御宿かわせみ
テンプレート:Portal 『御宿かわせみ』(おんやどかわせみ)は、平岩弓枝作の連作時代小説シリーズ。旅籠「かわせみ」を舞台にした人情捕物帖。
『小説サンデー毎日』1973年(昭和48年)2月号から隔月で連載される。第33話掲載後、『小説サンデー毎日』休刊のため一時中断した。1982年に出版社を替え『オール讀物』で連載が再開された。2005年11月号掲載作品をもって終了。同誌2007年1月号より、時代が明治維新以降に飛び、子ども世代を主とした『新・御宿かわせみ』となっている。
1973年にTBSの『東芝日曜劇場』で「秋の螢」のタイトルでドラマ化され、以降NHKやテレビ朝日などでテレビドラマ化されている。1984年には、主演浜木綿子で帝国劇場にて舞台化されている。
目次
あらすじ
時は江戸時代末期、ところは江戸大川端(現在の墨田区吾妻橋から江東区新大橋にかけての一帯)。腕利きの町奉行所定廻り同心だった父を亡くした庄司るいは、家督を親戚に譲り、大川端に旅籠「かわせみ」をひらく。一つ年下の幼なじみで恋人の神林東吾は、奉行所与力の弟。東吾の友人で八丁堀の定廻り同心の畝源三郎や、医者で将軍家御典医の倅の天野宗太郎、かわせみの奉公人嘉助・お吉らとともに市井の事件を解決していく。
連作の初期から中期には、身分違いを気にするるいと東吾のなかなか進展しない恋愛模様が長く描かれ、いわば永遠の青春の呈を表していたが、のちに東吾の出仕、るいとの結婚と子供の誕生と、幕末の時代の流れの中でそれぞれの登場人物の時間が動いていくさまが描かれるようになってきている。
作品一覧
本編
通し番号は毎日新聞社発行のものからの通算(文藝春秋サイトでは異なる)
- 御宿かわせみ(1974年、毎日新聞社 / 1979年3月、文春文庫 / 2004年3月、文春文庫【新装版】)
- 「初春の客」「花冷え」「卯の花匂う」「秋の螢」「倉の中」他3編
- 江戸の子守唄(1975年、毎日新聞社 / 1979年4月、文春文庫 / 2004年3月、文春文庫【新装版】)
- 「江戸の子守唄」「お役者松」「迷子石」「幼なじみ」「宵節句」「ほととぎす啼く」「七夕の客」「王子の滝」
- 水郷から来た女(1977年、毎日新聞社 / 1980年10月、文春文庫 / 2004年7月、文春文庫【新装版】)
- 「秋の七福神」「江戸の初春」「湯の宿」「桐の花散る」「水郷から来た女」「風鈴が切れた」「女がひとつ」「夏の夜ばなし」「女主人殺人事件」
- 山茶花は見た(1980年8月、文藝春秋、上下巻 / 1980年11月、文春文庫 / 2004年8月、文春文庫【新装版】)
- 「山茶花は見た」「女難剣難」「江戸の怪猫」「鴉を飼う女」「鬼女」「ぼてふり安」他2編
- 幽霊殺し(1982年9月、文藝春秋 / 1985年9月、文春文庫 / 2004年9月、文春文庫【新装版】)
- 「恋ふたたび」「奥女中の死」「川のほとり」「幽霊殺し」「源三郎の恋」「秋色佃島」「三つ橋渡った」
- 狐の嫁入り(1983年5月、文藝春秋 / 1986年8月、文春文庫 / 2004年10月、文春文庫【新装版】)
- 「狐の嫁入り」「師走の月」「迎春忍川」「梅一輪」「千鳥が啼いた」「子はかすがい」
- 酸漿(ほおずき)は殺しの口笛(1986年4月、文藝春秋 / 1988年10月、文春文庫 / 2004年11月、文春文庫【新装版】)
- 「酸漿は殺しの口笛」「春色大川端」「玉菊燈籠の女」「能役者、清大夫」「冬の月」「雪の朝」
- 白萩屋敷の月(1986年10月、文藝春秋 / 1989年10月、文春文庫 / 2004年12月、文春文庫【新装版】)
- 「白萩屋敷の月」「美男の医者」「恋娘」「絵馬の文字」「水戸の梅」他3編
- 一両二分の女(1987年6月、文藝春秋 / 1990年5月、文春文庫 / 2005年1月、文春文庫【新装版】)
