札幌市電
札幌市電(さっぽろしでん)は、札幌市交通局が運行している路面電車である。
目次
概要
1909年(明治42年)に建築用石材として需要が急増した「札幌軟石」の輸送線として山鼻 - 石切山間に敷設され、1912年(明治45年)からは路線網を市街地まで拡張した札幌石材馬車鉄道(のち札幌市街馬車軌道)を基とし、1918年(大正7年)に札幌電気軌道として開業、1927年に市営化された。以後、現在に至るまで長期に亘り札幌市民の足として利用されている。最盛期には札幌市内の東西南北を結ぶ総延長25km余りの路線を有していたが、利用客の減少や地下鉄の建設により縮小され、現在の西4丁目 - すすきの間が残るのみとなった。
冬季の除雪に活躍するササラ電車は、風物詩として各メディアで取り上げられるため、広く知られている。
市電という呼び方のほかに、地元では単に電車と呼ばれることが多く、札幌市交通局の一部刊行物や各停留場の標識柱においても「電車」という表記が見受けられる。これは国鉄函館本線の電化が1968年と遅れたため、永年にわたり、国鉄の列車は、すべて蒸気機関車あるいは気動車であったことから総称して「汽車」と呼ばれていたことが背景にある。
事業所
- 札幌市中央区南21条西16丁目(電車事業所)
過去の営業所・車庫は「営業所・車庫」の節を参照。
現行路線データ
現存路線
以下の3路線からなり、大半の電車が直通運転を行う。全区間を総称して「一条・山鼻軌道線」または単に「軌道線」と呼ばれる。
2005年度の一日平均乗車人員は2万1438人で前年度比 +5.99%となり、1995年度以来10年ぶりに増加に転じた。
運行系統
かつては多数の系統を運行したが、現在は大半の電車が「西4丁目 - すすきの」の全区間を直通運転している。所要時間は約45分。以前は系統番号「2」が設定されていたが、1991年3月限りで廃止された。
上記のほか、以下の系統が運行されている。
方向幕
方向幕は通常「西4丁目←→すすきの」「西4丁目←→西線16条」「中央図書館前」の3種類を使用する。中央図書館前発の電車は「西4丁目←→すすきの」表示。他には事故や積雪などで区間運転する場合に表示される終点の停留場名のものや、「貸切」「非営業」などがある。
運転頻度
2012年4月現在、日中の9 - 17時はおおむね7 - 8分間隔での運転。平日の朝ラッシュ時は西4丁目 - 西線16条間でおおむね3分間隔の運転。
停留場一覧・接続路線
現存するすべての停留場は札幌市中央区にある。
起・終点である西4丁目とすすきの間は徒歩でも約5分、札幌市営地下鉄南北線で西4丁目最寄りの大通駅とすすきの駅間を行くと約1分と距離が近いため、乗客減に歯止めをかける起爆剤として、かつての西4丁目線の一部を復活させて環状線にする延伸方針が固まり2015年春に開業予定だったが、2014年7月25日に札幌市交通局より開業が2015年10月以降になると発表されている[1]。また、札幌駅まで延伸させる構想もある。詳細は「路線延伸についての動き」の項を参照。
路線名 | 停留場名 | 路線距離 | 通算距離 | 接続路線(乗継指定駅) | 所在地 |
---|---|---|---|---|---|
一条線 | 西4丁目 | 0.00 | 0.00 | 札幌市営地下鉄:大通駅 南北線 (N07)・東西線 (T09)・東豊線 (H08) |
南1条西4丁目 |
西8丁目 | 0.44 | 0.44 | 南1条西8丁目 | ||
中央区役所前 | 0.85 | 0.85 | 札幌市営地下鉄東西線:西11丁目駅 (T08) | 南1条西10丁目 | |
西15丁目 | 1.38 | 1.38 | 札幌市営地下鉄東西線:西18丁目駅 (T07) | 南1条西14丁目 | |
山鼻西線 | 0.00 | ||||
西線6条 | 0.55 | 1.93 | 南6条西14丁目 | ||
西線9条旭山公園通 | 0.93 | 2.31 | 南9条西14丁目 | ||
西線11条 | 1.30 | 2.68 | 南11条西14丁目 | ||
西線14条 | 1.78 | 3.16 | 南14条西14丁目 | ||
西線16条 | 2.15 | 3.53 | 南16条西14丁目 | ||
ロープウェイ入口 | 2.53 | 3.90 | 南19条西14丁目 | ||
電車事業所前 | 2.85 | 4.23 | 南21条西14丁目 | ||
中央図書館前 | 3.15 | 4.53 | 南22条西13丁目 | ||
山鼻線 | 0.00 | ||||
