吉田豪
吉田 豪(よしだ ごう、1970年9月3日 - )は、「プロ」書評家、「プロ」インタビュアー(※媒体出演時の他称による二つ名)、コラムニスト。古本(プロレス本、タレント本)及びタレント・グッズの収集家としても知られている。東京都練馬区出身。
目次
人物
徹底した事前取材を元にした有名人インタビューで知られており、インタビュー集を複数出している。プロインタビュアーの肩書きで紹介されることもある。
経歴
中学生の時に『ガンダム』を初めとするアニメ好きとなり、古本でアニメ雑誌などを購入して徹底研究。のちの古本購入人生のスタートとなった。なお、この頃から友人が言い間違いなどをすると、それを生徒手帳にメモしておき、1年たっても指摘し続けるなどという粘着性な性格だったという。
中学2年の時にパンクが好きになり、それまで好きだったアニメを封印。高校1年生時代に生涯で初めてアイドルにはまる(当時の対象は岡田有希子)[1]。高校3年生からハードコア・パンクのミニコミ『修羅』のスタッフとなる。
- この頃の経験から、80年代の日本のロックや洋楽に詳しく、のちの2011年7月には音楽系イベント「サエキけんぞう×クッキーシーン presents 洋楽トーク第2弾@7/6.ototoy」に参加[2]。2012年10月には、吉田が選曲を担当したCD「ミク★パンク 創世編」「ミク★パンク 80's・オン・キャプテンレコード」「キング★ソングス '80s・オン・キャプテンレコード」が発売予定。
高校卒業後、1年間のフリーターを経て、東京デザイナー学院の編集デザイン科へ進学。卒業制作で当時の学長の暴露本を制作。この暴露本を制作するために清掃係の人に話を聞きに行くなどの綿密な取材をしていた。この頃より現在のスタイルを確立する。
また、在学中には反戦、反核、反オタクをテーマにするバンドを組み、アニメソングをパンク・バージョンでカバーし、オタク批判の歌を歌ったり、漫画研究会のクイズ大会に殴り込みで参加し、優勝したりしたという。
就職活動を始めるが、DOLLを受けた際に違和感を覚え、音楽雑誌以外にも目を向けるようになる。ふゅーじょんぷろだくと発行の『コミックボックス』編集部に内定するも、卒業制作などを見せたところ、「君はこういう姿勢だと、広瀬隆さんに会わせることはできないよ」と言われ、内定を辞退する。
そして、結局専門学校時代の友人の紹介で編集プロダクション・アートサプライに入社。『VOW』(宝島のコーナー)投稿選考主任を務める。
入社から2年後、『紙のプロレス』(以下、紙プロ)と出会う。『紙プロ』がイベントを行った時に、ターザン山本と高田文夫のトークイベントにサクラで来るよう言われ、イベント終了後、編集長に挨拶に行ったところ、そのまま『紙プロ』編集部まで連れて行かれ、朝まで仕事をさせられる。その報酬がよかったため、以後手伝いに行くようになったのがきっかけでプロレス関連の仕事にもかかわるようになる。当時はプロレスに詳しかったわけではなく、古本で得た知識で理論武装しており、「プロレスを見ない、プロレスライター」として有名になる。
23歳の時に引き抜きで『紙プロ』へ完全移籍。師匠と崇めるリリー・フランキーのラインや、『紙プロ』での原稿を見ての執筆依頼などで着実に連載を増やし始めると同時に古本の仕事も始める。なお、『紙プロ』は2004年の初頭に離脱した。
プロレス本を収集しているうちに梶原一騎、真樹日佐夫兄弟をリスペクトするようになり、従来の漫画評論で無視されていた梶原のダークな作品を論じた『マンガ地獄変』(水声社、1996年、編集担当はのちのビバ彦)にも植地毅、宇田川岳夫らとともにメイン・ライターとして参加。また、『マンガ地獄変』シリーズで知り合った、大西祥平とは古本収集ユニット「古本ハムサラダ」を結成する。なお、『マンガ地獄変』版元の水声社からは処女作として『タレント本の本』が刊行予告されていたが、未だ刊行されていない。
インタビューの際には徹底的な事前調査と巧みな話術により、相手に気に入られることが多い。角川春樹には特に気にいられ、ことあるごとに常にインタビュアーに指名され、内輪のパーティにも招待された。一方で、西川のりおのように「誘導して、吉田が用意した結論を言わされる」という否定的な声もある。なお、インタビュー時の吉田の「笑い声」はアントニオ猪木の笑い声を真似た「ダハハハハハー」と表記される。
プロマイドのマルベル堂で吉田豪プロマイドも発売されている。
エピソード
- タレント本収集家としても有名で、新宿の仕事場はタレント本だけで埋まっている(それ以外の本は実家に送っている)。独身で安定しない職業にも関わらず、都内に分譲マンションを購入した事について「本が置けなくなって仕方なく購入した」と、ネタにする程である。
