がめ煮
がめ煮(がめに)は、九州北部地方(主に福岡県旧筑前国、福岡県全域や佐賀県を含むこともある)の代表的な郷土料理。炒り鶏・筑前煮とも言われる(後述)。
概要
博多弁の「がめくり込む」(「寄せ集める」などの意)が名前の由来と言われる。また、文禄の役の時に、朝鮮に出兵した兵士が当時「どぶがめ」と呼ばれていたスッポンとあり合せの材料を煮込んで食べたのが始まりと言われている。亀煮から「がめ煮」と名づけられたと言われている。
現在は、スッポンではなく鶏肉を使うのが普通である。正月料理や祝いの席での料理として作られるほど地元では欠かせない味となっており、水炊きとともに農山漁村の郷土料理百選に福岡県の郷土料理として選ばれている。2006年の総務省の家計調査では、鶏肉とゴボウの消費量は福岡市が全国1位となっており、がめ煮に使うことが影響していると考えられている[1]。 鶏肉の消費は2008年の同調査では大分市とわずかな差で全国2位となっている。農林水産省「畜産物流通調査」(2008年)より、福岡県の食鳥肉の年間出荷数は全国で 16位となっており、出荷量と消費量に関係はないとわかる。
作り方
最初に具材を全て炒める。他府県の煮物との一番の違いはこの「最初に炒める」工程にあると言われる。 だし汁、シイタケの戻し汁、酒、醤油、みりん、砂糖を混ぜて鍋で煮立たせたところに、鶏肉を一口大に切ったものを入れてひと煮立ちさせる。その後、里芋、干し椎茸を戻したもの、コンニャク、アクを抜いたゴボウ、蓮根、人参、茹で竹の子を一口大に切ったものなどを入れて野菜が柔らかくなるまで煮て出来上がり。ショウガを加えたり煮あがったところにサヤエンドウを加えることもある。
「がめ煮」と「筑前煮」
一般的に「筑前煮」は九州地方以外での呼称である。「筑前煮」の呼称は、公立の学校給食の普及により、郷土料理の一環として、全国に浸透した。家庭科の教科書では「鶏肉を炒りつけて煮る」ことから「炒り鶏(いりどり)」という名前で紹介されていることもある。
その他
- テレビドラマ『嫌われ松子の一生』 で主人公・松子(福岡県出身)が逃亡中、内縁の妻のように厄介になっていた理容店の主人・島津(同郷)に或る日作った。
- 福岡県久留米市出身の松田聖子や田中麗奈の好物でもある。
- 福岡県久留米市では、2006年10月に策定した久留米市食料・農業・農村基本計画において、がめ煮を調理することのできる市民の割合を2014年度までに65%とする目標を立てている。
- 陸上自衛隊の戦闘糧食に筑前煮が支給されることがある。
- 長崎県大村市ではピーナッツを入れて食べる習慣がある[2]。
参考文献
- ↑ 朝日新聞 2007年12月14日付 朝刊、福岡地方面、P.27
- ↑ ケンミンの秘密 | カミングアウトバラエティ 秘密のケンミンSHOW