亡国のイージス

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テンプレート:基礎情報 書籍 テンプレート:Portal亡国のイージス』(ぼうこくのイージス)は、1999年講談社から刊行された福井晴敏小説。これを原作として、映画2005年公開)・漫画などのメディアミックス展開がなされている。

概要

2000年日本推理作家協会賞日本冒険小説協会大賞大藪春彦賞をトリプル受賞した。また、これを基にした映画2005年公開され、モーニングでもこれを基にした漫画が連載されている。この物語の後日談としてコーエーPlayStation 2用ゲームとして『亡国のイージス2035 〜ウォーシップガンナー〜』を発売している。

2006年現在、発行部数は110万部を越える。

前作『Twelve Y. O.』の続編にあたるが、短編集や漫画も含めれば、『6ステイン(920を待ちながら)』や『C-blossom case729』の続編でもある。。

あらすじ

以下は単行本『亡国のイージス』についての解説である。

海上自衛官である宮津弘隆が北朝鮮工作員ホ・ヨンファと結託し、自分の座乗艦であるミニ・イージスシステム搭載ミサイル護衛艦いそかぜ」(艦番号はDDG183)に特殊兵器「GUSOH」を持ち込み反乱を起こした。人質は首都東京、困惑する内閣。新人の部下如月を、そして自分の艦を取り戻すために飛び込んでいった先任伍長仙石恒史。

「守るため」に戦う2人の隊員は「俺たち」の艦を取り戻し、ミサイルの発射を阻止できるか。

  • 原作の「いそかぜ」は、はたかぜ型護衛艦の3番艦にいわゆるイージスレーダーSPY-1ではなく試験艦「あすか」のFCS-3[1]を搭載し改装した「ミニ・イージス艦」であり、名前だけでなく形状的にも架空の艦である。しかしこれは模型やCGといった特撮による再現が困難なため、映画版では実物のこんごう型イージス護衛艦DDG175「みょうこう」をそのまま撮影に使用した(その為、ラストの爆沈の際にみょうこうの艦番号である175の文字が映っている。なお、設定上は「いそかぜ型」一番艦となっている)。静岡県内の海岸にこんごう型をモデルとした「いそかぜ」の実物大の巨大撮影用セットも建設された。なお、登場人物や内容が若干変更されている。
  • 対艦攻撃装備を持たない要撃機であるF-15Jが対艦攻撃シーンに使われるのはおかしいため(原作ではいそかぜを攻撃するのにアラート待機の装備のまま発進し、やむをえず空対空ミサイルスパローを使用する設定がある。また後に空対空モードでも使用可能な特殊焼夷弾搭載ミサイルを搭載する設定は存在する)、映画ではF-2支援戦闘機に変更されている[2]
  • 原作でたちかぜ型ミサイル護衛艦であった「うらかぜ」は、映画ではむらさめ型汎用護衛艦である「いかづち」が撮影に使用されている。これに伴い設定上の「うらかぜ」の艦種はミサイル護衛艦から汎用護衛艦に変更された。このため、イージスシステムを持つ防空艦「いそかぜ」と、同じく防空艦だがそれを持たない「うらかぜ」の性能格差が、映画では特に描写されていない。
  • 「いそかぜ」と「うらかぜ」の海戦シーンは映画版では原作から大幅な内容の変更が行われており、原作の「うらかぜ」がSM-15インチ砲ファランクスチャフの順番でハープーンミサイルを迎撃したのに対して、映画版ではシースパロー76mm砲、チャフの順番に変更されている。また「いそかぜ」から発射されたハープーンミサイルの数も原作の4発に対して映画版では2発に変更されている。なお、庵野秀明の画コンテではファランクスの射撃シーン等が描かれている。

護衛艦「いそかぜ」のFRAM改修内容

なお作中では「こんごう型」と同様に同時12目標を攻撃可能な能力を持ち、また、すべての護衛艦に順次同様の改修を行う予定があるとも書かれている。Mk.13 ミサイル発射機は撤去費用の問題から残されており、旧式化したSM-1ミサイルと共にお荷物扱いされ、あまつかぜ時代からこれを扱ってきた仙石は複雑な想いを抱いている。化学兵器「グソー」をMk 13とVLSどちらに積んでいるのか分からず特殊部隊による無力化を狙う日本政府が対応に苦慮するなどの描写がある。

