電気通信役務

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電気通信役務(でんきつうしんえきむ)とは、電気通信を利用して提供されるサービスである。

日本の電気通信事業法における種類

2013年現在の種類を示す[1]

  1. 加入電話 : アナログ固定電話直収電話
  2. 総合デジタル通信サービス(中継電話又は公衆電話であるもの及び国際総合デジタル通信サービスを除く)
  3. 中継電話(国際電話等であるものを除く)
  4. 国際電話 : 国際電話等 - 国際総合デジタル通信サービス
  5. 公衆電話
  6. 携帯電話 : 第3.9世代移動通信システムを使用するもの - それ以外のもの
  7. PHS
  8. IP電話 : 固定電話と同じ市外局番または050で始まる電話番号を使用するもの - それ以外のもの(インターネット電話など)
  9. FMCサービス
  10. インターネット接続サービス(携帯電話・PHS端末インターネット接続サービスであるものを除く。)
  11. FTTHアクセスサービス : 共同住宅等内にVDSL設備その他の電気通信設備を用いるもの - それ以外のもの
  12. DSLアクセスサービス : ADSLなど
  13. FWAアクセスサービス
  14. CATVアクセスサービス
  15. 携帯電話・PHS端末インターネット接続サービス(3.9世代携帯電話端末インターネット接続サービスであるものを除く。)
  16. 携帯電話・PHSパケット通信アクセスサービス(3.9世代携帯電話端末パケット通信アクセスサービスであるものを除く。)
  17. 3.9世代携帯電話端末インターネット接続サービス
  18. 3.9世代携帯電話端末パケット通信アクセスサービス
  19. フレームリレーサービス
  20. ATM交換サービス
  21. 公衆無線LANアクセスサービス
  22. BWAサービス
  23. IP-VPNサービス
  24. 広域イーサネットサービス
  25. 専用役務 : 国内電気通信役務であるもの - 国際電気通信役務であるもの
  26. 上記1から25までに掲げる電気通信役務を利用した付加価値サービス
  27. インターネット関連サービス(IP電話を除く。)
  28. 仮想移動電気通信サービス : 携帯電話に係わるもの - PHSに係わるもの - FWAアクセスサービスに係わるもの
  29. 電報 : 受付及び配達の業務を行う場合 - 受付及び配達の業務を行わない場合
  30. 上記1から29までに掲げる電気通信役務以外のもの

NTTの提供する電気通信サービス

IP網への円滑移行のため、サービスの廃止・仕様変更が行なわれるようになっている[2]

事業継続した場合に大幅な値上げが避けられないサービスについては、加入者機器での機能代替が案内されている。

IP網で提供を継続する電気通信サービス

IP網で提供を継続する電気通信サービス
サービス名 契約数等(東西計) 概要 備考
2012年3月末 2012年9月末
基本的な音声サービス 2748万(契約) 2625万(契約)
公衆電話 23万(件) 22万(件)
110(警察 935万(件)
118(海上保安 48万(件)
119(消防 855万(件)
117(時報 2940万(コール) 1272万(コール)
12.4 - 12.9半期
177(天気予報 2797万(コール) 1312万(コール)
12.4 - 12.9半期
104(番号案内 1.5億(コール) 0.6億(コール)
12.4 - 12.9半期
加入者名・住所・業種などから電話番号の案内を行うもの
115(電報 642万(通) 269万(通)
12.4 - 12.9半期
ナンバーディスプレイ 708万(契約) 678万(契約) 電話呼び出し時に発信者の電話番号を事前通知するもの
ナンバーリクエスト 38万(契約) 35万(契約) 発信者の電話番号通知しない呼び出しに発信者番号通知してかけなおすように案内するもの
迷惑電話おことわり 9万(契約) 8万(契約) 特定の発信者の電話番号で呼び出しを行なわないようにするもの
キャッチホン 362万(契約) 338万(契約) 通話中に別の着信があった場合音声で通知し、フッキングにより通話相手を切り替えることが出来るもの
ボイスワープ 144万(契約) 136万(契約) 着信転送を行うもの
ボイスワープセレクト 1.2万(契約) 1.1万(契約) 発信者番号などの設定した条件で着信転送を行うもの
フリーアクセス 2.6万(契約) 2.4万(契約) 着信先に割り当てられた特別の電話番号にかけることにより、着信者課金とするもの
#ダイヤル 19(契約) 18(契約) 電話交換機に登録することにより、一般の加入者が#と4桁の数字からなる番号で特定の電話回線に接続するもの
代表番号 48.9万(契約) 46.2万(契約) 複数の電話回線を同一の電話番号で着信するようにグループ化するもの
ダイヤルイン 363万(番号) 345万(番号) 電話回線に電話番号を追加し、通話ごとに着信先電話番号を通知するもの
番号ポータビリティ
電話番号を変更せずに電気通信事業者を変更するもの。IP回線提供者以外がIP電話を提供することについても検討中。
災害用伝言ダイヤル
災害時に伝言メッセージを預かるもの。
テレドーム
専用の電話番号による大規模な情報提供を代行するもの
ナビダイヤル
着信者に割り当てられた特定の電話番号にかけることにより、地域を問わず発信者が通話できるもの。
ファクシミリ通信網
パケット通信網でファクシミリを伝送するサービス