石山通 | 0.26 | 4.79 | 南22条西11丁目 | ||
東屯田通 | 0.61 | 5.14 | 南22条西9丁目 | ||
幌南小学校前 | 1.03 | 5.56 | 南21条西7丁目 | ||
山鼻19条 | 1.28 | 5.81 | 南19条西7丁目 | ||
静修学園前 | 1.67 | 6.20 | 札幌市営地下鉄南北線:幌平橋駅 (N10) | 南16条西7丁目 | |
行啓通 | 2.04 | 6.57 | 南14条西7丁目 | ||
中島公園通 | 2.51 | 7.04 | 南11条西7丁目 | ||
山鼻9条 | 2.86 | 7.39 | 札幌市営地下鉄南北線:中島公園駅 (N09) | 南9条西7丁目 | |
東本願寺前 | 3.17 | 7.70 | 南7条西7丁目 | ||
資生館小学校前 | 3.59 | 8.12 | 南4条西6丁目 | ||
すすきの | 3.88 | 8.41 | 札幌市営地下鉄南北線:すすきの駅 (N08) 札幌市営地下鉄東豊線:豊水すすきの駅 (H09) |
南4条西4丁目 |
運賃
札幌市交通局では市電・地下鉄とも「運賃」と表記せず、「料金」としている。ただ、本記事内では便宜上「運賃」と表記する。
以下の記載金額はいずれも2014年6月1日現在のもの。
- 全線均一運賃を採用し、大人1乗車170円(子供90円)。
- 市電車内、定期券発売所および札幌市交通案内センター(地下鉄大通駅コンコース内)などで下記の割引乗車券を販売している。
- 土日祝日限定の市電専用1日乗車券「どサンこパス」(1枚300円、家族割引として同伴の子供1名が無料になる)
- このほか、地下鉄および各バス会社の市内線と共通の1日乗車券もある。詳細な利用区間は札幌市営地下鉄#各種乗車券を参照のこと。
- 共通1DAYカード(1枚1,000円)
- 2014年5月31日まで、午前10時 - 午後4時のみ使用可能な市電専用「昼間割引回数券」(2,000円で2,500円分乗車可能)の販売と、午前7時までに現金で乗車の場合に限り適用される、早朝割引が設定されていた。(大人150円、子供料金設定なし=90円)[2]
地下鉄乗継割引
市電と地下鉄を乗り継ぐ際に「乗継券」を購入すると運賃が割引になる。乗継券の購入は現金・共通ウィズユーカード・SAPICA(KitacaやSuicaなどSAPICAに片乗り入れしているIC乗車券も含む)に限られ、各種回数券での乗り継ぎはできない。また、共通ウィズユーカードやSAPICAの場合は地下鉄駅や市電の運賃箱に搭載された「カードリーダー」にカードを直接投入、またはタッチすることによっても自動的に乗継割引が適用される。なお、乗り継ぎができる停留場・地下鉄駅は指定されている。「停留場一覧・接続路線」の項を参照のこと。
現金乗り継ぎの手順
- 市電→地下鉄の場合
- 市電降車時に乗務員に乗継券の発行を申し出て、大人290円(子供150円)を運賃箱に投入する。
- 乗継券を受け取り、地下鉄駅の改札機に通して地下鉄に乗車。
- 乗継券のみで乗車できる区間は地下鉄運賃が200円の区間(1区)まで、これを超えて乗車した場合は下車駅で精算する。
- 地下鉄→市電の場合
- 地下鉄乗車時に市電乗継券を購入する。金額は乗車駅により異なる(大人で290円から400円)ので、各駅の運賃表で確認のこと。
- 乗継券を改札機に通して地下鉄に乗車。降車時に改札機から乗継券が出てくるので、それを持って市電に乗車。
- 市電降車時に乗継券を運賃箱に投入する。
ロープウェイ乗継割引
1958年に市営として開業し、現在では札幌振興公社が運営する藻岩山ロープウェイでも、市電との乗継割引が行われる。電車内に置かれている割引券でロープウェイともーりすカー(ミニケーブルカー)往復1,700円(大人)が1,500円になる。
歴史
民営時代
1918年8月 - 9月に開道50周年を記念して北海道大博覧会が開催されることになったのを機に、馬車鉄道を路面電車化しようという動きが高まり、1916年10月には「馬車軌道」から「電気軌道」へ社名を変更した。
改軌および電化の工事は1918年4月から始められた。当初は軌間を1,372mm(馬鉄軌)とする計画で、車両はイギリスのデッカー社から輸入する予定だったが、第一次世界大戦の影響でヨーロッパからの海上輸送は困難となり、急遽名古屋電気鉄道から中古の車両を譲り受け、またアメリカからやはり中古のレールを輸入した。この時、軌間は車両に合わせて鉄道院管轄下の国有鉄道(国鉄→JR在来線の前身)と同じ1,067mmに変更された。こうした混乱のため、8月1日の博覧会開会に間に合わず、8月12日に停公線(札幌停車場 - 中島公園、のちの西4丁目線および中島線)、南四条線(南4条西3丁目 - 南4条東3丁目、のちの豊平線)、一条線(南1条西14丁目 - 南1条東2丁目)が開業した。
