ディーゼル自動車
ディーゼル自動車(ディーゼルじどうしゃ)とは、ディーゼル機関を動力とする自動車である。
目次
概要
内燃機関といわれるエンジンは、燃料をシリンダー(燃焼筒)内で燃焼させ、膨張エネルギーを利用してピストンを押し下げて、往復運動をクランクを使って回転運動にして利用する。ディーゼルエンジンは、空気を圧縮して燃料の発火温度を超える状態にしたシリンダーの中に、軽油などの燃料を霧状に噴出して爆発・燃焼させる。 ガソリンエンジンとの違いは、点火装置がないことである。
特徴として、ピストンスピードが低い状況でも大きなトルクが得られ、回転数を上げる必要がないため(構造上ガソリンエンジンほど回転数が上げられない)、機械的な損耗を抑えられ、特に巡航時の空燃比は20:1から60:1程度となるため、熱効率が高いことが挙げられる。
寒冷環境下では燃焼室内の温度が上がりづらく、始動性が悪化するため、副室式ではグロープラグ、直噴式ではインテークヒーターなどを使い、数秒から数十秒のプレヒートと始動直後の安定燃焼のためのアフターヒートが必要となる。以前は予熱時間の長いものが多く、ガソリンエンジンと比べると不便を感じたが、現在ではほとんど意識する必要がないくらいに改良されている。キャブレター式のガソリンエンジンが始動できないような極低温時でも、ディーゼルエンジンは予熱さえ行えば確実に始動させることができる。ただし、ガソリンに比べ軽油燃料は基本的に粘性が高く、低温環境では蝋分が析出して流動性が損なわれるため、寒冷地向けに調整された燃料を用いるなどの配慮は要する。
日本国内では、特に大都市周辺での大気汚染への関心が高く、煤が目に見え、臭いが強い排気ガスを出す旧来のディーゼル車は好感されていなかった。他方、ヨーロッパでは乗用車の過半数をディーゼル車が占めている国もある。同地では、硫黄分の少ない軽油が使用され、[1]酸化触媒とパティキュレートフィルターが普及している[2]。また欧州を中心とした超低PM排出ディーゼル車・スーパークリーンディーゼル車などの技術革新により騒音の低減や煤煙、有害な排出ガスは軽減されている。もともとは燃費経済性からシェアを伸ばした西ヨーロッパでのディーゼル車であるが、近年は日本の自動車メーカーが得意とするハイブリッド車に対峙する選択肢としての低公害車として宣伝されるようになっている。一方、北アメリカでは乗用車の燃料と言えばガソリンで、ディーゼル乗用車はほとんど普及していない。都市部で大型車の利用がないサービス・ステーションでも軽油を販売していない店舗がほとんどである。このように、ディーゼル車を巡る状況は、日本、ヨーロッパ、北米で全く異なったものとなっている。特に日本とヨーロッパでのディーゼル車の環境に対するイメージは現在のところ正反対である。
2010年以降では、ガソリンエンジンにおいてもシリンダ内への直接噴射方式が普及し、また圧縮比の上昇などから、効率性の面でのディーゼルエンジンとの棲み分けが曖昧になりつつある。また、ガソリン機関に組み合わされる過給器においても電動アシストターボチャージャーや2ステージターボチャージャーなどが登場しつつある。さらに、吸気弁の開閉タイミング操作が電子制御による可変となり、ガソリン機関において出力を調整するスロットルバルブの装備も必須ではなくなった。そのうえ、燃料に水を添加するデュエット・バーン・システムなど、燃料性状の違いによる区別も曖昧になりつつある。
歴史
ディーゼルエンジンは、機械的に堅牢であること、着火に電気が不要なこと、熱効率が良い結果、燃費に優れ、また排出ガスも比較的安全(当時は触媒がなく、ガソリン車の排気はそれこそ有毒ガスであった)なことから、自動車への適用が開発の初期から期待された。しかしながら、初期のディーゼルエンジンは燃料噴射に圧縮空気を用いており、そのために空気圧縮機を備えなければならず、車載に適した小型ディーゼルエンジンの開発は困難であった。
