篠栗線
|} 篠栗線(ささぐりせん)は、福岡県嘉穂郡桂川町の桂川駅から福岡県福岡市博多区の吉塚駅に至る九州旅客鉄道(JR九州)の鉄道路線(幹線)である。
三郡山地を篠栗トンネルで貫き筑豊地域と福岡市を直結する路線である。2001年(平成13年)10月6日に電化され、鹿児島本線・筑豊本線を含む黒崎駅 - 折尾駅 - 直方駅 - 桂川駅 - 吉塚駅 - 博多駅間には「福北ゆたか線」の愛称が付けられた。
路線データ
- 管轄(事業種別):九州旅客鉄道(第一種鉄道事業者)
- 区間(営業キロ):桂川駅 - 吉塚駅 25.1km(線路名称上は起終点が逆転)
- 軌間:1067mm
- 駅数:11(起終点駅含む)
- 篠栗線所属駅に限定した場合、起終点駅(桂川駅は筑豊本線、吉塚駅は鹿児島本線の所属[1])が除外され、9駅となる。
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:全線(交流20,000V・60Hz)
- 閉塞方式:単線自動閉塞式
- 運転指令所:博多総合指令センター
- 交換可能駅:筑前山手駅をのぞく全駅
- 最高速度:100km/h
全線が本社鉄道事業本部直轄となっている。
また、全線が旅客営業規則の定める大都市近郊区間の「福岡近郊区間」、およびIC乗車カード「SUGOCA」の利用エリアに含まれている。
運行形態
全列車が鹿児島本線の博多駅を始発・終着としている。
優等列車
優等列車として早朝・夜間に直方 - 博多間の通勤客向け特急「かいおう」が2往復運転されている。線内の停車駅は両端の桂川・吉塚のみで途中の駅は通過する。
地域輸送
ワンマン運転を実施しており、快速列車が全線でおおむね毎時2本運転されている。普通列車は桂川 - 篠栗間は毎時1 - 2本、篠栗 - 博多間は毎時3本運転されており、筑豊本線の新飯塚 - 博多間や同線の直方・折尾を経て鹿児島本線の黒崎以東へ直通する列車もある。
ワンマン運転の列車(普通・快速、いずれも2両編成)は、2006年3月18日のダイヤ改正後より全駅でホーム側のすべてのドアから乗降できるようになった。また、2007年3月18日のダイヤ改正より、直方 - 博多間は3両編成の列車もワンマン化された(ワンマン運転非対応の817系3000番台運用列車をのぞく)。ただし、3両編成の列車は直方から折尾方面へは車掌が乗務する。
使用車両
電化後、使用車両はすべて電車となっている。
- 787系
- 783系
- 南福岡車両区所属。「有明」用編成が特急「かいおう」に運用される。
- 813系
- 筑豊篠栗鉄道事業部直方運輸センターに福北ゆたか線用として3両編成7本(100番台6本、200番台1本)が所属し、普通・快速列車に使用される。いずれも鹿児島本線などで使用されていた編成を転用したもので、転用にあたり前面やドアなどが赤色から灰色に塗り替えられ、2両編成であった100番台については中間にオールロングシートのサハ813形500番台を組み込んで3両編成とされた。ワンマン運転に対応する。
- 817系
- 筑豊篠栗鉄道事業部直方運輸センターに福北ゆたか線用として2両編成18本(1000番台7本、1100番台4本、2000番台7本)が所属し、普通・快速列車に使用される。ラッシュ時には南福岡車両区の3000番台も運用にはいる。3000番台をのぞきワンマン運転に対応する。電化にあたり0番台19本が新製配置されたが、2003年から順次1000番台・1100番台に置き換えられ、0番台(2012年の2000番台投入による1000番台の一部も含む)はすべて他線に転出した。
- 415系
- 主に朝夕ラッシュ時の普通列車に運用される。
過去の使用車両
主なもの。キハとつくのは気動車
歴史
篠栗線は、歴史的に九州鉄道が明治時代に石炭輸送のために建設した吉塚 - 篠栗間と、筑豊地区と福岡市を結ぶ短絡線として1960年代に建設された篠栗 - 桂川間に分かれる。
吉塚 - 篠栗間は、九州鉄道により1904年(明治37年)に開業した。当初は箱崎駅で本線に接続させる予定だったが住民の反対により新設の吉塚駅接続となった。九州鉄道は、1907年(明治40年)に制定された鉄道国有法により買収、国有化され、1909年(明治42年)に篠栗線の名称が制定された。