その後、旧馬車軌道線を中心としてほぼ毎年のように路線の新設・延長が相次いだ。冬季は雪に悩まされ、馬そりによって代行輸送することも少なくなかったが、1925年より運行を開始したササラ電車により改善されている。ササラ電車は現在でも軌道の除雪に活躍し、札幌の冬の風物詩となっている。
市営化 - 最盛期(1920年代 - 1960年代)
1927年12月1日に路面電車が市営化された際の総延長は16.3km、保有車両数は63両だった。その後も路線の拡充は続き、1931年には鉄北線を除くすべての路線が全線開通した。第二次世界大戦中は節電のために停留場の統廃合や終電の繰り上げ、通学切符の最低距離制限、を行い、さらに乗務員不足を女子挺身隊で補った。戦後の1946年冬には閑散路線を一時休止したほか、進駐軍の将兵およびその家族が藻岩山でスキーを楽しむために、都心部と山鼻方面の間に専用電車が運行された。やがて復興が進むにつれて輸送需要も増大し、ボギー車の導入や単線区間の複線化が進められた。
1950年代後半から60年代初期にかけて、隣接自治体との合併や郊外の人口増加に伴い、路線網の拡大が計画されたが、実現したのは鉄北線の新琴似延伸のみだった。この当時新設が検討された路線には以下のようなものがあった。
- 中央市場通より琴似方面
- 鉄北線より分岐して北光方面
- 豊平線より分岐して菊水・上白石方面
- 一条線と北五条線を西15丁目通で短絡
- 豊平駅前より月寒方面
- 月寒には陸軍病院が設置されていたことから軍の要請で路線敷設が計画されたことがある。
- 国鉄千歳線旧線に乗り入れて一条線または豊平線を延伸
- 地下鉄東西線も、当初はこのルートで計画された。現在この区間はサイクリングロード(北海道道1148号札幌恵庭自転車道線)となっている。
1960年代に入ると輸送量の増加に対応するため、ラッシュ時のみ増結される親子電車や連接車を導入したが、一方で自動車の交通量も増加し、電車の運行に支障が出始めていた。このころ一部の系統で「婦人子供専用車」が運行されたが、朝晩わずか1往復ずつだったために利用しにくく、程なく廃止されている。このほか、朝夕の通勤輸送の便を図ることを目的に「急行電車」が運転されたこともあった。
乗車人員は1964年度をピークとして減少に転じる。また、急行電車廃止の代替措置として1965年に各路線で停留場の統廃合を行ったことにより停留場間の距離が広がり、逆に利便性が損なわれ、利用客の減少に拍車がかかったとも言われている。
路線縮小、その後(1970年代 -)
1972年の札幌オリンピック開催決定を機に地下鉄が建設されることになり、1968年から南北線北24条駅 - 真駒内駅間の工事が始まった。さっぽろ駅 - すすきの駅間は市電の最高密度区間である西4丁目線の真下だったため、10m単位で切断した線路を最終電車の通過後に枕木ごと持ち上げて掘削し、朝までに覆工板を敷いて軌道を復旧するという綱渡り的な作業も行われたが、結局始発電車に間に合わないこともあった。
一方、鉄北線を新琴似駅前より当時は地平を走っていた札沼線の下を立体交差で抜け、防風林に沿って新札幌団地(現・石狩市花川南付近)まで延伸する構想が地域住民の間から持ち上がった。北24条で南北線と接続し、都心に連絡するというものだったが、市電への投資は難しいことから立ち消えになった。
南北線開業直前の1971年(2回)と開業後の1973年、1974年の4度にわたって多くの市電路線が廃止され、現在の区間のみとなった。全廃、または東西線との競合区間の廃止も検討されたが、公害問題や折りからの石油ショックなどで路面電車が見直され、1976年に存続が決まった。その後は車体の更新、軌道や停留場の改修などとともに経営の健全化が図られ、一度は赤字になっていた事業を立て直すことに成功した。
2001年に函館市電と共に北海道遺産に選定された。2002年には再び赤字に転落したことや、車両の老朽化が進んでいること、将来的に乗客数の伸びが見込まれないことなどにより民間委託や廃止、あるいは逆に、環境保護や都心部の活性化の核とすべく、路線の再延長、ライトレール化等が提案されていた。上田文雄札幌市長は2005年2月に存続を決定した。
路線延伸についての動き