結果、実際にディーゼル自動車が市販されたのはガソリン自動車よりも遅い1920年代で、無気噴射式の高速ディーゼルエンジンの実用化がキーとなった。
1924年にドイツのメーカー2社がそれぞれ別の方式で実用化したのが最初である。ベンツ(後のダイムラー・ベンツ、現ダイムラー)が予燃焼室式エンジンを、またMANが渦流室式エンジンをそれぞれ実用化して発表。これらはトラックやバス用の動力として利用され、そのトルク特性と経済性によって市場の支持を集めて行くことになる。
乗用車への搭載試作も1920年代から始まっていたが、振動の激しさと小型化の困難がネックとなって市販されるに至らず、市場に出た最初は1936年発売のメルセデス・ベンツ 260D(W21(英語版))であった。ガバナー付きの燃料噴射ポンプを採用したことにより、低回転でのトルク特性が向上し従来のディーゼルエンジンよりも扱いやすくなった。水冷直列4気筒、排気量 2,550 cc、出力 45 HP/3,000 rpm の予燃焼室式ディーゼルが搭載されたが、ガソリンエンジンに比べて速度性能が劣り、振動(特にアイドル時)や騒音も大きいことからタクシーやバンなど、業務用途での利用が想定されていた。それにも関わらず、省燃費性能の優秀さからオーナードライバーの支持をも得て、予想外の人気モデルとなった。
第二次世界大戦前後を通じて、主要各国はトラック・バスを中心にディーゼルエンジンの導入を積極的に推進し、大排気量化が容易[3]で経済性に優れることから、1960年代までに大型商用車においてディーゼルエンジンは世界的主流となった。現在までその傾向は続いており、現状の技術では代替可能な動力機関が存在しないことから今後もディーゼル自動車主流の情勢は動かないと考えられるが、大排気量高速ディーゼル機関の排出ガスは環境悪化の一因であることが指摘されており、各国で程度の差はあるものの排出ガス浄化対策が進められている。
また、小型高速ディーゼルエンジンの分野でも、先駆的なダイムラー・ベンツやプジョーに影響され、ヨーロッパや日本で開発が進んだ。そして1970年代のオイルショックは燃料節約の見地から、乗用車へのディーゼルエンジン普及を著しく促した。ヨーロッパではこの流れが二酸化炭素排出の少なさと相まって、21世紀に至っても長く続いており、新技術の導入によってガソリンエンジン車に比した場合の性能的劣位が克服されつつあるばかりか、ターボチャージャーとの組み合わせにより、トルクの大きさとトルクバンドの広さはガソリンエンジンのそれを大きく上回っている。アメリカ合衆国ではその普及は限定的なものに留まった。日本ではオイルショック後、走行距離が伸びる傾向の北海道など一部地域で普及し一定のシェアを得ていたが[4]、その後の排気ガス規制強化によって排気ガス浄化の困難さから、メーカーによる日本国内向けラインナップの縮小が進んだことで結果的に市場から撤退となり、1990年代以降から2000年代においてディーゼル乗用車市場は壊滅状態となっていた[5]。2012年2月に後処理装置を使用せず、ポスト新長期規制をクリアしたクリーンディーゼル車が発売されヒットするなど回復の兆しが見え始めている。
大型自動車と乗用車に共通する課題は排出ガスの環境影響であり、各国のメーカーが取り組みを続けているが、根本的な解決にまでは至っていない。
エンジンの特徴
自動車用エンジンは負荷変動が大きく、それに追従できることが必要である。自然吸気エンジンが広く用いられ、過給エンジンも存在したが、過給圧は他の用途のディーゼルエンジンと比較して低く抑えられていた。自然吸気エンジンの場合、同排気量のガソリンエンジンと比較して、トルクが低いため(約7割[6])やや排気量の大きいエンジンが用いられていた[7]。ターボ過給技術の発達と排出ガス規制の強化、より低燃費、エンジンの小型化等の要請によりターボの採用、高性能化が進められた。窒素酸化物の低減のために排気ガス再循環(EGR)が行われている。