学年
学年(がくねん)とは、
いずれの用い方にしても、「学年」という言葉には「階層」のニュアンスが附帯する。
同様な意味合いを表す言葉として、1年生(ねんせい)、2年生……のような言い方がある。(関西地方の大学・短期大学では、1回生・2回生……という言い方を慣習的に用いている。)しかし、「学年」はそのものを名詞として用いる事も、第1学年、第2学年…のように用いる事も可能であるが、「年生」は助数詞であり、これそのもので名詞として用いる事はない。
以下、「期間として」「集団として」の両側面から学年について記述するが、通常「学年」という言葉は、この両側面がそれぞれ係わり合い、意味を補完しあって成り立っている表現と捕らえるのが適切であろう。
期間としての「学年」
期間を表す意味で「学年」を用いる場合、ニュアンスとしては年度とほぼ同義である。アメリカなどの欧米では、9月に始まるのが一般的である。例えば、「新しい学年が始まった」とか「そろそろこの学年が終わる」といった用い方をする。
日本においては、大学や高等学校など高等教育機関においては、明治時代から長くに亘って9月学年始期制が採用されており、4月学年始期制が採用されるようになったのは相当後年である(東京帝国大学では1921年(大正10年)に4月学年始期制が採用された)。
1886年(明治19年)に高等師範学校において4月学年始期制が採用され、1892年(明治25年)に小学校でも4月学年始期制が採用された。これは日本の国の会計年度が4月から始まることなどの影響が強い。
小学校においては、明治時代初めは6ヶ月単位の等級制であったが、さまざまな理由から学年制に変更されていった。
現在の日本の学校は4月学年始期制をほぼ採用している。なお、学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)によって、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、高等専門学校、特別支援学校及び幼稚園の学年は、4月1日に始まり、翌年3月31日に終ることが定められている。他方、大学や専修学校などは個々の学校の裁量に委ねられている。
集団としての「学年」
集団を指して「学年」を用いた場合、そのニュアンスは大変幅が広い。直接的には、同じ入学年度の児童・生徒・学生の集団を指す。例えば、「1学年の生徒」とか、「この学年は男子の方が人数が多い」というような用い方をする。くだけた言い方で言い換えるならば、「同期」という意味合いである。さらに、その集団に関わりがある物/者を指して、「1学年で学習する内容」、「2学年の保護者」、「3学年の教員」などということもある。
年齢階層を表す「学年」
多くの人が学齢によって義務教育を受ける日本では、ある年の4月2日~翌年の4月1日までに生まれた人すべてを指して「学年」を用いることもある。日本では、特に義務教育段階にあっては原級留置(落第)の例がほとんど見られないため、「学年」という言葉が年齢よりも重要視される場面が多い。つまり、共通体験という意味では、同年齢よりも同学年(同級生)の方がより親近感、連帯感が生まれやすい。そうした面では、1月1日から4月1日までに誕生日のある者(早生まれ)は、前年生まれと同学年に組み入れられるため、同じ年生まれの中では学年が1年早くなる。こうした場合、同年齢よりも「同学年」(同級生)の方を優先することが多い。このような用い方での「学年」は、義務教育段階のみならず、就学前の幼児や、義務教育期後の大人に対しても用いられる。
年齢主義の強い学校制度では、同学年内の在学者の年齢は統一化される。日本においては、法制度上はその学年に所属できる最低年齢の定めはあるが、最高年齢の定めはない。しかし、特に小中学校、また多くの高校で、学年内の年齢の多様性は失われており、最低年齢者が多くなっている。これについては「年齢主義と課程主義」の項目で詳述している。