- 「一両二分の女」「藍染川」「美人の女中」他5編
- 閻魔まいり(1988年6月、文藝春秋 / 1991年6月、文春文庫 / 2005年2月、文春文庫【新装版】)
- 「閻魔まいり」「源三郎祝言」「橋づくし」他5編
- 二十六夜待の殺人(1988年9月、文藝春秋 / 1991年9月、文春文庫 / 2005年3月、文春文庫【新装版】)
- 「二十六夜待の殺人」「女同士」「犬の話」「牡丹屋敷の人々」「源三郎子守歌」「虫の音」他1編
- 夜鴉おきん(1989年5月、文藝春秋 / 1992年5月、文春文庫 / 2005年6月、文春文庫【新装版】)
- 「夜鴉おきん」「岸和田の姫」「息子」「源太郎誕生」他4編
- 鬼の面(1989年11月、文藝春秋 / 1992年10月、文春文庫 / 2005年7月、文春文庫【新装版】)
- 「鬼の面」「麻布の秋」「忠三郎転生」「春の寺」他3編
- 神かくし(1990年5月、文藝春秋 / 1993年6月、文春文庫 / 2005年9月、文春文庫【新装版】)
- 「神かくし」「みずすまし」「六阿弥陀道しるべ」「梅若塚に雨が降る」他3編収録
- 恋文心中(1990年11月、文藝春秋 / 1993年10月、文春文庫 / 2005年10月、文春文庫【新装版】)
- 「恋文心中」「祝言」「雪女郎」「わかれ橋」他3編
- 八丁堀の湯屋(1991年11月、文藝春秋 / 1994年11月、文春文庫 / 2005年11月、文春文庫【新装版】)
- 「八丁堀の湯屋」「ひゆたらり」「びいどろ正月」「春や、まぼろし」他4編
- 雨月(1992年9月、文藝春秋 / 1995年10月、文春文庫 / 2005年12月、文春文庫【新装版】)
- 「雨月」「尾花茶屋の娘」「春の鬼」「百千鳥の琴」他4編
- 秘曲(1993年7月、文藝春秋 / 1996年11月、文春文庫 / 2006年1月、文春文庫【新装版】)
- 「秘曲」「松風の唄」「おたぬきさん」「目篭ことはじめ」他4編
- かくれんぼ(1994年7月、文藝春秋 / 1997年10月、文春文庫 / 2006年2月、文春文庫【新装版】)
- 「かくれんぼ」「マンドラゴラ奇聞」「残月」「江戸の節分」他4編
- お吉の茶碗(1995年4月、文藝春秋 / 1998年4月、文春文庫)
- 「お吉の茶碗」他7編
- 犬張子の謎(1996年1月、文藝春秋 / 1998年11月、文春文庫)
- 「犬張子の謎」他7編
- 清姫おりょう(1996年10月、文藝春秋 / 1999年11月、文春文庫)
- 「清姫おりょう」他7編
- 源太郎の初恋(1997年6月、文藝春秋 / 2000年5月、文春文庫)
- 「源太郎の初恋」「立春大吉」他6編
- 春の高瀬舟(1998年3月、文藝春秋 / 2001年3月、文春文庫)
- 「春の高瀬舟」「伝通院の僧」「名月や」「紅葉散る」他4編
- 宝船まつり(1999年3月、文藝春秋 / 2002年4月、文春文庫)
- 「宝船まつり」「冬鳥の恋」「神明ノ原の血闘」「大力お石」「大山まいり」他3編
- 長助の女房(1999年8月、文藝春秋 / 2002年8月、文春文庫)
- 「長助の女房」「千手観音の謎」「嫁入り舟」「唐獅子の産着」他4編
- 横浜慕情(2000年4月、文藝春秋 / 2003年4月、文春文庫)
- 「横浜慕情」「鬼ごっこ」「烏頭坂今昔」「鬼女の息子」他4編
- 佐助の牡丹(2001年3月、文藝春秋 / 2004年4月、文春文庫)
- 「梅屋の兄弟」
- 「江戸の植木市」(2000年3月号)
- 「佐助の牡丹」(2000年4月号)
- 「江戸の蚊帳売り」(2000年5月号)
- 「三日月紋の印籠」(2000年6月号)
- 「水売り文三」(2000年8月号)