主な登場人物

「演」は映画でのキャスト

仙石恒史(せんごく ひさし)
演:真田広之
海上自衛隊ミサイル護衛艦「いそかぜ」先任警衛海曹先任伍長)。
高卒で海上自衛隊に入る。かつては劣等感が強く、いわゆる不良だった彼も、自衛隊で長く過ごす中で上意下達に身を任せるようになっていた。自分の艦に対する愛着が深く、「艦は我が家。クルーは家族」と信じて疑わない。離艦後に単身「いそかぜ」に戻る。絵が得意だが、人前では描かない。
海自初のミサイル護衛艦「あまつかぜ」乗組員出身で艦載ミサイルの専門家だったが、イージスシステム及びVLSを搭載したこんごう型護衛艦の配備以降は技術革新から取り残されていた。
「いそかぜ」がミニ・イージス艦化されたためミサイル班長ながら新装備の運用からは外され、若い海士の取り扱いにも悩まされ、また家庭においても離婚の危機にある。
映画版では妻は既に他界している他、娘の年齢や自らの体型も異なる。配属も「いそかぜ」の設定変更もあってVLSと設定され原作での鬱屈や懊悩は見られない。
宮津弘隆(みやつ ひろたか)
演:寺尾聰
海上自衛隊ミサイル護衛艦「いそかぜ」艦長(映画では防衛庁側の意向もあり副長に変更されている)二等海佐。そして、今回の事件の首謀者。
父親も日本海軍出身で、父に憧れて自衛官を志す。人望に厚く、同級生・先輩後輩・同僚に彼を慕う者は多い。妻と防大生の子供にめぐまれていたが、ある事件をきっかけに全く逆の歯車が回り始める。冷徹になろうとするも、ここ一番で冷徹になりきれない。
小説では初任幹部時代に仙石と出会っていて、中学生時代の如月とも縁があるらしい描写が見られる。
如月行(きさらぎ こう)
演:勝地涼
海上自衛隊ミサイル護衛艦「いそかぜ」第一分隊砲雷科一等海士
横須賀にて試験艦「あすか」に在籍していたが、ミニ・イージスシステムの習熟者として、「いそかぜ」のクルーに新システムの指導を施すため配転されて来た。
しかしそれは偽の経歴であり、彼の正体は防衛庁情報局(DAIS)に所属する二曹。DAISの特殊部隊である対テロ特殊要撃部隊「920SOF」の特別班(単独任務専門)に配属されている。宮津達による反乱を阻止する特命を受け、海上自衛官の一等海士として「いそかぜ」に派遣された。
少年時代に母が自殺し、父に引き取られるが、慕っていた祖父を父に殺されてしまう。復讐として父を殺害する(映画では、親子三人で暮らしていたが母の自殺が切欠で父親を殺害)が、直後に防衛庁情報局に服役免除を条件にスカウトされ、その組織の一員として行動することになる。
寡黙で、訓練の成果もあるが感情を押し殺している。天才的なの才覚を持っている。
竹中勇(たけなか いさむ)
演:吉田栄作
海上自衛隊ミサイル護衛艦「いそかぜ」副長兼船務長(映画では船務長のみ)三等海佐。他の主要幹部達と違い、防大出身ではなく一般大学から海上自衛隊幹部候補生学校に入った、宮津の息子、隆史に関する左遷の嵐の中でも幹部に残った。
非常に明るい、いわゆる「ムードメーカー」として描かれている。その一方で、自分の本心や本来の感情をどこか押し殺しているように見える場面も多い。下士官からも好かれる幹部として描かれていて、嫌われ者として描かれている杉浦や風間らとは一線を画した存在である。
杉浦丈司(すぎうら たけし)
演:豊原功補
海上自衛隊ミサイル護衛艦「いそかぜ」砲雷長、一等海尉(映画では三等海佐)。防衛大出身。
