中華料理
テンプレート:中華料理 中華料理(テンプレート:Lang-zh テンプレート:ピンイン チョングオツァイ)は、中国で食べられてきた料理、またはその技法や調味料で作られた料理。中国においても、地方ごとに食材も異なり、調理法や味付けも地域差が大きい。世界三大料理の一つに挙げられ、日本を含め世界的に広く普及し、また現地化も進んでいる。
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[非表示]概要
多彩な技法や味のバラエティーを持ち、世界三大料理の一つに挙げられている。ヨーロッパ全体に匹敵するほどの広大な国土で、地理的、気候的条件等、各地でそれぞれ特色が異なる中国では、地方ごとに食材も異なり、また漢民族に同化していった、もしくはかつて漢民族を支配した多彩な民族を基層としているため、その調理法や味付けも地域差が大きい(地域分類を参照)。中華文明の影響を強く受けた日本やベトナムなどの周辺国でも、その国の料理法に大きな影響を与えている。また、近代以降も世界中に移民として渡った華僑たちが、移民先の国に持ち込んだため、多くの国に伝わった。この中には、持ち込んだ国の料理と融合したり、中国大陸に存在しない食材を利用したり、現地人の料理人が考案したりした、中国本土にも見られない進化を遂げた「中華風」とも言うべき中華料理もある。
このため、中華料理に共通する性格を挙げることは難しいが、元代以降の中国では火を通した温かい食事をとることが重視されてきたため、中華鍋を使い、日本料理や西洋料理に比べて強い火力を用いる炒め物が目立ち、油(ラード、ゴマ油など)を多用する料理が多いという傾向がある。逆に生野菜の使用や冷たい料理は少ない(伝統的な料理では涼麺、粉皮、杏仁豆腐程度)。魚介類については、海に近い広東地域を除いては全体的に淡水魚が使用される傾向が強い。
また、中国の中でも宗教的なタブーによって仏教徒(チベット仏教は除く)、道教信者向けの精進料理としての素菜や、イスラム教徒向けの、豚肉及びその加工製品、ラードを用いない清真菜(清真料理)があるが、調理器具、技法、忌避されない素材、調味料には類似性がある。
歴史
古代の中華料理は現在とはかなり異なっていた。煮込み・直火焼き・羹(あつもの)が多く、今日ではすたれた膾(刺身のような生肉・生魚の料理)もよく食べられており、「羹に懲りて膾を吹く」「人口に膾炙(かいしゃ)する(「炙」は直火焼きの焼き肉)」など、古代中国由来のことわざ・慣用句にも窺うことができる。
現在の中華料理で頻用される強い火力が必要な炒め物の技法は、北宋の時代、元々は石炭を加工した骸炭(コークス)が磁器の製作に使用されていて、それが料理用の炉やかまどなどに転用される事によって生み出されたものである。以後南宋から元代にかけて普及した。
世界各地の食材や調味料も積極的に取り入れて消化・応用し、独自料理を作り出して進化していった。麻婆豆腐の唐辛子や、青椒肉絲のピーマンなどは中華料理に欠かせない食材となっているが、中国に伝わったのは16世紀以降と、歴史的な背景からすれば中世に導入された食材である。また、広東料理には欠かせないオイスターソースは19世紀末に開発され20世紀に入ってから普及したもので、福建料理や広東料理でよく使われるサテソースはインドネシアやマレーシアから伝わった調味料を取り入れたものである。
また、中華料理は外国に大きな影響を与える一方、中華料理の手法も、日本料理を含む国外の料理に大きな影響を受け、独自の発展を遂げる例も珍しくない。大皿に盛られた料理を取り分けるスタイルから、フランス料理のように一人前ずつ盛った料理をコース順に出し、素材や料理法も現代的に洗練されたヌーベルシノワなどはその一例である。
地域分類