EGRを行うことにより燃焼温度が下げられ燃焼室内での窒素酸化物の発生量が抑えられる。しかし、EGRを行うと吸気中の酸素が減るために出力維持のためには過給が必須となる。窒素酸化物の低減には圧縮比を下げることも有効である。単純に圧縮比を下げただけでは熱効率や始動性が悪化するので、バルブタイミングの変更が必要である。通常、ディーゼルエンジンでもガソリンエンジンと同様に、吸気バルブは下死点後に閉じる。これは吸気には慣性があるため下死点で閉じるよりも下死点を過ぎてから閉じる方が充填効率を高めることが出来るからである。だが、低回転域では吸気を押し戻す作用もあって実効圧縮比が低下することになり、始動性は悪くなり、圧縮比自体を高くしなければならない。現在では吸気バルブを閉じるタイミングを下死点に近づけ、低回転での実効圧縮比を高めている。圧縮比自体を低くすることにより窒素酸化物の生成量を抑えられ、EGR量を減らすことが可能になり、高出力化にも繋がっている。また、三菱自動車のように可変バルブ機構を用い、低回転でのバルブタイミングを変更することにより、圧縮比を下げるという試みもされる様になっている。
問題点
- エンジン製造コストがガソリンのそれに比べ一般として高く、自動車の販売価格も高くなりがちである。
- エンジン自体の重量がガソリンエンジンと比べて一般に重くなりやすい。
- 機関の運転音や振動が大きく、排出ガス中に「スス」などの粒子状物質 (PM) が多く、いわゆる「黒煙」となる。PM をDPFなどで捕捉しても、常に酸素過多の状態(リーンバーン)で運転される特性上、ガソリンエンジンのように三元触媒を使えないため有害排出ガスの浄化が難しく、熱効率を追求し完全燃焼させると排気ガス中の窒素酸化物 (NOx) が増えるという点ではガソリンエンジンと同じだが、触媒での浄化が難しいため、結果として比較的多くのNOxを排出してしまう現状がある。(次世代ディーゼルエンジンへの過渡期にあり、ディーゼル自動車の構造的欠点とは言いにくい)ガソリン車に比べ、悪臭がするイメージがあるのは、このためである。
- 軽油のワックス分は比較的高温で固化する。そのため、冬季の寒冷地では、低温でも固化しないようにするために専用のものを使う必要がある。
- 軽油取引税を脱税するために軽油に他の物質を混合させた不正軽油を使う事業所や運転手がいる。
環境対応
粒子状物質(PM)と窒素酸化物(NOx)は燃焼状態により発生状況が異なるので、現状では片方を減らそうとすれば、もう片方が増加してしまう。PMは大量のEGRと噴射を数回に分けることで燃焼時の急激な温度と圧力の上昇を防ぎ、NOxの発生を抑え、さらに、DPFでPMを捕捉して燃焼させるのは乗用車・トラックで実用化されている。NOxは排気に尿素水を噴射し、一旦アンモニアを生成し、それを触媒によって窒素と水に還元し、無毒化する、尿素SCR還元システムがトラックで実用化されている。
トヨタのDPNRはDPFにNOx吸蔵還元触媒の機能を追加、NOxの浄化時にPMも同時還元できる。欧州の乗用ディーゼルと国内のトラックに採用されている。2006年(平成18年)9月、ホンダでは乗用車用に適した二層構造のNOx吸蔵還元触媒を発表した。アンモニアを触媒内部で生成し、従来の触媒より効率良くNOxを還元できる。2007年8月に日産も二層構造のNOx吸蔵還元触媒を発表した。吸着したHCにO2を加えてNOxを還元する。2008年4月にVWは高圧と低圧の2つのEGRを組み合わせたシステムにDPFやNOx吸蔵還元触媒を組み合わせて米国の排ガス規制をクリアするシステムを発表した。
トラックではNOxの発生を抑えてDPFかPMの発生を抑えて尿素SCR還元システムという方法で規制をクリアしているが、乗用ディーゼルはDPFとNOx後処理装置(NOx吸蔵還元触媒か尿素SCR還元システム)を欧州・日本・米国で規制値に合わせて組み合わせると思われる。
