魔法使い
魔法使い(まほうつかい)とは、魔法、妖術、幻術、呪術などを使う者たちの総称である。民話、神話にしばしば登場し、幻想文学、ゲーム等でも素材として用いられる。歴史上の魔法使いについては、魔術師の一覧を参照。
語義
日本語の「魔法使い」という語は、英語でいうところのMagic User、Wizard、Witch、Sorcerer、Warlockなど様々な意味を含んでおり、厳密に定義することは難しい。一般的な訳語としては、Wizard=魔術師、Witch=魔女(しばしば女性に使われるものの、元来は性別を分けない。例:witchcraft=(一般に)魔術、Witch-king of Angmar=アングマールの魔王。ファンタジー小説の登場人物で男性)、Sorcerer(フランス語『魔女の鉄槌』では妖術師の意味sorcierが起源。この女性形Sorcièreは後に魔女を意味することになった。男性の魔女、魔法使い・魔術師はSorcier)=文化人類学でいう妖術師、Warlock=(男性)魔術師をあてるが、英語の意味するニュアンスと日本語の訳語の意味するニュアンスには、かなりのずれがある。
魔法使いのうちでも、とくに賢明で思慮深く、魔法を正義及び善なる事のために使う者を「魔術師」(ウィザード)といい、「賢者」(ワイズマン)と同義であるとする作品もある。また日本語に翻訳した作品によっては訳者独自の訳語をたて、独立して自らの意思で魔法を使う者や導師的立場の者を「魔導師」、王侯などの命令で魔法を使う者や修行中の者を「魔導士」「魔道士」(団精二の訳語)というように表記を使い分けているものもある。
また、日本のネットスラングにおいては一定の年齢に達した童貞を指す。この場合、社会的逸脱性が魔法などの特殊能力にたとえられている。
民話や創作での描かれ方
魔法使いは、主人公の援助者として、あるいは敵対者として民話や童話にしばしば登場する。特定の名前は与えられていない事が多い。シンデレラでは、典型的な主人公を援助する役割として、ヘンゼルとグレーテルでは、典型的な敵役として登場している。元型としては前者はオールドワイズマン(老賢者)やトリックスター、後者はグレートマザー(太母)があてはまる。白雪姫や眠りの森の美女などのように、敵としても味方としても物語に登場する話も数多い。人魚姫のように、敵とも味方とも付かない役割を演じることもあるが、いずれにせよ人知を超えた力をもつため、物語の転換地点で大きな役割を果たすことが多い。
魔法使いは魔法が使える以外に、豊富な知識を蓄えているとされるのが一般的である。また正邪のどちらか、または両方の知識に通じており、これは登場人物としての性格と関連する。その知識は天文学、古語、薬学、本草学、錬金術、数学、文学、政治などさまざまである。アーサー王の宮廷魔術師として召し抱えられたマーリンのような魔法使いもいる。フィンランドのカレワラにも多くの魔法を使うものが姿を見せる。
ファンタジー(幻想文学)等の架空世界の設定では、魔法使いは非力であるとされることが多い。これには、魔法の習得には膨大な時間が必要となるため、高名な魔法使いは結果として必然的に年老いているという考え方や、また学究的な人物は身体的修練に時間を割いていないといった説明がなされている。しかしながら、魔法使いであると同時に剣士でもあるという例外も多く、例えばベルガリアード物語に登場するベルガリオンやドラゴンクエストシリーズの勇者のように主人公になることもある。ゲームの場合ならば、万能のキャラクターを登場させてゲームバランスを崩すわけにいかないという現実的な理由から魔法使いを非力に設定することも多い。この場合魔法戦士、乃至は魔法剣士というキャラクターを認めるにせよ、強くなりすぎないように何らかの形で制限が加えられることが多い。主に魔法戦士、魔法剣士はいわゆる「器用貧乏」なキャラクターとして扱われる。
以上、多作品に共通する魔法使いについて述べたが、その定義や線引きは作品によって異なり、かなりの差がある。 例えばハリー・ポッターシリーズでは魔法使い・魔女は人間の一種族「魔法族」とされ、魔法を使えない人間を「マグル」と呼んで区別するが、マグル生まれでも魔法を学べば魔法族になることができる。またゲド戦記のアースシー世界では魔法使いは称号と認められている。
魔法使いの一覧
小説
- ガンダルフ(『ホビットの冒険』『指輪物語』)
- マーリン(『アーサー王伝説』)
- ゲド(『ゲド戦記』)
- ヴァレリウス、イェライシャ、グラチウス、ロカンドラス、アグリッパ、ヤンダル・ゾッグなど(『グイン・サーガ』)
- ベルガラス、ポルガラ(『ベルガリアード物語』『マロリオン物語』)
- グリンダ、オズ大王(『オズの魔法使い』)
- ハリー・ポッター、アルバス・ダンブルドア等(『ハリー・ポッター』)
- エルリック(『エターナル・チャンピオンシリーズ』)
- ウォーロック(『魔法の国が消えていく』)
- レイストリン・マジェーレ、フィズバン(『ドラゴンランス』)
- ウォート、スレイン・スターシーカー(『ロードス島戦記』)
- リナ=インバース他多数(『スレイヤーズ』)
- 水倉りすか(『新本格魔法少女りすか』)
- ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール他多数(『ゼロの使い魔』)
