京成3000形電車 (2代)
テンプレート:出典の明記 テンプレート:鉄道車両 京成3000形電車(けいせい3000がたでんしゃ)は、2003年(平成15年)2月1日に営業運転を開始した[1] 京成電鉄の通勤形電車。
「3000形」という車両形式名は、京成電鉄では「赤電」とも称された初代3000形が在籍したことから2代目で、新3000形とも称される。都営浅草線乗り入れ事業者の車両については車両番号の千位の数字が協定で定められており、京成は3・4を付与することができるが、設定されていない「3900」を飛ばして再び「3000」の形式名となった。
なお、2010年(平成22年)7月17日に開業した成田スカイアクセス経由で運転される一般特急列車(アクセス特急)向けとして製造された7次車は、仕様変更が行なわれたことから51以降の番号が付与され、3050形とも呼称される。
目次
概要
2002年(平成14年)12月より加速性能向上を課題に抵抗制御車の3200形・3300形・3500形未更新車などの早期代替車両として登場したコスト軽減・大量増備形車両である。当初3500形は1996年(平成8年)より全車の更新を予定していたが、鋼材の腐食が京成の予想以上に進んでいたため、初期車の更新が終わった段階で打ち切りとなり、更新を受けなかった後期車は新車投入により代替する方針となった。
また、1991年(平成3年)から新製された3700形は導入から12年が経過し、交通バリアフリー法への対応や新技術導入の必要性があることから、新設計の通勤形電車として製造されることになった[2]。
本形式の設計に当たっては「環境への配慮」・「省エネルギー化」・「保守の簡略化」・「バリアフリー化」などをコンセプトに、「お客様と環境にやさしい車両」を目指した。
この車両を「京成グループ標準車体」と呼び、京成グループの北総鉄道や新京成電鉄でも同一の構造を採用した車両(北総7500形、千葉ニュータウン鉄道9200形、新京成N800形)を投入している。
奇数番号編成が東急車輛製造・総合車両製作所横浜事業所製、偶数番号編成が日本車輌製造製となっているが、例外的に3001編成と7次車の全車が日本車輌製造製である。
車両番号は、京成の通勤車としては初めて車両番号標記にハイフンを使用し、第1編成は成田空港寄りから3001-1 - 3001-8、第2編成は3002-1 - 3002-8と付番し、それぞれ3001編成、3002編成…と呼称する。本形式は8両編成と6両編成の2種類があるが、6両編成についてはハイフン以下4と5は製造されておらず、欠番となっている。号車をハイフン以下の数字で表した車両番号標記は相互直通運転先の東京都交通局(都営地下鉄)5300形や京浜急行電鉄600形・800形と同様であるが、これらの車両とは基準方向が逆である。
なお、大幅に仕様変更の行われた7次車(通称3050形)については下記の7次車の項目も参照。
車体
京王電鉄9000系、小田急電鉄2代目3000形、名古屋鉄道300系などと同様に日本車輌製造のブロック工法による軽量ステンレス製である。車体帯は「ヒューマンレッド」と「フューチャーブルー」の京成標準色であるが、側面は細く配されているのが特徴である。また、車両間には転落防止幌があり、1 - 3次車は大型、4次車以降は小型のものを設置している。
前面形状は「ブラックフェイス」とし、3700形と比較して非常用の貫通扉は助手席側に完全に寄せ、運転台側の視界向上を図った。灯具類は3700形6次車以降と同じく、前照灯を左右上部、尾灯と急行灯を腰部に縦並びに配置した。この前頭部は普通鋼製とし、シルバーメタリックに塗装をしたもので、踏切事故における安全対策面から、骨組みを追加して強度を向上させている。下部にはスカートを配置する。
客用ドアはペーパーハニカム構造を採用し、軽量化を図った。ドアガラスはゴムによる接着方式とし、ドア本体とガラスとの段差を小さくさせた。ドアは客室側もステンレス無塗装とし、ヘアライン仕上げである。
側窓はドア間は下降窓と固定窓の組み合わせ、車端部は固定窓としている。ガラスは透明であり、遮光用にロール式カーテンが設置されている。妻窓は設置していない。先頭車乗務員室直後のみ戸袋窓を設置する。
種別・行先表示器は3色LED式を京成で初めて採用した[3]。従来の京成の一般車は種別表示器が正面貫通扉の窓下に設置されていたが、本形式では正面窓上部への設置に変更され、行先表示器と一体形のものとなっている。書体は側面の表示器とともにローマ字併記のゴシック体としている。前面のみ運行番号表示器を設置している。なお、2009年(平成21年)8月より、3002編成を皮切りに種別表示部をフルカラーLED式、行先表示部を白色LED式に交換する工事が行われ、以後すべての編成に実施された[4]。