- 「あちゃという娘」(2000年9月号)
- 「冬の桜」(2000年10月号)
- 初春弁才船(2001年11月、文藝春秋 / 2004年10月、文春文庫)
- 「宮戸川の夕景」(2000年11月号・12月号)
- 「初春弁才船」(2001年1月号、「新春弁才船」を改題)
- 「辰巳屋おしゅん」(2001年2月号)
- 「丑の刻まいり」(2001年3月号)
- 「桃の花咲く寺」(2001年4月号)
- 「メキシコ銀貨」(2001年5月号)
- 「猫一匹」(2001年6月号)
- 鬼女の花摘み(2002年9月、文藝春秋 / 2005年8月、文春文庫)
- 「鬼女の花摘み」(2001年7月号)
- 「浅草寺の絵馬」(2001年8月号)
- 「吉松殺し」(2001年9月号・10月号)
- 「白鷺城の月」(2001年12月号)
- 「新春夢づくし」(2002年1月号)
- 「招き猫」(2002年2月号)
- 「蓑虫の唄」(2002年3月号・4月号)
- 江戸の精霊流し(2003年5月、文藝春秋 / 2006年4月、文春文庫)
- 「夜鷹そばや五郎八」(2002年5月号)
- 「野老沢(ところざわ)の肝っ玉おっ母あ」(2002年6月号)
- 「昼顔の咲く家」(2002年8月号)
- 「江戸の精霊流し」(2002年9月号)
- 「亥の子まつり」(2002年10月号)
- 「北前船から来た男」(2002年11月号)
- 「猫絵師勝太郎」(2002年12月号)
- 「梨の花の咲く頃」(2003年1月号)
- 十三歳の仲人(2004年3月、文藝春秋 / 2007年4月、文春文庫)
- 「十八年目の春」(2003年2月号)
- 「浅妻船さわぎ」(2003年3月号)
- 「成田詣での旅」(2003年4月号)
- 「お石の縁談」(2003年5月号)
- 「代々木野の金魚まつり」(2003年6月号)
- 「芋嵐の吹く頃」(2003年8月号)
- 「猫芸者おたま」(2003年9月号)
- 「十三歳の仲人」(2003年10月号)
- 小判商人(2005年4月、文藝春秋 / 2008年4月、文春文庫)
- 「稲荷橋の飴屋」(2004年5月号)
- 「青江屋の若旦那」(2004年6月号)
- 「明石玉のかんざし」(2004年7月号)
- 「手妻師千糸大夫」(2004年8月号)
- 「文三の恋人」(2004年9月号)
- 「小判商人」(2004年10月号・11月号)
- 「初卯まいりの日」(2005年1月号)
- 浮かれ黄蝶(2006年4月、文藝春秋 / 2009年9月、文春文庫)
- 「浮かれ黄蝶」(2005年2月号)
- 「捨てられた娘」(2005年3月号・4月号)
- 「清水屋の人々」(2005年5月号)
- 「猫と小判」(2005年6月号)
- 「わいわい天王の事件」(2005年7月号)
- 「二人伊三郎」(2005年9月号)
- 「さんさ時雨」(2005年10月号)
- 「公孫樹の黄ばむ頃」(2005年11月号)
その他
- 「御宿かわせみ」読本(2001年3月、文藝春秋 / 2003年4月、文春文庫) - 人名録の他、ドラマ出演者のインタビューなども収録
- 御宿かわせみ傑作選
- 初春の客(2004年1月、文藝春秋) - 初期10巻から著者自選の9編を収録
- 祝言(2005年1月、文藝春秋) - 11巻〜20巻から著者自選の10編を収録
- 千手観音の謎(2006年1月、文藝春秋) - 21巻〜30巻から著者自選の10編を収録
登場人物
主要人物
- 神林東吾(かみばやし とうご)
- 南町奉行所吟味方与力・神林通之進(かみばやし みちのしん)の弟。伸びやかな性格の持ち主。美男子。
- 神道無念流の遣い手で練兵館では高弟の一人。八丁堀の道場の師範の一人であり、方月館の師範代も兼任していた。