- タレントに関するグッズも、オークションをはじめあらゆる手段を用いて収集している。当のタレント本人すら持っていないグッズをコレクションしており、インタビューの際持参し、タレントに喜ばれる(逆に気味悪がられる)エピソードにことかかない。
- オシャレなブランド品には金をつかいたくないという一方、(世間一般からすれば)微妙なデザインのタレントグッズの収集には金を惜しまない。意図的にダサいプリントTシャツを購入してはイベント等で好んで着るなど、珍しい価値感を持っている。
- 都内での仕事の際はほぼ全て自転車で移動する。
- 高校時代に傾倒した反戦、反核、動物の権利保護を掲げていたパンクカルチャーの影響で肉と魚介類は一切食べない菜食主義者(魚介は元々食べられなかった)。ストレート・エッジや厳格なベジタリアンの実践者という訳では無く格段生野菜を好むというわけでもない。トンカツの衣のみや東京豚骨醤油ラーメンを好むなど本人曰くゆるい菜食主義。他には(無下に断れない状況で)中村日出夫から焼肉を振舞われた時などは笑顔で相槌を打ちながら咀嚼するフリだけして吐き出し、傍らの犬に与えていた。[3]。
- 沢尻エリカの一連の騒動直前に、映画『クローズド・ノート』についてインタビュー取材を行い、舞台挨拶同様の険悪な雰囲気を余す事無く活字化し話題になる。その結果、複数の媒体から沢尻エリカ取材についての取材を受けるという珍しい体験をする。
- 座右の銘は「死ぬまで現状維持」(林家ペーの名言より)。現在より有名になってしまうと、プロインタビュアーとしての活動に支障がでる恐れがあるとのこと。
- VOW総本部時代の上司にあたる古矢徹が全日空61便ハイジャック事件に遭遇した際、「人を初めて羨ましいと思ったッス」と発言している。
- 現在、新宿2丁目に在住している。『Meets別冊東京通本』で「ノンケなのに二丁目在住」というインタビューが掲載され、ゲイクラブでポールダンスを踊った写真が掲載された。交通の便を考えてとのことだが、独身であることもあいまって当然疑われている。本人はそれを面白がってネタにしたり、インタビュー時に名刺で住所を見せた際そっち方面の人のガードがゆるくなることを利用したりしている。住所を知らせた両親から、本気で心配された内容の手紙が届いたこともある。
- 2010年夏、関西ローカルながら初の冠番組『プロインタビュアー 吉田豪の元○○な人々』を始める際、人選会議にて田代まさしの地上波解禁を試みたが局側からNGが出てしまい実現できなかった。その後、田代が再び薬物で逮捕されてしまい、後日DVD発売の際に、「田代まさしを起用しなくてよかった」とQuickJapanで語っている。
- 自身がインタビューした人物についてテレビなどでエピソードを話すとき、テレビ局側からネタを指定されることが多いと述べている。「樹木希林が内田裕也を鉄パイプでボコボコにした」「玉置浩二へのインタビュー時のエピソード」などが多い。
- 爆笑問題の太田光は『爆笑問題の日曜サンデー』で「嫌な奴だね、吉田豪って」と嫌っているような印象で発言している(吉田が太田夫人と仲がいいことからのネタ的な発言か)。
- 芸能★BANGに出演していたが「Wikipediaに書いてあったこの情報を吉田さんが調べたということで話して下さい」と言われ降板したという。[4]
- TBSラジオの昼ワイドは『ストリーム』『小島慶子 キラ☆キラ』『たまむすび』と連続して曜日レギュラーで出演しているが、全て途中から加入している。[5]
著書
単著
- 『男気万字固め』(エンターブレイン、2001.6、幻冬舎文庫、2007.2)
- 『人間コク宝』(コアマガジン、2004.12)
- 『元アイドル!』(ワニマガジン社、2005.6、改訂版・新潮文庫、2008.6)
- 『吉田豪のセメント!!スーパースター列伝パート1』(エンターブレイン、2006.4)
- 『元アイドル!2』(ワニマガジン社、2007.4)
- 『続・人間コク宝』(コアマガジン、2007.11)
- 『Hon-nin列伝 セキララなオンナたち』(太田出版、2008.2)
- 『BAND LIFE バンドマン20人の音楽人生劇場独白インタビュー集』(メディアックス、2008.5)
- 『豪さんのポッド 吉田豪のサブカル交遊録』(白夜書房、2009.11)
- 『新・人間コク宝』(コアマガジン、2010.11)
- 『サブカル・スーパースター鬱伝』(徳間書店 、2012.7)
