名古屋市営地下鉄桜通線

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|} 桜通線(さくらどおりせん)は、愛知県名古屋市中村区中村区役所駅から同市緑区徳重駅までを結ぶ、名古屋市営地下鉄の路線。正式名称は名古屋市高速度鉄道第6号線ラインカラーテンプレート:Color)である。

すべての駅でmanaca(2011年2月11日に導入)などの交通系ICカード全国相互利用サービス対応カードが使用できる。

概要

現在の始発駅である中村区役所駅太閤通愛知県道68号名古屋津島線)の地下にあり、名古屋市道名古屋環状線が交差している。次駅の名古屋駅から今池駅の間は、路線名のとおり桜通の地下を通っている。同区間は錦通地下にある東山線と並行しており、同線のバイパス路線としての役割を担っている。名古屋駅 - 久屋大通駅名城線乗換駅)間は利用客が比較的多く、通勤ラッシュ時はさらに混雑する。また、通学時間帯には今池駅 - 車道駅間の混雑が激しく、ダイヤの乱れの原因となることが多い。

今池駅 - 桜本町駅間は進路を南北方向に変えて名古屋市道名古屋環状線の地下を通る。同区間は、沿線に学校が多く存在することから、通学時間帯および帰宅時間帯での学生の利用が多くみられる。

桜本町駅以東は再び進路を東に変えて終点の徳重駅まで東海通(名古屋市道東海橋線)の地下を通る。鶴里駅 - 野並駅間では天白川の下を通るため、名古屋市営地下鉄で唯一の複線シールド構造になっており、両方向の電車が至近ですれ違う様子を見ることができる。桜本町以東の区間では区画整理が進み、それに伴い住宅開発とともに人口の増加が著しい名古屋市南東部郊外の鉄道空白地域を解消する路線としての役割を担っている。

以上に述べた路線構造から、桜通線は名古屋市営地下鉄の東山線・名城線・鶴舞線との乗換駅がそれぞれ2駅ずつ設置されている。また名古屋市営地下鉄で唯一南区緑区を通っている。なお、名古屋市営地下鉄では最も深い位置を走っている路線である(最深は丸の内駅の深度24m)。名古屋駅 - 御器所駅間は既存路線のほか、名駅や栄の大規模な地下街を潜るためほとんどの駅が20m近い深度にある。一方で桜山駅以南は既存路線が新瑞橋駅で交差する名城線のみであるため同駅や相生山駅神沢駅以外は深度が浅い駅が多い。

輸送人員は黒字路線である鶴舞線と遜色ない約24万人/日[1]であるが、野並駅までの建設費はキロあたり271億円と、鶴舞線の2.5倍近くなっている[2]。その重い減価償却費の負担を負う収支構造にあることから、日本の地下鉄路線の中では全国最悪の赤字路線である京都市営地下鉄東西線に次ぐ大幅な赤字運営に陥っている(平成19年度統計)。

すべての列車で運転士のみが乗務するワンマン運転が実施されている。運転には、名古屋市営地下鉄の中で唯一ATO(自動列車運転装置)が採用されている。

桜通線の車両整備等は徳重駅に併設された徳重車庫で行われている。ただし、大きな検査は日進工場で行っているため、丸の内駅に鶴舞線とを結ぶ連絡線を設け、日進工場まで自力回送している。

接近メロディの曲名は中村区役所駅方面が「チェリー」、徳重駅方面が「オーバル」である。

路線データ

運行形態

すべての列車が各駅停車で、運転間隔は平日の昼間が7分30秒間隔[3]、土休日が10分間隔となっている。これは、鶴舞線とほぼ同じ程度の運行頻度となっている。

全区間通し運行が基本である。ただし、終電が中村区役所駅発、徳重駅発のいずれも今池駅までの区間運行であるほか、夜間及び土休日朝に桜山駅発または桜山駅までの区間運行が設定されている。また、中村区役所駅発の終電1本前は徳重駅まで行かず、野並駅までの区間運行である。

大みそかから元旦にかけての終夜運転では、通常の今池止まりの後から30分間隔[4]で全線通し運行となる。

車両

駅等の設備

ファイル:Subway Sakura-dori Line Platform screen doors Information.JPG
桜通線ホームドアにおける乗車位置と注意事項案内(久屋大通駅にて撮影)