竹中とは逆に、規律に厳しく融通の利かない「嫌われ者」として描かれている。神経質で、そんな彼の一面を示すような場面も見られる。映画では積極的にヨンファたちに協力する姿が描かれた。
横田利一
海上自衛隊ミサイル護衛艦「いそかぜ」航海長
酒井宏之
海上自衛隊ミサイル護衛艦「いそかぜ」機関長
風間雄大(かざま ゆうだい)
演:谷原章介
海上自衛隊ミサイル護衛艦「いそかぜ」砲雷科水雷士三等海尉。防衛大出身の初任幹部。
優等生であるが、その分エリート意識が強く、小心者で頭でっかちのヒステリー男として同世代の海曹海士達の嫌悪を一手に引き受ける存在として描かれている。
若狭祥司
海上自衛隊ミサイル護衛艦「いそかぜ」掌帆長海曹長
田所祐作(たどころ ゆうさく)
演:斉藤陽一郎
海上自衛隊ミサイル護衛艦「いそかぜ」第一分隊砲雷科海士長
暴走族を辞めてブラブラしているところを自衛隊地方連絡部広報官に声を掛けられて入隊した。入隊後も暴走族くずれの気質がぬけなかったが、仙石の推薦で防衛記念章を授与されてからは見違えるように訓練に励むようになり、元々の面倒見の良さから海士達のまとめ役として若いクルーを取り仕切るようになる。仙石の弟分的な存在。海曹への昇任試験を控えている。
原作小説の上での設定と比べて映画では主人公やストーリーそのものへの絡みが少なくなっており、既婚者で恐妻家であることを窺わせている。
菊政克美(きくまさ かつみ)
演:森岡龍
海上自衛隊ミサイル護衛艦「いそかぜ」第一分隊砲雷科二等海士
人間関係がギクシャクしがちな「いそかぜ」クルーの潤滑剤的な存在。幼い頃に両親が離婚して、祖母に育てられた。家には祖母と二人きりで暮らしているが、魚雷訓練中、彼を悲劇が襲う。
他の福井作品でも同姓の登場人物[3]はしばしば登場し、同じく悲劇に襲われることが多い。
衣笠秀明(きぬがさ ひであき)
演:橋爪淳
海上自衛隊第65護衛隊司令一等海佐(映画では宮津が副長に設定変更されたため「いそかぜ」艦長に変更されている、また風貌も大きく異なる)。
一度、宮津が海上勤務から離れそうになった時、上司越しに直接人事に直談判する。そういう点では、宮津の恩人といっても良い存在だろう。ただし、宮津はその恩を仇で返すのだが…。
阿久津徹男(あくつ てつお)
演:矢島健一
海上自衛隊ミサイル護衛艦「うらかぜ」艦長の二等海佐。小説では、宮津の3学年下の後輩として防衛大時代からの付き合いである。原作では宮津のことを「部屋長」と言い、慕っていた。
「夢見るロマンチスト」らしい一面があるというが、この作品では男気に溢れた一面が色濃く描かれている。それは、自分の座乗艦が「いそかぜ」により沈められたことでより強くなる。
映画版ではストーリーへの絡みは少ない。
吉井真人
海上自衛隊第一護衛隊群指令の一等海佐
安藤亮二
航空自衛隊百里基地第七航空団第204飛行隊所属の三等空佐
宗像良昭(むなかた よしあき)
演:真木蔵人
航空自衛隊百里基地第七航空団第204飛行隊一等空尉(映画では三沢基地に所属しており、搭乗機はF-2に変更されている)。
原作においてはF-15Jイーグルの操縦士。「いそかぜ」事件発生直後に上司(安藤三等空佐)と共に「いそかぜ」攻撃命令を受け、同艦に攻撃をしかけるも「いそかぜ」の反撃で上官の安藤を失う。その後、仇討ちの機会を与えられ特殊焼夷弾(テルミット・プラス)を搭載したミサイルによる「いそかぜ」撃沈の命令を受け、再出撃する。映画では飛行班長で彼の上司にあたる安藤三等空佐は登場していない。