- 長らく次男坊の冷や飯食いで、るいとは正式に結婚できなかったが、通之進の配慮により祝言を挙げることができ、さらに講武所の教授方と軍艦操練所勤務(後に教官並)となる。
- 八丁堀に生まれた者の使命感と好奇心を併せ持ち、親友である畝 源三郎の手伝いをしたり、かわせみに飛び込んでくる事件に首をつっこんだりして常に捕り物に関わる。
- なお、苗字は当初「かんばやし」と表記されていたが、現在は「かみばやし」に統一されている。
- (庄司)るい(しょうじ るい)
- 大川端にある旅籠かわせみの女主人。東吾の妻。
- 鬼同心と言われた庄司源右衛門の一人娘。父の死後、本来なら養子を迎えて家を嗣ぐべきところ、同心株を返して旅籠を始める。
- 東吾とは幼なじみ。子どもの頃から東吾のことが好きだったが、身分違い(東吾は子のない通之進の跡継ぎと目されていた)であることと家付き娘であることから半ばあきらめていた。
- 作品中美人であることが強調されている。たびたび女長兵衛をきどる情け深さの一方、勇敢に小太刀を振るうことも。
- 畝源三郎(うね げんざぶろう)
- 定廻り同心。東吾の親友。東吾やるいにとっては幼なじみ。
- 定廻りにしては野暮ったいと言われるが、誠実な男。東吾には「源さん」と呼ばれる。
かわせみ
- 千春(ちはる)
- 東吾とるいの娘。
- 嘉助(かすけ)
- かわせみの老番頭。元は庄司源右衛門の若党。今でも捕り方だったときの習性が出ることがある。
- るいを助ける忠義者。お吉とのでこぼこコンビぶりはこの作品の笑いを誘う一面である。
- お吉(おきち)
- かわせみの女中頭。母親の代からの庄司家の奉公人で、いったん嫁いだが夫に死なれて出戻った。
- 忠義者だが、好奇心が強く、おしゃべり。大の幽霊嫌い。その性格がかわせみに騒動をもたらすこともある。
神林家
- 神林通之進(かみばやし みちのしん)
- 東吾の兄。南町奉行所吟味方与力。
- 東吾とはひと回り以上年上で、早くに父を亡くした東吾にとっては父親代わりでもある。美男子。やさしい風貌は、幼くして母を亡くした東吾が「母の顔を見たければ兄の顔を見よ」と言われて育ったほど。
- 妻の香苗とはおしどり夫婦。
- 麻太郎を養子にする。
- 香苗(かなえ)
- 神林通之進の妻。麻生源右衛門の長女。通之進とは幼なじみで、子どもの頃から許婚であり相思相愛であった。
- おっとりした性格であるが、人目を忍ぶ仲だった東吾とるいを見守り、また麻太郎を「お腹を痛めて産んだ子としか思えない」と言い切る面も。
- 神林麻太郎(かみばやし あさたろう) / 大村 麻太郎(おおむら あさたろう)
- 清水琴江が大村彦右衛門との結婚後に産んだ子であるが、おそらくは東吾との一夜の契りによる子。
- 琴江が死亡した後、通之進と香苗が何もかも承知の上で養子とする。
- 東吾の若い頃に似ている(ということは通之進にも似ている)ため「通之進の隠し子ではないか」と噂された。
畝家
- 千絵(ちえ)
- 畝 源三郎の妻。
- 札差・江原屋の一人娘のため、(お互い思いを口にできないまま)諦めようとしていたが、源三郎の婚礼当日、花嫁の駆け落ちを取り繕う仮嫁となり、そのまま正式に妻となった。
- 源太郎と千代の二子がいる。
- 畝源太郎(うね げんたろう)
- 畝源三郎の長男。剣の師でもある東吾を慕う。麻太郎とは親友で、まるで東吾と源三郎の幼い頃のようと言われる。
- 千代(ちよ)
- 畝源三郎の長女。千春とは幼馴染み。
麻生家
- 麻生源右衛門(あそう げんえもん)
- 目付・西の丸留守居を歴任した旗本。香苗と七重の父。
- 東吾たちの父とは親友で、七重と東吾の結婚を望んでいた。剛直な人物だが、宗太郎に家督をゆずって隠居した後は、孫や麻太郎・源太郎たちの相手をするのが楽しみ。