冷房装置は京成で初めて集中式を採用し、各車両に1基搭載する。装置は三菱電機製のCU-718形と東芝製のRPU-11013形があり、能力はいずれも46.52kW (40,000kcal/h) である。日本車輌製造製は三菱電機製を、東急車輛製造製・総合車両製作所横浜事業所製は東芝製を搭載しており、キセ形状は両者で異なる。なお総合車両製作所で製造された3027編成は三菱電機製を搭載している。
室内
内装色は、3700形より多少淡い色調のアイボリーホワイト模様入りの化粧板に、耐久強化したグレーとブルーの2色の床面を採用し、全体的に落ち着いた配色になった。妻面の化粧板は、側面とは異なりキャラメルブラウン模様入りとなったほか、連結面貫通扉と乗務員仕切り扉は化粧板仕上げである。
中央天井部は空調ダクトとラインフロー(冷風吹出口)一体成形のFRP天井ユニット(白色)構成とし、補助送風機(ラインデリア)は先頭車6台・中間車5台を配置し、その部分のみ整風板を設置している。室内の客室部蛍光灯は昼白色タイプを使用していたが、客室蛍光灯破損時による事故防止のため3次車から飛散防止形白色タイプを採用し、後に1・2次車も交換した。2014年3月に投入された3028編成は全車両の車内照明がLEDに変更されている。
座席生地は3700形3868編成と同色のラベンダー模様を表地とする片持ち式バケットシートで、1人分の掛け幅は3700形の440mmより20mm広い460mmに拡大、袖仕切は大形の板状のものを採用した。優先席部では座席生地を濃青色とし、ユニバーサルデザインの一環として荷棚を100mm、つり革を50mm一般席よりも低くしてある。この部分のつり革はマナー啓発のために4次車からオレンジ色のものとなり、既存車も後に白色からオレンジ色のものに交換されている。
座席間にはスタンションポール(縦握り棒)を8人掛け座席部と優先席部の中央に1本ずつ設置した。車椅子スペースは両先頭車に設置し、安全手すりと車椅子固定用のベルト、非常通報装置が設置されている。
客用ドア上部には3700形に引き続きLED式旅客案内表示器を搭載するが、本形式では京急新1000形と同型のものが交互に配され、ソフト変更により表示内容などを詳細化した。表示器のないドア上部は路線図掲示スペースとしている。客用ドア開閉時には京成で初めてドアチャイムも設置されている。ドアエンジンは空気式だが、3700形6次車以降と同様に閉まってから6秒間戸閉力を弱める「戸閉力弱め機構」が搭載されている。
乗務員室
乗務員室内・運転台計器盤は灰色の色調である。室内の奥行きは1,700mmと従来よりも広めに確保されている。計器盤の配置は3700形に近く、左端には誘導無線操作器・送受話器を、中央の計器盤には電流計・速度計(150km/h表示)・圧力計・緊急スイッチを設け、下に16点各種表示灯を、右端には行路表差しを配置する。
主幹制御器はT字型のワンハンドルマスコンである(力行1 - 5・常用ブレーキ1 - 5段・非常)。運転台の右端部には故障等[5]を簡易表示するモニタ表示器がある。このほか、前面ガラスの日除け(光線除け)はアクリル製の遮光パネルに代わって、フリーストップ式のカーテンを設置した。
乗務員室仕切りは仕切窓が3枚並び、そのうち中央は仕切扉である。遮光幕はロールアップ式で運転席背面と仕切り扉に設置されている。 テンプレート:-
主要機器類
京成初のIGBT素子使用の東洋電機製造製VVVFインバータ制御方式を採用した。制御装置は125kW出力の三相誘導電動機4台を制御をするもので、1台に2両分をセットで搭載する1C4M2群構成としており、トルク制御にはベクトル制御を採用している。MT比は8両編成では6M2T、6両編成では4M2Tとしており、京浜急行電鉄の車両規定により、先頭車は制御電動車としている。
台車は住友金属製FS 564形(M車)、FS 064形(T車)で、ダイレクトマウント方式のボルスタアンカー付き構造、軸箱支持はモノリンク方式である。基礎ブレーキには保守の容易なユニットブレーキを使用している。
本形式より車両メーカーにより駆動装置・モーターの区分がなされ、日本車輌製造製(3001編成と偶数編成)はTD駆動装置・東洋製モーターTDK6174-A、東急車輛製造・総合車両製作所(3001編成以外の奇数編成)製はWN駆動装置・三菱電機製モーターMB-5100-Aの組み合わせになった。
補助電源装置はIGBT素子を使用した東芝製の150kVA出力静止形インバータ (SIV) を搭載、空気圧縮機 (CP) は6次車までがレシプロ式のC-2000-ML形(吐出量2,000L/min)を搭載する。集電装置には東洋電機製造製のシングルアーム式パンタグラフを搭載する。
- Keisei3050-ATR-H8125-RG681A.jpg