ホームは、中村区役所駅から野並駅は20m車8両編成に、鳴子北駅から徳重駅は20m車6両編成に対応しており、すべての駅に可動式ホーム柵が設置されている。6両編成以上の定期列車が入線することはないため、電車が停まらない部分には普通柵を設置している。可動式ホーム柵は、2011年3月27日に設置された鳴子北駅・相生山駅神沢駅・徳重駅の各駅では開業と同時に使用が開始され、既存の駅でも順次設置され、同年7月23日までにすべての駅で設置が完了した(当初は7月16日設置完了予定だった)。また、名古屋市営地下鉄の開業区間で初めて駅のテーマカラーが設定され、既存の各駅でも可動式ホーム柵の設置とともに設定された。今後東山線や名城線・名港線でも、可動式ホーム柵の設置が予定されている。

ホームは、常に進行方向右手となるよう全駅で島式ホームとなっている。また、日本国内の鉄道の多くでは、車両の運転台を進行方向左側に設置しているが、桜通線では車両の運転台をホームに近い、進行方向右側に設置している。乗務員は、ホームドアの最前方のモニターテレビで、ホームに設置されたカメラ等との映像を見て、ホーム前後の安全確認やドアの開閉、発進操作を行う。これらの設備によりホーム安全やドア開閉の確認を容易にし、ワンマン運転を可能にしている。なお、開業からホームドアが設置される前までホームの映像は、駅進入時から発車直後まで運転台にあるモニターに映していた。

すべての駅で、エレベーターエスカレーター車椅子使用者対応トイレ等のバリアフリー化が完了している。現在、名古屋市営地下鉄全駅で整備が進められているバリアフリー設備の整備が始まったのは、桜通線である。なお、すでに全駅で導入が完了している押しボタン式の列車非常停止警報装置の整備が始まったのもこの路線である。

ホームにおいて電車の接近を知らせる接近表示器は東山線や名城線・名港線で導入されているものと同型のLED式が採用されており、各種運行情報やニュースなどが表示できる。ただし、2011年1月19日までは電車が接近すると「○○(前駅名)を出ました」との表示が点灯する内照式が採用されていた。

利用状況

名古屋市営地下鉄桜通線の年度別の輸送実績を下表に記す。 表中、最高値を赤色で、最低値を緑色で表記している。

桜通線輸送実績
年度 年間輸送人員
(千人)
一日平均輸送人員
(人)
最混雑区間乗車率
(%)
輸送密度
(人/日)
特記事項
1989年(平成元年) 開業年
1990年(平成2年) 38,449 105,340 174 16,210
1991年(平成3年) 43,855 18,368
1992年(平成4年) 44,617 18,472
1993年(平成5年) 45,426 124,455 19,672
1994年(平成6年) 72,797 199,444 49,456 野並延伸開業
1995年(平成7年) 76,390 208,716 152 53,222
1996年(平成8年) 78,795 215,877 56,240
1997年(平成9年) 77,873 213,351 56,507
1998年(平成10年) 79,209 217,011 57,805
1999年(平成11年) 78,221 213,479 134 57,619
2000年(平成12年) 79,705 218,370 134 59,090
2001年(平成13年) 77,523 212,392 138 57,818
2002年(平成14年) 78,354 214,668 134 58,253
2003年(平成15年) 88,217 241,690 134 66,534
2004年(平成16年) 84,891 232,578 144 62,261
2005年(平成17年) 82,902 227,129 135 62,154
2006年(平成18年) 84,100 230,164 139 62,674
2007年(平成19年) 83,959 230,022 140 63,216
2008年(平成20年) 85,173 131 63,372
2009年(平成21年) 83,330 125 62,362
2010年(平成22年) 125
2011年(平成23年) 105 徳重延伸開業
2012年(平成24年) 116