2005年8月、まちづくりの中で市電を活用する方法について学識経験者や札幌市幹部が話し合う「さっぽろを元気にする路面電車検討会議」が発足した。12月には札幌市役所で同会議が開かれ、「札幌駅への延伸なしに存続は成り立たない」との判断に達した。
同月、かねてより札幌市電の延伸・ライトレール化を訴えていた市民団体の一つが3通りの延伸案を公表した。
- 西4丁目から東に直進して西3丁目で左折、札幌駅まで北進。札幌駅から右折して西2丁目線を南進し、南1条で西4丁目に戻る。
- 西4丁目から東に直進して西3丁目で左折、札幌駅まで北進。札幌駅から左折して駅前通を南進、西4丁目に戻る。
- 西4丁目から札幌駅前通を通って札幌駅前まで延伸、これを往復する。
なお、同団体を含む市電存続派の多くは西4丁目停留場とすすきの停留場の間を結ぶことを主張していたが、この案ではとりあえず駅前延伸を最優先するとしていた。
札幌市は検討会議に対して具体的な路線延伸案(上記民間案の通りになったかどうかは不明)を提案する予定だった。しかし、札幌商工会議所や都心部の商業関係者からの慎重論が大きいことなどにより[3]、2006年5月に当面の間は見送ることとした。
その後、2010年の1月1日に札幌市は市電を延伸する方針を固めたと報じられた[4]。延伸先の候補としては都心地区(札幌駅 - すすきの間)、創成川東・苗穂地区、桑園地区、山鼻南地区の4箇所が挙げられており、延伸による収支の推計や具体的なルートを2010年度中に決定するとしていた。
2012年1月、西4丁目 - すすきの間の札幌駅前通上を複線で接続する方針が固まったと報道された[5]。狸小路付近に停留場も新設される。また、既設区間とは異なり、軌道は歩道沿いに設置される予定である。2014年度着工/完成の予定で、同区間の路面電車はおよそ40年ぶりの復活となる。総事業費は約20億円[6]。また、新型低床車両も2013年5月上旬から運行開始、2015年春までに計3車両導入される予定である[7]。これらの延伸や新型車両導入を含めた「札幌市路面電車活用計画」が2012年4月に決定、公表された[8]。
ループ化開業は2015年春と発表されていたが、2014年7月25日に札幌市交通局が軌道工事の入札不調と品質管理上の問題から、開業が2015年10月以降、遅くとも2015年内になることを発表している[1]。
現存・廃止路線一覧
- 路線名・停留場名は現行のもの(廃線については廃止時点のもの)に統一。
- 特に注記がない路線は全線軌間1,067mm、複線、直流600V電化。
- 現存路線の一条線・山鼻西線・山鼻線はそれぞれ直通運転している。
現存路線(一部廃止区間を含む)
一条線
- 一条橋 - 頓宮前 - 丸井前(停留場の表記では「井」を丸囲み) - 西4丁目(廃止)
- 西4丁目 - 西8丁目 - 中央区役所前 - (山鼻西線との分岐、現存せず)
- (山鼻西線との分岐、現存せず)- 西15丁目[9] - 医大病院前 - 長生園前 - 琴似街道 - 円山公園(廃止)
- 1918年8月12日 東2丁目 - 西15丁目間開業。
- 開業時は南1条通上に西15丁目停留場があり、そこから西に延伸した区間を当初「円山線」と呼称していた。
- 1920年1月 頓宮前 - 東2丁目間開業。
- 1921年12月 西15丁目 - 医大病院前間開業。
- 1923年10月 医大病院前 - 西20丁目間開業。
- 1923年11月 西20丁目 - 琴似街道間開業。
- 1924年5月 琴似街道 - 円山公園間開業。
- 1925年1月 一条橋 - 頓宮前間開業。
- ?年 円山三丁目停留場廃止。
- 1965年8月1日 西15丁目を医大病院前に統合、廃止。
- 1973年4月1日 一条橋 - 西4丁目間、医大病院前 - 円山公園間廃止。
- 地下鉄東西線開業時にも残存区間の廃止が検討されたが、見送られている。
- 1918年8月12日 東2丁目 - 西15丁目間開業。
山鼻西線
- 西15丁目 - 西線6条 - 西線9条旭山公園通 - 西線11条 - 西線14条 - 西線16条 - ロープウェイ入口 - 電車事業所前 - 中央図書館前
山鼻線
- 中央図書館前 - 石山通 - 東屯田通 - 幌南小学校前 - 山鼻19条 - 静修学園前 - 行啓通 - 中島公園通 - 山鼻9条 - 東本願寺前 - 資生館小学校前 - すすきの
廃止路線
西4丁目線
豊平線
- すすきの - 4条東1丁目 - 豊平2丁目 - 豊平5丁目 - 豊平8丁目(定山渓鉄道線廃止までの名称は「豊平駅前」)
- 1918年8月12日 すすきの - 松竹座前間は停公線として、そこから4条東3丁目まで南4条線として一部開業。
