JR東日本701系電車
テンプレート:Ambox テンプレート:鉄道車両 701系電車(701けいでんしゃ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の交流用通勤形電車[1]である。1993年(平成5年)から交流電化区間用の標準車両として製造された。
また、盛岡駅 - 青森駅間の東北本線を移管したIGRいわて銀河鉄道・青い森鉄道でも同設計の新造車、およびJR東日本からの譲受車を、それぞれIGR7000系電車と青い森701系電車として保有している。本項ではこの両形式についても記述する。
概要
東北地区の幹線に多数残存していた普通客車の置き換えのために開発された。
最初のグループは、1993年に秋田地区の羽越本線・奥羽本線と盛岡地区の東北本線に投入された。従来は地域輸送に客車を使用しており、車齢は10年程度[2]であったが、始発・終着駅で電気機関車の付替え作業を要し運転上非効率であること、50系には冷房がなく旅客サービス上問題があること、などの課題があった。
一方、仙台地区では普通列車の電車化が一足先に完了していたが、車両は余剰になった581・583系を改造した715系近郊形車両、455・457系急行形車両の短編成化・普通列車への充当が中心で、ラッシュ時の運用に不適な車体構造や経年による陳腐化の進行などの問題が顕在化しており、これら老朽車両の取り替えは喫緊の課題であった[注 1]。
これらの置き換えを目的として開発・投入されたのが701系である。2両編成から8両編成までの組成が可能で、編成の増・解結による柔軟な輸送力の調節を可能とした。2両編成についてはワンマン運転に対応するため、整理券発行機などの各種対応機器を設置した。
701系は、JR東日本の交流電化区間における事実上の標準車として各線区に投入され、奥羽本線・田沢湖線の新幹線直通化後は標準軌仕様の車両が地域輸送用に投入された。
本形式をJR東日本は通勤形と分類している。ただし雑誌などの記事においては、本形式が通勤形[3]だけでなく近郊形[4]や一般形[5]と分類されている場合がある。
以上のように普通列車用の車両区分の実態が曖昧になり、JR東日本では普通列車用電車の区分において通勤形と近郊形の形式上の区別を廃止し[6]、E231系以降、普通列車用の電車の区分を「一般形」に統一している[7][8][9][10][11][12][注 2]
構造
車体
209系電車で採用した軽量ステンレス製のプレスを多用した川崎重工業の2シート工法の構体を採用する[3][13][注 3]。先頭部は貫通路付の切妻構造で、FRP製の覆いを設ける。客用扉は 1,300 mm 幅の両開き式のものを片側3か所に設置し、在来線用の車両は運用線区の駅ホーム高さの関係上ステップを設ける。
側面窓は車端部以外は4連窓、中央2窓のみ2段上段下降式のユニットサッシ[注 4]である。窓寸法は極力大きくし、熱線吸収ガラスを使用してカーテンを省略した。車端部は通常の1枚窓を設置する。
冷房装置は集中式を採用し、屋根上に1基搭載している。在来線運用車はAU710A形(冷凍能力38,000 kcal)、標準軌区間用の5000番台と5500番台はAU723 形(冷凍能力30,000 kcal/h)を屋根上に設置する[14][15][16][17]。中間側妻面の貫通扉は幅を 1,200 mm に拡幅した両開き式とし、ワンマン運転時の乗客移動に配慮した。
剛性値についてはIGR7000で下記のような値となっている。
項目 | 特性 | 備考 |
---|---|---|
心皿間距離 | 13,800 | |
片側出入口個数 | 3扉 | |
相当曲げ剛性 | 862MN・m2 | Mc車構体完成時 |
相当ねじり剛性 | 222MN・m2/rad | Mc車構体完成時 |
曲げ固有振動数 | 13.5Hz | Mc車構体完成時 |
ねじり固有振動数 | 4.4Hz | Mc車構体完成時 |
室内
座席は当初、ワンマン運転時における車内監視や運賃支払い時における車内移動の観点で有利とされたことや短編成での通勤・通学輸送との兼ね合いから全席ロングシートで新製されたが[19]、投入後の輸送実態を考慮して、クロスシートを設置改造した車両や、新製時よりクロスシートを設置した車両もある[20]。座席モケットは細かい柄の入ったパープル色である。
