神戸電鉄

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
神戸電気鉄道から転送)
移動先: 案内検索

テンプレート:Redirect テンプレート:Infobox 神戸電鉄株式会社(こうべでんてつ、テンプレート:Lang-en-short)は、兵庫県南東部で神戸市湊川駅を起点に有馬温泉三田(さんだ)・粟生へ延びる鉄道路線を運営する阪急阪神ホールディングスグループの鉄道会社。古くは創業時の社名「神戸有馬電気鉄道」の略称から神有(しんゆう)、現在は神鉄(しんてつ)と呼ばれ、沿線には神電(しんでん)と呼ぶ年配者もいる。2004年までは準大手私鉄とされていた[1]。本社は神戸市兵庫区新開地一丁目3番24号。

スルッとKANSAIでカードに印字される符号はKBである。

全国登山鉄道‰会加盟会社。

歴史

路線

一部の駅の接近メロディにはメンデルスゾーン作曲交響曲第4番『イタリア』第1楽章のアレンジが使用されている。

駅名標は、ひと昔前(漢字表示が大きかった頃)の阪急のそれに似ている。しかし、神鉄は八角形の形をとり、角が丸い阪急とは一線を画す[7]

1988年4月1日における「神戸電気鉄道」から「神戸電鉄」への社名変更と同時に、現在の丸山・横山・木津・木幡・栄・三木・大村・市場・小野の9駅で、それまで駅名に冠されていた「電鉄」の名前を外した[8]

駅ナンバリング

駅ナンバリングは2014年4月1日より阪神電気鉄道山陽電気鉄道と同時に神戸電鉄でも導入された[9][10]。アルファベットには「KB」(KoBe)を使用し、これと数字で構成される。ただし駅ナンバリング導入時点で営業休止中の駅には導入されない。阪神との供用駅である新開地駅は阪神の駅番号HS 36も付され、北神急行電鉄との共用駅である谷上駅は北神急行電鉄の駅番号であるS01(北神急行電鉄と相互直通する神戸市営地下鉄西神・山手線と連番になっている)も付されている。

車両基地

  • 鈴蘭台車両基地 - 通称・鈴蘭台車庫。
  • 見津車庫
  • 第3車庫 - 通称・道場車庫。道場南口駅の南に設置されている留置線及び保線基地。車両の留置のほか、レールの貨車への積み込みなどを行う。

車両

いずれの車両も、急峻な勾配に対応できる設計となっていることが特徴である。また、全営業車ともブレーキシューに多くの私鉄で使われているレジンシューではなく低速域での高い減速性能・天候変化に強い鋳鉄シューを使用している。そのため、停車の際には独特の音と高い減速性能が得られる(一部の付随車は除く)。また、抑速ブレーキも全営業車両とも3ノッチ以上搭載されており、また非常電制といわれる空気ブレーキが故障し使用できなくなった場合を想定して電動機を限界まで使用し、停車寸前まで減速することができる独特の装置を5000系と6000系以外の営業車両が装備している(なお直通予備ブレーキは同系列を含む全車両に装備している)。

全車両が地元の川崎重工業製である。また、開業当初から電動機などは三菱電機製で統一されている。3000系以降(1973年以降)に製造された車両(1000系列は1979年製のデ1350形から)は阪急電鉄の車両に似たマホガニー調の内装や濃オリーブ色の座席モケットが採用されている。現在の編成は4両が主体である。2008年4月の時点で1050形2両(デ1062・1064)と1070形3両(デ1071 - 1073)が非冷房のままで残っていたが、2009年3月のダイヤ改正で5両運用が廃止されて非冷房車が全車運用から外れ、2010年4月に正式に廃車となった。これにより冷房化率100%となった。

電車の形式記号については、かつては電動車は運転台の有無にかかわらず「デ」、制御車は「クハ」、付随車は「サ」を用いていたが、2000系以降の車両では阪急同様形式記号が省略されている。