歴史

1972年(昭和47年)の都市交通審議会答申第14号において、計画化された路線である。当時、東山線では、通勤時間帯に名古屋駅での改札止めが常態化し、昭和50年代中ごろには、名古屋駅 - 伏見駅間において、混雑率が250%を超える状況となっていた。そのため、東山線の混雑緩和のため、バイパス路線として、まず、 中村区役所駅 - 今池駅間の建設が行なわれ、1989年(平成元年)9月10日に開業した。同区間の工事は、名古屋駅の地下をくぐる構造を建設するもので、採用された大規模アンダーピニング工法土木学会賞技術賞を受賞した。当線名古屋駅ホームにはそのプレートが埋め込まれている。

桜通線は、当初からワンマン運転を行なうことを前提に、すべてのホームを島式とし、すべての車両の運転台をホームに近い、進行方向右側に整備した。開業時は車掌が乗務していたものの、ATOの導入が完了した 1994年(平成6年)2月16日からはワンマン運転を開始した。同じ年の3月30日には、今池駅 - 野並駅間が開業した。

2011年(平成23年)3月27日には、野並駅 - 徳重駅間が開業した[5]。開業が東北地方太平洋沖地震の直後となったため、記念イベントを中止し、ドニチエコきっぷBトレインショーティーなどの記念グッズの販売のみ行った。同区間については、名古屋市が2000年(平成12年)12月に次期整備区間として建設する方針を固め、2003年(平成15年)9月5日、同区間の第一種鉄道事業許可を取得し、建設を開始した[6][7]。開業に伴う試運転は、2011年1月22日から、通常の旅客運行を利用し、野並駅での乗客乗降前後に、開通後の運行を想定して野並駅 - 徳重駅で行った。

なお、野並駅 - 徳重駅の延長工事に関し、2007年(平成19年)1月、工事に伴う入札で大手ゼネコン談合の疑いで名古屋地方検事特捜部と公正取引委員会の家宅捜査を受けた。同年2月28日には大手ゼネコン5社の幹部らが独占禁止法違反容疑で逮捕された。

年表

  • 1989年(平成元年)
    • 9月10日 中村区役所駅 - 今池駅間 (6.3km) が開業。6000形電車営業運転開始。
    • この年 桜通線建設時の名古屋駅付近の大規模アンダーピニング工法が土木学会賞技術賞を受賞。
  • 1994年(平成6年)
    • 2月16日 ワンマン運転開始。
    • 3月30日 今池駅 - 野並駅間 (8.6km) が開業。
  • 2004年(平成16年)10月6日 名城線瑞穂運動場東駅開業に伴い、瑞穂運動場駅を瑞穂運動場西駅に改称。
  • 2007年(平成19年)
    • 3月18日 3050形を使用した鶴舞線開通30周年記念列車が今池駅 - 鶴舞線赤池駅間で運転される。6000形以外の車両が当線に入線したのは、1993年に鶴舞線と犬山線直通運転記念イベント団体専用列車で3050形 (3151F) が入って以来、これが2度目となる。当日入線したのは3152Fの6連。
    • 3月19日 全駅で列車到着前の接近チャイムに代わり、接近メロディを導入。
  • 2009年(平成21年)9月20日 3050形を使用した桜通線開業20周年記念特別列車「ミステリートレイン」が今池駅 - 鶴舞線赤池駅間で運転される。当日入線したのは3151Fの6連。
  • 2010年(平成22年)7月5日 6050形電車営業運転開始。
  • 2011年(平成23年)
    • 1月20日 ホームの接近表示器を内照式からLED式に更新。
    • 1月22日 中村区役所駅を皮切りに可動式ホーム柵が導入される。
    • 3月20日 鳴子北駅 - 徳重駅間にて試乗会開催。
    • 3月21日 ダイヤ改正。桜山駅行の区間運行を設定(桜山駅発は従来から設定)。
    • 3月27日 野並駅 - 徳重駅間 (4.2km) が開業。
    • 7月23日 野並駅を最後に全駅で可動式ホーム柵を設置完了。

延伸計画

野並 - 徳重 - 豊田市南部方面

1992年運輸政策審議会答申第12号名古屋圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画についてにおいては、以下の区間が延伸計画として策定されている。

  • 今池 - 野並 - 徳重間 … 2008年までに整備することが適当である路線
  • 徳重 - 豊明北間 … 2008年までに整備の推進を図ることが適当である路線
  • 豊明北 - 豊田市南部方面間 … 今後整備について検討すべき路線