また、宗像役の真木蔵人は、映画の撮影に際し本物のパイロットから行為の指導を受けている。
渥美大輔(あつみ だいすけ)
演:佐藤浩市
防衛庁情報局(作品内では「DAIS・ダイス」という略称で呼ばれる)内事本部長。
宮津による「いそかぜ」叛乱を早くから察知し、様々な作戦を繰り出すのだが…。仙石が戦っていることを知り、何とか助けてやりたいと思っている。潔癖な性格で、自分の仕事と性格の不一致に嫌気が差している。
野田 輝夫
防衛庁情報局の局長。大半が防衛庁の正規職員出身者で占める局の中で、数少ない警察出身者でもある。
梶良巳
防衛庁情報局 対テロ特殊要撃部隊「920SOF」隊長。一等陸尉
宮下武
防衛庁情報局 対テロ特殊要撃部隊「920SOF」隊員。三等陸尉
真壁義成
防衛庁情報局 対テロ特殊要撃部隊「920SOF」隊員。三等陸曹
武石誠
海上自衛隊 潜水艦「せとしお」艦長。二等海佐
沢口博
海上自衛隊海上幕僚監部人事部課長。
菅原裕二
警察庁警備局長。
汀陽介
国家公安委員長自治大臣
明石智司
警察庁長官
鍋島秀一
防衛庁長官
曾根岳士
内閣安全保障室長。
木島祐孝
統合幕僚会議議長
湊本仁志
海上幕僚長
瀬戸和馬
内閣情報調査室長
梶本幸一郎(かじもと こういちろう)
演:原田芳雄
日本国内閣総理大臣であり、自衛隊最高指揮監督者である。
いわゆる「数で転ぶ政治屋」なところを随所に見せ、最初は諦めて捨てようとする。しかし、渥美の説得や「いそかぜ」内部における様々なドラマが、彼の気持ちや考え方を変化させていく。
小説『川の深さは』には、同一人物と思われる梶本という官房長官が登場している。
ホ・ヨンファ(許英和)
演:中井貴一
北朝鮮対日工作員(映画では某国工作員・指導教官)である。
朝鮮戦争や窮乏にあえぐ北朝鮮での経験から、非常に冷徹で目的遂行のために高い意思を持つ。そこが宮津たちと違うところであり、彼の暗さを引き立たせている。しかし、ジョンヒの死には我を忘れて激昂し、周囲からなだめられる場面もあった。ジョンヒにこそ劣るが、かなりの戦闘能力を有する。艦内では少佐と階級で呼ばれる。
自身を海上自衛隊海上訓練指導隊群訓練科長の溝口哲也三等海佐と身分を偽り、護衛艦「いそかぜ」に部下と共に潜入する。
本編当初において、ある事件から宮津に急接近していく。
チェ・ジョンヒ
演:チェ・ミンソ(ラジオドラマ版では、浅野真澄
北朝鮮工作員の1人。本編において、1つの鍵を握る人物でもある。
後述するヨンファの部下らしいが、詳細は不明(おそらく義兄妹と思われ、そんな描写も見られる。映画では血のつながった兄妹の設定)。女性としては類稀な体力・戦闘技術を持つ。韓国にいた時の地雷の事故により声帯を吹き飛ばされているため、声を出すことができない。そのときの傷を隠すためか、首に常にマフラーをまいており、映画では傷が確認できる。
ドンチョル
演:安藤政信
北朝鮮工作員の1人。表向きは海上訓練指導隊所属 山崎謙二二等海尉
原作では「いそかぜ」に戻った仙石に気絶させられ、武器を奪われた挙句、如月の手榴弾により死亡するという役回りだったが、映画では溝口(ヨンファ)の副官という設定で、仙石にいそかぜが狙われている(如月が工作員で、自分達がダイスの人間という嘘の入った)状況を説明するという原作のヨンファの役割を演じた。
リン・ミンギ
北朝鮮人民武力省偵察局局長。ホ・ヨンファの上司にして養父である。