- 1924年11月 4条東3丁目 - 大門通(のち廃止)間開業。
- 1925年4月 大門通 - 平岸街道(のちの豊平5丁目)間開業。
- 1929年10月20日 平岸街道 - 豊平駅前(のちの豊平8丁目)間開業(単線)。
- 1950年12月1日 豊平駅前に引込線竣工。
- 1954年6月 全線複線化。
- 1965年5月1日 豊平橋架替え工事に伴い一部区間運休、バス代行。
- 1966年10月1日 全区間の運行再開。豊平駅前の引込線廃止、国道36号線上に停留場を移設。
- 1971年10月1日 全線廃止[10][11]。
中島線
苗穂線
- グランドホテル前 - (西4丁目線より分岐→) - 道庁前 - 東3丁目 - 東7丁目 - 東10丁目 - 苗穂駅前
北5条線
- 札幌駅前 - (鉄北線が分岐→) - 中央郵便局前 - 北5条11丁目 - 予備校前 - 桑園学校通 - 中央市場通
西20丁目線
桑園線
鉄北線
- 札幌駅前 - (←北5条線に合流) - 北大正門前 - 北大病院前 - 北17条 - 北21条 - 北24条 - 北27条 - 北30条 - 北33条 - 北37条 - 麻生町 - 新琴似駅前
- 1927年12月28日 5丁目踏切 - 北18条(のち、北16条と統合)間開業。
- 1932年12月10日 西5丁目(のちに廃止) - 北7条通間開業。跨線橋によって他路線と直通運転が可能になった。
- 1952年9月28日 北18条 - 北24条間開業(単線)。
- 1954年7月 北18条 - 北24条間複線化。
- 1959年12月1日 北24条 - 北27条間開業。
- 1963年11月17日 北27条 - 麻生町間を非電化路線として開業。全国でも珍しい「路面ディーゼルカー」しか走れない区間となった(ディーゼルカー自体は1958年8月12日から電化区間で運行開始)。
- 1964年12月1日 麻生町 - 新琴似駅前間開業(非電化)[13]。
- 1965年5月1日 北33条まで電化。
- 1967年11月1日 北33条 - 新琴似間電化完了、全線電化。また、国鉄函館本線の電化に伴う西5丁目陸橋(通称おかばし)改修により、陸橋区間のみ専用軌道化。
- 1971年12月16日 札幌駅前 - 北24条間廃止。
- 1974年5月1日 全線廃止。
過去の運転系統
最盛期の1958年ごろの系統は以下の通り。
- 1系統 一条橋 - 丸井前 - 西4丁目 - 札幌医大前 - 西保健所前(のちの長生園前)- 円山公園〔一条線〕
- 2系統 北24条 - 札幌駅前 - すすきの - 静修学園前 - 学芸大学前(現:中央図書館前)〔鉄北線、西4丁目線、山鼻線〕
- ※臨時系統は郵政研修所前(現:ロープウェイ入口)まで延長運転
- 3系統 西保健所前 - 桑園学校通 - 札幌駅前 - 豊平駅前〔西20丁目線、北5条線、西4丁目線、豊平線〕
- 4系統 苗穂駅前 - 道庁前 - 三越前 - すすきの - 中島公園通〔苗穂線、西4丁目線、山鼻線〕
- ※臨時系統は南16条(現:静修学園前)まで延長運転
- 5系統 桑園駅前 - 札幌駅前 - すすきの - 豊平駅前〔桑園線、北5条線、西4丁目線、豊平線〕
- 6系統 丸井前 - 学芸大学前〔一条線、山鼻西線〕
- 12系統 北24条 - 札幌駅前 - 中島公園通〔鉄北線、西4丁目線、山鼻線〕
- ※臨時系統は南16条まで延長運転
路線縮小が始まる直前(1970年ごろ)の系統は以下の通り。
- 1系統 一条橋 - 丸井前 - 西4丁目 - 医大病院前 - 長生園前 - 円山公園
- 2系統 北24条 - 札幌駅前 - 三越前 - すすきの - 静修学園前 - 教育大学前(現:中央図書館前)
- 3系統 医大病院前 - 長生園前 - 中央市場通 - 札幌駅前 - 三越前 - すすきの - 豊平8丁目(旧:豊平駅前)〔一条線、西20丁目線、北5条線、西4丁目線、豊平線〕
- 4系統 苗穂駅前 - 道庁前 - 三越前 - すすきの - 静修学園前
- 7系統 新琴似駅前 - 北24条 - 札幌駅前 - 三越前 - すすきの〔鉄北線、西4丁目線〕
- 8系統 三越前 - すすきの - 静修学園前 - 教育大学前 - 西線16条 - 交通局前 - 西4丁目 - 丸井前〔西4丁目線、山鼻線、山鼻西線、一条線〕
- 臨時2系統 北24条 - 札幌駅前 - 三越前 - すすきの - 静修学園前
- 臨時3系統 札幌駅前 - 中央市場通 - 長生園前
- 臨時7系統 北37条 - 北24条 - 札幌駅前 - 三越前 - すすきの
