神戸市営地下鉄西神・山手線

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|} 西神・山手線(せいしん・やまてせん)は、兵庫県神戸市新神戸駅西神中央駅とを結ぶ神戸市営地下鉄地下鉄路線の総称。

正式には、途中の新長田駅名谷駅を境に山手線(やまてせん)、西神線(せいしんせん)、西神延伸線(せいしんえんしんせん)の3路線に分かれているが、ほぼ全列車が直通運転を行っている。かつてはこのような呼び方をしていなかったが、神戸市営地下鉄海岸線の開業に伴いこの呼称が使われるようになった。それ以前は単に「神戸市営地下鉄線」と一般的には総称されており、この点は横浜市営地下鉄ブルーラインにも共通する。

なお、利用者数は関西圏の地下鉄では大阪市営地下鉄御堂筋線谷町線に次ぐ3位で、1日平均約26万人が利用している[1]

路線記号はSで、直通運転している北神急行電鉄北神線と一体で駅番号が振られている。ただし、北神線の谷上駅の駅番号のみ、緑の縁がなく、S01の文字に緑色で書かれている。

概要

山手線

本路線の大半に当たる三宮駅 - 新長田駅間、それに加え西神線の新長田駅 - 板宿駅間において、阪神神戸高速線(一部は山陽電気鉄道本線ならびに阪神本線も)と並行する。全般的に見て、運賃は神戸高速鉄道のほうが安い。

本路線計画当初は、(仮称)布引駅(開業直前に新神戸駅と決定した)を山陽新幹線と平行になるように設置し、さらに将来構想として、現在も市バスでの輸送で混雑区間となっている青谷(山麓線経由)あるいは王子動物園(原田線経由)方面への延伸構想があったとされる。その後、北神地区へのアクセス改善として、神戸市が整備する山岳道路に平行して、鉄建公団阪急電鉄が整備することになった鉄道路線(北神急行電鉄北神線)と接続する方針によって、現在の形となった。

2004年に、阪急電鉄が2015年頃を目途に山手線三宮駅以西へ乗り入れるプロジェクトがあると報じられた[2]。神戸市は財政難を理由に計画を保留しているが、2013年11月に神戸市長に就任した久元喜造が同年12月の就任後初となる市議会本会議において、阪急神戸線と神戸市営地下鉄西神・山手線の直通運転の検討に入る考えを示したことが報じられた[3]

西神線

西神延伸線も含めて西神線と総称されることもある。1971年に須磨ニュータウンへの足として着工され、1977年3月に開業した神戸市最初の市営地下鉄路線。名谷駅・妙法寺駅付近は地上区間(ただし妙法寺駅は半地下状)となっている。

西神延伸線

西神ニュータウンの足として、その名の通り西神線を延伸した路線。沿線にはオリックス・バファローズの主催試合の開催地であるほっともっとフィールド神戸(神戸総合運動公園野球場)もあり、試合開催時には賑わう。

この区間は5つのトンネルがあるほかはほとんど地上を通る。最も極端な例として、総合運動公園付近では山陽新幹線のさらに上を走っている、という所もある。線路面の海抜は、名谷 - 総合運動公園間(西行線)の約107mが最高、伊川谷付近の約55mが最低であり、丘陵と谷を横切るため勾配区間が多い。

この区間のみ、地下高速鉄道整備事業費補助ではなく、ニュータウン鉄道等整備事業費補助を受けて建設されたため、独立した路線名を持っており、補助金制度の違いで見れば厳密な意味での地下鉄に該当しない。

路線データ

  • 路線距離(営業キロ):全長22.7km
    • 山手線:新神戸駅 - 新長田駅間7.6km
    • 西神線:新長田駅 - 名谷駅間5.7km
    • 西神延伸線:名谷駅 - 西神中央駅間9.4km
  • 軌間:1435mm
  • 駅数:合計16駅(新神戸駅と西神中央駅を含み、新長田駅と名谷駅を重複計上せず)
    • 山手線:8駅(新神戸駅と新長田駅含む)
    • 西神線:4駅(新長田駅と名谷駅含む)
    • 西神延伸線:6駅(名谷駅と西神中央駅含む)
  • 複線区間:全線
  • 電化区間:全線電化(直流1500V)
  • 地上区間:妙法寺駅 - 西神中央駅間
  • 閉塞方式:車内信号式 (ATCATO)

運行形態

北神急行電鉄北神線と一体的に運行されており、ほぼすべての列車が谷上駅・新神戸駅 - 西神中央駅間で運転されている。各駅に停車する普通列車のみの運転だが、かつて快速が運転されていたことがある。朝晩には名谷駅発着の区間列車が設定されている。

新神戸駅 - 西神中央駅間では、日中時間帯は1時間あたり8本(7.5分間隔)が運行されている。平日の朝は約3分間隔、夕方は5 - 6分間隔、土曜・休日は朝5分、夕方は6 - 7分間隔である。

