インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説
『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(インディ・ジョーンズ/まきゅうのでんせつ、原題:Indiana Jones and the Temple of Doom)は、1984年のアメリカ映画。アドベンチャー映画。『インディ・ジョーンズ』シリーズの2作目。劇中の時系列は、前作『レイダース』の1年前に設定された。
特撮はILMが手がけ、アカデミー賞では視覚効果賞を受賞。また、作曲賞にもノミネートされた。
作品概要
1982年のスピルバーグ監督作『E.T.』はアカデミー賞9部門にノミネートされたが、視覚効果や音響といった技術関連で4つ受賞した反面、撮影・編集・オリジナル脚本・監督・作品では全て同年の『ガンジー』に持って行かれた。スピルバーグはこの悔しさを忘れなかったようで、『魔宮の伝説』では『ガンジー』のロシャン・セスとアムリッシュ・プリを邪教集団トップ役に起用している。本作から10年後に『ジュラシック・パーク』で『ガンジー』の監督リチャード・アッテンボローを、『シンドラーのリスト』にガンジー役のベン・キングズレーを出演させ、2作で94年のアカデミー賞主要部門を総なめする事になった。
スピルバーグは公開当時、“作品の低俗さ”への批判に対し「僕は雇われ監督だ」と弁解した。後のインタビューではこの作品を「自分のフィルモグラフィーの中で一番の失敗作だ」と語った事もある(『1941』についても同じように語る)。
ハリソン・フォードは中盤で、彫りがある上半身の裸を見せるために、ウェイトトレーニングで鍛えていた。しかし、寝室で乱闘をするシーンで相手を投げる時に腰を痛めてヘルニアを患い、撮影が中断した。
ストーリー
1935年、考古学者インディ(ハリソン・フォード)は上海のギャングとの取引が決裂しトラブルに陥る。その場に居合わせた歌手ウィリー(ケイト・キャプショー)、相棒の少年ショート・ラウンド(キー・ホイ・クァン)と共に飛行機で追っ手から逃れるが、ギャングの策略により飛行機は墜落、インドへたどり着く。
奇妙な老人に出会い、彼の住む小さな村へ案内されると、そこは井戸が干上がり食べることもままならない状態で、子供が一人もいなかった。
村にはテンプレート:仮リンクと呼ばれる秘石が祭られていたが、邪教集団に奪われ、村の子供も連れ去られたという。 老人から救世主だと言われたインディ達はサンカラ・ストーン(シヴァ・リンガム)と子供達を取り戻すため、邪教集団が住み着いているという、かつてマハラジャが支配していたパンコット宮殿へ向かう。
無人の筈のパンコット宮殿には新しいマハラジャが即位し、表向きには煌びやかに見え、インディ達を大歓迎する。
登場人物
- インディアナ・ジョーンズ(ハリソン・フォード)
- インディ・ジョーンズシリーズの主人公。有名な考古学者にして無類の冒険家。
- ウィルヘルミーナ・"ウィリー"・スコット(ケイト・キャプショー)
- 上海のクラブ「オビ=ワン」の歌姫。インディとマフィアの抗争に巻き込まれ、なし崩し的にインディに同行することになる。シリーズヒロインの中では都会派の女性であり、上海からジャングルに連れてこられた事を散々愚痴る。何かにつけてヒステリーを起こし、インディとショートに「やかましい女だ」と呆れられた。
- ショート・ラウンド(キー・ホイ・クァン)
- インディに拾われた戦災孤児。インディ、ウィリーと共にパンコット宮殿に向かう。インディの有能な助手として働いているが、今作と前作の間に彼とは別れている模様。
- モラ・ラム(アムリーシュ・プリー)
- 邪神カーリーを崇拝する邪悪な教団「サギー教」の司祭。宮殿の深部で子供達を奴隷にし、サンカラストーンを捜させている。ザリムを洗脳することで、実質的にパンコット宮殿そのものを手中に収めている。
- 怪しげな呪文を唱え人間の心臓を抉り取る怪能力の持ち主。また、悪魔の血を飲ませる独特の儀式を行うことで人間を洗脳する。
