フリーダイヤル
フリーダイヤル(英字表記:Free Dial[1])は、特定の電話番号にかけることにより、通話料を着信側が全て負担(着信課金)する、NTTコミュニケーションズが提供する日本の電話の付加サービス。
「フリーダイヤル」は2012年現在、同社の登録商標(日本第2200253号ほか)で、日本独自の表現(和製英語)である。英語ではtoll-free number、Freephone、Freecall、800 number(1-800 number)[2]などと呼ばれる。 この項目では、日本の各社とアメリカの同様のサービスについても記述する。
目次
概要
日本においては、電話番号が「0120」で始まる番号が与えられる電話サービスの一つとして、1985年に日本電信電話(NTT)によって開始され、1999年にNTTコミュニケーションズがサービスを引き継いでいる。
後に、他社(いわゆる新電電)も同様のサービスを開始しており(ただし、電話番号は中継系電話会社の識別用に割り当てられた「0070」「0077」「0088」などで始まる番号が使われており、先行したフリーダイヤルで知名度の高い「0120」で始まる番号が他社に割り振られて使われ始めたのは後年のことである)、2011年時点では次のようなものがある。
- KDDI - フリーコールDX、フリーコールS(「0077」から始まる番号については、フリーコールDXのみ受付していたが、新規受付を終了している)
- ソフトバンクテレコム - フリーコールスーパー(ただし、「0088」から始まる番号については、新規受付を終了しており、現在は、0120・0800の番号のみ受付している)
- NTT東日本・西日本 - フリーアクセス(発信地域を着信地と同一の都道府県内に限定)、フリーアクセス・ひかりワイド(ひかり電話契約者用、日本全国から発信可能)
- NTTドコモ - フリーナンバー
- ソフトバンクモバイル(着信課金の番号自体は割り当てられているものの、詳細については情報が得られないため、割愛)
- フュージョン・コミュニケーションズ - フリーボイス、フリーボイス シンプル、フリーボイス ライト
- 平成電電(ソフトバンクテレコムに事業譲渡) - フリーチョッカ
- メディア - フリーナンバー(公式サイト上に商品説明がなく、詳細情報が得られないため、本項では割愛)[5]
- UCOM - フリーボイス(公式サイト上に商品説明がなく、詳細情報が得られないため、本項では番号帯のみ表示し、その他は割愛)
以下では、これらの各社のサービスを総称して「フリーダイヤル等」または「着信課金」と表記する。
用途と注意点
企業などの、問い合わせ・注文申し込み・苦情受付などの窓口の一般消費者向け公開番号として広告されることが多い。小は一般商店から、ホテルなどの宿泊施設、大は全国規模の大手通信販売業、製造業まで幅広い規模で使われている。また、番号非公開の用途としては、社外で業務を行う営業担当社員の出先から事務所への連絡用・個人の特定相手からの着信用として発信元制限のあるものを設置していることもある。
着信課金の契約に当たっては、通常の電話番号の電話回線が必須であり、契約後もその電話番号(有料番号、下番などと呼ばれる)が同じ回線で併用できる。従って、着信課金番号が存在するなら、有料番号も当然存在する。よって、着信課金を契約する際に、もし携帯電話等からの着信を許可しないのであれば、着信課金番号を表示する際に有料番号も併記した方が、利用者(発信する側)の利便性が向上する(実際には、携帯電話等からの着信を許可していないにも拘らず、着信課金番号のみが表記されており、有料番号の併記がない例が各所に見られる)。因みに、デジタルホン・デジタルツーカーグループ→J-フォン→ボーダフォン日本法人が携帯電話から掛けられない番号へ有料で接続するサービスをスーパーフリーク社との提携により実施しており、#xxxx特番経由で一部の例外を除いて接続可能であったが、ソフトバンクモバイルとなった現在も利用可能かどうかは定かではない。かつてのPHS事業者である、アステルグループにおいても、地域によって同様のサービスを行っていた。
着信課金の回線で、営業時間外に留守番電話を設定しておく場合があるが、これは悪意のあるイタズラに対して危険である。留守番電話が応答した時点で着信課金の契約者側に料金が課金されるため、数秒に1回程度など頻繁に発信された場合、料金が最悪の場合億単位となってしまうこともあり得る。このため、接続せずに交換機側でガイダンスを流す時間外着信案内のオプションが用意されている。
料金負担については、規模の大小もあるために一概に言えないが、一例として、日本テレビで2007年5月22日に放送されたテレビ番組「週刊オリラジ経済白書」によると、大手通信販売業の「ジャパネットたかた」の場合、年間約2億5千万円とのことである。
- 仮に本社のある長崎県佐世保市で受ける場合、100kmを超える最遠距離内に多くの人が住んでいるため、高額の通話料が発生することになる。
- 但し、着信回線が各社の提供する直収電話回線(NTT東西のひかり電話ビジネスタイプやKDDIの光ダイレクト等)であった場合、非常に安価な通話料で電話を受けることが出来る。
悪用
テンプレート:出典の明記 悪質な電話勧誘販売への対策として、ナンバーディスプレイによる相手側番号の識別や非通知通話を受けない電話機設定などが一般化するに伴い、着信時にフリーダイヤルの電話番号を表示させるように電話勧誘販売業者が「フリーダイヤル番号通知サービス」を利用するケースがある。 電話番号を通知しているので非通知設定は働かず、ナンバーディスプレイにフリーダイヤルの電話番号が表示されているため「何だろう?」と思い電話を受けてしまいがちなのである。