PSTNマイグレーションに合わせて提供終了見込みの電気通信サービス

PSTNマイグレーションに合わせて提供終了見込みの電気通信サービス
サービス名 契約数等(東西計) 概要 備考
2012年3月末 2012年9月末
ISN64 379万(契約) 358万(契約) ISDNサービス IP網の料金値下げ、IP網接続の加入者機器で対応
INS1500 4万(契約) 3万(契約)
ビル電話(事業所集団電話) 3.9万(契約) 3.8万(契約) 電話局に設置した電話交換機で内線電話機能を実現するサービス→内線電話参照。 IP電話のグループ内無料通話などで対応
着信用電話 7万(契約) 6万(契約) 着信のみ可能な電話回線 加入者機器の設定で対応
支店代行電話 413(契約) 394(契約) 希望する地域の電話番号の通話を特定の電話回線に転送するもの ロケーションポータビリティの中で検討
有線放送電話接続電話 7(回線) 7(回線) 公衆交換電話網との定額もしくは従量制接続
ピンク電話(硬貨収容等信号送出機能) 26万(回線) 24万(回線) 電話加入者が設置する形の公衆電話サービス 自立課金機器で対応
短縮ダイヤル 10万(契約) 9万(契約) 交換機に記憶させた電話番号に短い桁数で発信できるもの 多機能電話機で置き換え
キャッチホン・ディスプレイ 8万(契約) 8万(契約) 通話中に別の着信があった場合、発信者の電話番号を通知するもの
ナンバー・アナウンス 3.9万(契約) 3.6万(契約) かけてきた相手の電話番号を最大5件音声案内するもの ナンバーディスプレイと多機能電話機の音声読み上げで置き換え
でんわばん 3.3万(契約) 3.1万(契約) かかってきた電話に10種類のメッセージで応答するもの 留守番電話機で置き換え
トーキー案内 299(音源回線) 296(音源回線) 最大50回線相当分の音声案内回線を提供するもの 録音再生装置と多回線のIP電話の組み合わせを提案
発着信専用 4.7万(契約) 4.4万(契約) 加入者機器の設定で対応
ノーリンギング通信 493(回線) 488(回線) 電気・ガス・水道などの検針を呼び出し音を鳴らさずに行なうもの 無線通信・IP網への置き換えなどを検討
二重番号 5862(契約) 5412(契約) 副電話番号を追加し主電話番号の迷惑電話に不在などのメッセージを送出するもの 迷惑電話おことわりなどで置き換え
トリオホン 2247(契約) 2134(契約) 三者通話を行なうもの 加入者機器で対応
なりわけ 404(契約) 374(契約) 登録した10までの電話番号の呼び出し音を変更できるもの ナンバーディスプレイと多機能電話機の組み合わせで置き換え
114(お話中調べ) 319万(接続) 272万(接続)
12.4 - 12.9半期
お話し中か受話器外し等かを無料で調べるもの
159(空いたらお知らせ) 0.8万(接続) 0.3万(接続)
12.4 - 12.9半期
特定の電話番号の通話終了を通知する有料サービス 災害対策には災害用伝言ダイヤルの利用を案内
136(ナンバーお知らせ) 557万(接続) 254万(接続)
12.4 - 12.9半期
最後にかかってきた電話の日時と電話番号を音声で通知するもの ナンバーディスプレイと多機能電話機の音声読み上げで置き換え
i・ナンバー
「INSネット64」専用の2番号までの追加(合計3番号使用)可能なサービス
ダイヤルアップ接続
電話網によるインターネット接続
テレホーダイ
深夜時間帯に指定した区域内電話番号に月極め料金で通話できるもの
伝言ダイヤル
伝言を預かるもの
マイライン
中継電話会社を事前登録するもの。IP網では距離課金が無いため、中継電話が事業として成り立たない。

