ニューヨーク証券取引所
ニューヨーク証券取引所(ニューヨークしょうけんとりひきじょ、英語:New York Stock Exchange, NYSE)は、アメリカ合衆国のニューヨークにある世界最大の証券取引所である。取引時間は祝祭日を除く月から金曜の9:30~16:00(現地時間)[1] 。通称「ビッグ・ボード(Big Board)」。
上場
世界一上場審査が厳しいとされ、上場企業数は約2,800社。そのうち外国企業は約460社(47の国・地域)が上場している。
日本の三大証券取引所とは異なり、企業規模などによる市場指定(第一部・第二部など)は行ってはいない。大規模企業の上場が多く、日本企業では1970年にソニーが上場して以来、現在17社が上場している。また、シンボルコード(別称:ティッカー)と呼ばれる、各企業を表す1~3桁のアルファベットがNYSE内の証券コードとして用いられる。
日本企業の上場
No. | 社名 | ティッカーシンボル 外部リンク |
上場年月日 |
---|---|---|---|
1 | ソニー | SNE | 1970年9月17日 |
2 | クボタ | KUB | 1976年11月9日(当時は久保田鉄工) |
3 | 本田技研工業 | HMC | 1977年2月11日 |
4 | 京セラ | KYO | 1980年5月23日 |
5 | 日立製作所 | HIT | 1982年4月14日 |
6 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ | MTU | 1989年9月19日(当時は三菱銀行) |
7 | 日本電信電話 | NTT | 1994年9月29日 |
8 | オリックス | IX | 1998年9月16日 |
9 | トヨタ自動車 | TM | 1999年9月29日 |
10 | キヤノン | CAJ | 2000年9月14日 |
11 | アドバンテスト | ATE | 2001年9月17日 |
12 | 日本電産 | NJ | 2001年9月27日 |
13 | 野村ホールディングス | NMR | 2001年12月17日 |
14 | NTTドコモ | DCM | 2002年3月1日 |
15 | コナミ | KNM | 2002年9月30日 |
16 | みずほフィナンシャルグループ | MFG | 2006年11月8日 |
17 | 三井住友フィナンシャルグループ | SMFG | 2010年11月1日 |
1998年以降、毎年1社以上の日本企業が上場していたが、2002年のコナミを最後に4年余りなかった。この背景には、2002年7月に制定された米国の上場企業会計改革および投資家保護法(通称SOX法)がある。 エンロンやワールドコムの不正会計事件を受けて制定された同法は、米国企業のみならず米国の証券取引所に上場する外国企業にも厳正なコーポレート・ガバナンスを求めており、この対応に多くの費用と時間を強いられるため、上場が敬遠されていた。
これをクリアしたみずほフィナンシャルグループは、公的資金の完済を果たしたこともあり、日本企業としては4年ぶりにNYSE上場を果たした。みずほ社長の前田晃伸は、SOX法への対応に100億円を費やしたと上場直後のインタビューで語っており、その負担の大きさが計り知れる。
さらに、NYSEでは日本の大手企業に上場の話を持ちかけており、景気の回復もあってさらに数社の上場が噂されている。一方、イトーヨーカ堂(現在では持株会社セブン&アイ・ホールディングスの完全子会社。当時アメリカ国内で株式・ADRを発行しており、IYGという証券コード名までNYSEから提示されていた)のように誘いを断った企業もある。また、1976年から株式を上場していたパイオニアは、2006年1月下旬に「株式事務の合理化」を理由にNYSEでの上場を廃止した。同様に1982年から株式を上場していたTDKも、「取扱高が少なく、上場を続ける経済的合理性が薄くなった」ことを理由に2009年4月下旬に上場を廃止した。1971年から株式を上場していた古参のパナソニックも、業績悪化に伴うコスト削減の一環として2013年4月下旬に上場を廃止した。
以上の企業は、日本経済新聞マーケット総合面に、100前後の海外主要企業とともに毎週火曜日から土曜日に1日遅れの株価が掲載される。
沿革
- 1792年5月17日 - 24人の仲買人によって「テンプレート:仮リンク」(Buttonwood Agreement)が結ばれる。
- 1817年3月8日 - "New York Stock & Exchange Board"に改称。定款を制定、議長を選出し組織化する。
- 1869年 - ゴールドマン・サックス設立により現在の体制に。
- 1903年 - 世界屈指の金融街、ウォール街に今の取引所建物が竣工。
- 1929年 - 暗黒の木曜日(ブラック・サーズデー)─過熱気味のニューヨーク・ダウが大暴落、世界大恐慌が起こる。
- 1987年 - 暗黒の月曜日(ブラック・マンデー)─前営業日比約508ドル安(下落率22.6%)と株価が暴落。
- 1999年 - ニューヨーク証券取引所自ら株式公開。
- 2001年 - アメリカ同時多発テロ事件により、4日間取引を停止。ニューヨーク・ダウが大幅に下落。
- 2006年 - 持株会社NYSEグループが株式を上場(ティッカー:NYX)
- 2007年 - 東京証券取引所と投資信託事業等の業務提携発表。
- 2007年 - 持株会社NYSEグループとユーロネクストが合併し、NYSEユーロネクストとなる。
- 2008年 - 世界金融危機によりニューヨーク・ダウが1万ドル以下に暴落。
- 2010年 - 高速取引による大量の売り注文によって、一時998ドル安と過去最大の下落幅を記録。
相場
株価指標は「ダウ工業株30種平均」(Dow Jones Industrial Average)と呼ばれ、ダウ・ジョーンズ社(Dow Jones & Company)によって発表される。ただし、NASDAQ公開のマイクロソフトやインテルのように、非NYSE上場企業銘柄もダウ平均を構成している。この指標の動向が全世界の相場展開に反映される。
この他、構成銘柄が少ないダウ平均に対して、より市況を反映するよう1970年代中頃に開発された「NYSE Composite Index」がある。NYSE自身が独自に算出しており、構成銘柄はすべてNYSE上場企業である。
立会時間
立会時間は、東部時間9:30~16:00(日本時間23:30~6:00、夏時間の場合は22:30~5:00)の「一場制」であり、日本などのような「前場」・「後場」といった区分は無い。
資本
2005年4月20日、電子証券取引所を運営するアーキペラゴ・ホールディングス社(Archipelago Holdings Inc.、AX)を買収予定であると発表した。証券取引委員会(SEC)がこれを承認したことを受け、NYSEは66億ドルを投じてAXを買収。手続きを2006年3月7日に終了させた上で持株会社「NYSEグループ」を設立、翌3月8日にNYSEに株式を上場した。これによりNYSEは、213年間に及ぶ非営利会員組織としての歴史に幕を下ろし、NYSEグループ傘下の株式会社として再出発した。
2006年6月1日、証券取引所運営会社ユーロネクストとの合併を発表。2007年4月4日、監督官庁や株主の承認を経て、新会社NYSEユーロネクストが発足した。
脚注
外部リンク
テンプレート:Coord- ↑ 23:30 - 6:00(日本時間)サマータイム(3月の第2日曜日-11月の第1日曜日)は1時間早い