- 麻生宗太郎(あそう そうたろう) / 天野宗太郎(あまの そうたろう)
- 医師。東吾の親友。
- 偽名を名乗ってかわせみに泊まったさい、東吾の依頼で悪人を引っかける芝居に一役買ったのがきっかけで付き合うように。
- 将軍家御典医・天野宗伯の長男。母親も典薬頭今大路家の長女。継母(実母の妹)の実子である弟に家督を譲るためと西洋医学を学ぶために極道を装って長崎に留学。後に、七重と結婚、麻生家に養子に入る。
- つかみ所のない飄々とした人柄で、人を食ったような発言も多い。
- 麻生家の離れを治療所にし、貧乏人からは代金を取らない名医として本所・深川あたりの人々に親しまれている。
- 七重(ななえ)
- 源右衛門の二女。宗太郎の妻。東吾のことが好きだったが、るいの存在を知り半ば身を引く。
- のちに宗太郎と結婚し、花世と小太郎の二子を産む。
- 花世(はなよ)
- 宗太郎の長女。おてんばで、思わぬ事件に巻き込まれることも。
- 麻生小太郎(あそう こたろう)
- 宗太郎の長男。麻生家待望の嫡男。
お手先
- 長助(ちょうすけ)
- 畝源三郎のお手先(いわゆる岡っ引)。岡っ引には珍しく人柄が良い、誠実で温厚な男である。
- 深川佐賀町のそば屋長寿庵の主人だが、店は妻と息子に任せきり。血の気の多かった若い頃に畝源三郎の父に手札をもらいお手先となった。
- 仙五郎(せんごろう)
- 飯倉・麻布付近を縄張りにするお手先。本業は桶屋(後に息子に譲って隠居する)。こちらも岡っ引には珍しく人柄が良い。
その他
- 松浦方斎(まつうら ほうさい)
- 剣士。狸穴の方月館の主。直心陰流の達人。温厚な人柄で、東吾が師範代になってからは道場を任せきりにしている。刀剣などにも造詣が深い。
- おとせ
- 方月館の家事一切を引き受ける女性。ある事件で東吾と知り合い、息子の正吉とともに方月館に身を寄せる。
- 善助(ぜんすけ)
- 方月館の番頭格。
- 文吾兵衛(ぶんごべえ)
- 通称「永代の元締」。深川あたりの香具師やばくち場を取り仕切る大親分。そのような立場でありながら人が良く、永代の元締の息がかかったばくち場なら素人が安心して遊べると言われる。
- 花世が引き起こした事件をきっかけに東吾達と知り合う。花世に「ひげもじゃもじゃ」と呼ばれる大男。息子は小文吾。
- 清水琴江(しみず ことえ)
- 七重の友人。
- 一度嫁いだが子どもの頃に乱暴された記憶が元で離縁になる。柳河藩の重臣・大村彦右衛門と再婚が迫り、克服のためには好きな人と契ることと医師に言われ、一計を案じて東吾と一夜の契りを持つ。再婚後、おそらく東吾の子である麻太郎を産むが、夫に先立たれ、柳河藩の姫君のお輿入れのお供として多度津に行くも、お家騒動に巻き込まれ、密書を多度津藩江戸屋敷に届ける途中に斬り殺される。
- 斎藤弥九郎(さいとう やくろう)
- 剣士。この作品では珍しく実在の人物。
- 練兵館の主。東吾と同じ岡田十松に剣を学んだ東吾の兄弟子だが、十松の死後、改めて東吾と師弟の契りを結ぶ。
テレビドラマ
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秋の蛍
- 1973年8月26日TBS系の東芝日曜劇場で放映
出演
真野響子版
NHK水曜時代劇の枠で放映
- 1980年10月8日〜1981年3月25日(全24回)
- 1982年10月6日〜1983年4月13日(全23回)
時代劇専門チャンネルで放映
- 2013年9月に『新・御宿かわせみ』のタイトルで30年ぶりにNHK版(1980-1983年)の続編として単発ドラマが製作放送され、主演はNHK版に引き続き真野響子が務める。詳細は新・御宿かわせみ#テレビドラマを参照。
出演
- 庄司るい:真野響子
- 神林東吾:小野寺昭
- 畝源三郎:山口崇
- 神林通之進:田村高廣