- 『人間コク宝 まんが道』(コアマガジン、2012.10)
- 『吉田豪の喋る!!道場破り プロレスラーガチンコインタビュー集』(白夜書房、2013.2)
- 『人間コク宝 サブカル伝』(コアマガジン、2014.2)
共著・編著
- 『マンガ地獄変』(植地毅、宇田川岳夫らとの共著、水声社、1996.10)
- 『悶絶!プロレス秘宝館』(共著、バーン・コーポレーション、1997.2)
- 『マンガ地獄変2 男魂マンガ高校』(植地毅,宇田川岳夫らとの共著、水声社、1997.8)
- 『悶絶!プロレス秘宝館vol.2』(共著、バーン・コーポレーション、1997.12)
- 『マンガ地獄変3 トラウマ・ヒーロー総進撃!』(植地毅,大西祥平、大久保太郎らとの共著、水声社、1998.2)
- 『犯罪地獄変』(共著、水声社、1999.1)
- 『悶絶!プロレス秘宝館vol.3』(共著、バーン・コーポレーション、1999.4)
- 『プロレス・格闘技超“異人”伝 リングの外でもスゴい人々』(スーパーバイザー担当、洋泉社、2006.3)
- 『コラムの花道 2007傑作選』(TBSラジオストリーム、アスペクト 2008.3) 他多数
- 吉田豪の豪ing アンダーグラウンド(シンコーミュージック、2013年12月30日)
復刊監修
DVD
- 『プロインタビュアー吉田豪の元○○な人々vol.1 』(ポニーキャニオン、2010.09)
- 『プロインタビュアー吉田豪の元○○な人々vol.2 』(ポニーキャニオン、2010.10)
番組レギュラー出演・連載
テレビ
- 『およよん NEWS&TALK』(日テレNEWS24、2008年2月2日 - 2010年3月6日)
- 『田代まさしのいらっしゃいマーシー』(MONDO21、2009年7月 - 9月)
- 『プロインタビュアー 吉田豪の元○○な人々』(関西テレビ)
- 『給与明細』
- 『やりすぎコージー』
- 『ゴッドタン』
- 『不可思議探偵団』
- 『1924』
- 『有名人が極秘情報を流出!「世界!どや顔サミット」』(2010年12月17日、朝日放送)
- 『マツコの知らない世界・手ごわかった人ランキング』(2011年10月21日、28日、TBS)
- 『芸能★BANG!』(日本テレビ)
- 『ザ・追跡スクープ劇場』(2012年2月17日、日本テレビ)
- 『上沼・高田のクギズケ!』(読売テレビ)
- 『有吉弘行のヘベレケ』
- 『情熱大陸』(2012年12月30日)
- 水道橋博士の80年代伝説 (歌謡ポップスチャンネル)
- 『リバースエッジ 大川端探偵社』第4話(2014年5月10日、テレビ東京)
ラジオ
- 『ストリーム』(TBSラジオ、2001年10月 - 2009年3月)
- 『小島慶子 キラ☆キラ』(TBSラジオ、2009年3月30日 - )
- 『ザ・カンムリラジオ』(アール・エフ・ラジオ日本 2013年4月- 出場ユニットに対するインタビュアー)
- 『たまむすび』(TBSラジオ、2013年10月 - 、毎月第3水曜日の「たいしたたま」のコーナー担当)
- 『With you』(bayfm、2012年4月10日 - 、隔週水曜日「吉田豪の本当のところ」のコーナー担当)
雑誌等
- 『TV Bros.』
- 『BEAUTIFUL Lady & TELEVISION』
- 『SPA!』
- 『POPEYE』
- 『ホイップ』
- 『CONTINUE』
- 『Chuッ スペシャル』
- 『BREAK MAX』
- 『言語道断』
- 『BUBKA』(真樹日佐夫へのインタビュー)
- 『週刊プレイボーイ』
- 『クロスビート』
- 『BURRN!』
- 『フィギュア王』
- 『ハイパーホビー』
- 『わしズム』
- 『ゴング格闘技』
- 『SPORTS Yeah!』
- 『産経新聞 関西版』
- 『夕刊フジ』
- 『月刊アフタヌーン』
- 『webダヴィンチ・4ちゃんねる!!』
- 『豪さんのポッド』
- 『スカパー! バトルLIFE!!』(格闘コラム)
- 『Rooftop』
- 『ミュージック・マガジン 』(アイドルコラム)
脚注
- ↑ 『元アイドル!』あとがき
- ↑ http://saekingdom.com/?m=201106
- ↑ 『豪さんのポッド第80回』
- ↑ http://donicchi.jp.msn.com/opinion/20120720_7.aspx#scpshrtu
- ↑ 町山智浩も吉田と同じく連続でレギュラー出演しているが、町山の場合『小島慶子 キラ☆キラ』と『たまむすび』は放送開始時からレギュラー出演している。