大晦日から元日にかけての終夜運転は、2000年大晦日から2001年元日にかけてのみ行われた。その他の年には、行われていない。

かつて運転されていた快速列車

1993年7月9日から1995年1月16日まで、新神戸駅 - 西神中央駅間で快速が運転されていた(阪神・淡路大震災のため休止)。電車の方向幕の種別表示は、行先の左側に赤地に白抜きの漢字一文字でテンプレート:Colorsと表示されていた。

  • 停車駅:三宮駅・新長田駅・名谷駅(イベント開催時のみ総合運動公園駅にも停車)
  • ダイヤ:毎日新神戸発西神中央行10時45分 - 16時45分発・西神中央発新神戸行10時9分 - 16時9分発
  • 運転間隔:30分毎
  • 所要時間:新神戸駅 - 2分 - 三宮駅 - 8分 - 新長田駅 - 7分 - 名谷駅 - 10分 - 西神中央駅(全区間では27分。当時の普通列車の所要時間は同区間待避なしで32分)

設定当初は実験的な位置付けであり、運行時間帯・本数とも限られていた上に通過駅では危険回避のため大幅な減速運転を実施しており、その速達性を実感しにくい列車であった。また待避設備が名谷駅にしかないため、西神中央行快速は先行する名谷行普通に後続し、新神戸行快速については名谷駅にて先行の普通列車を追い抜く形態となっており、緩急結合が不充分だったため通過駅の利用客が利用し難い設定だった。

阪神・淡路大震災による運行休止の後、完全復旧の際には快速運転復活と各駅停車増発で比較検討が行われたが、西神地区の利用動向や快速通過駅の利便性、また列車待ち時間も含めたトータルでの速達性などを考慮した場合、各駅停車の高頻度運行の方にメリットがあるとして快速は復活させず、名谷折り返し列車を全線運転に切り替え西神地区の増発が行われた。快速列車については今後の路線延伸や利用状況の変化を見ながら復活を検討するとされていたが、西神再延伸線による路線延伸が実現するまでは利用状況に大きな変化が起こる要素も少なく、現在のところ復活していない。

休止から10年以上が経過した今なお快速運転の名残として一部の快速通過駅に「通過電車の時は危険です。手摺をお持ち下さい」のプレートと手摺(ホーム端と壁の間が狭い所に設置)が残されたままになっている。また、2009年5月までは3000系車両の路線図式表示器に停車駅の表示があったり、快速の種別表示が覆い隠されていたりした(現在は電光掲示板と路線図を組み合わせたものになっている)。

震災時の対応

1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震阪神・淡路大震災)で地下鉄も被災した。主な被害は

  • 新神戸駅 - 新長田駅間でトンネル支柱の損壊。
  • 三宮駅地下1階の変電所、防災設備、コンコースの損壊。
  • 三宮駅 - 県庁前駅間の換気設備、防災設備の損壊。
  • 上沢駅の変電所、防災設備、コンコース、ホームの損壊。
  • 新長田駅の防災設備、駅入口周辺の損壊。
  • 名谷駅 - 総合運動公園駅間の西行き線の橋脚の損壊。
  • 伊川谷駅のホーム、架線柱の損壊。

特に山手線区はほぼ全線に渡って被災した。翌18日、被害が少なかった板宿駅 - 西神中央駅間の運転を暫定的に再開。板宿駅で折り返しできないため、線路部は被害がなかった新長田駅まで回送させて折り返した。また、名谷駅西側の西神中央行き方の橋脚が損壊したため、名谷駅 - 学園都市駅間は単線運転で再開させた。

一方で、新神戸駅 - 新長田駅の復旧は目途が立たず、特に三宮駅 - 県庁前駅間、上沢駅 - 新長田駅間で被害がひどく年内の復旧は困難だと予想された。そこで神戸市は復旧完了後に運転を再開させる従来の方法を断念し、応急復旧が終わり次第、運転を再開させ、終電から始発までの夜間に復旧工事を進める工事方法を当時の運輸省(現在の国土交通省)に打診した。運輸省は「安全が保障できない」と却下したが、「震災時の大変なときに市の交通がないのは市民にとってあまりに酷だ」との申告を受け、最終的には徐行や被害が大きい三宮駅・上沢駅・新長田駅の3駅の閉鎖などを条件に運転再開を承諾し、2月16日に北神急行線を含めて市内の鉄道で最も早く全線で運転を再開した。再開後も、復旧工事のため運転時間を3時間程度短縮し、夜間に復旧工事を行った。そして、震災から6か月後の7月21日に正常運転に戻った。

車内放送

西神・山手線においては、車両にはICによる自動放送装置が搭載されているものの、車内放送による行き先案内には、開業当初から永らく自動放送を採用せず、公営地下鉄の路線としては珍しく車掌による肉声案内を行っていた。その後、2012年7月1日より当路線でも自動放送に切り替えている。ただし、23時ごろを過ぎると名谷以東では自動放送を使用せず従来どおり肉声放送となる。