将来的には、バイオディーゼルとハイブリッド機構の組み合わせにより、現在のガソリンエンジンの1/4程度の環境負荷への低減[8]が予想されており、次世代駆動システムの有力候補となっている。
法規制
日米欧におけるディーゼル規制をあげる。
- 日本 ‐2009年施行 「2009年規制」[1]
- 欧州 ‐2008年導入 「ユーロ5(Euro 5)」規制 (欧州連合指令 European Union Directive)[2]
- 米国 ‐2009年実施 「Tier II Bin5」規制 (環境保護庁(EPA))[3]
排出ガス規制値の一覧
(小型ディーゼル乗用車の場合、g/km)
新車排出ガス規制 | CO | NMHC * | NOx | PM |
---|---|---|---|---|
2009年規制(日本) 2009年 |
0.63 | 0.024 | 0.08 | 0.005 |
ユーロ5(欧州) 2008年 |
0.50 | 0.068 | 0.18 | 0.005 |
Tier 2 Bin 5(米国) 2007年 |
0.003 | 制限無し | 0.044 | 0.006 |
日本における排出ガス規制
のように段階的な自動車排出ガス規制が実施されている。2002年(平成14年)施行の「新短期規制」を達成していないディーゼルエンジンを搭載した、用途が貨物かつ初度登録から7年を経過した車両は首都圏や兵庫県の一部に設定された特定地域に乗り入れができない(地域によって規制値は異なり、首都圏については、中量貨物車のPM値について、新短期規制の2分の1)。また、2009年(平成21年)1月より、下述の自動車NOx・PM法(通称車種規制)を達成しないディーゼル車について、大阪府でも着発規制が行われる。新短期規制は、規制物質によってはガソリン車のおよそ3倍が許容される内容であった。2009年(平成21年)規制において、ガソリン車に追いつくまでの水準となっているテンプレート:要出典。
特定地域を対象にして1992年(平成4年)に制定された自動車NOx・PM法により、首都圏・中京圏・関西圏に指定された地域を使用の本拠とする車両は、上記の新短期規制と同程度の基準(車両総重量2.5t以下の貨物自動車および乗用車の場合(重量車では長期規制並みの基準となる)、ただし車両総重量2.5t以下の貨物自動車および乗用車のPM規制値については新短期規制値の2分の1)を達成していなければ、新規登録および初度登録から8–12年目(車種よって異なる)以降は車検継続ができない(使用継続できない)。
さらに、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県が2003年(平成15年)10月から実施したディーゼル車規制条例では、国の規制を満たさないディーゼル車が島嶼部(伊豆・小笠原諸島)以外の都内全域で運行することを禁止している[9]。 それにより、公害の状況が改善された[10]。
(関連制度)
- 超低PM排出ディーゼル車認定制度 -対象は車両重量3.5トンを超えるディーゼル自動車
- 低排出ガス車認定制度 -乗用車も対象だが、ディーゼル自動車の認定例はない
- 重量車燃費基準 -重量車(大型のバス・トラック等)を対象とし、2015年度を基準値達成目標とする
排出ガス規制と識別記号の一覧
国土交通省は自動車排出ガス規制の識別記号を定めている[11]。
国の新車排出ガス規制 | 識別記号- |
---|---|
短期規制以前 1993年以前 |
記号がない1979年頃までに製造された車 |
K-, N-, P-, S-, U-, W-, KA-, KB-, KC-, KD- | |
長期規制 1997年 |
KE-, KF-, KG-, KH-, KJ-, KK-, KL- |
(ハイブリッド)HA-, HB-, HC-, HE-, HF-, HM- | |
新短期規制 2002年 |
KM-, KN-, KP-, KQ-, KR-, KS- |