- 臨時7系統 北27条 - 北24条 - 札幌駅前
- 臨時8系統 丸井前 - 交通局前 - 西線16条 - 教育大学前
- 臨時8系統 西4丁目 - 交通局前 - 西線16条
車両
気笛としては、JRの暖地向け電車のようなタイフォンではなく、トロンボーン笛が採用されており、現代日本の路面電車においては稀有な存在となっている。なお、旅客車には伊予鉄道松山市内線などと同旋律のミュージックホーンも搭載する。
現役車両
2014年6月現在。
- 210形:4両(211 - 214)1958年製。
- 220形:2両(221 - 222)1959年製。
- 240形:7両(241 - 244、246 - 248)1960年製。
- 250形:5両(251 - 255)1961年泰和車両製。D1020形と同様のやや角ばった車体。500形の機器流用車。
- M100形:1両(M101)1961年日本車輌製。親子電車の「親」。
- 8500形:2両(8501 - 8502)1985年製。VVVFインバータ制御車。
- 8510形:2両(8511 - 8512)1987年製。8500形の増備車。
- 8520形:2両(8521 - 8522)1988年製。8510形の増備車。
- 3300形:5両(3301 - 3305)1998 - 2001年改造。330形の電気部品・台車を利用した車体更新車。
- A1200形[14]:3両(A1201 - A1203)2012 - 2013年製。全長約17m、3車体連接、2台車。定員71名。出入口部の床面高さ350mm。冷房装置搭載(札幌市電の車両としては初)。公募にて愛称が「ポラリス」に決まり、2013年8月25日の市電フェスタおよび交通局ホームページで発表された。
- ブルーム式除雪車(ササラ電車)
- 雪1形:3両(雪1 - 雪3)
- 雪10形:1両(2代目・雪11)
塗色
1950年代末から1970年代にかけては上が濃いベージュ、下がややくすんだグリーンで、前面には白塗装、またはステンレス板のヒゲ飾りを持ち、白ヒゲ車の場合は極細い帯が側面までつなげられ、線の上縁は水平で、下縁は徐々に上がる、ゆるいテーパーがついて、車体中央で最も細くなっている。その後ワンマン改造車は、上下2色の間(窓下)に蛍光オレンジの帯が入れられた。これ以降の帯は一様の幅となった。1980年代の全車ワンマン化の後は帯色は白に変えられた。M101号はこの塗装のまま残された唯一の車両である。
1980年代に新製された車両や、その頃に改修された車両は上がクリームホワイト、下が濃淡2種類の緑色だった。
1990年代中頃から札幌市交通局のCI活動として市営バス(当時)とともに、床から下のみ白、他はエメラルドグリーンという現在の塗色に変更された。
1998年に札幌市屋外広告物条例の規制が緩和され、市電にもラッピング車両が認められた。2006年現在は現役車両の約半数を占めている。
過去の車両
廃車車両の一部は地下鉄自衛隊前駅南側高架下にある札幌市交通資料館に保存・展示されている。なお、10形22号(旧29号)だけは静態保存にも関わらず車籍が残されている。このようなケースは全国的にも珍しい。
- 単車
- 10形:24両(11 - 37、13・23・33欠番)1898 - 1907年製、1918年購入。一度は全廃されたが、車庫で保存されていた29号が修繕工事を実施し22号に車号変更の上で復帰。復帰後は数回イベントなどで運行されたが現在は交通資料館で静態保存されている。
- 40形:28両(41 - 68)1921 - 1924年製。
- 100形:9両(101 - 109)1925 - 1926年製。
- 110形:5両(110 - 114)1927年製。
- 120形:8両(120 - 127)1929年製。
- 130形:9両(130 - 138)1931年製、初の半鋼製車。
- 150形:11両(151 - 161)1936年製。
- 170形:5両(171 - 175)1937年製。
- ボギー車
- 500形:5両(501 - 505)1948年日本鉄道自動車製。運輸省規格型で初のボギー車。
- 600形:20両(601 - 620)1949 - 1951年日本車輌製。日車標準型で戦後復興期の主力車両。改造により前中扉・正面1枚窓化。615号を601に改番し交通資料館で保存。
- 550形:10両(551 - 560)1952年汽車会社製。初の前中扉車、正面2枚窓。
- 560形:10両(561 - 570)1953年汽車会社製。正面傾斜2枚窓。
