四川料理

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重慶市の名物料理、重慶火鍋

テンプレート:中華料理 四川料理(しせんりょうり、中国語 四川菜 Sìchuān cài、川菜 Chuān cài)は、狭義には、中国四川省郷土料理である。広義には、もともと四川省の一部であった重慶市はもとより、雲南省貴州省などの周辺地域をも含めた、共通する特徴をもつ郷土料理の系統を指す。

概要

四川料理は、一般には唐辛子花椒山椒の同属異種)などの香辛料を効かせる辛い中華料理として知られる。四川省成都を本場とする。中国での一般的な呼称は「川菜 チュアンツァイ、Chuān cài」。四川料理は中国各地に専門店が存在しており、正真正銘、正統派の四川料理という意味の「正宗川味」という看板をよく見かける。

痺れるような辛さを意味する「麻辣」(マーラー málà)を味の特徴にしており、中国の他の地方の料理に比べて香辛料を多用する。これは四川省や重慶市の湿度が高くの寒暖の差の大きい気候が関係しているとされる。 これとは逆に、宴会料理では、砂糖を大量に使った極端に甘い料理や箸休めが出されることもある。内陸という地域性を反映して海産品を食材として使うことは少なく、野菜、鳥獣肉、穀類を主体としているが、近年は冷凍食品も普及していることから、海産食材も取り入れられている。

辛い料理が多い理由は、四川の成都は盆地で湿気が多く、唐辛子に含まれるカプサイシンの効果によって発汗を促すことで健康を保つためだという説がある。スパイスを多く使うインド料理タイ料理と同様、高温多湿の地域ならではの食の工夫がみられる。

他の調味料では、ソラマメの加工品である豆板醤(トウバンジャン)、黒大豆の加工品である豆豉(トウチ)、を発酵させた酒醸(ジュウニヤン)などが特徴的に用いられる。

なお、現在の行政区分では四川省でも、西部の山岳地域はもともとチベットが領土を有していた時代のカム、そして西北部はアムドであり、それぞれ後に四川省と青海省に分割されたものの、料理はチベット料理が主体の地域となっている。

代表料理

福建料理広東料理が先に広まり、ついで満洲料理(東北料理)が広まっていた日本においては、戦後まで四川料理へのなじみは薄かったが、東京で四川料理店を開いた陳建民NHKの料理番組『きょうの料理』で日本人の口に合い、入手しやすい材料に代えるなどの工夫を加えた料理を紹介したことにより、日本各地に四川料理が広まった。これらの料理の中は、辛さが抑えられているだけではなく、キャベツ入りの回鍋肉や汁ラーメン式の担担麺など、オリジナルの四川料理に比べて大きなアレンジが加えられているものもある。以下は、陳建民のレシピによって日本に広まった料理で、四川系ではない中華料理店でもメニューに加えられているほどポピュラーなものとなっている。料理名はいずれも中国語の呼び名がそのまま使われている。

他に、次のようなものも中国では有名である。

夜明砂のスープ

日本では、例えば開高健の『最後の晩餐』など、世界の最たる珍味として四川料理に「の目玉のスープ」というものがあり、それはコウモリのたくさんいる洞窟で蚊を食べるコウモリの排泄物を採取し、それを水で洗うと眼玉だけは、固いキチン質なので消化されずに残っていて、それを集めてスープ仕立てとする。これが風味といいコリコリとした食感といい絶品だという説が流布している。マンガ『日本人の知らない日本語』にも中国人留学生が「蚊の目玉のスープは高級中華です。」と紹介している場面がある。

これは漢方薬に「夜明砂」(ヤメイシャ 中国古典には「蝙蝠屎也 食蚊 砂皆蚊眼 故治目疾」『本草備要』、「蝙蝠食蚊而眼不化 其屎為夜明砂」『醫方集解』、「夜明砂 是蚊被蝙蝠食後所化之糞 蚊食人血 蝙蝠食蚊 故糞能去血」『血証論』とある)というものがあり、それをつかって作ったの「夜明菜心湯」、「夜明谷精湯」などのことと推測される。[1]

脚注

  1. *「蚊の目玉のスープ」存在調査顛末記渡部亮次郎

外部リンク

関連項目

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