- ステイル=マグヌス、神裂火織、土御門元春他多数(『とある魔術の禁書目録』)
- タラ・ダンカン(『タラ・ダンカン』)
- トレント、ハンフリー、ビンク、ドオア(『魔法の国ザンス』)
- オーフェン、マジク・リンなど(『魔術士オーフェン』)
- ラクウェル・カスール他多数(『スクラップド・プリンセス』)
- ライナ・リュート他多数(『伝説の勇者の伝説』)
- 穂波・高瀬・アンブラー、アディリシア・レン・メイザース、猫屋敷蓮他多数(『レンタルマギカ』)
- キキ(『魔女の宅急便』)
- ミンクス・スニッカスニー(『魔女になりたくない女の子』)
- ハウル(『魔法使いハウルと火の悪魔』)
映画
- 「ハリー・ポッターシリーズ」ハリー・ポッター
- ロード・オブ・ザ・リング
アニメ
アニメに登場する魔法使いは多い。特に日本では、魔法少女アニメとしてひとつのジャンルを形成する。魔法使いが多数登場する作品は主人公(魔法使いの場合のみ)、最主要人物のみを上げる。
- サリーちゃん(『魔法使いサリー』)
- アッコちゃん(『ひみつのアッコちゃん』)
- メグちゃん(『魔女っ子メグちゃん』)
などの魔法少女アニメは、前述の該当項目を参照のこと。
- サニー・ザ・マジシャン(『ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日』)
- 高町なのは、フェイト・テスタロッサ、八神はやて(『魔法少女リリカルなのはシリーズ』)
- 春風どれみ、藤原はづき、妹尾あいこ、瀬川おんぷ、飛鳥ももこ(『おジャ魔女どれみ』シリーズ)
- 湯婆婆、銭婆(『千と千尋の神隠し』)
- V-メイ(『魔動王グランゾート』)
- アルス(『魔法少女隊アルス』)
- 魔王、アクビ(『ハクション大魔王』)
- リリモニ(『リリパット王国』)
漫画
- ネギ・スプリングフィールド(『魔法先生ネギま!』)
- ダーク・シュナイダー(『バスタード!!』)
- ポップ、マトリフ(『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』)
- シールケ(『ベルセルク』)
- ティア・フラット(『スプリガン』) - 本人曰く、科学が進めば魔法も科学と同じ次元で解明できるとしている。
- 真壁愛良、メヴィウス(『ときめきトゥナイト』)
- 木之本桜、李小狼、柊沢エリオル、クロウ・リード(『カードキャプターさくら』)
- 壱原侑子(『xxxHOLiC』) - ただし、魔術師の女という意味で「魔女」と呼称されていると思われる。
- ファイ・D・フローライト、『小狼』、飛王・リード(『ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE-』)
- ドロシー(『MÄR』)
- 菊池ユメ(『魔法遣いに大切なこと』)
- 王理(『超獣伝説ゲシュタルト』)
- シィエン・ベルモンド・ドゥ・ランディ(『ベルモンド Le VisiteuR』)
- 神條エブリ、神條マーニ、如月キサ(『カムカムエブリ』
- メデューサなど(『SOUL EATER』)
- ナツ・ドラグニルなど(『FAIRY TAIL』)
- チャチャ(『赤ずきんチャチャ』)
- ククリ(『魔法陣グルグル』)
- 獅堂光、龍咲海、鳳凰寺風(『魔法騎士レイアース』)
- 姫宮アンシー(『少女革命ウテナ』)
- ブラック・マジシャン(『遊戯王』)
- 鎖部一族、羽村めぐむ(絶園のテンペスト)
電子マンガ
- マリシア・アディネ、ルタ・ハルジオン、オルウェル・セーレン、ヴォルテ・ミレオン(『マジカル☆ドリーマーズ』)
特撮番組
- サマンサ・スティーヴンス(『奥さまは魔女』)
- コメットさん(『コメットさん』)
- ボビン(『それ行け!カッチン』)
- マジレンジャー(『魔法戦隊マジレンジャー』)
- 魔女ベルバラ(『5年3組魔法組』)
- ぱいぱい(『魔法少女ちゅうかなぱいぱい!』)
- いぱねま(『魔法少女ちゅうかないぱねま!』)
- 仮面ライダーウィザード(『仮面ライダーウィザード』)
ゲーム
- アーチェ・クラインなど(『テイルズ オブ ファンタジア』)
- 蒼崎青子、キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグなど(『月姫』『Fate/stay night』などTYPE-MOON作品)
- ウンディーネ、ボルカノなど(『ロマンシング サ・ガ3』)
- カメック(『マリオシリーズ』)
- カルーア(テキーラ)・マジョラム(『ギャラクシーエンジェルII』)
- ゼルダ(『ゼルダの伝説シリーズ』)
- ムーンブルクの王女、ブライ、バーバラ、ゼシカなど(『ドラゴンクエストシリーズ』)
- リディア、イデア、ビビ、黒のワルツシリーズ、ユウナ、ルールーなど(『ファイナルファンタジーシリーズ』)
- セシリア、リルカ、ティム、ギャロウズ、アルノーなど(『ワイルドアームズシリーズ』)
- ベアトリーチェ(『うみねこのなく頃に』)
- シィル・プライン、魔想志津香など(『Ranceシリーズ』)
- ラブ、ベリー(『オシャレ魔女 ラブandベリー』)
- ルキア、レオンなど(『クイズマジックアカデミー』)
- アルル・ナジャ、ウィッチなど(『魔導物語』)