- 570形:10両(571 - 580)1954 - 1955年汽車会社製。正面傾斜2枚窓Hゴム支持。
- 580形:5両(581 - 585)1956年汽車会社製。正面2枚窓Hゴム支持、初のZ形パンタグラフ・ドアエンジン装備。585号は初の蛍光灯照明。
- 320形:7両(321 - 327)1957年ナニワ工機製。正面3枚窓。321号が交通資料館で保存。
- 200形:8両(201 - 208)1957年札幌綜合鉄工共同組合製、初の道産電車。正面3枚窓、前折戸。
- 330形:5両(331 - 335)1958年日立製、「札幌スタイル」の原型。3300形に更新されたほか、335号は「ひよどり電車文庫」として保存(画像参照)。
- 210形:2両(215・216)1958年製。
- 220形:6両(223 - 228)1959年製。
- 230形:8両(231 - 238)1959年製。
- 240形:1両(245)1960年製。1970年に事故のため廃車。
- 路面ディーゼル車
- ディーゼル車を電車化した車両
- 連接車(表示上は「連結車」)
- A800形:3編成6両(A801+A802 - A805+A806)1963年日本車輌製、初の連接車。カーブでのせり出しを抑えるため極端に絞った車端部が特徴。A801+A802が交通資料館で保存。
- A810形:2編成4両(A811+A812 - A813+A814)1964年日本車輌製、A800形の改良形。オーバーハングの適正化、パッセンジャーフロー方式初採用、前折戸、中特大片引扉。
- A820形:2編成4両(A821+A822 - A823+A824)1964年日本車輌製。新・札幌スタイルとなる大型固定窓を採用、幅広貫通幌とともに地下鉄1000形へと受け継がれる。
- A830形:6編成12両(A831+A832 - A841+A842)1965年東急車輛・日本車輌製。ローレル賞受賞。ドア配置を変更、中扉は二重片引戸に。D1040形とともに欧州の専門誌にもたびたび取り上げられる。1976年にA837+A838 - A841+A842の3編成6両を名古屋鉄道に譲渡、モ870形となる。岐阜市内線で活躍していたが、路線の廃止に伴い全車廃車された。名古屋鉄道は、「歴史」の項で前述したように名古屋電気鉄道が母体であり、市電が開業した際には車両を譲渡し、市電が縮小された際には札幌から車両を譲受するなど、札幌市電との関係は深い。
- 貨車
- 貨:2両(貨1 - 旧・貨2)1944年製。
- 貨:4両(貨2 - 貨6)1956年製。
- 散水車
- 水:4両(水1 - 水4)1952 - 1954年製。
- 排雪車
- 雪1形:5両(雪4 - 雪8)ブルーム式排雪車(ササラ電車)。雪4 - 雪7号は路線縮小や老朽化のため廃車。雪8号は木造車体のまま廃車され、交通資料館で保存。
- 雪10形:3両(雪11 - 雪13)プラウ式排雪車。雪11号が交通資料館で保存。
- DSB1形:3両(DSB1 - DSB3)鉄北線非電化区間用ディーゼルブルーム式排雪車 (Diesel Snow Broom)。DSB1号が交通資料館で保存。
車両数の変遷
年 | 210形 | 220形 | 240形 | 250形 | 330形 | M100形 | 700形 | 710形 | A830形 | 8500形 | 8510形 | 8520形 | 3300形 | 合計(冷房車) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1978 | 6 | 2 | 7 | 5 | 5 | 1 | 3 | 1 | 6 | 36(0) | ||||
1982- 1984 |
6 | 2 | 7 | 5 | 5 | 1 | 3 | 1 | 6 | 36(0) | ||||
1985 | 6 | 2 | 7 | 5 | 5 | 1 | 3 | 1 | 2 | 32(0) | ||||
1986 | 6 | 2 | 7 | 5 | 5 | 1 | 1 | 1 | 2 | 30(0) | ||||
1987 | 6 | 2 | 7 | 5 | 5 | 1 | 1 | 1 | 2 | 2 | 30(0) | |||
1988- 1989 |
6 | 2 | 7 | 5 | 5 | 1 | 2 | 2 | 2 | 32(0) | ||||
1990- 1997 |
4 | 2 | 7 | 5 | 5 | 1 | 2 | 2 | 2 | 30(0) | ||||
