ドーナツ
ドーナツ(テンプレート:Lang-en-short、テンプレート:Lang-en-us-short)は、ドウ(小麦粉に水・砂糖・バター・卵などを混ぜた生地)を油で揚げた食品。ドーナッツとも言う。
日本では下に記した専門店や、スーパーマーケット、コンビニエンスストアで販売されているが、ホットケーキミックスなどを用いると家庭でも比較的簡単に作ることができる(ドーナツ専用の「ドーナツミックス」も市販されている)。日本では菓子の範疇であるが、アメリカ合衆国では朝食代わりにする人も多い。
サーターアンダーギーやベルリーナー・プファンクーヘンなど、今日ドーナツの範疇に含まれる菓子の多くは祭日や祝い事と関連が深く、油脂や砂糖が貴重品だった頃は庶民が日常的に口にできるものではなかった。調理に油脂を多く用いることから、キリスト教(カトリック)圏では伝統的に四旬節の節制が始まる前に行われる謝肉祭、ユダヤ教圏では聖油の祭日ハヌカーとの関連が深い。
歴史
ドーナツの原型は、オランダの小麦粉・砂糖・卵で作った生地を酵母で発酵させ、ラードで揚げたボール状のテンプレート:仮リンクという菓子だとされており、オランダ人はこれを「オリークック(Olykoek)」と呼んでいた。当時は揚げたボール状の菓子にクルミが載ったものであり、祭典用の菓子だったという。そのため、ドーナツの名前の由来は、ドウ(生地)の上にナッツが載ったものという意味から来ている。
後にイギリスで迫害を受けた清教徒が1607年 - 1620年のオランダ滞在中にオリークックの作り方を覚え、ピルグリム・ファーザーズの植民と共にドーナツの原型がニューイングランドに伝わった。その後、オランダ移民によって再度ヨーロッパからアメリカに持ち込まれ、オランダ領ニューアムステルダムへも伝わったという。
リングドーナツの形に至った経緯は様々な説があり、判然としないが、19世紀中頃あたりから見られるようになったという。代表的な説として以下の2説を挙げる。
- アメリカではクルミが手に入らなかったため、その部分に穴を開け、現在の形になった(ただし、この説は「クルミがない」→「穴を開ける」という経緯が不可解だとして、あまり信憑性がないとされている)
- かつてハンソン・グレゴリーという船乗りがいたが、その人物が子供時代に生焼けのドーナツを食べたことから、中までしっかりと火が通るように真ん中に穴を開けるよう母親に勧めた
第一次世界大戦中、ヨーロッパでは救世軍・アメリカ赤十字・YMCAといった慈善団体が兵士の慰問業務活動の中で、ドーナツを無料配布したという。それにより、大戦後ドーナツの普及の一因となり、第二次世界大戦でも同様の貢献をしている。また、日本軍においても昭和12年刊行の軍隊調理法に加給品(間食)としてのドーナツの製法が記載されている。
現在でも米軍では正式なレーションのメニューとして採用されている。
現在ドーナツチェーンは多数に及ぶが、日本には1970年にミスタードーナツとダンキンドーナツが本格的に進出し始めたドーナツチェーンだった(開店は半年違い)。ダンキンドーナツは1998年に日本を撤退している。
形
揚げる際に熱の通りを良くするために円形の生地の真ん中を丸く抜いて輪(トーラス)にしたリングドーナツ、棒状に伸ばした生地をねじったツイストドーナツ、穴を開けない球形あるいは扁平球形のものや棒状のものなどがある。リングドーナツの成形には、硬めの生地をドーナツ型でリング状に型抜きする方法、手で棒状に伸ばし両端をつなぐ方法、柔らかめの生地をドーナツメーカーを使ってリング状にして鍋の中に入れていく方法、ドーナツスプーンと呼ばれるリング状の器具で生地をすくって鍋の中に入れて熱した油に浸しながら揚げる方法などがある。リングドーナツの発明者はニューイングランドのハンソン・グレゴリーとされる。揚げてから中にジャムやクリームを注入するジェリードーナツ(ベルリーナー・プファンクーヘン、クラップフェンなど)や揚げる前に餡を詰めたあんドーナツは穴を開けない。「ドーナツホールズ」(doughnut holes)と呼ばれる小型の球形ドーナツは、ミスタードーナツでは「D-ポップ」、ダンキンドーナツでは「マンチキンズ」、ティムホートンズでは「ティムビッツ」と呼ばれ、リングドーナツのくりぬいた真ん中の生地を揚げたものといわれることがあるが、リングドーナツはほとんどの場合、生地を特殊なノズルで直接リング状に生成するため生地の穴抜きをすることはない。
リングドーナツが代表的なため、以下のようにリング状のものを指してドーナツ(形)と言うことがある。
- ドーナツ化現象
- ドーナツ盤
- ドーナツ(ブリヂストンのタイヤに関連する技術)
- 日本ではマックスターン、定常円旋回と呼ばれる自動車運転テクニック。後輪を横滑りさせ、同じ位置でぐるぐると回ること。タイヤ痕が輪を描くためにこう呼ばれる。
種類
種類は大きく
- ケーキドーナツ(ベーキングパウダーで膨らませたケーキ生地のドーナツ)
- イーストドーナツ(イーストで発酵させたパン生地のドーナツ)
- クルーラー(cruller、水分の多い生地を油の中に輪の形に絞り出して揚げたもの。シュー生地を用いるとフレンチ・クルーラーと呼ばれる)
に分けられる。
揚げてからアイシングや溶かしたチョコレートをかけたり、粉砂糖やグラニュー糖をまぶすことも多い。
アメリカ合衆国のR&B歌手、ルーサー・ヴァンドロスは糖衣をかけたドーナツを2つに切ってバンズの代わりに用いたベーコンチーズバーガー(テンプレート:仮リンク)を考案したとされる。
ドーナツ・ブームの昨今では、油で揚げない焼きドーナツ、半生ドーナツ、豆腐ドーナツといったものも、健康志向や食感の面白さから消費者に受け入れられるようになってきている。
ドーナツおよび類似の食品
- サーターアンダーギー
- ベルリーナー・プファンクーヘン
- クラップフェン
- テンプレート:仮リンク
- チュロス
- あんドーナツ
- マラサダ
- パンプーシュカ
- パパナシ
- ポンチキ
- ベニエ
- テンプレート:仮リンク(蜂蜜をかけて食べるギリシャの菓子)
- バウルサク
- ベーグル
- かりんとう
- 芋けんぴ
- クロナッツ
日本国内に11店舗以上出店しているドーナツチェーン
かつて存在したドーナツチェーン
- ダックス・ドーナツ - 1970年代、北海道地方でチェーン展開されていた。
- ダンキンドーナツ#日本 - 日本からは撤退。
関連項目
- Donut - Android 1.6のバージョンコードネーム。