(超低PM排出車)PA-, PB-, PC-, PD-, PE-, PF-, PG-, PH-, PJ-, PK-, PL-, PM-, PN-, PP-, PQ-, PR- | |
(ハイブリッド)HW-, HX-, HY-, HZ- | |
(ハイブリッド・超低PM排出車)VA-, VB-, VC-, VD-, VE-, VF-, VG-, VH-, VJ-, VK-, VL-, VM-, VN-, VP-, VQ-, VR- | |
新長期規制 2005年 |
ADE-, ADF-, ADG-, BDE-, BDF-, BDG-, CDE-, CDF-, CDG-, DDE-, DDF-, DDG- |
(ハイブリッド)ACE-, ACF-, ACG-, BCE-, BCF-, BCG-, CCE-, CCF-, CCG-, DCE-, DCF-, DCG- | |
平成17年排出ガス規制参照のこと。 | |
重量車燃費基準 2015年 |
重量車燃費基準参照のこと。 |
乗用車の状況
日本
いすゞ自動車はかつて乗用車事業を行っていた時代、ディーゼル車を販売の主力としていた。第二次オイルショック後には、国内販売される乗用車の多くにディーゼルエンジンが用意され、新車販売台数のうち5%程度をディーゼル車が占めた時期もあった。しかしながら、その後の需要はバブル期前後にブームとなったRV等に限られ、排気ガス規制の強化(上述)とともに1990年代後半以降には販売が急減した。
2001年(平成13年)6月、自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(改正自動車Nox・PM法)施行[12]
2002年(平成14年)10月、改正自動車Nox・PM法に基づく排出基準に適合しない使用過程車の車種規制開始[13]
2003年(平成15年)5月、日本自動車輸送技術協会に於いて排出基準に適合しない使用過程車を排ガス分析し基準適合を確認。[14]
2007年(平成19年)9月、新長期規制(同)が継続生産車にも適用開始(当初は新規生産車のみが対象)された。それに先立つ同年7月、トヨタ・ランドクルーザープラド(ディーゼル仕様)の販売終了をもって、日本国内で販売される日本車(乗用車)のディーゼル乗用車は消滅した。その後1年あまり、新長期規制に適合したディーゼル乗用車は日本車には存在しておらず、輸入車を含めたすべての乗用車のうち、当時販売されたのはメルセデス・ベンツ Eクラス 320CDI(新長期規制適合)[15]のみとなり。トヨタ[4]、マツダ[5]など各メーカーが規制に対応したディーゼル乗用車の開発を進めている状況であった。
2008年(平成20年)9月4日、日産自動車が、新長期規制を飛び越し、ポスト新長期規制をもクリアするエクストレイルのクリーンディーゼル車(日本仕様)を発表。同月18日より発売開始し、日本のディーゼル乗用車は復活を遂げた。
2008年(平成20年)10月1日、三菱自動車は現行の新長期規制に対応したディーゼルエンジンのパジェロを発売した。
2012年2月、マツダは、後処理装置を使用せず、ポスト新長期規制に適合できるエンジンを搭載したCX-5を発売した。
米国
2005年の時点で、ディーゼル車の市場シェアは0.5%である[6]。環境保護庁(EPA)による基準に加え、多くの州が独自の環境基準・排出ガス規制を設定している。
2009年頃からフォルクスワーゲン、アウディ、BMW、メルセデス・ベンツ等の欧州メーカーが相次いで米国基準に適合したディーゼル車の販売をはじめている。[16][17][18][19]
西欧
西ヨーロッパ全体で、新車乗用車販売に占めるディーゼル車のシェアは53.3%(2007年) 42.7%(2006年)である。ドイツでは同15%(1995年)が、同42.7%(2005年)と過去10年間に急増した。西欧主要国における新車乗用車販売におけるディーゼル自動車のシェアは以下の通り(VDA2006年年次報告による)