客用扉は冬季の車内保温のため半自動構造とし、2両編成にはドアチャイムを装備、各出入口の内外に開閉用のスイッチを設ける。ドアエンジンはベルト駆動による空気式である。客用扉に隣接する袖仕切りは209系と同一品の大型として外気の流入を抑え、風防ガラスは省略された。暖房装置は座席直下に大容量のものを設置する。
トイレはクハ700形に設置し、向かい側の空間を車いすスペースとしている。そのクハ700形は当初喫煙車だった。
内装のカラースキームは、明るいベージュ系統でまとめられ、運転席背面と妻面以外をFRP製とし、天井風道もFRPの一体構造である。
乗務員室は、複数編成での利用を考慮して、半室構造となっている。貫通路を構成する際やワンマン運転で最後尾となる場合は、運転席部分を締め切り、補助席側を客室として開放する[注 5]。
電源・制御機器
架線からの単相交流20kVを主変圧器で降圧した上で、主変換装置で直流に整流、その後三相交流に変換して主電動機を制御するVVVFインバータ制御方式である。
主電動機は新開発のかご形三相誘導電動機MT65形 (125 kW) を搭載する。209系のものを基本とするが、小型軽量化され、耐雪構造となる。主変換装置はパワートランジスタ (PTr) 素子 VVVF インバータを搭載し、GTO素子の209系と同様の制御方式である[2]。後期製造分の1500・5500番台車・IGRいわて銀河鉄道・青い森鉄道向けの新製車はコンバータを IGBT素子に変更した[21]。補助電源装置には、0番台では電動発電機を、それ以外では静止形インバータ装置をそれぞれ採用している[22]。
運転室内には、各電動台車のON/OFFを個別に制御するためにNFBが設置されており、片方の電動台車に問題が起き、通常の運転が困難になった場合、問題のある方のスイッチを切り、1M方式を一時的に0.5M(片方の電動台車でのみ駆動)に切り替えることが可能となった。また、主変換装置も同じく個別制御できるように、NFBの設置が行われている[2]。
パンタグラフは下枠交差式のPS104形、菱形式のPS105形、シングルアーム式のPS106形を搭載[注 6]する。
ブレーキ装置
電気指令式空気ブレーキを全車に標準装備する。当初の車両は抑速およびに発電ブレーキを装備し、屋根上に電力消費用の抵抗器を持つ[2]。1997年以降製造の1500・5500番台[23]は回生ブレーキに変更され、抵抗器は装備しない[17]。全車とも遅れ込め制御はなく、耐雪ブレーキ・直通予備ブレーキを併設する。秋田地区の一部車両は更新工事により、発電ブレーキで使用していた抵抗器が撤去され、1500・5500番台と同じ回生ブレーキ併用空気ブレーキ装置へ変更し、1500・5500番台と屋根上はパンタグラフを除き同じ構成となった。
保安装置
ATS-P(標準軌区間)、ATS-Ps(在来線区間)[注 7]、列車無線・防護無線の他、緊急列車防護装置 (TE) を設け、ワンマン対応車にはEB装置を設置する。
台車
209系で採用された軸梁式軽量ボルスタレス台車を基本に、床面高さを下げるため台車枠中心を下げた構造としたDT61A(電動車)と TR246A(付随車)を装備する。標準軌区間用の車両では台車枠を標準軌対応とし、台車枠中心を標準の高さに戻したDT63(電動車)、TR248・TR252[注 8](付随車)を用いる。
その他
主幹制御器は209系の様なワンハンドルマスコンではなく横軸マスコンである。簡易モニタ装置を搭載し、ドアやインバータなどの動作状況を監視できる。2両編成の車両にはワンマン運転関係機器(運転台近くに自動両替器付運賃箱、自動放送装置、運賃表示器、最後尾乗車口に整理券発行器)を設置する。719系電車とは故障した際の救援時に、E721系電車とは営業運転での併結が可能である。2010年10月20日よりE721系電車との併結運転を開始した[24][注 9]。
番台区分
狭軌仕様車
基本番台(秋田地区用)
秋田地区の客車列車置き換えのために1993年3月から10月にかけて、川崎重工業およびJR東日本土崎工場(現・秋田総合車両センター)で製造され[25]、同年6月21日より運用を開始した[14]。クモハ701+クハ700の2両編成が24本(48両、N14 - N38 編成)、クモハ701+サハ701+クハ700の3両編成が13本(39両、N1 - N13 編成)の計87両が在籍する。本区分のみ、前面の種別表示器は手動式であるが、後述の機器更新が行われた車両の一部ではLEDによるものへ取り替えられている[26]。
