桂文珍
テンプレート:Infobox お笑い芸人 桂 文珍(かつら ぶんちん、1948年12月10日 - )は、日本の上方噺家。本名、西田 勤。
兵庫県多紀郡篠山町(現:篠山市)福井出身。よしもとクリエイティブ・エージェンシー(吉本興業)所属。大芋小学校、東雲中学校(現:篠山東中学校)、篠山鳳鳴高校を経て、大阪産業大学卒。出囃子は『円馬ばやし』。「桂珍幻彩」の名で高座に上がることもある。
目次
来歴・人物
実家は農家。幼い頃はパイロットに憧れていたが、大学に入学してすぐに父が病気で倒れ、仕送りがストップし、ガソリンスタンドでの住み込みのアルバイトを余儀なくされる。大学生時代に落語に憧れ、落研で美憂亭 さろん(びゆうてい-、「ビューティーサロン」に由来)の芸名でテレビ出演をしており、その時に共演した桂三枝(現・6代桂文枝)の勧めもあって(当時三枝も売れっ子になっており、三枝は師匠の身の世話をする人物を探していた)、1969年10月に5代目桂文枝(入門当時は桂小文枝)に入門。当初三枝から「君は僕の次(2番弟子)やで」と言われていたが、文珍が入門する3日前に桂きん枝が入門したため、3番弟子となる(2002年にナゴヤドームで行われた講演会などでの発言)。ただし年齢はきん枝より上である(この入門時の経緯から、文珍はきん枝のことを「きん枝兄さん」ではなく、「きん枝くん」と呼ぶ)。同期に間寛平らがいる。
「文珍」の芸名は習字の「文鎮」に由来する。小文枝が物を書いていた時に、風で紙が飛ばされそうになったため、近くにいた西田に「おい、押さえとけ」と言った。言われるまま紙を押さえたところ小文枝がその様子を見て、珍しい人物なので、文鎮にかけた「文珍」と命名したという。
1974年に、「ヤングおー!おー!」のユニット「ザ・パンダ」(月亭八方・きん枝・4代目林家小染)に参加。若い頃は高座で「芸名桂文珍、本名滝廉太郎でございます」と名乗ったり郷里の篠山をネタにするなど、「丸眼鏡で地味な落語家」というイメージが強かったが、1980年代以降「ニューウェーブ落語」と称したパフォーマンスを取り入れた高座を開き、一躍新時代の落語家として注目を浴びる。また、司会者として兄弟子の三枝の様な軽快なMCが受け、一時期17本のレギュラーを持ち、小文枝一門の弟子では三枝についでのテレビ番組出演が多かった。しかし、雑誌で藤山寛美と対談した時に寛美から「レギュラー17本はしんどいですな。これからはそんなんが無くなっていくから気を付けなはれ」と言われ、原点の落語に重点を置いて行く。新作落語、古典落語の両方演じる。古典では3代目桂米朝から多くのネタを稽古付けて貰った。主な得意ネタとして、新作では自作の「老婆の休日」「ヘイ!マスター」「マニュアル時代」、古典では「愛宕山」「百年目」「胴乱の幸助」「不動坊」「天狗裁き」「地獄八景亡者戯」「はてなの茶碗」「らくだ」等がある。
また、文藝評論家谷沢永一との縁から、1988年より関西大学の文学部非常勤講師を務め(2003年まで)、「文化人」としても認められるようになった。
俳優として「家族ジャングル」で一ノ瀬清役を演じ、「風のハルカ」で四方山一行役を演じており、役者としての才能も開花している。
2005年3月に、「ウェークアップ!」(現:「ウェークアップ!ぷらす」)が終了したことを機に、テレビ番組にほとんど出演せず、落語家に専念し若手の育成に励むことを表明。
弟子は、桂楽珍(らくちん)、桂珍念(ちんねん)、桂文春(ぶんしゅん)、桂文五郎がいる、文春は2006年に急死。2005年頃から桂南光(米朝事務所所属)、笑福亭鶴瓶(松竹芸能所属)と所属事務所の垣根を越えたユニットを組んでテレビ番組の特番に出演したり、落語会の公演に出演するなど、従来の枠を超えた活動を始めている。
また、飛行機の操縦資格を持っており(1990年8月に自家用操縦士の技能証明、1994年4月には計器飛行証明を取得)、自身がオーナーの飛行機(ジャイロフルーク スピード・カナード SC01B-160、日本で1機のみ存在)を操縦し公演先まで遠方飛行するなど、多趣味、多彩な面を持つ。「飛行機を飛ばす芸能人」としても全国的に有名である。2003年能登空港開港の際第一号到着機になった。