日本は窒素化合物を有害視するのに対して欧州では二酸化炭素の排出量を重要視する。 同排気量で比較した場合、ディーゼル車の方が燃焼効率が良いため少ない燃料で走れること、また二酸化炭素の排出量が少ない事、という利点があり、燃料価格はガソリンと軽油とでは同一もしくは軽油の方が高い、という状況ではありながらも(例・スイスでは軽油の方が高い)手放す際により高い価格で売れること、平均的に年間2万キロは走るため燃費で元がとりやすい事、低速からのトルクが太く日常使用で乗りやすいこと、といった使用環境上の理由からディーゼル車の購入層は増えている。 ただし「欧州で問題になっている排気ガス問題」とは一部の日本のマスコミで誤って報道されたが(2006年度毎日新聞報道)、ディーゼル車によるものではなく、旧態ガソリン車によるところが多い。 現在でも欧州では触媒のついていない車を金銭的な理由から使用している家庭が多く、よって旧式ガソリン・ディーゼルエンジン車が多数走行しているのが原因である。 故に例えばイタリアのローマ、ミラノなどでは冬期間にユーロ0などの旧式のエンジンの車の使用を州条例で禁止している。 現在主流で使われているヨーロッパのディーゼルエンジンはコモン・レール式であり、排気ガスの観点からみるとガソリン車と遜色がない。 環境規制(排出ガス規制)は、前述の「ユーロ5」が全新型車に適用されるのが2011年から、さらに次世代の規制である「ユーロ6」が2015年からとなっている。メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン、アウディ、BMW、プジョーをはじめとした各社で、ユーロ5、ユーロ6に対応したディーゼル乗用車の開発をおよび発表を進めている。
インド
2014年現在、マルチ・スズキが自社製品に搭載するディーゼルエンジンをフィアットから調達している。スズキでは、800ccクラスの2気筒ターボ付ディーゼルエンジンを開発中であり、近いうちにインド市場に投入する計画。実現すれば、過去に生産されていたダイハツ・シャレードを抜き、量販ディーゼル自動車では最小排気量となる[20]。
製造者
一覧は「ディーゼルエンジン」参照
脚注
外部リンク
- クリーンディーゼル普及促進協議会
- ディーゼル車規制総合情報サイト(東京都環境局)
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ 超拡散燃焼であるディーゼルエンジンは、シリンダー内に燃料と酸素があるかぎり燃焼(膨張)し続けられ、シリンダー容積は火炎伝播速度に支配されない。
- ↑ クリーンディーゼル乗用車の普及・将来見通しに関する検討会 第1回 議事要旨 経済産業省 審議会・研究会 2004年(平成16年)9月30日
- ↑ 第1回 ディーゼル乗用車は日本で売れるか? 壊滅した市場を動かす4つの胎動〔1〕 ECO JAPAN(日経BPネット)2006年12月8日
- ↑ 鈴木孝著 『エンジンのロマン』ISBN 978-4833415149。
- ↑ 2代目ダイハツ・シャレードのように、あえてガソリンエンジンと同排気量とした例もある。
- ↑ 輸送用燃料のWell-to-Wheel評価 - 日本における輸送用燃料製造(Well-to-Tank)を中心とした温室効果ガス排出量に関する研究報告書
- ↑ 東京都環境局
- ↑ 国際交通安全学会
- ↑ 国土交通省 自動車排出ガスの識別記号一覧
- ↑ 改正自動車Nox・PM法の概要と規制地域
- ↑ 排出基準に適合しない使用過程車の使用可能最終日の一覧表
- ↑ ディーゼル乗用車NOx・PM規制適合へのチャレンジ
- ↑ メルセデス・ベンツオフィシャルサイト Eクラス・ディーゼルエンジン
- ↑ VW TDI
- ↑ Audi TDI
- ↑ BMW 335d
- ↑ ML320 BlueTEC SUV
- ↑ テンプレート:Cite news