全車ロングシートで製造されたが、一部の車両(N36 - 38編成)にはクロスシート設置改造が施工された。この編成はパンタグラフをシングルアーム式の PS106 形に換装していたが、2005年以降から改造が行われなかった秋田地区の701系にも同様に交換が行われた。ワンマン運転用の運賃箱も当初の仕様から変更されている。
配置区所および運用区間は以下のとおりである。
- JRE 701-1-syanai.jpg
N1編成 客室
- Lecip multiBlock Unchinhyou JRE-Kuha701-Akita.jpg
秋田地区ワンマン編成車両の運賃表示器[注 10]
- JR-east-EMU-kuha700-inside(modified).jpg
クハ700形 セミクロス改造車車内
100番台(秋田・仙台地区用)
基本番台の増備車で、1994年から1995年にかけて土崎工場にて製造された[14][16]。クモハ701形+クハ700形の2両編成が5本(10両)、クモハ701形+サハ701形+クハ700形の3両編成が1本(N101編成)の計13両が在籍する。
後部標識灯を200mm上方に移設しているのが基本番台との識別点である。室内ではつり革の位置を下げ、数を増やした。軽量化および保守量の低減のため、蓄電池を鉛電池からアルカリ電池に[27]、制御回路用の補助電源を静止型インバータ (SIV) に変更している[14]。
当初は全車が南秋田運転所(現:秋田車両センター)に配置され、基本番台と共通で運用された。山形新幹線の新庄延伸に伴い、奥羽本線山形 - 新庄間が標準軌化されると、1999年に2両編成が仙台電車区(現・仙台車両センター)に転配された。仙台地区では当初常磐線北部(いわき - 仙台)で限定運用されたが、その後1000番台(2両編成)・1500番台と共通に東北本線(黒磯 - 一ノ関)でも運用されるようになった。
編成番号は秋田ではN100台、仙台ではF2-100台を付番。
2007年3月にN102編成が秋田車両センターに転配され、2010年10月付でF2-103 - F2-105編成も秋田車両センターに転配され[28]、N103 - N105編成として営業運転に入っている。仙台車両センターにはF2-106編成のみ残存[注 11]していた。しかし、秋田に転属していたN105編成が、2013年3月に再び仙台へ転配され、F2-105編成として、営業運転に入っている。
車体帯色は濃淡のマゼンタ(秋田)および赤+白+緑(仙台)である。
1000番台(仙台・盛岡地区用)
盛岡地区の客車列車と仙台地区の715系置き換えのため1994年から1996年にかけて、川崎重工業および土崎工場にて製造された[16]。クモハ701形+クハ700形の2両編成が38本(76両)とクモハ701形+サハ700形+モハ701形+クハ700形の4両編成が4本(16両)の計92両が在籍する。
中間のモハ701形は本系列唯一の中間電動車で、付随車サハ700形は蓄電池を装備するため基本番台・100番台のサハとは別形式となっている[29]。基本仕様は100番台と同一だが、仙山線へ入線することを考慮してパンタグラフをPS105形に変更している[16]。故障時の救援のために救援回路を備え、719系電車と併結が可能である[30]。
配置区所および運用区間は以下のとおりである。
- 仙台車両センター
- 盛岡車両センター
- 勝田車両センター
- 東日本大震災・福島第一原子力発電所事故の影響で運休となっていた原ノ町 - 相馬間の運行再開に伴い、2両編成3本が仙台車両センターから転属し配置されている。車体帯色は転属前と同じく赤+白+緑 である。
- ※ 運行区間は津波被害や原発事故の避難区域設定となり他の路線・区間と孤立しているため原ノ町駅まで陸送で搬入され、同駅常駐とされている。
- ※ K618編成(F2-18編成)、K620編成(F2-20編成)、K625編成(F2-25編成)の3本が在籍(カッコ内は仙台時代の編成番号)。
- ※ 同区間は終日2両編成で運用されており[注 14]、トイレは閉鎖されている。
- ※ 相馬行きの列車は、行先表示を消灯する。
- Jre series701 type 1000 sideboard.jpg
側面行先表示器