- サンカラストーンを取り返そうとするインディ達を狙い、最後には吊り橋でインディと一騎打ちをするが、シヴァ神の怒りによって燃え上がったサンカラストーンを思わず取ってしまい、熱さに耐え切れず吊り橋から落下、橋下の川に生息していたワニの餌食になる。
- チャター・ラル(ロシャン・セス)
- マハラジャに仕える、パンコット宮殿の宰相。
- フィリップ・ブランバート(フィリップ・ストーン)
- イギリス軍大尉。定期的にインドに視察に来ている。
- 終盤でインディ達に加勢してくれる。
- ラオ・チェ(ロイ・チャオ)
- 「犯罪王」と呼ばれる、上海暗黒街のボス。インディと「ヌルハチ」を巡る取引をする。
- ウー・ハン(デヴィッド・ヴィップ)
- インディの友人。ラオとの取引の際にインディに同行する。
- カオ・カン(リック・ヤング)
- ラオの息子。
- チェン(チュア・カー・ジョー)
- ラオの息子。
- シャーマン(D・R・ナーナヤッカーラ)
- インディ達が訪れたインドの村「メイアプール」の長老。インディ達にサンカラストーンの奪還を依頼する。
- マハラジャ ザリム・シン(ラジ・シン)
- パンコット宮殿の若き王。政治意識の高い立派な少年であるが、サギー教の手に落ちてしまう。
- 呪いの人形でインディを苦しめるが、後に洗脳が解け宮殿の出口を教えてくれる。
- チーフ・ハンクマン(フィリップ・タン)
- アール・ウェバー(ダン・エイクロイド)
- 宣教師(シド・ガニス、ジョージ・ルーカス、アンソニー・パウエル)※カメオ出演
- 空港の旅行者(フランク・マーシャル、スティーヴン・スピルバーグ)※カメオ出演
キャスト
役名 | 俳優 | 日本語吹き替え | ||||
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日本テレビ版[1] | VHS・DVD・BD版 | テレビ朝日版 | WOWOW・BD版 | |||
インディ | ハリソン・フォード | 村井国夫 | 磯部勉 | 内田直哉 | ||
ウィリー | ケイト・キャプショー | 藤田淑子 | 吉田理保子 | 小宮和枝 | 斉藤梨絵 | |
ショート | キー・ホイ・クァン | 田中真弓 | 野沢雅子 | 矢島晶子 | 白石涼子 | |
モラ・ラム | アムリッシュ・プリ | 石田太郎 | 坂口芳貞 | 麦人 | 水内清光 | |
チャター・ラル | ロシャン・セス | 羽佐間道夫 | 加藤精三 | 牛山茂 | 村治学 | |
ブランバート | フィリップ・ストーン | 北村弘一 | 川久保潔 | 石森達幸 | 佐々木省三 | |
ラオ・チェ | ロイ・チャオ | 内海賢二 | 小林清志 | 茶風林 | 宗矢樹頼 | |
ウー・ハン | デヴィッド・ヴィップ | 千葉繁 | 大塚芳忠 | 村治学 | ||
カオ・カン | リック・ヤング | 大滝進矢 | 秋元羊介 | |||
ウェバー | ダン・エイクロイド | 加藤正之 | 大塚明夫 | 古田信幸 | 志村知幸 | |
シャマン | D・R・ナーナヤッカーラ | 永井一郎 | 田村錦人 | 大木民夫 | 側見民雄 | |
族長 | ダーマダサ・クルップ | 田村錦人 | 藤本譲 | |||
若きマハラジャ | ザリム・シン | 菊地英博 | 近藤玲子 | 河杉貴志 | ||
独房の少年 | ジア・ゲラニ | 松田辰也 | 滝沢ロコ | |||
アルジャン・パンドハー | 杉元直樹 | 松本梨香 | ||||
商人 | フランク・オレガリオ | 島香裕 | ||||
役不明又はその他 | 小室正幸 竹口安芸子 牧章子 |
神山卓三 島香裕 巴菁子 亀井三郎 |
渡辺美佐 佐々木梅治 仲野裕 小形満 中博史 津村まこと 喜田あゆ美 |
白熊寛嗣 千々和竜策 笹田貴之 丸山ゆう | ||
翻訳 | 木原たけし | 岩本令 | 木原たけし | |||
演出 | 佐藤敏夫 | 蕨南勝之 | 伊達康将 | 福永莞爾 | ||
調整 | 東北新社スタジオ | 熊倉亨 | 東北新社スタジオ | |||
録音 | ||||||
効果 | 遠藤堯雄 桜井俊哉 |
リレーション | ||||