また、電話機によっては公衆電話からの着信を拒否する設定にしている場合、公衆電話から電話番号の入力を行うことにより公衆電話着信拒否を回避できるものがあり、この種の電話機に対して手近な場所に書いてあったフリーダイヤル番号を適当に打ち込むなどの迷惑電話に利用されるケースもある。
かけられない電話回線
次の電話回線からフリーダイヤルにかけることはできない。
- 050番号のIP電話(ブラステル・OCNを除く)
- 新幹線公衆電話
- 日本国外からの国際電話(ただし、ブラステルFLIP(ブラステル)、050PLUS(NTTコミュニケーションズ) など日本のサーバーに接続されている電話を除く)
- 10円硬貨専用ピンク電話・赤電話
日本の電話番号
古くからの番号の場合、電話番号が「0120」で始まっているのが特徴で、近年のものでは電話番号が「0800」で始まるものもある。本家であるフリーダイヤルの番号は0120の次が9以外の数字となっている(ただし、0120-950xxxは、特殊用途専用として割り当てられる本家フリーダイヤル番号)。フリーダイヤルでは、解約後一定期間を過ぎた番号が再利用される場合がある[6]。他社のサービスでは、電話会社の識別番号(0070・0077・0088等)で始まる長いものか、0120-9xx-yyy・0800-xxx-yyyyで、xの部分が事業者ごとに定められている。
- NTTコミュニケーションズ・フリーダイヤル
- 下記0120-9xxxxxを除く0120で始まる番号および、0120-950xxx(950は特殊用途専用となる)
- 0800-000・333 - 399・555 - 603・641 - 699・924 - 999
- KDDI・フリーコールDX・S
- 0120-911・921・922・923・924・925・926・929・933・944・977・983 - 985・988・993 - 996
- 0800-080・123・300・500・700
- ソフトバンクテレコム・フリーコールスーパー(旧・フリーチョッカの番号帯を含む)
- 0120-917・919・936・937・941・948・951 - 953・956 - 958・964・965・974・975・981・982・989・997 - 999
- 0800-100・111・170・222・888・919
- NTT東日本・フリーアクセス、フリーアクセス・ひかりワイド
- 0120-910・913・915・916・918・940・970・971・972・973
- 0800-800
- NTT西日本・フリーアクセス、フリーアクセス・ひかりワイド
- 0120-920・927・928・930・939・960・967・968・969
- 0800-200
- フュージョンコミュニケーションズ・フリーボイス
- 0120-961 - 963・979・987
- 0800-600 - 603
- フリーボイスライトでは、0800-600番号のみで、希望番号は取れない。
- UCOM・フリーボイス
- 0120-955・966
- 0800-400・900
- QTNet
- 0120-986
- 0800-120
また、取得済みの0120・0800番号については、他社への切り替え(番号ポータビリティ)が一部を除き[7]可能となっている。
- このため、0120の次が9以外の数字となっている番号で、「フリーダイヤル」という単語や二重リボンマークが使われていない場合は、NTTコミュニケーションズから番号ポータビリティで他社へ切り替えられた番号であると判断できる。(NTTコミュニケーションズは自社の「フリーダイヤル」契約者にしか二重リボンマークの使用を許諾していないため[6]。他社の場合には「FC」(KDDI)[8]や受話器(ソフトバンクテレコム)[9]を図案化した「フリーコールマーク」が使われる場合がある。)
フリーダイヤル等については、長い間NTT東西の一般電話(ISDN含む)や公衆電話からの通話に限られ、携帯電話やPHSからの通話は不可能であったが、最近では、契約者(着信側)の選択により、携帯電話やPHSからでも通話可能な番号が多くなっている(テレビショッピングなど通信販売の商品の注文が多い)。ただし、新幹線公衆電話やピンク電話からは発信できない。同様に、NTT以外の他社直収電話、IP電話(ひかり電話など)、CATV電話からも、着信課金番号にはかけられない場合が多かったが、現在は通話可能なケースが増えてきている。着信側の希望により、発信可能な地域を制限(一般電話の場合は市外局番の頭2 - 3桁、携帯の場合は都道府県単位など)したり、全国共通番号として、発信地域によって着信先を振り分けたりすることもできる。
各社のダイヤルイン・KDDIのフリーコールDXでは、逆に、契約者側から発信する場合、通話先の電話機の番号表示に、0120xxxxxxの番号を表示させる機能も、オプションで用意されている。
2007年2月時点で、発信側の会社を問わず着信可能な契約ができるサービスは、NTTコミュニケーションズの「フリーダイヤル」のみである。
- 発着可能にできる組み合わせ
- ○ : 可能
- △ : 0120・0800で始まる番号は可能
- × : 不可能
- ? : 不明
着信先→ ↓発信元 |