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運転台
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客室
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トイレ
1500番台(仙台地区用)
仙台地区715系1000番台置き換え用として、1000番台の増備型として1998年と2001年に川崎重工業および土崎工場にて製造された[32][16]。クモハ701形+クハ700形の2両編成が18本(36両)が在籍する。
主変換装置は、インバータ部はパワートランジスタ素子であるが、コンバータ部にIGBT素子を使用したものに変更された[32]。回生ブレーキを装備し、クモハ701形は屋根上のブレーキ用抵抗器がなくなった[17]。
2001年に新製された2次車の 1509 - 1518は、新製時からATS-Ps保安装置を備えるほか、行先表示器が LED 式とされ、トイレは車いす対応の大型のものを運転台直後に設ける[32]。このため、クハ700形の窓配置が変更された。
1508 は浸水事故で床下機器が損傷した1000番台1編成(クモハ701-1033+クハ700-1033)を修理した車両で、回生ブレーキと LED 式行先表示器を装備して復旧され、1500番台に編入された。
全車が仙台車両センターに配置され(F500台編成)、100番台(F2-105、F2-106編成)・1000番台・E721系0番台(ワンマン運転対応のP40 - P44編成)[注 15]と共通で使用される。車体帯色は赤+白+緑である。
- JRE-EC701-Tc1500.jpg
701系1500番台 2次車
クハ700形
(2005年9月 / 福島駅) - JRE-EC701-Mc1500.jpg
701系1500番台 2次車
クモハ701形
(2005年9月 / 福島駅) - Jre7011500 largetoilet.jpg
拡大・移設されたトイレ
(2007年11月)
IGRいわて銀河鉄道IGR7000系・青い森鉄道青い森701系
2002年12月1日の東北新幹線盛岡 - 八戸間開業に伴い並行在来線を移管して開業した2社の車両である。JR東日本からの譲受車と新製車があり、仕様が一部異なる。
- 青い森鉄道 青い森701系
- 新造車1編成(100番台)、JR東日本からの譲受車8編成(0番台)、合わせて2両編成9本(18両)が在籍する。
- 青森方が制御電動車(Mc)の青い森701形、目時方が制御車(Tc')の青い森700形で組成されている。
- このうち新造車(101)・譲受車(1)各1編成は、2002年の目時 - 八戸間開業時に導入されたもので[33]、残りの譲受車7編成(2 - 8)は2010年12月の八戸 - 青森間開業時に導入されたものである。(当時は室内はロングシートのまま[33]だったが、一部の編成はセミクロスシート化されている。)2010年9月2日より、在籍中の1本がイメージキャラクターのモーリーをあしらったデザインに変更された[34]。車体帯色は、旧デザイン車両が青、新デザイン車両が空色である。また、青い森鉄道全線開業時にJR東日本から譲受した編成についても、2011年に青い森鉄道の新デザインに変更された。
- クモハ701-1037+クハ700-1037 → 青い森701-1+青い森700-1
- クモハ701-1001〜1007+クハ700-1001〜1007 → 青い森701-2〜8+青い森700-2〜8
- 青い森鉄道線全線で運用されるほか、IGRいわて銀河鉄道線でも運用される。
- Aoi mori701.jpg
青い森鉄道青い森701系(旧デザイン)
(2007年3月 / 盛岡駅) - AoimoriRailway 701-1 New 100918.jpg
青い森鉄道青い森701系(新デザイン)
(2010年9月 / 八戸駅) - Aoimori701-3.jpg
青い森鉄道青い森701系(JR時代の車体帯色の編成)
(2010年12月 / 野辺地駅) - Aoimori-RW number 701.jpg
青い森701-1の車両番号
(もとJR東日本 クモハ701-1037)
- IGRいわて銀河鉄道 IGR7000系
