阪急千里線
|} 千里線(せんりせん)は、大阪府大阪市北区の天神橋筋六丁目駅から大阪府吹田市の北千里駅までを結ぶ阪急電鉄の鉄道路線。北千里駅まで延伸されるまでは千里山(支)線と呼ばれていた。北千里線と呼ばれることもあるが、正式なものではない。
なお、正式な起点は天神橋筋六丁目駅だが、列車運行上は北千里駅から天神橋筋六丁目駅へ向かう列車が下り、逆方向が上りとなっている。
路線データ
- 路線距離(営業キロ):13.6km
- 軌間:1435mm
- 駅数:11駅(起終点駅含む)
- 複線区間:全線
- 電化区間:全線電化(直流1500V)
- 閉塞方式:自動閉塞式
- 最高速度:80km/h
- 車両基地:正雀車庫・工場、桂車庫
概要
千里丘陵に広がる千里ニュータウンの通勤・通学路線である。淡路駅をジャンクションとして、終日にわたり京都本線との直通運転が行われている。また、大阪市営地下鉄堺筋線と相互直通運転を行っており、乗り入れ先の終点・天下茶屋駅では南海電気鉄道との乗り換えも可能である。
天神橋筋六丁目駅から千里山駅までは戦前に開業した区間で、急曲線や急勾配が続き、運転上のネックとなっている。例えば、豊津駅 - 関大前駅間には35km/hの制限速度が設定されている。
千里山駅から北千里駅までは、1963年以降に開通した、阪急の鉄道路線の中では最も新しい区間で、直線的であり運行速度も速い。また、当該区間は全て高架線、掘割またはトンネルからなっており、踏切は一つもない。南千里 - 山田間には、阪急唯一の山岳トンネルである千里トンネルがあるが、地下鉄と同様の開削工法で建設されたため構造は地下鉄のものと変わらない。
運行形態
テンプレート:See also 千里線内だけで完結する天神橋筋六丁目駅折り返し列車は早朝と深夜のみであり、大半は、以下のように他の路線との直通運転を行っている。後述の堺筋準急・臨時に運行される直通特急を除き、いずれも普通列車である。
運転区間 | 経由路線 | |||
---|---|---|---|---|
A | 北千里 - 梅田 | 千里線 | 京都本線 | |
B | 北千里 - 天下茶屋 | 千里線 | 堺筋線 | |
C | 高槻市 - 天下茶屋 | 京都本線 | 千里線 | 堺筋線 |
日中は、AとC、Bと高槻市 - 梅田間の普通を一組とし、この二組を交互に運転する。それぞれの組は淡路駅で連絡を図る。
また京都本線と地下鉄堺筋線とを直通運転する優等列車として準急(堺筋準急)が設定されている。平日朝の下りと夕の上り、土休日の昼間にそれぞれ河原町駅発着で運転される。千里線にあたる区間では柴島駅を通過するが、これが千里線で通過列車の設定されている唯一の駅である。なお、2007年3月17日のダイヤ改正前は急行(堺筋急行)、快速急行(堺筋快速急行)として運転されていた。2011年からは、行楽期の土休日に運行される直通特急が天下茶屋駅 - 嵐山駅間に設定されている。
なお、1970年の大阪万博の開催時、万博利用客のための臨時準急「EXPO準急」が運転されていた。千里線内の停車駅は淡路駅・吹田駅・関大前駅・南千里駅・万国博西口駅(万博開催時に営業していた臨時駅)であった。また十三駅でスイッチバックを行い、神戸線・宝塚線に直通運転を行う「エキスポ直通」も設定されていた。また堺筋線との相互直通運転を行う前までは天神橋駅(現在の天神橋筋六丁目駅) - 阪急京都駅(現在の大宮駅)間の普通列車も運転されていた(のちに河原町駅まで延長)。この運転系統は一時期全く運行されていなかったが、2011年5月14日のダイヤ改正で土休日の朝晩に天下茶屋駅発河原町駅行きの普通列車が運行されている。
使用車両
6300系と9300系を除く京都線所属の形式が使用される。堺筋線直通車はすべて8両編成で阪急車両のほか大阪市交通局の66系も使用される。一方で、梅田発着の列車は8両編成と7両編成が使用されている。なお、2300系は堺筋線に入線できないことから、淡路 - 北千里間でのみ使用される。
歴史
当線の歴史は、北大阪電気鉄道が1921年に十三 - 豊津間を開業させたことに遡る。当初から大阪市内への乗り入れを計画していたが、資金難で淀川への架橋ができなかった。そこで、現・崇禅寺駅付近 - 現・吹田駅付近で東海道本線の旧線跡を譲り受け、阪神急行電鉄(阪急)の十三駅に接続することで当座をしのぐこととした。同社は沿線で霊園の開発を積極的に行ったため、「墓地電車」の異名を取った。