中国では八大菜系(八大中華料理)という地域分類が最も一般的に用いられている。他にも、大雑把な四大菜系、詳細な分類法などいくつもの分け方が存在する。日本においては、四大中国料理と言う分類が一般的(後述の日本における四大中国料理も参照)。
八大菜系(八大中華料理)
調理方法
俗に「広東人は二足なら親以外、四足なら机と椅子以外、走るものなら自動車以外、泳ぐものなら潜水艦以外、空を飛ぶものなら飛行機以外なんでも食ってしまう」と言われるように、その食材は多岐多様にわたる。この為その種類は極めて多い。調理法についても同様で、炒め方ひとつとっても干炒、滑炒、清炒、生炒、爆炒など技法や時間の長短により10種類近くあり、それぞれの炒め方を冠した料理ができあがる。さらにこれに用いる調味料で変化を加えると、青菜の炒め物だけでも100種類を超える料理ができあがる。こうしたことから1人の中華料理人が作れる料理の数は、何万種類にも及ぶ。
油系
- 炒(チャオ)
- 油の量が少なめで炒める。
- 中華料理の基準の1つ。
- 短時間で火を通す調理法。
- 爆(バオ)
- 「炒」よりもさらに強熱火で一気に炒める方法。
- 炸(ジャ)
- 揚げ物の調理法。
- 火を均一に通し、むらなく揚げるために材料は大きさや形を揃えて切る。
- 煎(ジェン)
- 両面をよく焼く調理法。
- 燴(ホゥイ)
- あんかけ。とろみをつけて仕上げる。
水系
- 煮(ジュ)
- 煮る。
- 燉(ドゥン)
- (とろ火で)煮込む、煮詰める。
- 煮込む。
- 烹(ポウン)
- 揚げた材料をさっと煮る。
- 燜(メゥン)
- 揚げたりした材料を煮込む。
- 汆(ツゥアン)
- さっと茹でる。湯通し。
- 蒸(ジョン)
- 蒸す。蒸気を通す。ふかす。
- 涮(シュアン)
- 薄切りの材料を軽くゆでる。
- しゃぶしゃぶにする。
水と油混合系
- 燒(シャオ)
- 中華料理の基準の1つ。
- 煨(ウェイ)
- 調味料を加え、長時間弱火で煮込む(弱火で焼きにすることを示すこともある)。
火系
- 烤(カオ)
- 焼き。
- 直火で炙り焼く調理法。
- 燻(シュン)
- 醬(ジアン)
- 扒(パー)
漬系
- 醃(イェン)
- 塩漬けにする。(広く)みそ,しょうゆなどにつける。
- 溜(リョウ)
- あんかけにする
- 滷(ルー)
その他
- 拌(バン)
- かき混ぜる、混ぜ合わす。あえる。
- 掛(ゲゥア)
切り方
- 段(ダゥアン)
- 塊(クァイ)
- ぶつ切り。
- 片(ピェン)
- 薄切り、そぎ切り。
- 條(ティアオ)
- 絲(スー)
- 細切り。
- 丁(ディン)
- 角切り、さいの目切り。
- 末(モー)
- みじん切り
- 鬆(スォン)
マナー
広東料理の一つである飲茶の場合、お茶をつがれる際に、人差し指でテーブルをトントンと叩く。これは注いでくれる相手に対してのお礼である。これは、中華料理を食する場合、通常は会話を楽しみながら食するので、お茶を注いでくれる人に対して礼を言うと他の人との話の腰を折ってしまうので、それを防ぐ為である。
多くにおいての中華料理を食す際には、皿は手で持たない。スープ類には散蓮華(ちりれんげ)がついてくるのはその為である。また、スープ類、麺類を食す際には、音を立ててすすらない。
客人として訪問した際には、食べきれないほどの料理が出てくることが多い。この際は食べ残して良い。なぜなら、食べきれないほどの料理で供応することがホストとしてのマナーであるからである。全て食べきることは「まだ料理が足りていない」、つまり催促しているという意味になり新たな料理が出てくる。また、残った料理を家に持ち帰る文化があるため、食べ残しを「お持ち帰り(打包)」可能な店も中国には多い。
ちなみに、コースで注文した場合、前菜 → スープ → メイン料理 → その他料理の順で、麺飯類は最後に出てくる。
世界の中華料理
