未知との遭遇
テンプレート:Infobox Film 『未知との遭遇』(みちとのそうぐう、Close Encounters of the Third Kind)は、1977年に公開されたアメリカ映画である。世界各地で発生するUFO遭遇事件と、最後に果たされる人類と宇宙人のコンタクトを描いた。
概要
オリジナル版の上映時間は135分(『特別編』は132分、『ファイナル・カット版』は137分)。1977年11月16日公開。日本での公開は1978年2月25日。言語は英語。製作費2,000万ドル。コロムビア映画提供。
オリジナル版の他に、マザーシップ内を公開した1980年の『特別編』、さらに再編集や修正がされた2002年の『ファイナル・カット版』がある。また、アメリカABCテレビで143分の版が放映されたことがある。
アカデミー賞を撮影賞、特別業績賞(音響効果編集)の2部門で受賞したほか、英国アカデミー賞のプロダクションデザイン賞も受賞した。
あらすじ
テンプレート:不十分なあらすじ バミューダ・トライアングルで行方不明になった戦闘機群や巨大な貨物船が、砂漠に失踪当時の姿のまま忽然と姿を現した。謎の発光体が米国内外で目撃され、原因不明の大規模停電が発生。発電所に勤めるロイ・ニアリーも停電の復旧作業に向かう途中、不可思議な機械の誤作動を起こす飛行物体と遭遇。それが放つ閃光を浴びて以後理由も判らないまま、憑かれたようにUFOの目撃情報を集め出し、枕やシェービング・クリームに漠然と山のような形を見出すようになる。インディアナ州に住む少年バリー・ガイラーは家の台所に入り込み冷蔵庫を漁っていた「何者か」と鉢合わせするが、恐れる様子も無く後を追い掛け、その母のジリアンも深夜外に出て行った息子を連れ帰ろうとする途中で飛行物体の編隊と遭遇し閃光を浴び、ロイ同様に山の姿を描くようになる。
飛行物体の群れにバリー少年が連れ去られる(アブダクション)など謎の現象が続く中、フランス人UFO学者のクロード・ラコームは異星人からの接触を確信し、「彼ら」と直接面会する地球側の「第三種接近遭遇」プロジェクトをスタートさせる。「彼ら」からのデータ送信をキャッチしそれが地上の座標を示す信号で、ワイオミング州にあるデヴィルズ・タワー(悪魔の塔)という山を指し示していた。軍も出動し有毒ガス漏洩を偽装して住民が退避させられるがニュースで報じられた事によってロイとジリアンは探し求めていた奇妙な形の山がデヴィルズ・タワーである事を確信。州境を越えデヴィルズ・タワーを目指す。
デヴィルズ・タワーに陣取ったラコームらプロジェクトチームの目前に飛行物体の編隊が現れ、チームが送った信号に反応を示して飛び去った。関係者達は歓声を上げるが、直後山の背後から「彼ら」の母船とみられる巨大な円盤が重低音を響かせながら出現する。
キャスト
役名 | 俳優 | 日本語版1 | 日本語版2 | 日本語版3 |
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ロイ・ニアリー | リチャード・ドレイファス | 入江崇史 | 樋浦勉 | 山寺宏一 |
クロード・ラコーム | フランソワ・トリュフォー | 井上倫宏 | 金内吉男 | 松橋登 |
ロニー・ニアリー | テリー・ガー | 百々麻子 | 藤田淑子 | |
ジリアン・ガイラー | メリンダ・ディロン | 八十川真由野 | 小原乃梨子 | 弘中くみ子 |
デヴィッド・ロフリン | ボブ・バラバン | 星野充昭 | 仲村秀生 | 仲野裕 |
バリー・ガイラー | ケイリー・ガフィー | 金田朋子 | 川田妙子 | |
ロバート | ランス・ヘンリクセン | 宗矢樹頼 | ||
ブラッド・ニアリー | ショーン・ビショップ | 高森奈緒 | ||
トビー・ニアリー | ジャスティン・ドレイファス | 後藤邑子 | ||
チームリーダー | メリル・コナリー | 有本欽隆 | ||
プロジェクトリーダー | J・パトリック・マクナマラ | 横堀悦夫 | 山野史人 | |
ワイルドビル | ウォーレン・J・ケマーリング | 廣田行生 | 銀河万丈 | |
ベンチリー | ジョージ・ディセンツォ | 加藤亮夫 | ||
ハリス夫人 | メアリー・ギャフリー | 中澤やよい | ||
農夫 | ロバーツ・ブロッサム | 清川元夢 |
- 演出:佐藤敏夫、翻訳:木原たけし、調整:前田仁信
- 日本語版3 - 初放送1999年11月14日 テレビ朝日 『日曜洋画劇場』
- 製作:東北新社、演出:福永莞爾、翻訳:平田勝茂、調整:飯塚秀保
スタッフ
- 監督・脚本:スティーヴン・スピルバーグ
- 撮影:ヴィルモス・ジグモンド
- 音楽:ジョン・ウィリアムズ
- 特撮:ダグラス・トランブル
第50回アカデミー賞受賞/ノミネート
受賞 | 人物 | |
撮影賞 | ヴィルモス・ジグモンド | |
特別業績賞 | フランク・F・ワーナー | |
ノミネート | ||
監督賞 | スティーヴン・スピルバーグ | |