一方京阪電気鉄道は、京阪本線のバイパスとして大阪 - 京都間で淀川右岸を通る高速新線、新京阪鉄道を計画していた。大阪側の起点を模索していた新京阪は、北大阪電気鉄道の保有する天神橋 - 淡路間の免許に目を付け、1923年に同社から鉄道事業の譲渡を受けた。1925年には淀川を渡る天神橋 - 淡路間が開業、3年後の1928年には天神橋駅 - 西院駅(のちに大宮駅)間で特急を走らせるようになり、以降戦後までは天神橋 - 淡路間が本線として扱われた。後に新京阪は親会社の京阪電気鉄道に合併して千里山(支)線となり、さらに1943年には戦時統合により京阪が阪神急行電鉄と合併、京阪神急行電鉄(現在の阪急電鉄)の路線となる。
戦後の1961年12月、宝塚本線の混雑緩和を目的として、千里山線と箕面線とを連絡する千里山延長線(千里山駅 - 桜井駅間)の事業免許を取得し、このうち千里山駅 - 新千里山駅(現在の南千里駅)間は1963年8月に開業した。新千里山からは千里中央駅を経由して桜井へ向かう北西方向へのルートをとる予定であったが、大阪府からの要請によりルートを変更して北方向の北千里へ延伸することになった。北千里駅へ延伸した1967年、路線名を千里線に改称。新たな終着駅となった北千里駅には、日本初の本格的な自動改札機が導入された。一方、桜井駅に至る事業免許は、宝塚線の輸送力が増強されたことなどから1972年12月に破棄された。
1970年の日本万国博覧会開催にあたっては、当路線も会場までのアクセスに供されることとなり、前年の1969年には大阪市営地下鉄堺筋線との相互直通運転を開始。この時、新京阪鉄道以来のターミナルだった天神橋駅が地下駅に移転し、天神橋筋六丁目駅と改称された。万博期間中は会場に隣接して万国博西口駅を設置、阪急各線から前述の臨時列車を運行し、メインルートである北大阪急行を補佐した。
テンプレート:Double image aside テンプレート:-
年表
- 1921年(大正10年)
- 1922年(大正11年)4月17日 花壇前駅 - 千里山駅間に大学前駅開業。
- 1923年(大正12年)4月1日 新京阪鉄道が北大阪電気鉄道の鉄道路線を譲り受ける。
- 1925年(大正14年)10月15日 新京阪鉄道が天神橋駅(現在の天神橋筋六丁目駅) - 淡路駅間を開業。
- 1928年(昭和3年)1月16日 全線の架線電圧を600Vから1500Vに昇圧。
- 1930年(昭和5年)9月15日 京阪電気鉄道が新京阪鉄道を合併。千里山線となる。
- 1938年(昭和13年)9月15日 花壇前駅を千里山遊園駅に改称。
- 1943年(昭和18年)
- 1944年(昭和19年)
- 1946年(昭和21年)
- 1949年(昭和24年)12月1日 京阪電気鉄道が分離。千里山線は京阪神急行電鉄の路線となる。
- 1950年(昭和25年)8月1日 千里山遊園駅を女子学院前駅に改称。
- 1951年(昭和26年)4月1日 女子学院前駅を花壇町駅に改称。
- 1959年(昭和34年)2月18日 京都本線の天神橋駅 - 淡路駅間を千里山線に編入。千里山線の列車が梅田駅乗り入れ開始。
- 1963年(昭和38年)8月29日 千里山駅 - 新千里山駅(現在の南千里駅)間が開業。
- 1964年(昭和39年)4月10日 市役所前駅に(旧)吹田駅を統合し吹田駅に改称、花壇町駅を大学前駅に移転統合し関大前駅開業。
- 1967年(昭和42年)3月1日 南千里駅 - 北千里駅間が開業し千里線に改称。新千里山駅を南千里駅に改称。
- 1969年(昭和44年)
- 1973年(昭和48年)11月23日 万国博西口駅跡の400m南に山田駅開業。
- 1979年(昭和54年)
- 淀川治水対策の一環で新淀川橋梁を架け替え。新旧で両岸取付部はほぼ同地点だが、両地点を直線で結ぶ(流れ方向に直交する)ガーダー橋だった旧橋梁に対して、新橋梁は右岸で曲線の線形を描くトラス橋となったため、柴島駅南側の曲線が緩和された。
- 3月5日 天神橋筋六丁目 - 淡路間で平日に堺筋急行を運転開始(堺筋線・京都本線河原町方面直通)。
- 2001年(平成13年)3月24日 夕方の堺筋急行を堺筋快速急行に変更。
- 2007年(平成19年)3月17日 堺筋急行・快速急行を堺筋準急に変更。
- 2011年(平成23年)5月14日 土休日の昼間にも堺筋準急が運転開始。