フリーダイヤル | フリーコール DX・S |
フリーコール スーパー |
フリーアクセス | フリーボイス (フュージョン) |
---|---|---|---|---|---|
NTT東西一般 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
携帯電話・PHS | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
ひかり電話 | ○ | △ | △ | ○ | △ |
メタルプラス | ○ | ○ | ○ | ○ | △ |
ケーブルプラス電話 | ○ | ○ | ○ | ○ | △ |
おとくライン | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
J:COMフォン | ○ | × | × | 地域CATV各社による | × |
アメリカ合衆国の類似サービス
アメリカ合衆国では、電話番号が"1-800"、"1-888"、"1-877"および"1-866"で始まる番号が着信課金サービスの番号である。英語では”トールフリー”(toll-free)とも呼ばれる。1桁目の"1"はアメリカの市外通話識別番号(日本を含めた他国では「0」だが、アメリカでは「0」がオペレータ扱い(日本で言うところの100番通話)の番号)であり、実際に着信課金サービスの番号に電話をかける際には、アメリカ国内からかける場合でも"1"を省略しないのが通例。というのは、宣伝で"1"をつけて案内するからである(800-XXX-XXXXと案内するよりも、"1-800-XXX-XXXX"と紹介したほうが、市外局番800の地域などと誤解されず、通話料無料の番号であると認識してもらいやすいというねらい)。
なお、アメリカにおいて、1-800-GO-APPLEというように、アルファベットで表記された電話番号を見かけることが少なくない(日本では、大リーグのテレビ中継で、球場のフェンスに掲示された広告で見られる場合がある)。これは、アメリカの電話機には必ず、数字ごとにアルファベットが併記されているためである(ちなみに日本の携帯電話のダイヤルボタン部にも、これとよく似たものが多い)。各アルファベットに対応する数字は以下のとおり。
- 2 : ABC
- 3 : DEF
- 4 : GHI
- 5 : JKL
- 6 : MNO
- 7 : PQRS
- 8 : TUV
- 9 : WXYZ
- 「Q」「Z」については、一部の電話機では割り当てられていなかったり、「0」にまとめて割り当てられている場合もある。
実際の発信は各アルファベットの対応数字によって行われており、例えば1-800-GO-APPLEの場合は、実際には1-800-46-27753にかけていることになる。英語では、日本語のように数字そのもので語呂合わせを作って記憶させやすくすることができないために、数字にアルファベットを振ることで語呂合わせを作っているのである。
日本では、新生銀行の米国内からの発信用の番号(着信課金番号だが、発信者にも通話料が発生する場合がある[10])が、+1-866-SHINSEI[11]と案内されているが、+1-866-7446734の「7446734」を上記の方法でSHINSEIとしたものである。全国銀行協会発行の「キャッシュカードや通帳との盗難・紛失時のご連絡先」の冊子でも、平成19年度版までは+1-866-SHINSEIとしてきたが、日本人に認知されなかったのか、平成20年度版では、+1-866-744-6734の標記にされている。2012年2月時点での新生銀行のウェブサイトでは、「1-866-744-6734(SHINSEI=7446734)」[10]または、「1-866-SHINSEI」[11]と標記されている。
同様に、日本国内のナビダイヤルでは、かつてハローノキア(ノキア・ジャパンの問い合わせダイヤル)で、「0570-0-NOKIA」と標記することがあった[12](実際の番号そのものは、0570-066542となった、サービスは終了している)が、要領は同じ事である。
その他各国の類似サービスについては、着信課金電話番号を参照のこと。
フリーダイヤルマークのUnicodeへの採用
フリーダイヤルマークは携帯電話の絵文字として通信会社ごとの絵文字に含まれていたため、Unicodeにも提案されたが、ロゴということで紆余曲折があった。最終的に、2010年10月にくるりループ(ループ線)二つの記号「DOUBLE CURLY LOOP」としてUnicode 6.0.0で採用され、iPhoneなどでは、フリーダイヤルのマークとして表示される。一方で携帯電話の絵文字としてあるこの絵文字は、長音記号として使用されることもある[13]。
記号 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 名称 |
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関連項目
脚注
外部リンク
- NTTコミュニケーションズ・フリーダイヤル
- NTT東日本・フリーアクセス
- NTT西日本・フリーアクセス
- KDDI・フリーコールS
- KDDI・フリーコールDX
- ソフトバンクテレコム・フリーコールスーパー
- フュージョンコミュニケーションズ・フリーボイス
・長谷川琴美(gree)→2009年9月1日の日記テンプレート:どこ (2009.9 長谷川琴美、GREE、会員登録が必要)