1982年より毎年8月8日を「88文珍デー」と題して独演会を開催、2004年 同年より年に1回、桂南光、笑福亭鶴瓶との落語会「夢の三競演 三枚看板 大看板 金看板」を開催、落語会としては破格の6,000円を超える料金が話題となる。
2007年10月から全国52カ所を巡る独演会ツアーを来年4月4日まで開催。その後はNGKで10日間の独演会。ゲストに独演会ツアーでは六人の会のメンバー他に3代目桂春團治、笑福亭仁鶴、桂三枝、桂南光、NGKで10日間の独演会のゲストは今いくよ・くるよ、中田カウス・ボタン、他吉本の漫才師が出演した。以降毎年独演会ツアーを開催中。なお2009年からは京橋花月で所属一門、事務所の枠を超えた落語会「京橋精選落語会」を京橋花月でスタート。
数年前から明石家さんまを落語家に復帰させようとしているが、さんまは「あんたがやりなはれ!」と言い返している。
島田紳助とは番組共演中にトラブルを起こしたため、不仲であり、紳助の引退まで関係が修復されなかった。桂ざこばとも同様の理由で不仲になった時期もあったが、ざこばとはその後和解し、米團治の襲名口上での共演や、「ちちんぷいぷい」でも共演を果たしている。西川のりおとは、一時期共演したCMを巡って(KINCHO「どんと」で共演)のりおが「自分だけ残りよって、ええかげんにせえよ!」と嫉妬心を抱いていたが、あくまでもCM出演の契約が切れ、止むを得ずのりおが降板をすることになったので、犬猿の仲ではないが、それを逆手にネタにしていた。
甲斐よしひろからは「好きな落語家の一人」として挙げられており、かなり親交が深い。
大学時代のエピソードで、友人達と野球をやる為に歩いていたら、学生運動をしている学生達に遭遇し「野球なんかして遊んでる場合か」と絡まれたが、文珍が「俺は野球がやりたいんじゃ!!」と凄い剣幕で言い返して運動家達を茫然とさせた事がある。
出演作品
テレビ番組
- 森田一義アワー 笑っていいとも!(フジテレビ) - 1982年10月 - 1984年9月[1]、『美少年コンテスト』レギュラー
- ヤングおー!おー!(MBS)
- クロスワードクイズ・Theエイリアン(ABC) - 1981年2月 - 5月
- クイズMr.ロンリー(MBS) - 1982年 - 1987年
- おもしろサンデー(よみうりテレビ) - 1982年 - 1992年
- お笑いベストテン(テレビ東京) - 1982年
- おもしろクイズBOX(日本テレビ) - 1983年 - 1985年
- 文珍・頭の新体操(ABC) - 1984年10月 - 1985年9月
- わかるかな?ワールドジェスチャー(TBS) - 1984年
- パーティー野郎ぜ!(ABC) - 1985年4月 - 9月
- 日生スペシャル のぶ子マイウェイ(フジテレビ) - 1985年6月13日
- 家族ジャングル 一ノ瀬清役(日本テレビ) - 1985年7月 - 9月
- 文珍なぞなぞランド(ABC) - 1986年 - 1987年
- スター爆笑Q&A(よみうりテレビ) - 1986年 - 1992年
- クイズ地球まるかじり→文珍・ゆきえの地球まるかじり→食キングクイズ地球まるかじり(テレビ東京) - 1984年 - 1994年
- 独占スタージャック!(テレビ東京) - 1982年 - 1983年
- びっくり世界一(テレビ東京) - 1983年 - 1984年
- SHARPワールドクイズ・カンカンガク学(日本テレビ)
- イカにもスミにも(MBS) - 1987年 - 1991年
- 週刊文珍(日本テレビ) - 1989年
- MBS開局40周年記念特別番組「関西21世紀作戦 〜文珍のぐるぐるトーク〜」 -1990年9月
- 遊々!文珍クラブ(ABC)
- 文珍のシネマ倶楽部 解説担当(KBS京都)
- はなきんデータランド(テレビ朝日)- 1989年 - 1995年
- 中村敦夫のザ・サンデー(日本テレビ、初期レギュラーコメンテーター)- 1989年10月 - 1991年3月
- ウェークアップ!(よみうりテレビ) - 1991年4月 - 2004年度末(2005年3月)
- レインボー(MBS) - 1992年 - 1993年、水曜日