- 香苗:河内桃子
- 嘉助:花沢徳衛
- お吉:結城美栄子
- おきく:青地公美 -第1シリーズ
- おもよ:安藤美智子 -第1シリーズ
- おきみ:有安多佳子 -第2シリーズ
- おもん:清水恵子 -第2シリーズ
- 徳松:村上弘明 -第1シリーズ → 塩屋智章(現・塩屋俊)-第2シリーズ
- 藤吉:小鹿番 -第1シリーズ → 伝次:小鹿番 - 第2シリーズ
- 竹:星純夫-第1シリーズ
- 幸助:松田知器
- 長助:大村崑-第1シリーズ
- おかつ:桜田千枝子-第1シリーズ
- 八造:江戸家猫八-第2シリーズ
- お花:楠トシエ-第2シリーズ
- 善助:立原博
- 麻生源右衛門:下條正巳
- 七重:長谷直美-第1シリーズ → 平淑恵-第2シリーズ
- 松浦方斎:宮口精二-第1シリーズ → 安部徹-第2シリーズ
- お民:日色ともゑ
- 長七:ハナ肇-第1シリーズ
- おとせ:奈月ひろ子-第2シリーズ
- 正吉:藤田哲也-第2シリーズ
- 寺川佐一郎:寺島幸三-第2シリーズ
- 仙五郎:内山森彦-第2シリーズ
- ほか
主題歌
スタッフ
- 制作:村上慧- 第1シリーズ、松尾武(NHK) - 第2シリーズ
- 脚本:大西信行、金子成人、東條正年
- 音楽:池辺晋一郎- 第1シリーズ、桑原研郎 - 第2シリーズ
- 演出:岡本憙侑、小林平八郎、吉村芳之- 第1シリーズ、佐藤幹夫、松橋隆、清水満(NHK) - 第2シリーズほか
放映リスト
話 | 放送日 | サブタイトル | 演出 | ゲスト |
---|---|---|---|---|
第1シリーズ | ||||
1 | 1980年10月8日 | 水郷から来た女 | 岡本憙侑 | 安奈淳、宮口精二、日色ともゑ、渥美国泰、中野誠也、麻吹淳子、木村四郎、坂口芳貞 |
2 | 1980年10月15日 | 卯の花匂う | 小林平八郎 | 奈良岡朋子、吉沢京子、森田順平、下元勉、狩野剛太郎 |
3 | 1980年10月22日 | 桐の花散る | 千秋実、萩尾みどり、柳谷寛、吉岡祐一、長谷川弘、石井富子、菅沼赫 | |
4 | 1980年10月29日 | 王子の滝 | 吉村芳之 | 井上孝雄、長谷川明男、尾藤イサオ、高沢順子、山口美也子、高尾美有紀、陶隆司、成瀬正、高月忠 |
5 | 1980年11月5日 | 江戸の子守唄 | 渡辺紘史 | 下條正巳、長谷直美、武内文平、泉晶子、絵沢萠子、吾桐芳雄 |
6 | 1980年11月12日 | 夕涼み殺人事件 | 水原ゆう紀、佐藤万理、一の宮あつ子、原康義、佐古雅誉、三上昭子、真弓田一夫 | |
7 | 1980年11月19日 | 七夕の客 | 南田洋子、牟田悌三、中井啓輔、堀光昭、加藤和夫、草薙良一、上田忠好、福原秀雄 | |
8 | 1980年11月26日 | 秋の蛍 | 吉村芳之 | ハナ肇、坂上味和、吉原正皓、増田順司、伊東あつ子 |
9 | 1980年12月3日 | 女がひとり | 岡本憙侑 | 范文雀、松橋登、新井康弘、名和宏、平井道子、日色ともゑ、二見忠男、久保晶 |
10 | 1980年12月10日 | 女主人殺人事件 | 小林平八郎 | 堀内正美、梅津栄、砂塚秀夫、長谷川哲夫、奥村公延、西村淳二 |
11 | 1980年12月17日 | 山茶花は見た | 渡辺紘史 | 岡本舞、山本昌平、田島義文、根岸一正、村田みゆき、稲川善一、山川弘乃 |
12 | 1980年12月24日 | 師走の客 | 三林京子、浜田寅彦、仲谷昇、新村礼子、滝奈保栄、山路和弘 | |
13 | 1981年1月7日 | 女難剣難 | 岡本憙侑 | 金田龍之介、藤原釜足、小野みゆき、浦辺粂子、辻村真人、鳥井助國、幸田直子 |
14 | 1981年1月14日 | 初春の客 | 松岡孝治 | 角替和枝、阿部希郎、多田幸男 |
