Mr. BATER
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Mr. BATER(ミスター・ベーター)とは、フジテレビのバラエティ番組『ダウンタウンのごっつええ感じ』で放送されたコントのひとつであり、そのコントのメインとなるキャラクター名である。
概要
- 1995年4月9日に放送されたスペシャルに初登場以来、全23回(総集編などでの再放送除く、2001年10月12日『ダウンタウンのものごっつええ感じスペシャル』で放送された『Mr. BATER 2001』を含めると24回)放送された。外国人のMr. BATER(松本人志(ダウンタウン))が毎回様々な店舗に出向き、そこの店長(今田耕司)とのやりとりを描いたコントである。尚、名前のBATERはベタなボケをするいうところからの命名だと思われる。
- 基本的には毎回、店舗が舞台となるのだが、例外的に歯科医院など店舗以外が舞台となることもある。
内容
- Mr. BATERの設定はオクラホマ州出身で片言の日本語(関西弁)を話すアメリカ人で、パーティーへ出席するための道具を揃えるために毎回、「ちょっとええかな?」(「ちょっとええ?」「もうええかな?」と言う場合もある)と一言言ってから様々な店舗に訪れる。
- 店長は第1回では喋っていたが、第2回以降一切口を利かない(ある回では「END」と出た後そのまま番組オープニングへ続き、その部分で店長が「バカヤロー!!」と叫んでいた。ある回では最後の「END」のところで「助けてくれ」と言っている)。
- 毎回、Mr. BATERは「今日パーティー行かなあかんねん」と言いながら店舗を訪れ、店長に来店した理由等を話した後[1]、「○○(その回によって異なる)早よ持って来てくれるかな」と言う[2]。それを聞いた店長は店の奥に行き(店の種類に関わらず)インディアンの衣装と斧を持って来る。Mr. BATERはその衣装を身に着け「どんどっとっと」と言いながらインディアンを真似た踊りの後にボケて[3]最後に突っ込む、ノリ突っ込みをする。これは第1回目の舞台が紳士服店でジャケットを頼まれた店長がインディアンの衣装を持ってきたというボケを踏襲し、「お約束」として毎回やるようになったボケである。
- その後、その店舗に合った商品を注文し、毎回注文とは異なるもの(注文されたものに近い名前・音の響きのもの、ダジャレ)を持って現れるというやりとりが何回か(概ね3~5回)行われ[4]、最後は「二度と来るか!」や「アホかー!、ボケー!、死ねー!」と怒るか、歌ネタでノリツッコミをした場合はそのまま替え歌を歌いながら、あるいは何と言っているのか分からない程に怒鳴り散らしながら、Mr. BATERが店から出て行って終わる(第1回はMr.BATERが店長に「もうええわ!」とツッコみ、店長が「どうもありがとうございましたー」といい二人で会釈、そのままBGMが流れ暗転という、普通のコントのような終わり方であった)。
- 又、やりとりの最中、違うものを持ってこられノリツッコミをしたあと、Mr. BATERによって、店長役である今田のプライベート(?)を、あることないこと暴露されるのが定番となっている。(但し、初期の頃は時事・芸能関係のネタを言っていた。例:「そりゃ、ジャン=クロード・ヴァン・ダムもガムのCM降ろされるわ!」「そりゃ、カリフォルニア米もパサつくわ!」等)魚屋の回では松本の作り話でとても不名誉なことを言われた今田が、収録後即座に、半笑いを浮かべながらもキレ気味で松本に「アホか!!言うてええことと悪いことがあるんじゃー!」と怒鳴った。それに対し、松本は「そんなん変えたったらええねん!」と返したため、スタッフが「事実無根じゃ…」と困惑すると松本は「事実なんかクソ喰らえじゃ!」と吐き捨てて、今田の怒りを笑いに変えた。笑いに変えるためには手段を選ばない当時の松本の芸風がここからうかがえる(ちなみに、この時の模様は『ダウンタウンのごっつええ感じ コント傑作集HISTORY9』に収録されているものであり、本放送ではカットされていた)。また、2001年の復活スペシャルでは松本が「叶姉妹の妹に電話番号聞いてる場合ちゃうで」と言った後、今田が「逆や!逆!」と小声で反論したこともあった。
- Mr. BATERのノリツッコミには色々なバリエーションがあるが、特によく見られるのが以下の2パターンである。
- 今田が間違えて持ってきた物を見て「いや~ん、○○やん…」と言い、最後は「○○て言うか、△△やん…」と言って歌ネタに入るパターン。
- ジングル風の効果音を口ずさみながらポーズを取った後(この時今田も一緒にポーズを取っている)でオチの一言を言ってからツッコむパターン(傘屋の回を例に挙げると、「トシヒコさんて誰やねん!」と叫んでから前述の行動を取り、「エントリーナンバー1、トシヒコさん!」と言ってオチをつけている)。