東洋電機製造製のVVVF装置(ATR-H8125-RG681A形)
- Keisei3050-INV153-A0.jpg
東芝製の静止形インバータ(INV153-A0形)
- Keisei3050-MBU1600Y.jpg
後述する7次車が搭載するスクロール式空気圧縮機(MBU1600Y形)
ブレーキ制御装置は三菱電機製のMBSA方式とし、回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキである。T車優先遅れ込め制御とし、付随車には車輪の滑走を防止する滑走防止制御装置を設置する。このほか、抑圧ブレーキ(耐雪ブレーキ)・保安ブレーキを有する。また、2010年に開業する成田スカイアクセスでは特急が120km/hで運行される予定であるため、当初より元空気溜と増圧ブレーキの設定が成田スカイアクセス運用に対応している。
編成ごとの相違点
テンプレート:注意 2002年(平成14年)度分として8両編成1本(8両)と6両編成4本(24両)の計32両を新製した。翌2003年(平成15年)度から毎年6両編成4本(24両)ずつ新製したことにより、2008年(平成20年)3月時点で8両編成1本(8両)と6両編成24本(144両)の計25本152両が在籍している。ここでは各年度の相違点を以下に分けて紹介する。
1・2次車(3001 - 3009編成)
1次車の3001 - 3005編成は2002年(平成14年)12月から順次入線した[1]。その際、都営浅草線内での自走が不可能であったため、一旦東急車輛製造へ入場し、3600形VVVFインバータ改造車の3668編成の付随車を除いた電動車4両に牽引され、京急金沢八景駅から宗吾検車区まで輸送された[1]。その後、翌2003年2月から3月にかけて32両が入籍、竣工した。前述したが、8両編成(3001編成)は2003(平成15年)年2月1日から、6両編成(3002編成)は4日遅れの2月5日から営業運転を開始している[1]。
2次車は3006 - 3009編成で、2003年(平成15年)10月から11月にかけて3006・3008編成が、続いて翌2004年(平成16年)1月に3007・3009編成が落成した。これにより北総鉄道7050形(京成3150形のリース車)、3200形の8M車およびVVVFインバータ制御試験車が置き換えられた。なお、車両製造メーカーにより落成時期が車号順でないことが多く、これは3700形やAE100形などでも同様である。
1次車と2次車では、後者で扉開閉時の動作音が多少低減されたことと、電灯回路を変更し、電灯制御スイッチを前部・後部標識灯、急行灯、車掌側乗務員室灯と分離し、室内灯を消灯しても標識灯類が消灯しないようになったこと以外での仕様は同一である。室内貫通扉はハイフン以下3・5・7の成田空港方にのみ設置された。
3008編成は2005年(平成17年)9月以降、試験的に純電気ブレーキ機能を追加した。この装置は4次車以降で本格的に採用したほか、1 - 3次車にも追設している。
テンプレート:TrainDirection | 製造メーカー | 竣工時期 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
形式 | 3000-1 (M2c) |
< > 3000-2 (M1) |
3000-3 (T) |
3000-4 (M2) |
< 3000-5 (M1') |
3000-6 (T) |
< > 3000-7 (M1) |
3000-8 (M2c) | ||
搭載機器 | CP | VVVF | SIV | VVVF | SIV | VVVF | CP | |||
車両重量 | 33.0t | 33.0t | 27.0t | 30.0t | 32.0t | 27.0t | 33.0t | 33.0t | ||
2002年度製 1次車 |
3001-1 | 3001-2 | 3001-3 | 3001-4 | 3001-5 | 3001-6 | 3001-7 | 3001-8 | 日本車輌 | 2003年1月 |
テンプレート:TrainDirection | 製造メーカー | 竣工時期 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
形式 | 3000-1 (M2c) |
< > 3000-2 (M1) |
3000-3 (T) |
3000-6 (T) |
< > 3000-7 (M1) |
3000-8 (M2c) | ||
搭載機器 | CP | VVVF | SIV | SIV | VVVF | CP | ||
2002年度製 1次車 |
3002-1 3003-1 3004-1 3005-1 |
3002-2 3003-2 3004-2 3005-2 |