- 2両編成7本(14両)が在籍する。4編成がJR東日本からの譲受車(0番台・1〜4)で、3編成が新造車(100番台・101〜103)である。車体帯色は岩手の夜空のイメージであるスターライトブルーと星の輝きのイメージであるスターライトイエローである[35]。
- 目時方が制御電動車(Mc)のIGR7001形、盛岡方が制御車(Tc')のIGR7000形の2両固定編成[35]。新造車は1500番台の仕様に近く、セミクロスシート・クハ(盛岡方)前方に設置された車いす対応トイレ[35]・運賃表示器と車内案内表示器の改良・回生ブレーキ・LED式行先表示器などを備える。JRからの譲受車はいずれも元1000番台の車両で、ロングシートのままである。譲受車は帯の貼り替え時[注 16]に車内案内表示器を設置した。
- クモハ701-1038〜1041+クハ700-1038〜1041 → IGR7001-1〜4+IGR7000-1〜4
- IGRいわて銀河鉄道線のほか、青い森鉄道線(目時~八戸)、JR東北本線(盛岡~北上)でも運用される。
- IGR7000-1.jpg
IGRいわて銀河鉄道IGR7000系
(2007年3月 / 盛岡駅)
標準軌仕様車
5000番台
秋田新幹線の開業に伴う田沢湖線の標準軌化に際し、普通列車用として1996年から1997年にかけて投入された車両である。
室内配置を大幅に変更し、ボックスタイプのクロスシートを1両に4か所千鳥状に配置する。この5000番台に限って両開き扉間の4枚の窓のうち中間2枚が大型の1段下降窓である。客用扉のステップはない。トイレはクハ700形の後方に設置する。秋田新幹線開業と同時にJR東日本管内の快速・普通列車が全面禁煙となったため、このグループ以降は当初から灰皿が設置されていない。行先表示器は字幕式で、尾灯はこれまで窓下に丸型が設置されていたが、当番台からは窓上のブラックフェイス部に角型が設置されている。パンタグラフはシングルアーム式、台車は標準軌用のDT63形・TR248形冷房装置はインバータ方式のAU723形である[36]。2008年秋より、スカートが一部変更されている[37]。
クモハ701+クハ700の2両編成10本(20両)が秋田車両センターに配置され(N5000台編成)、田沢湖線で運用されている。車体帯色は青紫+白+ピンクである。
- Jreast 701 5000 cab.JPG
運転台
- Jreast 701 5000 inside.JPG
車内
5500番台
山形新幹線開業に伴う奥羽本線の山形 - 新庄間の標準軌化に際し、普通列車用として1999年に投入された車両である。
1500番台の仕様に準じ、座席はロングシート、客用扉のステップはない。車いす対応の大型トイレをクハ700形の前方に設置する。行先表示器は LED 式で、尾灯が5000番台と同様運転席窓の上部に設置されている。回生ブレーキは発電ブレーキ車と混用しないため、作動範囲が大きくとられた。台車は標準軌用の DT63A 形・TR252 形で、米沢 - 福島(板谷峠)の急勾配対策としてディスクブレーキや砂撒き装置を搭載する[注 17]。パンタグラフは製造当初は仙台地区701系との互換性を考慮し菱形を搭載したが、2001年にシングルアーム式に交換された。加えて同時期に強化型スノープラウ(雪かき器)も設置した。冷房装置はインバータ方式の AU723 形を搭載する[23]。5000番台と同じスカートを装着している[37]。
クモハ701形+クハ700形の2両編成9本(18両)が山形車両センターに配置され(Z編成)、米沢 - 新庄間で運用されている。また、臨時列車・719系故障時や検査時には代走で米沢 - 福島間でも運用に就くことが有る。車体帯色は山形県の花「ベニバナ」をイメージしたオレンジ+白+緑である。全車両がワンマン運転に対応しているが、車掌が乗務することもある。
- Jreast 701 5500 pantograph.JPG
パンタグラフ
- Jreast 701 5500 truck dt63a.JPG
DT63A形台車
現況と動向
本系列は東北地区の多くの交流電化区間に投入され、従来の普通客車列車を完全に置き替えることとなった。本系列の導入によって普通列車の完全冷房化・スピードアップが達成された。反面、本系列によって代替された列車は従来より編成両数が短縮されたことに加え、座席構造の変化も相まって一列車当たりの座席定員の減少を招いたことから、それら接客設備の顕著な変化については批評の対象ともなった[38][39]。また、本系列は片道200kmを超える運用に就いたこともあった[40]。