主に広東系が欧米や日本、東南アジアなどの諸国において広く普及し、また現地化も進んでいる。各国に中国には存在しない「オリジナル」の中華料理も存在し、例えば日本の冷やし中華、アメリカのチャプスイやインドネシア等のナシゴレン、韓国のチャジャンミョン等がある。東南アジアでは、広東省に加えて福建省からの移住者が多く、福建料理も普及している。しゃぶしゃぶは、「涮羊肉(シュワンヤンロウ, ピンイン:shuàn yáng ròu)」と呼ばれる羊肉の鍋をヒントに日本で考案されたと言われている。また台湾発祥とされるモンゴリアン・バーベキュー(蒙古?肉)は、拷羊肉と呼ばれる羊肉の鉄板焼きが原型で、アメリカではポピュラーな料理となっている。これら二つはいずれもモンゴル(後に中国)において羊肉の食べ方として最上の料理法をルーツにしているが、原形を留めない。また、日本を含む世界各国で他ジャンルの食材、調理法を取り入れた新しい創作中華料理を目指す料理人も多く存在する。
日本
日本において中華料理は日常・あるいはハレの日の食事の選択肢の一つとして定着しており。在日華人・華僑の調理師だけでなく、現地日本人の調理師も多数存在している。日本の中華街のほとんどは広東系といわれ、唯一、長崎新地中華街のみが福建系とされてきたが、近年は中国東北部など、各地からの移住者が増えている。旧満州からの引揚者の影響もあって、中国東北部に由来する料理(焼き餃子など)もかなり浸透している。また、日本では四川省出身の料理人陳建民氏がNHK「きょうの料理」に出演しレシピを公開していた事もあり、エビチリ、麻婆豆腐、担担麺などの四川料理が広く浸透している。日本人の好みに合わせたアレンジが施されているため、外食のみならず、家庭料理としても広く普及しているラーメンやエビチリ、酢豚、八宝菜、麻婆豆腐なども、中国のものとは異なる場合が多い。沖縄料理においても、沖縄地方の歴史的背景から中国との関わりが深く、ラフテー(東坡肉(トンポーロー)が元祖か)のような豚肉料理やチャンプルーといった庶民的な豆腐と野菜の炒め物など、「沖縄化」された中華料理が多くある。
日本における四大中国料理
中国料理の種類[1] | |||
系統 | 具体例 | 材料 | 特色 |
---|---|---|---|
北方系
(北京料理など) |
北京ダック、炸醤麺(ジャージャー麺)、 | 小麦、豚、羊 | 味が濃く塩辛い |
西方系
(四川料理など) |
麻婆豆腐、乾焼蝦仁、 | 米、豚、にわとり、大豆 | 香辛料を使った辛い料理が多い |
南方系
(広東料理など) |
ふかひれスープ、シュウマイ、チャーシュー、 | 米、豚、魚介類、岩のり | 薄い味で材料の味を生かす |
東方系
(上海料理など) |
八宝菜、上海ガニの蒸しガニ、小籠包、 | 米、豚、魚介類 | 甘味が強い |
普及した主なメニュー
- ごはんもの
- 麺類
- おかず
- スープ
- デザート・お菓子
日本における呼称
横浜中華街の付近では、1955年ごろまで「南京町」と呼ばれたため、そこの料理はシューマイに代表される広東料理が主体であったが、南京料理とも称された[2]。NTTのタウンページのジャンルでは「中華料理」と「中国料理」を区別している。テンプレート:要出典範囲
欧米
テンプレート:See also 欧米などの諸国でもチャイナタウンを中心に中華料理は人気があるが、欧米の中国系住民は広東省からの移住者(華僑、華人)が多かったという背景もあって広東料理が多い。味付けは、現地人の好みにあわせて変えるケースもある。例えば、アメリカではケチャップがたっぷり加えられるなど、中国よりもずっと甘くて濃い味付けをされる。こうした料理は中国人の舌にはあわないため、同じ料理でもアメリカ人向けと中国人向けの2種類用意されるケースがある[3]。このような現地化によって、同じ店でも開店して数か月もすると味が変わることは昔からあり[4]、好みに合わせる目的と、本場の調味料の入手難などの要因もある。