助演女優賞 | メリンダ・ディロン | |
編集賞 | マイケル・カーン | |
美術賞 | ジョー・アルヴス ダン・ロミノ フィル・アブラムソン | |
作曲賞 | ジョン・ウィリアムズ | |
録音賞 | ロバート・J・グラス ドン・マクドゥーガル ジーン・キャンタメッサ ロバート・ニュードソン | |
視覚効果賞 | ロイ・アーボギャスト ダグラス・トランブル マシュー・ユリチック リチャード・ユリチック グレゴリー・ジェイン |
- 音響効果編集に対して、フランク・F・ワーナーに特別業績賞が授与された。
- ジョン・ウィリアムズは本作と同年に公開された『スター・ウォーズ』でも作曲賞にノミネートされており、同作で受賞している。
バージョン
- オリジナル劇場版(1978年、135分)
- 「特別編」(1980年、132分)
- '77年の公開後、スピルバーグは初公開版で映像化しきれなかったシーンを盛り込むリニューアルをコロムビア映画側に申し出た。「マザーシップ内を見せること」を条件に追加撮影の予算が計上され、実写/視覚効果の追加撮影と再編集、台詞の再録音を経て'80年に発表された「特別編」は実質「ディレクターズ・カット」であるが、スピルバーグ自身には初めからマザーシップ内部は見せたくないという意向(特別編公開以降の発言)は損なわれた。マザーシップが星空に消えてゆくエンド・クレジット(後にILMの視覚効果監督となるデニス・ミューレンが撮影)の後半部分に、スピルバーグはディズニーアニメ『ピノキオ』(ロイが家族と観に行きたかった映画)の主題歌「星に願いを」を流すことを考えていたが、試写の批評が芳しくなくカットされた。これが「特別編」で復活された。旋律だけでなく歌も流そうとスピルバーグは考えたが、リアリティを損なうと他のスタッフから反対された。
- 「ファイナル・カット版」(2002年、138分)
- 製作20年を記念して発表された再々編集版。ゴビ砂漠など「特別編」で追加されたシーンは残されているが、マザーシップ内部の描写、「星に願いを」のメロディーは再び削除されている。
- アメリカABCテレビ放映版(143分)
コレクター向けのソフト化はスタッフのインタビューを含む大量の資料/特典とともに'77年版と「特別編」の両方をプログラム再生という形で選択、鑑賞可能にしたレーザーディスクがあり、製作30周年を記念して発売された「アルティメット・エディション」のセット(ブルーレイは2枚組、DVDは3枚組)では、'77年版+「特別編」+「ファイナル・カット」の3種類が同梱されている。
補足
- スーパーバイザーを務めたのは、元アメリカ空軍UFO 研究部顧問のテンプレート:仮リンクで、作品中にもチラリと登場している。原題のClose Encounters of the Third Kind(第三種接近遭遇)は、ハイネックの著書で提唱された用語である。
- 本作のストーリーの骨子になっているのはセシル・B・デミル監督映画の『十戒』。「山」に向かうことになる主人公の家族が家のテレビで『十戒』を観ている。
- SFテレビドラマ『スタートレック』に登場する宇宙船、USSエンタープライズの模型が一瞬登場する。ダグラス・トランブル率いる視覚効果スタッフは、本作の後劇場版『スタートレック』に参加する。また「特別編」で描写されたマザーシップの内部のシーンで花の「めしべ・おしべ」のような閉じて行く構築物は同じくトランブルのスタジオで製作された『ブレードランナー』に警察庁舎の外観として再利用された。
- ワイオミング州に実在するデビルスタワーは、アメリカ最初のナショナル・モニュメントである。SFXや演出効果のため、ミニュチュアのデヴィルズ・タワーは実際より短く造られた。
- 宇宙人との音声によるコンタクトを試みるシーンで、制御用のコンソールに設置されていたのは、アープ社の2500というシンセサイザー。
- クライマックスのマザーシップがデビルズタワーの背後から現れるシーンに(逆光の影ではあるが)『スター・ウォーズ』のR2-D2が登場している(上部壁面に逆さに貼り付けられている)。
- 撮影はまずは人間ドラマを収録し、UFOのシーンは後回しにされた。UFOデザインはなかなか決まらず、当初はあのようなきらびやかなものではなかった。「宇宙人が地球人を安心させるため、地球上の様々なものに似たデザインにするのではないか」という観点で、ネオンっぽいものなども日常で見かける物に似せたアイデアが出た。中にはハンバーガーの看板「M」にそっくりのデザインもあり、却下されたものの赤い光球状のUFOが道端に立てられたハンバーガーの看板の前で小休止する「特別編」以降の追加シーンにその名残を見ることができる。
- フランス人科学者の役で、フランスの映画監督フランソワ・トリュフォーが出演しているが、トリュフォーは自作の映画にしか出演せず、しかもSF嫌いで「宇宙だのロボットだのは生理的に嫌悪感がする」とまで公言していたので、本作への出演は驚かれた。