3002-3 3003-3 3004-3 3005-3 |
3002-6 3003-6 3004-6 3005-6 |
3002-7 3003-7 3004-7 3005-7 |
3002-8 3003-8 3004-8 3005-8 |
日本車輌 東急車輛 日本車輌 東急車輛 |
2003年2月 2003年2月 2003年3月 2003年3月 |
2003年度製 2次車 |
3006-1 3007-1 3008-1 3009-1 |
3006-2 3007-2 3008-2 3009-2 |
3006-3 3007-3 3008-3 3009-3 |
3006-6 3007-6 3008-6 3009-6 |
3006-7 3007-7 3008-7 3009-7 |
3006-8 3007-8 3008-8 3009-8 |
日本車輌 東急車輛 日本車輌 東急車輛 |
2003年10月 2004年1月 2003年11月 2004年1月 |
- 凡例
- < : パンタグラフ
- VVVF : 主制御器(1C4M 2群)
- SIV : 補助電源装置(静止形インバータ)
- CP : 空気圧縮機
- 備考
- 竣工月とは正式に入籍した年月のことであり、落成時期ではない。
- 車両重量は8両・6両編成とも各形式共通で、これは7次車まで共通である。
3次車(3010 - 3013編成)
3次車として2004年11月に3011・3013編成が、続いて翌2005年(平成17年)2月に3010・3012編成が落成した。本グループから火災時非常対策強化により室内貫通扉が全車に設置され、同時にC-ATSと緊急スイッチを装備した。加えて、運転台周りの設計を若干変更した。このC-ATSと緊急スイッチの装備などは既存の車両にも順次改造適用されている。本グループ投入により更新対象外となった1976年(昭和51年)度製の3500形がすべて淘汰された。
また、落成時より客室内の蛍光灯が従来の昼白色タイプから乗り入れ先の京急・都営車共通の飛散防止白色タイプを採用し、破損時の事故防止を図った。これについては、2004年4月から6月にかけて京成通勤車の全在籍車で(蛍光灯カバーのあるAE100形を除く)昼白色タイプから前述と同様の飛散防止白色タイプに変更し、昼白色使用時より室内の色温度が多少低くなり、赤・黄味が強くなった。
テンプレート:TrainDirection | 製造メーカー | 竣工時期 | ||||||
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形式 | 3000-1 (M2c) |
3000-2 (M1) |
3000-3 (T) |
3000-6 (T) |
3000-7 (M1) |
3000-8 (M2c) | ||
2004年度製 3次車 |
3010-1 3011-1 3012-1 3013-1 |
3010-2 3011-2 3012-2 3013-2 |
3010-3 3011-3 3012-3 3013-3 |
3010-6 3011-6 3012-6 3013-6 |
3010-7 3011-7 3012-7 3013-7 |
3010-8 3011-8 3012-8 3013-8 |
日本車輌 東急車輛 日本車輌 東急車輛 |
2005年2月 2004年11月 2005年2月 2004年11月 |
4次車(3014 - 3017編成)
4次車として2006年(平成18年)1月に3015・3017編成が、続いて同年3月に3014・3016編成が落成した。本グループから3008編成で試行された純電気ブレーキを本格的に採用した。
このグループと同時期に新京成N800形・北総鉄道7500形が製造されることとなった。三社の設計共通化を図る見地から、外観では空間波無線 (SR) アンテナ用台座が運転台上に設置された。合わせて誘導無線 (IR) 列車無線アンテナが後部に移動している。新京成N800形はSR無線を搭載し、IR無線は台座のみ設置して落成(後にIR無線機器を搭載)したが、今後京成・北総両社がSR無線を搭載するかは不明である。
室内では、ユニバーサルデザインの一環としてドア付近の床面に黄色いラインを配したほか、マナー強化の一環として製造時より優先席付近のつり革をオレンジ色のものとした。その他、補助送風機(ラインデリア)吹き出し口整風板を従来のFRP製からアルミ製に変更した。
本グループの増備をもって本形式の在籍数は100両を超え、3700形に次ぐ主力車になった。編成数では6両と8両を合わせて本形式・3700形とも17本で同数となった。
テンプレート:TrainDirection | 製造メーカー | 竣工時期 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