本系列が当該地区初のロングシート車であったが、もっとも、本系列使用開始後の種々の情勢変化に鑑み、秋田地区の一部車両ではセミクロスシート化改造が行われ、標準軌用の5000番台は当初からセミクロスシート装備とするなどの設備変更もなされている。
本系列は投入開始から10年あまりが経過し、後天的な装備の変更や配置の移動なども行われている。初期の車両では集電装置をシングルアーム式に換装したものが一部に存在し、秋田地区や仙台地区の一部の車両は運賃表示器がデジタル式から液晶式に変更され、漢字・カタカナ・英語による次駅表示が可能となったほか、側面の行先表示器はLED式に改造された。詳細は他の節を参照。
JR東日本では本系列による交流電化区間の電車化達成後、次段階の車両計画として、老朽化した国鉄形電車を淘汰する目的でE721系電車を2006年に開発し、現在の新規製造は同系列に移行している。
機器更新
209系・E217系と同様に機器更新が行われることになった。主な内容は下記の通りである。
- 主変換装置・主変圧器の更新
- E721系電車において採用されている主変換装置・主変圧器と同型の物への取り替え
- ブレーキ制御装置の交換
- 発電ブレーキの回生ブレーキ化
- これに伴い屋根に設置されている主抵抗器は撤去となる
- 一部車両には、仙台地区と同じ液晶ディスプレイ型運賃表への換装およびワンマン放送装置の更新(ICタイプ化)が行われている。
これらは秋田地区の車両が先駆けて施工され、盛岡車両センター、仙台車両センターの所属車(1500番台も含む)の更新も順次行う予定である[20]。
路線車体帯色一覧
運用地区 | 正面配色 | 側面配色 | ||||||
盛岡車 |
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| ||||||
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田沢湖線 |
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秋田車 |
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仙台車 |
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山形車 |
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青い森鉄道 |
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青い森鉄道 (旧デザイン) |
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IGRいわて銀河鉄道 |
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秋田地区用の濃淡のマゼンタは、登場時は淡いものであったが、退色が著しい事から濃いめのカラーに変更されている。
脚注
注釈
参照元
参考文献
- 加藤純(東日本旅客鉄道株式会社 運輸車両部車両課)「JR東日本701系交流電車の概要」『レイル・マガジン』No.117、ネコ・パブリッシング、p.99 - 101
- 白土裕之(東日本旅客鉄道株式会社 鉄道事業本部 車両運輸部 車両運用計画G)「701系の番台別特徴と輸送形態」『鉄道ファン』2010年1月号、交友社、p.49 - 55。
- 寺本光照「国鉄・JRの普通列車 名列車・珍列車」『鉄道ピクトリアル』No.844、電気車研究会、p.49 - 50
外部リンク
- JR東日本:車両図鑑>在来線 701系
- 青い森鉄道 青い森701系電車 - 川崎重工 車両カンパニー
- IGRいわて銀河鉄道7000系電車 - 川崎重工 車両カンパニー
関連項目
テンプレート:JR東日本の車両リスト鿀- ↑ JR東日本:車両図鑑>在来線 701系
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 「新車ガイド 701系通勤型交流電車」交友社 鉄道ファン 1993年6月号。