論文「亡国のイージス」

本作のタイトルは劇中で登場する論文に由来する。この論文の作者は宮津弘隆の息子で防衛大生の宮津隆史。隆史は父親と同じく海上自衛官を目指していたが、防大卒業が近づいてもいまだ国を守るという信念を持てず、悩んでいた。その果てに執筆しネットで公開したのが「亡国の楯(イージス)」である。

中身を要約すると「国力とは財力や軍事力ではなく、国民が祖国に抱く愛国心」、「今の日本には愛国心も、国家の意思と呼べるものも無い」、そして「防衛の要であるイージス艦は、守るべき国を亡くしている」である。

この論文がある意味、物語の1つの始まりと言える。

他作品との関係

通称「DAIS(ダイス)」もしくは本部のある場所を指して「市ヶ谷」と呼ばれる防衛庁自衛隊の秘匿情報機関。防衛庁情報本部を表の顔として運営されている。詳しくは『防衛庁情報局』を参照。
  • 辺野古ディストラクション
前作『Twelve Y. O.』の終盤にて起きる在日米軍基地の爆発事故。
前作『Twelve Y. O.』に登場した新型の毒ガス兵器。本作では、この兵器が物語に深く関与する。
前作『Twelve Y. O.』に登場した新型の爆薬。改良型が『Op.ローズダスト』に登場する。詳しくは「テルミット・プラス」を参照。
  • 登場人物
主人公の如月行は『6ステイン(920を待ちながら)』や『C-blossom case729』にも登場している(時系列的には本作より前)。
渥美大輔『C-blossom case729』『震災後』『人類資金』に、野田輝夫は『震災後』に再登場している。
内閣総理大臣の梶本幸一郎は『川の深さは』にて官房長官として同名の人物が登場している。
  • SOF(Special Operation Force/特殊要撃部隊)
本作に登場するDAISの特殊部隊。他作品に登場するのは920SOFで、他に013SOF・464SOF等が設定上存在する。920SOFの「920」は、他作品(『6ステイン』『敗者達の黙示録』『壊点 ポイント・ブレイク』)に登場する結城圭一 二曹のIDを冠したもの。

刊行一覧

講談社(単行本)

  • 亡国のイージス(1999年8月、ISBN 4062096889)

講談社文庫

  • 亡国のイージス(上) (2002年7月、ISBN 4062734931)
  • 亡国のイージス(下) (2002年7月、ISBN 406273494X)

スピンオフ

  • 水平線の光の中、また逢えたら―another『亡国のイージス』ジョンヒ〜静かなる姫〜(著:橋口いくよ、2005年3月、ISBN 4344406125)
橋口いくよによる本編の前日譚。チェ・ジョンヒと日本の男子学生とのふれあいを描く。
  • 亡国のイージス former part コール ザ ロール(2005年8月、ISBN 4062751518)
本編の登場人物の数週間前の様子を描いた短編集。全4章で構成され、それぞれ仙石、宮津、行、ジョンヒの視点で描かれており、『水平線の光の中、また逢えたら』や『C-blossom case729』と本編をつなげる役割も果たしている。原作版「いそかぜ」精密フィギュアセットに同梱され、限定1万部が発売された。後に『IN★POCKET』2008年8月号に仙石の章が掲載された。

メディアミックス

映画

テンプレート:Infobox Film 防衛庁海上自衛隊航空自衛隊協力の下、2005年7月30日に公開。興行収入は21億円。日本での公開の後、台湾でも2005年11月26日から「亡國神盾艦」の名で劇場公開された。

スタッフ

キャスト(主な登場人物以外)

映画版の評価

護衛艦艦長が日本政府に対し反乱を起す」というアクション・エンターテインメント的な内容ではあるが、一方で「国家としてのありようを見失った日本に、はたして守るに値する価値があるのか?」と、問いかける作品となっている。当作品に限らず福井晴敏の映画化作品は愛国的・反米的な描写が目立つが、決して戦争を賛美するものではなく(むしろ、戦争批判のメッセージさえ込められている)、前述の通り日本という国家のあり方を問いかける主題のものが多い。

映画版が公開された2005年戦後60年の節目の年でもあり、日本の防衛庁が本作を含め『ローレライ』『戦国自衛隊1549』『男たちの大和/YAMATO』など、日本の軍備を描いた作品への協力を積極的に行なった。そのこともあってか、韓国国内では映画版に出演したチェ・ミンソに対して「日本の軍拡に繋がる右翼映画に出演する女優」と非難・批判が噴出した。

実写化にあたっては上映時間などの制約上、原作の内容をすべて盛り込めず、前述の問いかけに対する原作終盤の仙石の返答と行動は全て無くなっている。また、原作のハリウッドテイストなシーンが削除され娯楽色が薄められているほか、その他の重要なエピソードについても一部が原作者自身の判断により削除されている。

防衛庁(現:防衛省)の協力

本作品は当初2000年に映画化する予定だったが、企画を持っていった1999年当時の防衛庁(現:防衛省)側は「現職の海上自衛隊護衛艦艦長が反乱を起し、最新鋭護衛艦を乗っ取り、日本政府に対して脅迫をするなどという内容の映画には、一切協力はできない」と強く拒否した経緯がある(その後の映画版でも、反乱の首謀者である宮津の役職が艦長から副長へ変更されている)。