PSTNマイグレーションに先立ち順次提供終了見込みの電気通信サービス

PSTNマイグレーションに先立ち順次提供終了見込みの電気通信サービス
サービス名 契約数等(東西計) 提供終了時期(見込み) 概要 備考
2012年3月末 2012年9月末
ネームディスプレイ 22万(契約) 20万(契約) 2013年2月28日 電話呼び出し時に発信者の名称を事前通知するもの 多機能電話機の電話帳機能で置き換え
ダイヤルQ2 48(番組) 41(番組) 2014年2月28日 有料情報サービスの提供・料金回収代行を電話網により行うもの 義援金募集番組は別システムを開発
信号監視通信 3.0万(回線) 2.9万(回線) 2014年度 加入者回線から常時送出される監視信号に変化が起きた場合に通知するもの IP網・無線通信によるサービスへ置き換え、IP網の断線検知機能も検討
オフトーク通信 84(センタ) 82(センタ) 2015年2月28日 通話時以外の電話回線の空き時間に音声での情報提供を行うもの 市町村防災行政無線(同報系)
IP告知放送へ置き換え
7万(回線) 7万(回線)
共同電話 1605(契約) 1220(契約) 2015年度 加入者線を複数の加入者で共用するもの 単独電話化
キャッチホン2 9万(契約) 8万(契約) 2016年2月29日[3] キャッチホンの応答できない通話をセンターで応答しメッセージを預かるもの 通話録音装置・キャッチホンの組み合わせを案内
マジックボックス 6万(契約) 5万(契約) ボイスワープ・キャッチホン2・留守番電話を組み合わせたもの 通話録音装置・ボイスワープ・キャッチホンの組み合わせを案内
ボイスボックス 891(契約) 723(契約) メールボックス番号や暗証番号で伝言を預かるもの 通話録音装置の利用を案内
ボイスワープ2 763(契約) 686(契約) ボイスワープ・キャッチホンを組み合わせたもの 話中時転送・キャッチホンの組み合わせを案内
メッセージ表示送受信 6(契約) 2(契約) 2014年2月28日 加入電話・ISDN回線でユーザー向けのメッセージが保持されていることを通知するもの 契約者了解を得てサービス停止
100番通話 3万(コール) 1万(コール)
12.4 - 12.9半期
2015年7月31日[4] 通話料金・通話時分を終了後に通知するオペレータ扱いのもの 公衆電話からの通話・料金明細の利用を案内
102(非常・緊急通話) 11(コール) 0(コール)
12.4 - 12.9半期
災害時のオペレータ扱臨時受付 災害時優先電話へ置き換え
106(コレクトコール 27万(コール) 11万(コール)
12.4 - 12.9半期
オペレータ扱いの着信者課金で通話できるもの コールバックやフリーダイヤルなどで置き換え
108(自動コレクトコール) 4万(コール) 2万(コール)
12.4 - 12.9半期
自動応答の着信者課金で通話できるもの
DIAL104 184万(コール) 84万(コール)
12.4 - 12.9半期
電話番号案内で調べた番号へそのまま接続するもの 2012年5月より番号案内の復唱回数を2回から4回に増やした

2012年までに終了した電気通信サービス

テレゴング
専用の電話番号により電話投票の集計を行うもの。2012年5月31日サービス停止。
UPT (Universal Personal Telecommunication)
個人に割り当てられた電話番号に発信することで、受信者が設定した任意の電話サービスで受信できるサービス。NTTコミュニケーションズのeコール・安心コール・コミュニケーションズチョイスが2011年3月31日サービス停止。
Lモード
専用のファクシミリを利用し、電話網によるインターネット接続を提供。2010年3月31日サービス停止。
キャプテンシステム
電話網を利用し文字情報を提供。2002年サービス停止。