リライト | 山門珠美 | |||||
制作進行 | 小柳剛 古川直正 |
梅原潤一 植田剛司 | ||||
プロデューサー | 圓井一夫 | |||||
制作 | 東北新社 | |||||
初回放送 | 1987年10月16日 『金曜ロードショー』 (21:00-23:21) |
1998年7月26日 『日曜洋画劇場』 (21:02-23:09) |
2009年7月19日 WOWOW191ch (15:30-17:30) |
- 洋画専門チャンネル『ザ・シネマ』にて2012年8月17日(金)08:45 - 11:00他にエンド・クレジットを含むノーカット日本テレビ版(地上波時CM前後はブラックフェード加工されている)が放送された。
- 吹き替えを内田直哉で統一するために、BDにはWOWOW版吹き替えが収録された。
スタッフ
- 監督:スティーヴン・スピルバーグ
- 製作:ロバート・ワッツ
- 製作総指揮:ジョージ・ルーカス、フランク・マーシャル
- 原案:ジョージ・ルーカス
- 脚本:ウィラード・ハイク、グロリア・カッツ
- 撮影:ダグラス・スローカム
- 特撮:デニス・ミューレン、ILM
- 編集:マイケル・カーン、ジョージ・ルーカス
- 音楽:ジョン・ウィリアムズ
- 美術・プロダクションデザイン:エリオット・スコット
- アートディレクション:ロジャー・ケイン、アラン・キャシー
- セット制作:ピーター・ホーウィット
- 衣装デザイン:アンソニー・パウエル
特撮
作品の「ジェットコースター的イメージ」を決定付けるトロッコシーンではミニチュアが多用された。走行中のトロッコを捉えるロングショットのほぼ全てがミニチュアであり、フィル・ティペットによるストップモーション・アニメも一部使用されている。
ILMでは視覚効果の光学合成にビスタビジョン方式を採用しているが、いくつかのシーンではトンネル状の模型セットを通常のビスタビジョン・カメラで移動撮影出来ず、ニコン製のスチルカメラを改造して使用している。
宮殿の出口の断崖絶壁は、インディたちの立っている場所以外のほとんどがマット・ペインティング(ILMのクリス・エヴァンスの作品)となっている。
影響
作品中での暴力シーンや残虐な場面が多く、本作品がアメリカにおけるPG-13制定へときっかけとなった[2]。また、作品中で描かれる奇妙な食文化や邪教信仰などがインドやヒンズー教に対する偏見や人種差別に基づくものだとの批判も根強く、北インドやアンベール城での撮影をインド政府に拒否された。このため、スリランカでの撮影を余儀なくされている。
メモ
- この作品がきっかけで、スピルバーグとケイト・キャプショーは結婚した。
- 撮影中のアクシデントにより、ケイトの目の周りにアザができてしまった際、翌日の撮影時にスタッフ全員がケイトのアザと同じメイクを施して迎えた。
- 次作『最後の聖戦』公開に合わせてILMやルーカス、スピルバーグの作品がNHKスペシャル(1989年5月21日放送)にて紹介された際、ベン・バートによる音響効果編集の作業を実演するため、本作の削除場面である「(インディが捕われた子供達を逃がす場面で)燃える丸太を渡していく」というシーンが採り上げられた。
- 映画『ラッシュアワー3』の劇中にて本作をテレビ放映しているシーンがある(チャイニーズフード店の店頭にてクリス・タッカー演じるカーター刑事が料理を買うシーン)。
- アニメ『ちびまる子ちゃん』のエンディングテーマ「じゃがバタコーンさん」に本作のヒロインの叫び声(「OH MY GOD!!」)が使われている。
脚注
外部リンク
テンプレート:インディ・ジョーンズシリーズ テンプレート:スティーヴン・スピルバーグ監督作品
テンプレート:ジョージ・ルーカステンプレート:Link GA- ↑ フジテレビ『ゴールデン洋画劇場』(放送日:1989年4月15日?)にも、同様の吹替が使用されている。尚、石田太郎はクレジットでは石田弦太郎となっている。
- ↑ 本作公開時のアメリカのレイティングシステムは、PG の次が R になっており、その中間がなかった(『インディ・ジョーンズ』北米版DVDボックスの特典映像より)。