- ↑ 3.0 3.1 『レイル・マガジン』(ネコ・パブリッシング)No.117 p.99
- ↑ 『鉄道ファン』(交友社)No.441 p.31 特集「近郊形電車進化論」
- ↑ 『鉄道ピクトリアル 新車年鑑2000年版』(電気車研究会)p.39 :JR東日本運輸車両部の菅谷誠が「一般形交流電車」と記載。
- ↑ テンプレート:PDFlink - 東日本旅客鉄道
- ↑ イカロス出版『E231/E233 Hyper Detail』p.108
- ↑ 交友社『鉄道ファン』No.539 p.36
- ↑ 鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル』No.403 p.72
- ↑ 鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル』No.492 p.33
- ↑ 鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル』No.517 p.46
- ↑ 鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル』No.547 p.22
- ↑ ネコ・パブリッシング『JR全車輌ハンドブック2009』p.393
- ↑ 14.0 14.1 14.2 14.3 ジェー・アール・アール編『JR電車編成表』交通新聞社、2010年、p.20、ISBN 9784330143101
- ↑ ジェー・アール・アール編『JR電車編成表』交通新聞社、2010年、p.23、ISBN 9784330143101
- ↑ 16.0 16.1 16.2 16.3 16.4 ジェー・アール・アール編『JR電車編成表』交通新聞社、2010年、p.28、ISBN 9784330143101
- ↑ 17.0 17.1 17.2 ジェー・アール・アール編『JR電車編成表』交通新聞社、2010年、p.29、ISBN 9784330143101
- ↑ 「IGRいわて銀河鉄道 IGR7000系交流電車」『車両技術』2003年3月P126
構体基本仕様は701系1500番台とほぼ同様である。 - ↑ 電気車研究会『鉄道ピクトリアル』No.844 p.50
- ↑ 20.0 20.1 20.2 「JR東日本 701系の番台別特徴と輸送形態」交友社 鉄道ファン 2010年1月号
- ↑ 「CAR INFO 701系1500番台」交友社 鉄道ファン 1998年5月号
- ↑ 「CAR INFO 701系100番台」交友社 鉄道ファン 1995年1月号
- ↑ 23.0 23.1 「701系5500番台」交友社 鉄道ファン 2000年1月号
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- ↑ ネコ・パブリッシング『JR全車輌ハンドブック2009』p.395
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- ↑ 盛岡運転所701系にラッピング車登場
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- ↑ 33.0 33.1 鉄道ファン、2002年12月号、p.117 「CAR INFO 青い森鉄道 青い森701系」
- ↑ 「青い森鉄道株式会社|ニュース&トピックス」 青い森鉄道ホームページ 2010年9月3日
- ↑ 35.0 35.1 35.2 鉄道ファン、2002年12月号、p.116 「CAR INFO IGRいわて銀河鉄道 IGR7000系」
- ↑ ジェー・アール・アール編『JR電車編成表』交通新聞社、2010年、p.19、ISBN 9784330143101
- ↑ 37.0 37.1 701系5000番台に小変化
- ↑ 川島 令三『徹底チェックJR一般車両―JRはどんな車両をつくってきたか』[下] 中央書院 2001年 71-73頁。
- ↑ 曽根悟「クロスシート/ロングシート論争を斬る」『鉄道ピクトリアル』1993年10月号 No.581 p.17 - 23.
- ↑ 電気車研究会『鉄道ピクトリアル』No.844 p.49
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