阪急と同様に、車両を新造することを「建造」と表現する。また、公式ホームページにて各車両の形式図を公開している。

現有車両

すべて旅客車

過去の車両

旅客車

貨物車・機関車・事業用車

方向幕の色

特快速は有馬線・三田線で、快速は有馬線・粟生線で、急行・準急は公園都市線以外の各線で、普通は全路線で運転される。公園都市線は普通のみが運転される。特急は有馬線・三田線で運転されていたが1998年3月に廃止された。

ワンマン運転

全線でワンマン運転を実施しているが、列車内で料金を収受せず、駅の改札口を利用する、いわゆる「都市型ワンマン列車」であることから、列車内に乗車整理券発行機や運賃箱はない。ただ、訓練などでツーマン運行を行う場合は乗務員2名以上での運行となる。なお、まれに移動のため乗り合わせた運転士や係員が扉扱いや自動放送を補う放送をする場合がある(2名でワンマン運転の列車に乗車している時は運転士が左側の扉を、乗り合わせの係員は右側の扉を開閉する)。また、扉扱いは厳寒期を除き常時全車両の全扉を扱うため、ホームには各車両の乗降状況を映す監視モニターが設置されている。

ワンマン対応車両には神戸電鉄自動放送装置が搭載されている。これは大きく分けて2つの機能があり、1つは自動放送機能、もう1つは停車駅通過防止機能である。両機能とも車輪の回転数から動作する区間を算出する。これはタッチパネル式で場合によりお詫び放送や行き違い駅でのしばらく停車する旨などを手動により自動で放送を流すこともできる。しかし、その放送をするかどうかは運転士によって様々であり、長時間停車や乗り換え案内のほか、緊急時には肉声放送を行う運転士もいる。また、非常ブレーキを掛けた場合等には、完全自動で「非常ブレーキが掛かります、ご注意下さい。」などといった自動放送が流れる。なお、6000系電車に搭載されている自動放送装置は、1つのモニタで自動放送装置や車両の情報を表示可能で、方向幕や客室内液晶モニタの表示も同時に制御することができる。

ワンマン化されている車両で扉上部に赤外線センサーが付いている車両は、扉に一定の大きさ以上のものが挟まれているかを検知するようになっている。赤外線センサー装備車両(4両編成の全編成、3両編成の一部)では、発車時に運転士は「センサーよし」と喚呼する。

沿線の病院美容室大学などの広告宣伝も放送で行っている。

運賃

大人普通旅客運賃(小児は半額・10円未満切り上げ)。2014年4月1日改定[12]

キロ程 運賃(円) キロ程 運賃(円)
初乗り2km 170 24 - 26 590
3 - 4 240 27 - 29 610
5 - 6 300 30 - 32 630
7 - 8 350 33 - 36 660
9 - 10 390 37 - 40 680
11 - 12 410 41 - 44 700
13 - 14 450 45 - 48 720
15 - 17 490 49 - 54 740
18 - 20 520 55 - 58 760
21 - 23 560

以下の区間の運賃には乗り継ぎ割引が設定されている。

  • 合算額から大人30円・小児15円引き
    • 鈴蘭台駅 - 山の街駅・大池駅以東の神戸電鉄各駅と谷上から北神急行電鉄を経由して神戸市営地下鉄大倉山駅・ハーバーランド駅以遠の各駅との間。
  • 合算額から大人20円・小児10円引き
  • 合算額から大人10円・小児5円引き
    • 鵯越駅以遠の神戸電鉄各駅と湊川を経由して神戸高速線新開地駅との間。
    • 鈴蘭台駅 - 山の街駅・大池駅以東の神戸電鉄各駅と谷上を経由して北神急行電鉄新神戸駅・神戸市営地下鉄県庁前駅・みなと元町駅までの各駅との間。