海岸線や直通運転を行っている北神急行線区間ではATOによるワンマン運転のため自動放送を採用しているが、当路線においての自動放送は、注意喚起(「車内で不審物を発見された場合は…」など)や、過去にユニバーシアード神戸大会1985年)の開催期間中のみテープによる英語を交えた自動放送が行われた程度であった。

車両

共通して全車両が地元の川崎重工業兵庫工場で製造されている。山陽電鉄神戸電鉄神戸新交通も同様である。

6両編成で運転されているが、ほとんどの駅が8両編成化に対応できるようにスペースが確保されている。

自局車両

  • 1000形:1976年製造、1977年営業運転開始。18編成108両。
  • 2000形:1988年営業運転開始。4編成24両。
  • 3000形:1992年営業運転開始。6編成36両。
    • 合計6連28編成168両

乗り入れ車両

車両基地

架線

名谷 - 板宿間の山岳トンネル区間では、地下鉄路線としては珍しいコンパウンドカテナリー式が採用されている。板宿 - 新神戸間は一般的な剛体架線である。

歴史

西神再延伸線構想

西神中央駅神戸市西区)からさらに西方に延伸し、東播磨方面に至るルートの構想がある。

以下の 3ルートが答申・検討されているが、具体的な経由地は未定となっている。運営母体である神戸市の財政事情から実現しない可能性もある。

1989年の運輸省(現在の国土交通省)運輸政策審議会答申第10号「大阪圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画について」では、「2005年までに整備に着手することが適当である路線」 として 西神中央駅 - 西明石駅ルート が挙げられているが、残りの 2ルートは、学園都市駅 - 舞子駅ルートと共に、「今後整備について検討すべき路線」とされているにとどまる。

2004年10月8日の近畿地方交通審議会(第8回)の答申案では、3ルートとも検討対象とはなったものの、「事業の具体化の可能性を検討すべき」事業、「中長期的に望まれる鉄道」のリストからは外れている。

駅一覧

  • 全駅兵庫県神戸市に所在。
  • 駅名欄のカッコ内は副駅名(無印)または駅名板下広告(※印、期限は2013年度から2014年度)[4]
  • 接続路線欄のカッコ内は路線愛称や接続駅の(異名ならその駅名と)駅番号。
  • 路線名:北神線=北神急行電鉄北神線(西神・山手線と相互乗り入れ)
  • 駅番号順に記述。正式な起点は山手線が新長田駅、西神線・西神延伸線が名谷駅、北神線が新神戸駅。
路線名 駅番号 駅名 駅間
営業
キロ
新神戸
からの
営業
キロ
接続路線 テンプレート:Nowrap
北神線 S01 谷上駅 (7.5) (7.5) 神戸電鉄有馬線 北区
S02 新神戸駅 - 0.0 西日本旅客鉄道山陽新幹線 中央区
山手線
S03 三宮駅
(※神戸サウナ & スパ前)
1.3 1.3 神戸市営地下鉄海岸線三宮・花時計前駅:K01)
阪神電気鉄道本線(神戸三宮駅:HS 32)
阪急電鉄神戸本線神戸高速線(神戸三宮駅:HK-16)
神戸新交通ポートアイランド線(P01)
西日本旅客鉄道:東海道本線JR神戸線)(三ノ宮駅
S04 県庁前駅 0.9 2.2  
S05 大倉山駅
(※湊川神社前)
1.1 3.3  
S06 湊川公園駅
(※川崎病院前)
1.0 4.3 神戸電鉄:有馬線・神戸高速線(湊川駅:KB02) 兵庫区
S07 上沢駅 1.0 5.3  
S08 長田(長田神社前)駅 0.8 6.1 阪神電気鉄道:神戸高速線高速長田駅:HS 38) 長田区
S09 新長田駅
鉄人28号前)
1.5 7.6 神戸市営地下鉄:海岸線 (K10)
西日本旅客鉄道:山陽本線(JR神戸線)
西神線
S10 板宿駅
(※滝川中学校高等学校前)
1.2 8.8 山陽電気鉄道本線(SY02) 須磨区
S11 妙法寺駅 2.9 11.7  
S12 名谷駅 1.6 13.3  
西神延伸線
S13 総合運動公園駅 1.8 15.1  
S14 学園都市駅 1.7 16.8   西区
S15 伊川谷駅 1.6 18.4  
S16 西神南駅
(※なでしこレディースホスピタル前)
1.7 20.1  
S17 西神中央駅 2.6 22.7  

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

関連項目

テンプレート:Sister

  • テンプレート:PDFlink
  • 阪急、神戸地下鉄と直結検討 三宮駅を地下化(Internet Archive) - 神戸新聞 2004年7月22日
  • 阪急神戸線と神戸市営地下鉄、相互直通運転を検討へ - 朝日新聞、2013年12月9日
  • テンプレート:PDFlink - 神戸市、2013年3月22日付、同年6月23日閲覧。