インターネット関連サービス

その他のサービス

無線呼び出し(ポケットベル)
電話網から特定の電話番号に発信することで、サービス地域内に居た場合に電波を利用して呼び出すもの。
テレックス(加入者電信
テレタイプ端末アナログ回線交換機とを利用し、加入者同士で任意の文章をやり取りするもの。

日本の電気通信事業法における利用者保護

2004年4月1日電気通信事業法の改正により事後規制となり利用者保護のため、18条第3項で事業の休廃止に係る利用者への重要事項の周知を行うことになっている。また、国民の日常生活に係るものとして総務省令で定める電気通信役務の提供に関する契約の締結又はその媒介、取次ぎ若しくは代理をしようとするときは、26条により消費者への契約前のわかりやすい情報提供・27条により苦情受付窓口の設置の義務が定められている。

説明対象となる電気通信サービス

説明対象となる電気通信サービスは、施行規則第22条第1項で次のものが指定されている。

  1. 電話及びISDNサービス
  2. 携帯電話及び携帯インターネット接続のサービス
  3. PHS及びPHSインターネット接続のサービス
  4. インターネット接続サービス
  5. DSLサービス
  6. FTTHサービス
  7. BWAサービス
  8. CATVインターネットサービス
  9. 公衆無線LANアクセスサービス
  10. FWAサービス
  11. IP電話サービス

説明事項

説明事項は、契約後のトラブル防止の観点から施行規則第22条の2の2第3項で次のように定められている。

  1. 電気通信事業者の名称(契約代理店の場合は、契約代理店の名称も含む)
  2. 電気通信事業者の問合せ連絡先(電話窓口の場合は受付時間も含む)。契約代理店の場合は、契約代理店の問合せ連絡先。ただし、電気通信事業者が責任をもって契約代理店に係る問合せも行うこととする場合は不要。
  3. 電気通信サービスの名称及びその種別(ダイヤルアップ接続ADSLなどのサービスの種類の明示)
  4. その利用者に適用される料金
    1. 無料又は割引キャンペーンの適用がある場合は、その期間、範囲その他の条件
    2. 当該サービスの料金に含まれていない他の経費がかかる場合は、その内容
  5. 消費者からの契約の変更及び解除の条件
    1. 契約の変更及び解除ができる期間の制限
    2. 契約の変更及び解除の際の違約金の支払いに関する定め
    3. 契約の変更及び解除の場合のレンタルモデムの返却費等の負担
  6. 電気通信サービスの制限事項(品質、提供場所、緊急通報等)
    • 携帯電話・PHSサービス : 電波が届かない場所ではサービス提供ができないことがある。
    • ベストエフォート型のインターネット接続サービス : 通信設備や回線の状況によって当該表示速度が出ないことがある
    • IP電話サービス : 緊急通報の可否、回線の状況により通話の品質が低下することがあることなど。

説明の方法

店舗・街頭等で加入受付を行う場合、契約締結の前に利用者に重要事項をわかりやすく記載した書面(カタログ、パンフレット等を含む)を交付して説明しなければならない。

苦情等の処理

電気通信事業法第27条により、電気通信サービス又はその業務方法についての苦情及び問合せについては、適切かつ迅速にこれを処理しなければならないこととなっている。

  • 是正勧告の対象となる場合
    1. 苦情及び問合せに対する対応窓口を設けていない。
    2. 苦情及び問合せに対する対応窓口が設けられていても、その連絡先や受付時間等を消費者に対して明らかにしていない。
    3. 苦情及び問合せに対する対応窓口が明らかにされていても、実際にはその対応窓口がほとんど利用できない。

脚注

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参考文献

関連項目

外部リンク

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  1. 提供する電気通信役務 - 総務省
  2. テンプレート:PDFLink
  3. 「マジックボックス」、「キャッチホンⅡ」、「ボイスボックス」、「ボイスワープⅡ」等の新規お申し込み受付の終了およびサービス提供の終了について - NTT東日本
  4. 「接続通話サービス(100、102、106、108、DIAL104)」の提供終了について - NTT東日本