- Mr. BATERは今田のボケに乗ってボケる以外にも、今田との会話中に自分からボケる事もある(ボケた後、「これはウケたやろ…」などと言いながら今田の方を向き、今田が全く笑っていないので「ワーオ!」とリアクションを取る事が多かった)。
- Mr. BATERはヘッドレスタンバリン(皮のないタンバリン)の扱いに長けているようで、今田に上手だと(ジェスチャーで)言われた。その際、BATERは「うっさい!昔を思い出すわ!」と怒鳴った。タンバリンが落ちに使われるパターンは複数あるがその時に歌われる歌は毎回アン・ルイスの「あゝ無情」。
- 医院の回では、今田の親族のプライベートに関わることを言ってしまったため、今田が慌てて小声で「カットしてください!」とジェスチャーも交えスタッフに訴え、その後「こないだ親から電話あったばっかりなんです!!」と大声で言ってしまい、松本に「しゃべんなお前!」と怒鳴られている。一応その後持ち直しコントは終了したが、収録後今田は「すいませんマジでカットしてください!」と叫んでいる。なお松本が何を言ったのかは編集で伏せられている。
- 玩具店の回では今田が『チェス』と間違えて『コス(番組スタッフの小須田和彦)』をセット裏から呼んでくるというボケがあった。
- 肉屋の回では、次のネタで使う机を置く目印として床に張られたテープ(業界用語で「バミリ」)を松本が見つけてしまう。焦った今田がテープを剥がして何事も無かったかの様に取り繕うが、結局ネタバレとなった。
- いつもはドアや壁をたたいて今田の注意を引こうとするが、肉屋の回ではガラスが厚すぎて痛かったらしい(その後「自分とこのガラス痛いわ」と言っている)。
- 基本的にどんなネタでもMr. BATERはノリツッコミをするが、あまりにも低俗なネタやツッコミに困るネタを持って来られると、「ツッコめへん」「これはやりたくない」と愚痴をこぼしたり、時としてキャラを忘れ「違うやろ」と真顔で呆れてしまうこともある。
来店した店舗
放送日 | 店舗名 | 主なやり取り | 備考 |
---|---|---|---|
1995年4月9日 | 紳士服店 | Mr.BATERの「親の顔が見たいわ!」というツッコみに対し、今田が親(?)の写真を見せる | Mr. BATER初回、この回のみYOUが客として出演 |
1995年4月23日 | 寿司屋 | ビール→ピルが出てきたので、体を売る女性の寸劇を行う | |
1995年5月7日 | 床屋 | バリカン→バルサンを炊かれる | |
1995年5月21日 | 歯科医院 | ||
1995年6月18日 | 靴屋 | ||
1995年7月9日 | メガネ店 | コンタクト→コンパクトが出てくる | |
1995年7月16日 | 宝石店 | 5カラットのダイヤ→カラッと揚がった唐揚げが5個出てくる | Mr. BATERが唐揚げのネタの際にオチで使用した「1・2・3・4、唐揚げやん!」をその次のあしたのジョーネタでも使用し、今田に「違う!」というジェスチャーをされる |
1995年8月13日 | 生花店 | 豪華なやつ→花輪を使って「笑っていいとも!」のテレフォンショッキングのマネ(Mr. BATERがタモリ、今田は萬田久子からのご紹介という設定のゲスト役) | 陶芸家の先生ネタの際、Mr. BATERが一度退店する |
1995年9月3日 | 酒屋 | Mr. BATERがヤングマンのネタをする際、間違えて冒頭のインディアンネタをしようとしてしまうハプニングが起きる | |
1995年9月17日 | 薬局 | 鼻水を止めたい→豆を使って梅垣義明のネタのマネ | 冒頭のインディアンネタでMr. BATERが武富士のCM曲である、ジョー・リノイエの「シンクロナイズド・ラブ」を歌いながら踊る |
1995年9月24日 | 傘屋 | 差すやつ→目薬を刺して泣きマネ | 葉っぱのネタでMr. BATERがこづれ狼の時と違い、原作に近い大五郎のマネを披露 |
1995年10月15日 | 喫茶店 | ブレンド→プリントが出てきたので、母親と赤ペン先生の指導を受けてる息子の寸劇を行う | 冒頭のインディアンネタでMr. BATERが歌っていたのは嘉門達夫の「ゆけ!ゆけ!川口浩」 |
1995年10月22日 | ケーキ店 | チーズケーキ→筑前炊きが出てきたので、クイーン「Another One Bites the Dust」の節で「筑前炊きやん」と歌う | 冒頭のインディアンネタでMr. BATERが橋幸夫と美空ひばりのマネで「どんどっとっと」と言う |
1995年11月12日 | 医院 | 聴診器→城南電機の宮路年雄社長のマネ | 最後の伝統芸ネタで今田が安来節を披露する |
1995年11月26日 | 玩具店 | ファミコン→糸こんが出てきたので、バブルガムブラザーズ「WON'T BE LONG」の節で「糸糸糸こ~ん」と歌う | 家族ぐるみのネタの時に今田が持ってきた帽子は巨人とヤクルトのもの |
1995年12月10日 | 青果店 | マスカット→マグロ納豆が出てくる | |