特に近距離区間での運賃が高く[13]テンプレート:要出典範囲。事実、粟生線沿線や人口急増地帯の公園都市線沿線では神戸電鉄より運賃の安い神姫バスに、神戸市の丸山・鵯越地区においては神戸市バスに奪われ気味である。特に、粟生線においては沿線にクルマ社会が定着していることもあってその状況は一層深刻であり、2006年度と2007年度はともに過去最悪の年間12.7億円の赤字を計上しており、さらに2007年までの10年間の累積赤字が102億円に上る[14]

PiTaPa・ICOCAの利用について

全駅でPiTaPaおよびJR西日本のICOCAが使用できる。ただし他の鉄道事業者に比べてICOCAへのチャージ対応が遅れており、2008年8月の時点までチャージ可能な自動券売機・精算機は一切設置されておらず、ICOCAで神戸電鉄を利用する場合(特に無人駅で下車する場合)は、残高に注意が必要であった。2008年10月にそれらの自動精算機はICカードへのチャージ・プリペイドの利用履歴・ポストペイの利用実績が照会可能な新型のものに取り替えられている。一部の有人駅では未だICカードの利用ができない自動精算機が設置されている場合があるが、この場合有人改札の係員にチャージを依頼することになる。

2012年3月から一部駅にて新型券売機に取り替え作業が始まった。

2013年3月23日より全国交通系ICカードの相互利用が開始されたが、PiTaPaとICOCA以外の相互利用カードは、従来通り使用することはできない。神戸電鉄ではホームページ上でその旨注意喚起をしている[15]

他社路線との連絡乗車券

全駅で神戸高速線経由阪急電鉄阪神電気鉄道山陽電気鉄道各駅への連絡乗車券が購入できる。この中で阪神側は2009年3月20日に阪神なんば線が延伸開業し近鉄奈良線と相互直通運転を開始したが、延伸開業後も神戸電鉄側では従来通り4社連絡乗車券しか発売せず、当面は阪神なんば線の連絡乗車券も従来通り西九条駅までしか発売しないため、神戸電鉄の駅から阪神なんば線を介し、西九条駅で下車しないで九条駅以遠の駅や大阪難波駅から先の近鉄線方面へ行こうとする場合は、一旦西九条駅までの連絡乗車券を購入し、不足分を着駅で精算する必要がある[16]。ただしPiTaPa・ICOCA利用時はそのまま4社連続で乗車できる。大阪難波駅から近鉄特急を利用する場合は、大阪難波駅ホームの特急券窓口で特急券を購入する際に近鉄線の目的地までの駅まで精算することができる。また、阪急とつながっている能勢電鉄への連絡乗車券も発売されていない。しかし2010年4月1日からは神戸電鉄と阪神・近鉄などとの共同企画乗車券『奈良・斑鳩1dayチケット[17]や、同年4月24日からも『せんとくん平城京1日電車乗車券』(こちらは同年11月7日までの期間限定)[18]が発売を開始したため、神戸電鉄対阪神九条駅以遠ならびに近鉄奈良線方面へのある程度の利便性は改善されている。

2012年3月、新型券売機の導入に際して阪神なんば線(大阪難波駅)までの連絡乗車券の発券を開始した。

輸送・収支実績

年度 旅客輸送人員(千人) 一日1Km平均通過人員(人) 鉄道業営業収入(千円) 鉄道業営業費(千円)
1979 58,738 7,432,003 6,361,530
1982 59,168 29,581 8,589,596 7,291,504
1984 59,340 29,921 9,670,918 7,377,910
1985 59,079 29,751 9,897,470 7,763,856
1986 59,749 30,080 10,286,003 8,010,848
1987 59,506 29,760 10,530,194 8,379,034
1988 66,499 29,604 10,746,260 9,047,322
1989 67,059 29,682 10,867,865 9,659,275
1990 68,447 30,257 11,565,504 9,780,918
1991 69,303 30,052 12,810,089 10,831,208
1992 71,023 30,242 13,243,272 11,041,989
1993 70,733 30,272 13,335,233 11,223,193
1994 66,137 30,194 12,911,629 11,619,439
1995 62,523 29,321 12,413,922 11,484,392
1996 68,505 27,887 15,140,841 12,147,977
1997 64,384 29,102 14,166,032 12,203,047
1998 61,449 27,707 13,449,656 12,114,305
1999 59,086 23,742 12,872,590 12,012,586
2000 57,415 23,178 12,553,634 11,438,102
2001 55,046 22,173 12,055,088 10,672,890
2002 52,642 21,245 11,511,170 9,640,882
2003 51,069 20,572 11,198,065 9,552,289
2004 46,589 19,960 10,859,053 9,505,898
  • 民鉄主要統計『年鑑世界の鉄道』1983年、朝日新聞社、『年鑑日本の鉄道』1985、1987-2007年、鉄道ジャーナル社

