ナイト

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ナイト(Knight)は、イギリス(連合王国)の叙勲制度において、叙勲者に与えられる、中世の騎士階級に由来した称号である。

日本語では勲功爵勲爵士騎士爵士爵などの訳が見られるほか、ナイト爵と片仮名で表記されることも多い。ただし、ナイトは貴族の身分ではなく、あくまでも勲位である。本項では「ナイト」に統一し、「爵」ではなく「称号」と記述するが、伝統的な日本語訳である「勲爵士」を一部の括弧内に併記する。

制度の概要

ナイトの称号には、中世の王室騎士団制度に由来する Order of Chivalry (勲爵士団)に属するものと、これに属さない Knight Bachelor (下級勲爵士)と呼ばれるものがある。ナイトの称号を授与された者には、各称号へ固有に制定された標章が与えられる。すなわち、イギリスにおいてはナイトとしての叙任が勲章授与にあたる制度であり、最高位の Knights of the Garter (ガーター勲爵士)から最下位の Knight Bachelor まで、多くの種類と等級がある。

ナイトは、主に文化・学術・芸能・スポーツ面で著しい功績があった者に対し、首相の助言によって(外国籍の者に対しては外相が推薦する)君主(国王または女王、現在は女王である)が授与する栄典である。叙勲者は年に2度、新年と女王の誕生日に発表され、中世の騎士の叙任に対して主君が行っていたのと同じように、女王が自分の前に跪いた叙勲者の両肩を儀礼用の剣の平で触れる騎士叙任の儀式が行われる。

ナイトの称号は1代限りで、世襲することは許されない。

ナイトの上の栄典としては、世襲が認められる準男爵(Baronet)や、世襲を行わないが世襲貴族と並んで貴族院議員となる一代貴族がある。

ナイトとその配偶者の敬称

ナイトに叙任された男性は Sirサー)、その夫人は Ladyレイディ)の敬称をつけて呼ばれる。また、女性でナイトに相当する叙勲を受けた者は Dameデイム)の敬称をつけて呼ばれる。ただし、「サー」や「デイム」はサーネーム(苗字)ではなく、であるファーストネーム、またはフルネームの前につける敬称である。例えば、エドモンド・ヒラリーは「サー・エドモンド」または「サー・エドモンド・ヒラリー」とするのが正しく、「サー・ヒラリー」とするのは誤りである。

ナイトの称号は英国国民以外では、イギリス連邦加盟国や旧イギリス領だった国の国民に与えられることが多く、先述のエドモンド・ヒラリーもニュージーランド人である。(イギリス国王が君主である国々以外の)外国人で名誉ナイト号を受けた者が「サー」の敬称を用いることはない。「サー」の敬称をつけて呼ばれるのは騎士叙任の儀式を受けた者だけであり、彼らはこの儀式を受けないためである。また、イギリス人であっても聖職者も同様に騎士叙任の儀式を受けないため、「サー」の敬称をつけて呼ばれることはない[1][2]

なお、日本語では Sir の称号を冠する人物を表す際、姓に「」をつけて表記したものがしばしば見られる(「ヒラリー卿」、「コンラン卿」など)が、姓に Sir の訳語としての「卿」をつけるのは本来の用法とは異なる。それに加え、「卿」はイギリスにおいて爵位の保持者等に付される称号である Lord の訳語として定着しているので、 Sir に対して「卿」を用いるのは適切ではない[3]

剥奪

ルーマニアニコラエ・チャウシェスクジンバブエロバート・ムガベがナイトを剥奪された。

主なナイト叙任者(存命者、姓五十音順)

イギリス連邦および旧イギリス領

男性(サー)

女性(デイム)

イギリス連邦以外(名誉叙任)

アイルランド

  • ボノ(ミュージシャン)

アメリカ

日本

ブラジル

脚注

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関連項目

  • テンプレート:Cite web 英王室公式ウェブサイトのナイトについての解説ページ(英語)
  • テンプレート:Cite news 『ニューヨークタイムズ』紙の、アメリカ人がイギリス国王から叙勲された場合に「サー」の敬称をつけて呼ばれないことを解説した記事(英語、PDF)
  • Sir が「卿」と誤訳されるに至った経緯などは、植松靖夫「LordとSirの訳語をめぐって」『英語青年』2003年5月及び植松靖夫「『卿』とは何か——LordとSirの訳語をめぐって——」『東北学院大学論集』第92号 に詳しい。
  • テンプレート:Cite news タダタカ・ヤマダのKBE叙任を伝える在サンフランシスコ英国領事館のプレスリリース(英語)