- 目玉とメガネ(よみうりテレビ)- 1994年 - 1996年
- クイズ日本人の質問→新・クイズ日本人の質問(オレンジのものしり博士)(NHK) - 1993年 - 2003年
- 思い出のメロディー(NHK、第26回司会)
- 裸の大将 第70話「清のデカンショ節 丹波篠山編」(関西テレビ) - 1994年10月9日
- NHK人間講座「文珍流落語への招待」2000年
- 春一番!笑売繁盛(毎日放送、毎年1月4日) - 例年大トリを務め、新作落語を披露している。
- もっともっと関西(NHK大阪放送局)(コメンテーター 木曜日)- 2006年 -
- 世界ふれあい街歩き(NHK)不定期(ナレーション)
- 鶴瓶・南光・文珍と
- 文珍の歴史なんなんだ(東海テレビ)
- かごしま24(南日本放送- 2010年1月29日:桂楽珍とVTR出演)
- 課外授業 ようこそ先輩(NHK - 2001年1月7日)
- かんさい特集「関西鉄道すごろくクイズ」(NHK大阪放送局、2010年11月5日)総合司会
- 桂三枝のすべて~六代桂文枝襲名~(2012年7月29日、NHK-BSプレミアム)
テレビドラマ
- 風のハルカ(2005年、NHK朝の連続テレビ小説) - 四方山一行 役
- 居酒屋もへじ(2011年、TBS) - 三郎 役
- 居酒屋もへじ2〜あなたとわたし〜(2013年、TBS) - 三郎 役
- 桜ほうさら(2014年、NHK) - 古橋 宗左右衛門 役
映画
テレビアニメ
- おじゃる丸(NHK) - 雪だるま 役
ゲーム
- さんまの名探偵(1987年)
ラジオ
- 日本列島ズバリリクエスト (近畿放送、現:京都放送) キャッチコピーは「まん丸眼鏡に刈り上げ頭、働く農協青年」。
- ハイヤングKYOTO(KBS京都)
- MBSヤングタウン(MBSラジオ)
- 文珍のアクセス塾(MBSラジオ)
- 文珍のHitbitタッチ(TBSラジオ)
- 文珍のおもしろラジオ(ABCラジオ)
CM
- シャープ MZシリーズ
- 大日本除虫菊(金鳥) どんと(「ちゃっぷい ちゃっぷい どんとぽっちぃ」西川のりおと共演。流行語にもなった)
- テレビ大阪 開局告知(キー局のテレビ東京と過去にネットを組んでいた毎日放送で開局の半年前に放映。UHFアンテナの設置を促す内容だった)
- 大阪ガス
- 日本生命
- コクヨ くるくるメカ※横山やすしの後任
- 一正蒲鉾
- コーセー
- ロート製薬 新パンシロン(電車編)
- マルサンアイ 調整豆乳
- 日本ポラロイド
- ゼリア新薬工業 ゼリアス
- ライオン ルック
受賞歴
- 咲くやこの花賞(1983年、大衆芸能部門【落語】)
- 上方お笑い大賞(1981年、第10回・金賞)
- 上方お笑い大賞(1983年、第12回・大賞)
- 花王名人大賞(1983年、第3回・最優秀新人賞)
- 花王名人大賞(1984年、第4回・最優秀名人賞)
- 花王名人大賞(1985年、第5回・名人賞)
- 日本放送演芸大賞(1984年、第12回・奨励賞)
- 芸術選奨文部科学大臣賞(2009年)
- 紫綬褒章(2010年)
CD・DVD
- 桂文珍 10夜連続独演会(DVDBOX、2008年)
- 桂文珍「朝日名人会」ライヴシリーズ(CD、全20枚)
著作
- 文珍流・落語への招待
- 落語的学問のすすめ(1989年)
- 落語的学問のすすめPARTⅡ(1990年)
- 新落語的学問のすすめ(2000年)
- 日本の大学―この国の若者は、こんなんでっせ(1990年)
- 科学する十二の扉(1992年)
- 日本のサラリーマン(1992年)
- 文珍の日本史人物高座(1992年)
- 文珍でえっせー(2000年)
- 対談集 浪花友あれ(1990年)
脚注
- ↑ 1983年12月1日のテレフォンショッキングの開始直後、ゲスト出演前のタモリ単独のトーク中に不審者が乱入するという事態が発生。不審者はスタッフによって即刻つまみ出されたが、その直後に騒然とする会場へ不審者と同じように予告無く現れたのはセーター姿の文珍であり、「番組を続けて続けて」とおどけて引っ込んだ。その後当日のゲスト佳山明生が何事も無かったかのように登場した。