15 | 1981年1月21日 | 江戸は雪 | 小林平八郎 | 小澤栄太郎、河原崎建三、織本順吉、八木昌子、武藤章生、鶴岡修、青柳文太郎、三川雄三、村瀬正彦 |
16 | 1981年1月28日 | 江戸の怪猫 | 渡辺紘史 | 結城しのぶ、根岸季衣、津村隆、片岡半蔵、照内敏晴 |
17 | 1981年2月4日 | 湯の宿 | 河村正一 | 伴淳三郎、鈴木光枝、伊藤孝雄、新田昌玄、樋浦勉、蝦名由紀子、丸山博一、高杉玄、山中康治、団巌、 保科三良、谷津勲、木村翠 |
18 | 1981年2月11日 | 玉屋の紅 | 小林平八郎 | 若月純子、三浦真弓、西川明、矢野勇生、橋本晶子 |
19 | 1981年2月18日 | 鴉を飼う女 | 南原宏治、木村理恵、佳那晃子、うえだ峻、姫ゆり子、井上三千男、大方斐紗子、井上茂 | |
20 | 1981年2月25日 | 宵節句 | 渡辺紘史 | 寺田農、金沢碧、大久保正信、南祐輔、伊藤弘一、狩野剛太郎、大原穣子、池田勝美、摂祐子 |
21 | 1981年3月4日 | お役者松 | 渡辺紘史 | 高橋長英、片桐夕子、山田吾一、鳳八千代、関武志、佐久間宏則、谷崎弘一、唐沢民賢 |
22 | 1981年3月11日 | 鬼女 | 吉村芳之 | 市原悦子、河原崎長一郎、二木てるみ、芦屋小雁、汐路章、清水一郎、たこ八郎、田中筆子 |
23 | 1981年3月18日 | 花冷え | 渡辺紘史 | 文野朋子、岡まゆみ、岸部一徳、阿部寿美子、坂部文昭、大林丈史、戸沢佑介、伊藤正博 |
24 | 1981年3月25日 | 人は見かけに | 小林平八郎 | 坂東八十助、梅野泰靖、伊藤高、マキノ佐代子、松村彦次郎、春江ふかみ、竹田寿郎 |
第2シリーズ | ||||
話 | 放送日 | サブタイトル | 演出 | ゲスト |
1 | 1982年10月6日 | 恋ふたたび | 清水満 | 仲谷昇、奈月ひろ子、安部徹、園田裕久、丸山詠二、佐々木梅治、桐原史雄 |
2 | 1982年10月13日 | 川のほとり | 佐藤幹夫 | 松橋登、草薙幸二郎、増田順司、出光元、暖亜浮、丸山由利亜、谷津勲、大月優子、安部徹、奈月ひろ子 |
3 | 1982年10月20日 | 奥女中の死 | 松橋隆 | 稲垣美穂子、堀勝之祐、佐古雅誉、高杉哲平、麻茶れい、奈月ひろ子 |
4 | 1982年10月27日 | 幽霊殺し | 若園昌己 | 内田稔、下条正巳、平淑恵、小寺大介、松村彦次郎、田代隆秀 |
5 | 1982年11月10日 | 秋色佃島 | 清水満 | 林ゆたか、高沢順子、伊藤紘、中島元、岡雅子 |
6 | 1982年11月17日 | 三つ橋渡った | 佐藤幹夫 | 湯原昌幸、千野弘美、戸川京子、堀内正美、稲葉義男、高田敏江、望月太郎、長谷川弘、 高橋義治、川崎博司 |
7 | 1982年11月24日 | 倉の中 | 松橋隆 | 谷川みゆき、広瀬昌助、岐邑美沙子、中原潤、福田妙子、大谷一夫 |
8 | 1982年12月1日 | ぼてふり安 | 吉村文孝 | 犬塚弘、日色ともゑ、遠藤真理子、岡本麗、山西道広、早田文次、水城蘭子、前沢迪雄、竹田寿郎、 麻ミナ、白井美樹、森井睦 |
9 | 1982年12月8日 | 幼なじみ | 清水満 | 江藤潤、山本みどり、中村久美、今西正男、奥野匡、舞小雪、稲川善一、勝田武 |
10 | 1982年12月15日 | 師走の月 | 松橋隆 | 火野正平、谷村昌彦、金田龍之介、蜷川有紀、吉野佳子、宮沢元、伊藤彰洋、渡辺啓子、安部徹、奈月ひろ子 |
11 | 1983年1月5日 | 迎春忍川 | 清水満 | 高樹澪、谷幹一、緋多景子、久保晶、草見潤平、篠田薫、滝雅也 |
12 | 1983年1月12日 | 迷子石 | 佐藤幹夫 | 蟹江敬三、香野百合子、木田三千雄、加藤正之、山川弘乃、飯田テル子 |
