパクトの強いものの比喩。アルペンスキーヤーのアルベルト・トンバのニックネームが「爆弾」である[2]

脚注

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  1. 米川明彦編『日本俗語大辞典(第3版)』東京堂出版 2006年 495頁
  2. イタリア語の話 九段アカデミー

関連項目

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