形式 | 3000-1 (M2c) |
3000-2 (M1) |
3000-3 (T) |
3000-6 (T) |
3000-7 (M1) |
3000-8 (M2c) | ||
2005年度製 4次車 |
3014-1 3015-1 3016-1 3017-1 |
3014-2 3015-2 3016-2 3017-2 |
3014-3 3015-3 3016-3 3017-3 |
3014-6 3015-6 3016-6 3017-6 |
3014-7 3015-7 3016-7 3017-7 |
3014-8 3015-8 3016-8 3017-8 |
日本車輌 東急車輛 日本車輌 東急車輛 |
2006年3月 2006年1月 2006年3月 2006年1月 |
5・6次車(3018 - 3025編成)
2006年(平成18年)度製造分の車両として、同年11月 - 12月に3018・3020編成が、翌2007年(平成19年)3月に3019・3021編成がそれぞれ落成、営業運転を開始した。
4次車との変更点としては、制動緩解時の音の静粛化や、減速時にインバータ装置および電動機から発する非同期モードへの変調がN800形と同じように早くなっている点が挙げられる。その他の外観・内装に関しては基本的に4次車と差異はない。
5次車の製造に先立ち、3015編成の成田空港寄り2両の走行機器が一部変更された。同車も減速時の非同期モードへの戻りが早くなっており、5次車では3015編成で試用した走行機器の結果をフィードバックした。
2007年度製造分の車両として、同年11月に5次車とほぼ同内容で6次車の3022・3024編成が、翌2008年2月に3023・3025編成がそれぞれ落成した。この4編成が落成した時点で本形式は登場から5年で京成在籍車両としては152両と形式別で最多数になった[6]。3025編成の落成に伴い、それまで6両編成で運用していた3300形3344編成は中間車2両を廃車にして4両編成化され、玉突きで3500形3580編成も廃車されている。
テンプレート:TrainDirection | 製造メーカー | 竣工時期 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
形式 | 3000-1 (M2c) |
3000-2 (M1) |
3000-3 (T) |
3000-6 (T) |
3000-7 (M1) |
3000-8 (M2c) | ||
2006年度製 5次車 |
3018-1 3019-1 3020-1 3021-1 |
3018-2 3019-2 3020-2 3021-2 |
3018-3 3019-3 3020-3 3021-3 |
3018-6 3019-6 3020-6 3021-6 |
3018-7 3019-7 3020-7 3021-7 |
3018-8 3019-8 3020-8 3021-8 |
日本車輌 東急車輛 日本車輌 東急車輛 |
2006年11月 2007年3月 2006年11月 2007年3月 |
2007年度製 6次車 |
3022-1 3023-1 3024-1 3025-1 |
3022-2 3023-2 3024-2 3025-2 |
3022-3 3023-3 3024-3 3025-3 |
3022-6 3023-6 3024-6 3025-6 |
3022-7 3023-7 3024-7 3025-7 |
3022-8 3023-8 3024-8 3025-8 |
日本車輌 東急車輛 日本車輌 東急車輛 |
2007年11月 2008年2月 2007年11月 2008年2月 |
7次車(3050形)
2010年(平成22年)7月17日開業の成田スカイアクセス向けの一般特急列車用車両として、2009年(平成21年)9月から製造された。この7次車は仕様が変更され、車両番号が3050番台にも区分されたことから「3050形」とも呼ばれる。スカイアクセスの開業までに8両編成6本(48両)が日本車輌製造で製造された。
成田スカイアクセス開業と同時に新型スカイライナーAE形とともに7次車は営業運転を開始し、京急蒲田 - 品川間・高砂 - 成田空港間などにおいては最高速度120km/hで運転を行っている[7]。
車種構成は8両編成の3001編成と同様のMT比6M2T構成である。それまでの車両同様に「1号線直通車両規格」に対応しており、成田スカイアクセス経由の一般特急列車のほか、都営地下鉄浅草線や京浜急行電鉄への乗り入れも行っている。
- Keisei3056-01.jpg
3000形7次車の側面外観
- Keisei3056-02.jpg
ドア周辺のカラーリングと航空機のフォルム