13 | 1983年1月19日 | 源三郎の恋 | 清水一彦 | 奈良富士子、浦辺粂子、清水宏、上田忠好、内山森彦、三好美智子 |
14 | 1983年1月26日 | 油屋殺人事件 | 田島照 | 小坂一也、岡本舞、織本順吉、佐藤仁哉、國井正廣 |
15 | 1983年2月9日 | 江戸の手まり唄 | 松橋隆 | 古舘ゆき、三ツ木清隆、小島三児、清水まゆみ、堀越節子、棟里佳 |
16 | 1983年2月16日 | 冬の桜 | 清水満</br>黛りんたろう | 森下愛子、中西良太、江角英明、宮本幸子、佐野守、保科三良、斉藤暁、池田武志 |
17 | 1983年2月23日 | 梅一輪 | 竹内豊 | 神崎愛、ひし美ゆり子、草薙良一、斉川一夫、岡本隆史、安部徹 |
18 | 1983年3月2日 | 千鳥が啼いた | 佐藤幹夫 | 尾美としのり、頭師佳孝、此島愛子、川田あつ子、前野礼子、黒岩義和、小林テル、三川雄三、山崎満、安部徹 |
19 | 1983年3月9日 | 狐の嫁入り | 清水満</br>大木一史 | 小松方正、白石奈緒美、福田公子、伊藤美由紀、金井大、大谷桂三、古代一平、佐藤恒治、神田正夫、 大友町子、田村寛、飯田道郎、加藤善博、和沢昌治、石垣恵三郎、船場牡丹、森康子、吉田太門 |
20 | 1983年3月16日 | 子を思う闇 | 若園昌己 | 上村香子、菅野忠彦、浜村純、増田順司、横山万里子、姫ゆり子、戸沢佑介、須釜直美 |
21 | 1983年3月22日 | 吉野の女 | 松橋隆 | 本田博太郎、栗田陽子、川口敦子、稲垣昭三、伊藤正博、長谷川将、坂野比呂志、竹内靖、日色ともゑ |
22 | 1983年4月6日 | 子無きは去る(前編) | 佐藤幹夫 | 田村亮、倉地雄平、出光元、加藤清三、石田純子、大滝玲子、山口純平、平川ひさし、築地博、田中勇次、 島田芳子、牧瀬康子、平光琢也、内山森彦、下條正巳、平淑恵、安部徹 |
23 | 1983年4月13日 | 子無きは去る(後編) | 清水満 | 田村亮、島村佳江、宝生あやこ、伊藤高、名川貞郎、加藤清三、石田純子、山口純平、奈月ひろ子、 下條正巳、平淑恵、安部徹 |
古手川祐子版
テレビ朝日系でドラマスペシャルが2回放映された
- 1988年9月29日
- 1989年3月28日
出演
沢口靖子版
タイトルは『新・御宿かわせみ』テレビ朝日系放映
- 1997年10月16日〜1998年3月12日(全19回)
出演
- 庄司るい:沢口靖子
- 神林東吾:村上弘明 (*NHK・真野響子版に岡っ引き・徳松役で出演していた)
- 畝源三郎:平田満
- 嘉助:笹野高史
- お吉:藤田弓子
- 長助:石倉三郎
- 麻生源右衛門:織本順吉
- 七重:小島聖
- 香苗:姿晴香
- 神林通之進:津川雅彦
高島礼子版
NHK金曜時代劇で放映
- 第一章(2003年4月4日〜5月30日)(全8回)
- 第二章(2004年4月2日〜7月23日)(全16回)
- 第三章(2005年5月13日〜8月5日)(全12回)
出演
- 庄司るい:高島礼子
- 神林東吾:中村橋之助
- 畝源三郎:宍戸開(⇒第三章からは沢村一樹)
- 嘉助:小野武彦
- お吉:鷲尾真知子
- 長助:冷泉公裕(⇒第二章からは蛍雪次朗)
- 松浦方斎:藤木悠(⇒第二章は伊吹吾郎、第三章は神山繁)
- 天野宗太郎:鈴木一真(⇒第二章から)
- 天野宗伯:津嘉山正種(第三章)
- 麻生源右衛門:井川比佐志
- 七重:吉本多香美
- 神林香苗:仁科亜季子
- 神林通之進:草刈正雄
- 主なゲスト
- ほか
漫画
島崎譲の作画による漫画版が、リイド社の時代漫画雑誌『コミック乱ツインズ』に2012年2月号から2013年5月号まで連載された。