1998 | 4 | 2 | 7 | 5 | 4 | 1 | 2 | 2 | 2 | 1 | 30(0) | |||
1999 | 4 | 2 | 7 | 5 | 3 | 1 | 2 | 2 | 2 | 2 | 30(0) | |||
2000 | 4 | 2 | 7 | 5 | 2 | 1 | 2 | 2 | 2 | 3 | 30(0) | |||
2001 | 4 | 2 | 7 | 5 | 1 | 1 | 2 | 2 | 2 | 4 | 30(0) | |||
2002- 2011 |
4 | 2 | 7 | 5 | 1 | 2 | 2 | 2 | 5 | 30(0) |
- 事業用車除く
- 1978年は10月1日現在、82・83年は1月1日現在、84年以降は4月1日現在
- 『私鉄車両編成表』各年版、ジェー・アール・アール
その他
2007年秋から2008年春にかけて、2種類のバッテリートラムが冬季運行試験を行っていた。いずれの車両も試験終了後は開発元に返却された。
営業所・車庫
現在は全車両が南21条西16丁目の電車事業所内にある車輌センターに所属する。かつては市内各所に営業所や車庫が置かれていたが、路線縮小や合理化に伴う統廃合により廃止・集約された。
廃止された営業所は以下の通り。
廃止された車庫は以下の通り。
- 中央車庫(南2条西11丁目)
- (旧)幌北車庫(北10条西4丁目)
- 幌北車庫(北24条西5丁目)
- 現・札幌サンプラザ付近
フィクションの中の札幌市電
- ガメラ2 レギオン襲来
- すすきのに出現した「草体」をガメラが破壊する場面で、停留場の屋根などが映っている。
- ヒロインの家の目の前を市電(8522号)が走っている。ロケ地は山鼻線沿線。部屋のシーンはセットで撮影されたが、効果音として実車の走行音が使われている。
- Kanon(TVアニメリメイク版)
- 不滅の愛
- イ・ビョンホンが運転士を演じている。
- 探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点
- 車内での乱闘シーンが撮影されている。
- ロケは西線16条〜ロープウエイ入口間で、夜間交通規制の上で敢行された。
- 映画の公開に合わせ、ラッピング電車(241号)が運行された。
脚注
参考書籍
- さっぽろ文庫22巻『市電物語』(札幌市教育委員会編、北海道新聞)
- 札幌市 交通事業三十年史(田中潜編、札幌市交通局、1957年)
- 札幌市交通事業小史(日塔聡編、札幌市交通局、1968年)
関連項目
- 札幌石材馬車鉄道
- 藻岩山ロープウェイ
- 函館市企業局交通部 - 旧・函館市交通局。北海道初の路面電車を運営。札幌市電とともに北海道遺産に選定されている。
- 路面電車
- 路面電車の走る街の一覧
- ライトレール
- SWIMO
- 鉄道総研LH02形電車
外部リンク
札幌市電の有効活用を唱える地元市民団体
テンプレート:日本の路面電車- ↑ 1.0 1.1 テンプレート:PDFlink - 札幌市交通局 2014年7月25日
- ↑ 乗車料金/札幌市
- ↑ 北海道新聞・朝刊 2009年2月26日
- ↑ 2010年1月1日付北海道新聞
- ↑ 北海道新聞・朝刊 2012年1月28日
- ↑ 2012年2月4日付朝日新聞デジタル
- ↑ 広報さっぽろ 2012年6月号
- ↑ 札幌市路面電車活用計画
- ↑ 南へ分岐した山鼻西線側の「西15丁目」は、1950年12月1日に新設され、1958年7月1日に「交通局前」へ改称、1982年11月1日に現在の名称に戻されている。
- ↑ 10.0 10.1 10.2 ““サヨナラ電車” 廃止される札幌市電の3線 花火に送られお別れ式”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1971年10月1日)
- ↑ 11.0 11.1 11.2 “チンチン電車、さようなら記念乗車券”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1971年9月28日)
- ↑ 「運輸省告示第76号」『官報』1951年4月18日(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ↑ “札幌市電、鉄北線の延長工事完成”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1964年12月2日)
- ↑ 札幌市電の新型低床車「A1200形、5月上旬から運行開始」 レスポンス 2013年3月15日