基本的な車体構造は6次車までと同様であるが、空港アクセス列車であることを強くアピールするため外観デザインが一新された。空港アクセス車両ということを表現するために空をイメージしたブルー系をコンセプトカラーとし[8]、車体カラーリングは前面ガラス下部に青のマーキングを、側面は各側窓周辺(外板吹寄部)に青のグラデーションカラーを配し、さらに各マーキング上にはヒューマンレッドとフューチャーブルーを表現した細帯に航空機のフォルムを描いたマーキングを施している。偶然ではあるが、窓周りに水色を配色したこのラインは、かつて北総鉄道が保有していた7000形にも類似したものとなった。2013年3月31日からワイヤ・アンド・ワイヤレス・KDDIの提供により公衆無線LANサービス「au Wi-Fi SPOT」・「WI2 300」導入する。
室内
車内内装はカラーリングが変更され、外観同様にブルー系を基調としてまとめられている。
側化粧板には白色系を、妻化粧板には薄いブルーを使用し、床面はブルー系2色柄で構成される。座席生地は表面に航空機のイラストを入れたもので、一般席は青色、優先席は赤色のものを使用している。
車椅子スペースは両先頭車設置に変更はないほか、優先席部は座席色の変更やつり革のオレンジ色化、荷棚高さの低下は6次車までと同様である。乗務員室・運転台については6次車までと大きな変更点はない。
旅客案内機器
旅客案内表示器は6次車までのLED文字表示式から、見やすくてより多くの情報を表示できる液晶ディスプレイ (LCD) 方式を京成電鉄の通勤形で初めて採用した。各客用ドア上部に1基を設置するとともに、日本国外からの乗客への配慮として日本語・英語・中国語・韓国語の4か国語での案内を実施している。
京成・北総では運用開始の2010年7月17日に駅ナンバリングが採用されたが、京急は羽田空港国際線ターミナル駅開業に合わせて同年10月21日と京成より遅れて採用されたことから、当初は京急に合わせて京成線内でも駅番号を表示せず、同日に追加された。従来車のLED表示も同日から表示が開始された。
このほかに日本語・英語2か国語[9]による自動放送装置を採用している(上野・押上 - 成田空港駅間の京成線内で使用[10]。浅草線・京急線は車掌による案内)。ただし、アクセス特急以外の運用での自動放送はない。
- Keisei3050-Access1.jpg
7次車の正面表示器
(アクセス特急・羽田空港行) - Keisei3050-Access4.jpg
7次車の側面表示器
(アクセス特急・成田空港行)
車外行先表示器は種別表示にフルカラーLEDを、行先表示には白色LEDを使用して視認性の向上を図っている。誤乗車防止のため、成田空港行きの場合には経由路線と行先の交互表示をする。
- Keisei3050-Airport-Ltd-Exp1.JPG
スカイアクセス経由列車の経由路線表示(7次車)
- Keisei 3000 Main Line Ltd Exp.JPG
京成本線経由列車の経由路線表示(1次車)
走行機器など
制御装置や補助電源装置、台車などの走行機器類は6次車まで同様である。ただし、7次車の主電動機は三菱電機製のMB-5100-A形とWN平行カルダンの組み合わせとなっている。車両性能については7次車は設計最高速度が従来の120km/hから130km/hに向上している。
また、電動空気圧縮機は6次車までのレシプロ式から新AE形でも採用された三菱電機製の周辺機器一体形スクロール式コンプレッサMBU1600Y形(吐出量1,600L/min)を採用している。7次車の冷房装置については三菱電機製CU718形の搭載となっている。
テンプレート:TrainDirection | 製造メーカー | 竣工時期 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
形式 | 3050-1 (M2c) |
3050-2 (M1) |
3050-3 (T) |
3050-4 (M2) |
3050-5 (M1') |
3050-6 (T) |
3050-7 (M1) |
3050-8 (M2c) | ||
搭載機器 | CP | VVVF | SIV | VVVF | SIV | VVVF | CP | |||
2009年製 7次車 |
3051-1 3052-1 3053-1 3054-1 3055-1 3056-1 |
3051-2 3052-2 3053-2 3054-2 3055-2 3056-2 |
3051-3 3052-3 3053-3 3054-3 3055-3 3056-3 |
3051-4 3052-4 3053-4 3054-4 3055-4 3056-4 |
3051-5 3052-5 3053-5 3054-5 3055-5 3056-5 |