一方、篠栗 - 桂川間は、1968年(昭和43年)に開業した新しい路線だが、予定線としては、すでに1922年(大正11年)制定の改正鉄道敷設法別表第110号に規定されていたものである。開業が比較的遅くなったのは、途中の八木山峠に長大トンネルを掘削する必要があったためである。
桂川延長後は福岡の近郊路線、また福岡と筑豊を従来の鹿児島本線・筑豊本線経由に比べ短距離で結ぶ路線として発展した。
2001年には全線が筑豊本線の折尾 - 桂川間とともに電化され、福北ゆたか線の一部となっている。電化と同時に交換施設を増設しており、列車本数も増加している。なお電化計画当初は第三セクター会社を事業主体として電化とともに吉塚 - 篠栗間の複線化を行うことも計画されたが、財源の問題から中止され、その後JR九州の単独事業として電化は行われたものの、複線化は行われていない。
年表
- 1904年(明治37年)6月19日 九州鉄道が吉塚 - 篠栗を開業、原町・篠栗の各駅を開業
- 1905年(明治38年)2月16日 鹿児島本線と並行する単線を併設して博多 - 吉塚を延伸開業
- 1907年(明治40年)7月1日 鉄道国有法により九州鉄道が買収され官設鉄道となる
- 1909年(明治42年)10月12日 国有鉄道線路名称設定により博多 - 篠栗を篠栗線とする
- 1911年(明治44年)5月5日 博多 - 吉塚の単線を鹿児島本線の複線化に転用し、起点を吉塚に変更
- 1936年(昭和11年)3月25日 吉塚-篠栗間ガソリンカー運転開始[2]。
- 1968年(昭和43年)5月25日 篠栗 - 桂川を延伸開業し全通、筑豊本線と連絡する。この区間は旅客営業のみ。筑前山手・城戸・九郎原・筑前大分の各駅を新設
- 1970年(昭和45年)4月15日 篠栗 - 桂川の貨物営業を開始
- 1984年(昭和59年)2月1日 全線の貨物営業を廃止
- 1987年(昭和62年)
- 1988年(昭和63年)3月13日 柚須駅を新設、香椎線との立体交差上に長者原駅を連絡駅として新設
- 1991年(平成3年)3月16日 鹿児島本線の吉塚 - 博多間が三線化され、全列車が博多駅直通となる。「赤い快速」が運転開始
- 2001年(平成13年)10月6日 全線を電化。福北ゆたか線の路線愛称設定
- 2003年(平成15年)3月15日 城戸駅を城戸南蔵院前駅に改称
駅一覧
- [福]:特定都区市内制度における「福岡市内」エリアの駅
- 快速停車駅などは「福北ゆたか線#駅一覧」に記してあるので当該記事を参照
- 線路(全線単線) … ◇:列車交換可能、|:列車交換不可
- 全駅福岡県内に所在
駅名 | 駅間営業キロ | 累計営業キロ | 接続路線 | 線路 | 所在地 | |
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桂川駅 | - | 0.0 | 九州旅客鉄道:筑豊本線 | ◇ | 嘉穂郡桂川町 | |
筑前大分駅 | 3.2 | 3.2 | ◇ | 飯塚市 | ||
九郎原駅 | 2.0 | 5.2 | ◇ | |||
城戸南蔵院前駅 | 5.0 | 10.2 | ◇ | 糟屋郡 | 篠栗町 | |
筑前山手駅 | 1.5 | 11.7 | | | |||
篠栗駅 | 3.1 | 14.8 | ◇ | |||
門松駅 | 2.6 | 17.4 | ◇ | 粕屋町 | ||
長者原駅 | 2.0 | 19.4 | 九州旅客鉄道:香椎線 | ◇ | ||
原町駅 | 0.7 | 20.1 | ◇ | |||
柚須駅 | 2.5 | 22.6 | ◇ | |||
[福] 吉塚駅 | 2.5 | 25.1 | 九州旅客鉄道:鹿児島本線 | ◇ | 福岡市博多区 |
過去の接続路線
- 吉塚駅:勝田線
脚注
関連項目
テンプレート:九州旅客鉄道本社- ↑ 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』JTB 1998年
- ↑ 『鉄道省年報. 昭和10年度』(国立国会図書館近代デジタルライブラリー)