- 2013年(平成25年)12月21日:全駅に駅ナンバリング導入(天神橋筋六丁目駅の駅番号は堺筋線のものを使用)[1][2]。
駅一覧
- 全駅大阪府に所在。
- 堺筋準急:平日朝夕と休日昼間運転。堺筋線内では各駅に停車。
- 普通:各駅に停車するため省略。
- 地下鉄線・モノレール線の ( ) 内の英数字はその路線の駅番号を表す。
- ●:停車、|:通過
- 千里線の駅番号は2013年12月21日より導入[1][2]。天神橋筋六丁目駅の駅番号は堺筋線のものを使用。
駅番号 | 駅名 | 駅間営業キロ | 累計営業キロ | 堺筋準急 | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
直通運転区間 | 天神橋筋六丁目駅から ○普通・堺筋準急…大阪市営地下鉄堺筋線天下茶屋駅まで | ||||||
K11 | 天神橋筋六丁目駅 | - | 0.0 | ● | 大阪市営地下鉄:■ 堺筋線(直通:上記参照)・■ 谷町線 (T18) | 大阪市 | 北区 |
HK-87 | 柴島駅 | 2.2 | 2.2 | | | 東淀川区 | ||
HK-63 | 淡路駅 | 1.3 | 3.5 | ● | 阪急電鉄:京都本線(一部直通:下記参照) | ||
HK-88 | 下新庄駅 | 0.9 | 4.4 | ||||
HK-89 | 吹田駅 | 1.6 | 6.0 | 西日本旅客鉄道:東海道本線(JR京都線)(吹田駅) | 吹田市 | ||
HK-90 | 豊津駅 | 0.9 | 6.9 | ||||
HK-91 | 関大前駅 | 0.9 | 7.8 | ||||
HK-92 | 千里山駅 | 0.8 | 8.6 | ||||
HK-93 | 南千里駅 | 1.6 | 10.2 | ||||
HK-94 | 山田駅 | 1.4 | 11.6 | 大阪高速鉄道:大阪モノレール線 (16) | |||
HK-95 | 北千里駅 | 2.0 | 13.6 | ||||
直通運転区間 | 淡路駅から ○普通…堺筋線天下茶屋駅・天神橋筋六丁目駅方面と京都本線河原町駅方面[3] |
- 上記のほか、春・秋の行楽期には堺筋線天下茶屋駅発着で、京都本線経由嵐山線嵐山駅まで直通特急が運転される。天下茶屋 - 淡路間は、天下茶屋駅・日本橋駅・天神橋筋六丁目駅・淡路駅に停車。
- 千里線と直通運転する大阪市営地下鉄堺筋線との連絡乗車券を購入した場合、梅田駅(東梅田駅・西梅田駅含む)、西中島南方駅と南方駅相互間では直接乗り継ぎできない。後述の南海電鉄との連絡乗車券も同様である。
- 阪急の吹田駅とJR京都線の吹田駅は600mほど離れている。
廃駅
駅名は廃止時のもの。
- 長柄駅(天神橋駅 - 柴島駅間) - 1944年2月1日廃止
- (旧)吹田駅(下新庄駅 - 市役所前駅間) - 1964年4月10日市役所前駅に統合され、市役所前駅は吹田駅に改称
- 花壇町駅(豊津駅 - 大学前駅間) - 1964年4月10日大学前駅との間に設けられた関大前駅に統合され廃止
- 大学前駅(花壇町駅 - 千里山駅間) - 1964年4月10日花壇町駅との間に設けられた関大前駅に統合され廃止
- 万国博西口駅(南千里駅 - 北千里駅間) - 日本万国博覧会会場最寄り駅として1969年11月10日から1970年9月14日まで営業した臨時駅
南海電鉄との連絡乗車券・企画乗車券
すべての駅で堺筋線天下茶屋駅経由・空港線関西空港駅までの連絡乗車券が発売されており、年に2度発売されている「高野山1dayチケット」でも天下茶屋経由で南海高野線への乗車が認められている。
さらに2011年5月14日からは、線内では北端の北千里駅ならびに京都本線と接続する淡路駅の2駅のみではあるが、既存の関西空港駅までの連絡乗車券よりもさらに割安な「関空アクセスきっぷ」も発売している[4]。
参考文献
関連項目
外部リンク
テンプレート:阪急電鉄の路線- ↑ 1.0 1.1 テンプレート:PDFlink - 阪急阪神ホールディングス、2013年4月30日
- ↑ 2.0 2.1 テンプレート:PDFlink - 阪急阪神ホールディングス、2013年6月5日。
- ↑ 河原町行きは一部のみで、それ以外は高槻市駅まで。
- ↑ 河原町-関空1200円 阪急、南海、大阪市地下鉄が協力 - 京都新聞、2011年5月9日。