主要関係企業

  • 株式会社有馬温泉企業(兵庫県神戸市兵庫区
  • 株式会社有馬ビューホテル(兵庫県神戸市北区
  • 大阪神鉄豊中タクシー株式会社(大阪府大阪市淀川区
  • 株式会社神鉄エンタープライズ(兵庫県神戸市北区) - 神戸電鉄沿線でスーパー「神鉄食彩館」を運営
  • 神鉄観光株式会社(兵庫県神戸市兵庫区)
  • 株式会社神鉄コミュニティサービス(兵庫県神戸市北区)
  • 神鉄タクシー株式会社(兵庫県神戸市北区)
  • 神鉄バス株式会社(兵庫県神戸市北区)
  • 株式会社神鉄ビジネスサポート(兵庫県神戸市兵庫区)
  • 神鉄兵庫ゴルフ株式会社(兵庫県神戸市北区)
  • 北神急行電鉄株式会社(兵庫県神戸市北区) - 資本関係においては2007年9月に切れ、現在では阪急阪神ホールディングスを介しての間接的なつながりにすぎないが、施設運用面において谷上駅のプラットホームを共有する関係は継続している。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

外部リンク

テンプレート:Sister

テンプレート:Navbox
  1. 国土交通省監修『数字で見る鉄道』(財団法人運輸政策研究機構)の2005年版では中小民鉄に分類されている。「準大手私鉄」も参照。
  2. 「鉄道免許状下付」『官報』1923年6月21日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  3. 『鉄道省鉄道統計資料. 大正13年度』(国立国会図書館近代デジタルライブラリー)
  4. 「地方鉄道運輸開始」『官報』1928年12月8日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  5. 「地方鉄道運輸開始」『官報』1928年12月26日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  6. 「鉄道敷設権譲渡許可」『官報』1936年11月14日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  7. 神戸高速線新開地駅については、神戸高速鉄道直営時代のデザインの駅名標が残存している。改札口寄りの一部は神鉄仕様に更新されたが、従来の外枠を流用しているため長方形のままとなっている。
  8. 小学館刊『JR・私鉄全線各駅停車 別巻2 大阪・神戸・京都・福岡の私鉄』174頁(ISBN4-09-395412-7) 1993年11月20日初版発行
  9. テンプレート:PDFlink - 神戸電鉄、2014年3月3日
  10. 神戸電鉄、4月から駅ナンバリング導入へ - レスポンス、2014年3月4日
  11. 1987年の鉄道事業法施行後に改造され、形式記号は省略された。
  12. テンプレート:PDFlink - 神戸電鉄、2014年3月4日
  13. 『乗って残したい・・・赤字ローカル線は今?II』インフォレスト、2011年
  14. 神戸電鉄「おでかけガイド」(2008年8月発行分)
  15. 交通系ICカード全国相互利用 - 神戸電鉄、2014年6月26日閲覧
  16. 券売機を大阪難波駅まで対応できるようにするか、あくまでも西九条駅より先は販売しないという方針にするかは不明。
  17. テンプレート:PDFlink - 神戸電鉄ニュースリリース、2010年3月10日。
  18. テンプレート:PDFlink - 神戸電鉄ニュースリリース、2010年3月10日。