3051-6 3052-6 3053-6 3054-6 3055-6 3056-6 |
3051-7 3052-7 3053-7 3054-7 3055-7 3056-7 |
3051-8 3052-8 3053-8 3054-8 3055-8 3056-8 |
日本車輌 | 2009年9月 2009年10月 2009年11月 2010年2月 2010年5月 2010年6月 |
8次車(3026 - 3027編成)
2013年1月27 - 28日にかけて3026編成が、日本車輌製造から総合車両製作所横浜事業所に甲種輸送され、2月4日に総合車両製作所横浜事業所を出場し京急線、都営地下鉄浅草線を経由して宗吾参道まで自力で回送された[11]。2013年3月4日に3027編成が、総合車両製作所横浜事業所を出場し、3026編成と同様の経路で宗吾参道まで自力で回送された[12]。仕様はカラーリングを除いて7次車(3050形)と共通である。3027編成は京成の車両として初めて総合車両製作所横浜事業所で製造された。同時期に落成された千葉ニュータウン鉄道9200形は8次車がベースである(製造は日本車輌製造)。
テンプレート:TrainDirection | 製造メーカー | 竣工時期 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
形式 | 3000-1 (M2c) |
3000-2 (M1) |
3000-3 (T) |
3000-4 (M2) |
3000-5 (M1') |
3000-6 (T) |
3000-7 (M1) |
3000-8 (M2c) | ||
搭載機器 | CP | VVVF | SIV | VVVF | SIV | VVVF | CP | |||
2013年製 8次車 |
3026-1 3027-1 |
3026-2 3027-2 |
3026-3 3027-3 |
3026-4 3027-4 |
3026-5 3027-5 |
3026-6 3027-6 |
3026-7 3027-7 |
3026-8 3027-8 |
日本車輌 J-TREC横浜 |
2013年2月 2013年3月 |
- 表中の製造メーカーの「J-TREC横浜」は総合車両製作所横浜事業所。
9次車(3028編成)
2014年2月16 - 17日にかけて3028編成が、日本車輌製造から総合車両製作所横浜事業所に甲種輸送され、2月24日に総合車両製作所横浜事業所を出場し京急線、都営地下鉄浅草線を経由して宗吾参道まで自力で回送された[13][14]。仕様は8次車と共通であるが、全車両の車内照明がLED化された。
テンプレート:TrainDirection | 製造メーカー | 竣工時期 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
形式 | 3000-1 (M2c) |
3000-2 (M1) |
3000-3 (T) |
3000-4 (M2) |
3000-5 (M1') |
3000-6 (T) |
3000-7 (M1) |
3000-8 (M2c) | ||
搭載機器 | CP | VVVF | SIV | VVVF | SIV | VVVF | CP | |||
2014年製 9次車 |
3028-1 | 3028-2 | 3028-3 | 3028-4 | 3028-5 | 3028-6 | 3028-7 | 3028-8 | 日本車輌 | 2014年2月 |
運用
本形式は都営浅草線、京急線、北総線への直通運転にも対応している。
- 8両編成(3001編成・3026編成・3027編成・3028編成)…3700形や3400形とともに主に本線や押上線・都営浅草線・京急線直通の優等運用に使用されるほか、成田スカイアクセス線アクセス特急運用に使用される場合もある。
- 6両編成…主に普通列車に使用され、本線や千葉線・千原線・押上線・都営浅草線に入線する。また、成田スカイアクセス線開業前の乗務員訓練にも使用されたほか共用区間である北総線にも1回だけ代走として入線している。
- 3051 - 3056編成…3700形・3400形とともに本線や押上線・都営浅草線・京急線直通の優等運用や成田スカイアクセス線アクセス特急運用など優等運用がメインだが、一日に数本程度、本線・押上線・都営浅草線・北総線内での普通運用もある。
- 2012年まで毎年1月3日には東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)復路開催に伴う京急空港線臨時ダイヤが実施され、京急蒲田で運転を打ち切ったエアポート快特(当日は京急線内快特)の回送として神奈川新町まで入線していた。
なお、2003年以降、本形式のいずれかの編成で夏期に「京成グループ花火ナイター号」としてステッカー式ヘッドマークを装着して運転されている。