2度目の協力要請の時、同庁広報は再度拒否するつもりだったが、同作品の読者であった石破茂長官(当時)が再考を促し[4]、また原作者や映画制作関係者が艦艇部隊や江田島などをくり返し見学し、映画の内容修正を行ったこともあって、防衛庁(現:防衛省)側の協力が実現した[5]

これ以降、従来はこのような自衛隊を使用した大規模な撮影には消極的だった防衛省が、一転し協力的になったと言われる。しかし、国防上重要な最新兵器などは公開を控えているようで、映画によっては一世代ほど前の兵器が使われたものもあった。

映画版登場艦艇

DDG-175 護衛艦「みょうこう」海上自衛隊の「こんごう型護衛艦」の3番艦)
劇中、主役のイージス護衛艦「いそかぜ」を演じる。
DD-101 護衛艦「むらさめ」(海上自衛隊の「むらさめ型護衛艦」の1番艦)
劇中、「いそかぜ」から配置転換した仙石が乗り込む護衛艦「はるかぜ」役として、出演。
DD-107 護衛艦「いかづち」(海上自衛隊の「むらさめ型護衛艦」の7番艦)
劇中、「いそかぜ」から発射された対艦艇ミサイルの攻撃を受けて撃沈される護衛艦「うらかぜ」役として、出演。
SS-597 潜水艦「たかしお」(海上自衛隊の「おやしお型潜水艦」の8番艦)
劇中、乗っ取られた「いそかぜ」を追う潜水艦「せとしお」役として、出演。

漫画

2000年-エニックス(現スクウェア・エニックス)の漫画雑誌「コミックバウンド」で中村嘉宏作画によるコミカライズが連載されていた(雑誌廃刊のため打ち切り)。

2004年-講談社モーニングにて横山仁作画によるコミカライズ版が連載された。現在は物語中盤で連載が休止されており、発売されているコミックス上では「第1部完」と表示されている。

2005年-講談社別冊フレンドにて霜月かよ子作画による本作の前日談『C-blossom case729』が連載された。この作品において、如月行が二等陸曹に昇進する顛末が描かれており、また、エピローグにおいて『いそかぜ』に配属された彼の姿を確認できる。

ゲーム

2005年7月21日-コーエー PlayStation 2 亡国のイージス 2035 ウォーシップガンナー発売

2007年12月27日-コーエー PlayStation 2 コーエー定番シリーズ 亡国のイージス 2035発売(上記の廉価版)

ラジオドラマ

2005年7月に劇場公開と併せてラジオドラマTOKYO FMで放送された。また同年8月7日までネット配信[1]された。

その他

『亡国のイージス』の文庫版の表紙には、背景として海上に浮かぶ 「いそかぜ」の姿が小さく描かれているが、上巻では通常のはたかぜ型護衛艦の状態、下巻では改造されミニ・イージスシステムを搭載した後の姿になっている。週刊モーニング掲載のコミックの絵やピットロードが商品化した模型はこのデザインが元になっている。

また、解説本『亡国のイージス 公式大綱』(角川書店)にも「いそかぜ」の描きおろしイラストが掲載されたが、主砲が背負い式になっていない等、上記のものとはデザインがやや異なっている。

脚注

  1. 原作者福井は文中、フェーズドアレイレーダー全般をイージスシステム用多機能レーダーSPY-1であると誤認して物語を執筆している。このため、現実には日本の国産レーダー(射撃管制装置)FCS-3を搭載していた試験艦「あすか」が、作中ではミニ・イージスシステムの実験艦として扱われている。
  2. 映画版のDAISのモニターに映し出されている現在位置表示のF-2の機体記号は架空のものである(さらに因むと、モニターには03-8902、03-8903と表示されているが、これは下4桁がF-15Jのもので、本来当該機の上2桁は82である)。
  3. 終戦のローレライ」の菊政一等水兵、「機動戦士ガンダムUC」のネェル・アーガマ乗員キクマサ、「亡国のイージス2035」のいそかぜ通信長菊政聡美
  4. 今作に限らず石破の映画産業への理解は深く、彼が防衛庁長官在任中はテロSFといった大胆なテーマの作品にも自衛隊の協力が得られた。例えば同年に公開された「戦国自衛隊1549」なども自衛隊の大規模な協力により撮影されている。2007年11月号「日経エンタテインメント!」(日経BP社)。
  5. 石破茂著『国防』(新潮社、2005年)より

外部リンク

テンプレート:阪本順治監督作品