1995年12月24日 | 電器屋 | 食器乾燥機→ジャッキー・チェンの半生記をMr. BATERが朗読 | ジンギスカンのネタの後、ゴレンジャイに出てくるボインファイブの台詞「そーれそれそれそれ、ボインボインボインボイン」を言いながらMr.BATER退店 |
1996年1月14日 | スポーツショップ | クラブ→パンティーが出てきたので、それを履いて「タモリ倶楽部」のオープニングのマネをする | デニムジャケットのネタの途中、Mr. BATERが注文していたテニスラケットを持ってきてしまった今田がセット裏に投げ捨てるハプニングが起きる |
1996年2月4日 | 魚屋 | 刺身の盛り合わせ→寂しい巡り合せの寸劇を演じる | Mr. BATERから「自分の車の中で「ナウ・ロマンティック」を聞いている」と暴露された今田が設定を忘れ、声を出して笑ってしまう |
1996年2月25日 | 精肉店 | 牛タン→絨毯が出てきたので、スキャットマン・ジョン「スキャットマン」の節で「ジュウタンタンタタンタン」と歌う | 冒頭のインディアンネタでMr. BATERが黄桜酒造のCM曲を歌う |
1996年3月10日 | 和菓子屋 | ||
1996年3月24日 | レンタルビデオ店 | 猿の惑星→猿の剥製が出てきたので、「何で死んだん?」と悲しむ | Mr. BATERと今田のやりとり中によく映っていたポスターは「ムーンリットナイト」(ルトガー・ハウアー主演作)と「妖獣教室」(アダルトアニメ) |
1996年4月14日 | パン屋 | クロワッサン→ドアを叩きながら「黒田さーん!」と叫ぶ | Mr. BATER最終回 |
1996年9月29日 | 傘屋 | 総集編として再放送。一部のネタがカットされている(後述)。 | |
1997年1月26日 | Mr. BATERダイジェスト | 総集編としてやり取りの部分を抜粋して放送。 | |
1997年10月26日 | 喫茶店 | 総集編として再放送。 | |
2001年10月12日 | 和菓子屋 | 羊羹→北斗の拳とこち亀の4巻が出てくる。その後「5巻」「6巻」「1巻」「3巻」をもじったセリフを言う | 「ダウンタウンのものごっつええ感じスペシャル」内で「Mr. BATER 2001」として放送。 |
エピソード
- 傘屋編でネタの完成度の低さに松本が「これカットやで」と言ったネタがそのまま(「これカットやで」のセリフも含め)放送され、ビデオにもそのまま収録された(今田に折り畳み傘と間違えて折れた畳を持ってこられたMr. BATERが「折れたー畳はー寝れませんー♪」と中条きよしの「うそ」の節で歌ったネタ)が、総集編で傘屋編が再放送された際には1ネタ分きちんとカットされていた。松本は「これ、しまって。これ見切れたらつながりおかしいから」と編集の心配をしていた。
- 浜田雅功が主役の坂本龍馬を演じたドラマ『竜馬におまかせ!』(日本テレビ)では、竜馬たちが外国人に変装するという場面で「今日パーティー行かなあかんねん」とMr. BATERをパロディしたシーンが放送された。
- 2006年1月、NHK教育「天才てれびくんMAX」内のコーナー「天てれ東海道駅伝」で飯田里穂がMr. BATERに扮した顔で「今日パーティー行かなあかんねん」と言うシーンが放送された。
- 宇多田ヒカルはMr. BATERのコントが気に入っているらしく、2007年8月12日のフジテレビ系「HEY!HEY!HEY!MUSIC CHAMP」の歌収録の合間に「今日パーティー行かなあかんねん」と「どんどっとっと」を披露したそうである。
- KOJI-1200のシングル「ナウ・ロマンティック」アナログ盤では冒頭のインディアンネタで同曲を歌い「いつ売れんねん!」とBATERが叫ぶくだりが曲前に追加されている。
- 鮮魚店の回で今田が「初鰹」と間違えて持ってきたのは「(1995年当時の)小学二年生」8月号である。
- 「銀魂」の第一訓「天然パーマに悪い奴はいない」に、Mr. BATERに酷似した借金取り兼ノーパンしゃぶしゃぶ天国の社長が登場する。
キャスト
- Mr. BATER:松本人志(ダウンタウン)
- 店長:今田耕司
- 客:YOU・・・※第一回目のみ。
脚注
- ↑ その際、目的の商品に求める3大条件を提示してその3つめで怒ることが多い。
- ↑ やり取りが何度か続くと「○○早よ持って来ぉーい!!」などと怒って言い放つ事もある。
- ↑ 『8時だョ!全員集合』の早口言葉や『鳥の詩』を歌ってから『池中玄太80キロ』の時の西田敏行など、モノマネをする機会が多かった。
- ↑ 最後のネタは商品名などを織り交ぜた替え歌を歌う事が多かった(スポーツショップの回ではTRF「masquerade」の節で「カツカレー」、医院の回ではm.c.A・T「Bomb A Head! 」の節で「レントゲン!、レントゲン!」、1996年3月10日の和菓子屋の回では小沢健二「カローラIIにのって」の節で「日曜大工持ってきた~」など)。