今後
2012年5月24日に発表された「平成24年度 鉄道事業設備投資計画[15]」においては、2012年度内に「3000形を2編成(1編成当り8両)」導入するとしている。当該車両には3050形(7次車)と同じく、「車内ドア上に液晶ディスプレイ (LCD) を設置し、4か国語対応(日・英・中・韓)で駅名等の案内を表示」するとのことである。当該車両は3026編成、3027編成として2013年2月から3月にかけて新造された。
また、2014年3月にも1編成が3028編成として導入された。この車両では、全車両の車内照明がLEDに変更されている[16]。
2014年5月22日に発表された「平成26年度 鉄道事業設備投資計画[17]」においては、2014年度内に「3000形を2編成(1編成当り8両)」導入するとしている。
脚注
参考文献
- 交友社「鉄道ファン」
- 2003年3月号 新車ガイド「京成電鉄3000形」
- 2010年5月号 新車速報「京成電鉄3000形7次車」(資料提供・取材協力:京成電鉄)
- 2010年6月号 新車ガイド「京成電鉄3000形7次車」(京成電鉄 (株) 車両部計画課)
- 鉄道図書刊行会「鉄道ピクトリアル」
- 2003年3月号 「京成電鉄3000形」
- 2010年6月号 New model「京成電鉄3000形7次車(3050形)」(京成電鉄 (株) 車両部計画課課長補佐 田中良治 著)
- ネコ・パブリッシング「Rail Magazine」
- 2003年3月号 NEW COMER GUIDE「京成電鉄3000形」
- 2010年5月号 速報「京成電鉄3000形7次車」(資料提供・取材協力:京成電鉄)
- 2010年6月号 NEW COMER GUIDE「京成電鉄3000形7次車(3050形)」(京成電鉄株式会社 車両部計画課)
- 交通新聞社「鉄道ダイヤ情報」
- 2010年4月号 DJ NEWS FILE「京成電鉄3050形(3000形7次車)」
外部リンク
- 京成電鉄3000形通勤電車(日本車輌製造)
- 京成電鉄殿向3000形通勤電車(日車トピックス)
- テンプレート:PDFlink - 京成電鉄ニュースリリース(2010年1月8日)
- 「京成電鉄3000形7次車誕生。」(ホビダス編集長敬白)
- 京成電鉄株式会社殿向け3000形7次車(通称3050形)完成(日車トピックス)
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 交友社「鉄道ファン」2003年4月号「京成電鉄 最近の話題から」記事。
- ↑ 鉄道ファン2003年3月号新車ガイド「京成電鉄3000形」参照。
- ↑ 他社でLED式が相次いで採用されていたが、京成の場合は「お年寄りなどには見づらいのではないか」などという考えから採用は遅かった(交友社『鉄道ファン』1994年4月号より)
- ↑ 「京成3000形3002編成,表示器がフルカラーLEDに」交友社『鉄道ファン』railf.jp 2009年8月15日
- ↑ 車掌非常スイッチの操作状況、各車両ごとの客室温度や戸閉状態、非常通報装置が操作された場合は扱われた号車なども表示する。
- ↑ それまでは3700形が最多数で124両が製造されていた。2009年4月時点で、3700形8両(3808編成)が北総へリースされている。
- ↑ 「京成電鉄3000形7次車が営業運転を開始」交友社『鉄道ファン』railf.jp 2010年7月17日
- ↑ 日車トピックスを参照。
- ↑ 日本語は森谷真弓、英語はクリステル・チアリ。
- ↑ スカイアクセス線内で、アクセス特急が停車しない各駅は京成の駅ではなく、北総鉄道単独駅の扱いであるため、通過駅の案内で「北総線の印西牧の原には停まりませんのでご注意ください」等という独特の言い回しをしている。
- ↑ 「京成電鉄3000形3026編成が甲種輸送される」交友社『鉄道ファン』railf.jp 2013年1月27日
- ↑ 「http://railf.jp/news/2013/03/05/180000.html」交友社『鉄道ファン』railf.jp 2013年3月5日
- ↑ 「京成電鉄3000形3028編成が甲種輸送される」交友社『鉄道ファン』railf.jp 2014年2月18日
- ↑ 【京成】3000形3028編成総合車両製作所出場『Rail Magazine』RM NEWS 2014年2月25日
- ↑ テンプレート:PDFlink - 京成電鉄ニュースリリース 2012年5月24日
- ↑ テンプレート:PDFlink - 京成電鉄ニュースリリース 2014年3月3日
- ↑ テンプレート:PDFlink - 京成電鉄ニュースリリース 2014年5月22日