これらのうち、今池駅 - 野並駅間は1994年、野並駅 - 徳重駅間は2011年に開業済みである。

徳重駅以東については、豊明北からさらに東進して豊田市南部へ延伸する経路は未定である。構想段階に過ぎず、事業化のめどは立っていない。

中村区役所 - 七宝町方面

1992年策定の運輸政策審議会答申第12号では、2008年までに整備の推進を図ることが適当である路線として、中村区役所駅から東山線の中村公園駅を経て中村区稲葉地地区、海部郡大治町あま市七宝町方面への延伸が示されている。徳重以東と同じくまだ構想段階に過ぎず、事業化のめどは立っていない。

駅一覧

テンプレート:Ambox-mini 全駅名古屋市に所在。駅名左の■の色は可動式ホーム柵などに使われるテーマカラーテンプレート:-

駅番号 駅名 駅間キロ 営業キロ 接続路線 所在地 ホーム形状
S01 テンプレート:Color中村区役所駅 - 0.0   中村区 島式
S02 テンプレート:Color名古屋駅 0.9 0.9 名古屋市営地下鉄:20px 東山線(H08)
東海旅客鉄道東海道新幹線東海道本線中央本線関西本線
名古屋臨海高速鉄道あおなみ線(AN01)
近畿日本鉄道名古屋線近鉄名古屋駅
名古屋鉄道名古屋本線名鉄名古屋駅
S03 テンプレート:Color国際センター駅 0.7 1.6  
S04 テンプレート:Color丸の内駅 0.8 2.4 名古屋市営地下鉄:20px 鶴舞線(T06) 中区
S05 テンプレート:Color久屋大通駅 0.9 3.3 名古屋市営地下鉄:20px 名城線(M06)
S06 テンプレート:Color高岳駅 0.7 4.0   東区
S07 テンプレート:Color車道駅 1.3 5.3  
S08 テンプレート:Color今池駅 1.0 6.3 名古屋市営地下鉄:20px 東山線(H13) 千種区
S09 テンプレート:Color吹上駅 1.1 7.4  
S10 テンプレート:Color御器所駅
(昭和区役所)
1.0 8.4 名古屋市営地下鉄:20px 鶴舞線(T12) 昭和区
S11 テンプレート:Color桜山駅
市立大学病院
1.1 9.5   瑞穂区
S12 テンプレート:Color瑞穂区役所駅 0.9 10.4  
S13 テンプレート:Color瑞穂運動場西駅 0.7 11.1  
S14 テンプレート:Color新瑞橋駅 0.7 11.8 名古屋市営地下鉄:20px 名城線(M23)
S15 テンプレート:Color桜本町駅 1.1 12.9   南区
S16 テンプレート:Color鶴里駅 0.9 13.8  
S17 テンプレート:Color野並駅 1.1 14.9   天白区
S18 テンプレート:Color鳴子北駅 1.1 16.0  
S19 テンプレート:Color相生山駅 0.9 16.9   緑区
S20 テンプレート:Color神沢駅 1.4 18.3  
S21 テンプレート:Color徳重駅 0.8 19.1  

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

関連項目

テンプレート:名古屋市営地下鉄の路線
  1. あいちの陸上交通(統計資料)
  2. 日本地下鉄協会ホームページ
  3. 2003年3月のダイヤ改正までは6分間隔であった。
  4. 2003年大晦日までは20分間隔、2008年大晦日までは25分間隔だった。
  5. 桜通線 野並・徳重間が開通しました - 名古屋市交通局、2011年3月27日。
  6. 名古屋市高速度鉄道第6号線延伸の許可申請について」国土交通省鉄道局、2003年9月5日
  7. 名古屋市議会土木交通委員会平成21年9月28日報告。鉄道事業法に基づく許可申請時は2014年度開業予定として許可されたが、名古屋市が2006年(平成18年)に策定した市営交通事業経営改革計画 (テンプレート:PDFlink) では開業目標を2010年度に前倒しした。桜通線 野並・徳重間の開業日が決まりました - 名古屋市交通局、2010年10月25日。