山田町
山田町(やまだまち)は、日本の岩手県沿岸中部に所在する、太平洋に面する町。
中心的産業はリアス式海岸を利用した養殖を中心とする漁業であるが、山間部を中心に中小工場が稼働している。
地理
太平洋に面した町で、リアス式海岸である船越湾の北部と、船越半島、山田湾で海岸に面している。関口川や織笠川が山田湾に注ぎ、関口川河口のやや南に山田港があり、周辺に駅や役場、病院などが集中する。町の西端は高滝森で、西部一帯は、津軽石川の上流部の流域となっている。
テンプレート:Anchor2011年(平成23年)3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)では、地殻変動によって当地域の地盤が東南東へ25cmずれたことが、GPS(全地球測位システム)を用いた国土地理院測地観測センターによる分析の結果、明らかとなった。[1]
- 山地 :高滝森(たかだきもり)、十二神山(じゅうにしんざん)、霞露ヶ岳(かろがだけ)
- 川・水系 :津軽石川(つがるいしかわ)、関口川(せきぐちかわ)、織笠川(おりかさかわ)
- 湾・海岸 :船越湾、山田湾
隣接する市町村
- cf. 岩手県の市町村全図 :≪外部リンク≫ テンプレート:Cite web
歴史
沢田地区の遺跡からは、縄文時代前期(約6000年前)の集落跡が発見されている。房の沢遺跡の古墳からは、蝦夷の首長の副葬品と思われる蕨手刀と直刀が出土している。中世になると安倍氏や奥州藤原氏の勢力下となる。
鎌倉時代から室町時代には、国府などへ軍馬を提供するための公的な牧場が置かれ、閉伊氏や福士氏の一族が管理した。南部氏が領内統一し盛岡藩の成立後は、大槌代官所の管轄となる。江戸時代前期にはオランダ船が漂着するブレスケンス号事件が起きる。
太平洋戦争中は大日本帝国海軍航空隊の山田湾基地が置かれたが、終戦間際に米軍による攻撃を受けた。終戦後は米軍基地を経て航空自衛隊の山田分屯基地が置かれた。
2011年3月11日の東日本大震災により町は大津波と猛火に包まれ、JR陸中山田駅も焼失するなど、高台の一部を残し町内は壊滅的被害を受けた。
年表
- 1935年(昭和10年)11月17日:国鉄(JRの前身)山田線の豊間根駅と陸中山田駅が開業。
- 1936年(昭和11年)11月10日:国鉄山田線の織笠駅と岩手船越駅が開業。
- 1980年(昭和55年)7月17日:山田町(旧・山田町)出身の鈴木善幸が第70代内閣総理大臣に就任。
- 1983年(昭和58年)3月10日:国鉄山田線の織笠駅が無人駅となる。
- 1985年(昭和60年)10月20日:山田町が千葉県の山田町(現・香取市域)と姉妹都市提携。
- 1990年(平成2年)8月2日:山田町が青森県の平賀町(現・平川市域)と友好親善都市提携。
- 1999年(平成11年)5月:国道45号上に道の駅やまだが開業。
- 2000年(平成12年)5月13日:ザイスト市(en。オランダ、ユトレヒト州)と友好都市提携。
- 2002年(平成14年):三陸自動車道の山田道路が開通。
- 2002年(平成14年)8月2日:山田道路の山田南インターチェンジと山田インターチェンジが開業。
- 2003年(平成15年)8月31日:上山田町(長野県更級郡、現・千曲市)との姉妹都市提携を解消。
東日本大震災後
- テンプレート:Anchor2011年(平成23年)3月11日 :マグニチュード9.0の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)が発生し、山田町は震度5弱(観測地点:八幡町地区)を記録した[2]。さらにこの地震が引き起こした大津波によって町は壊滅状態となった。[3][4]
- 町域の地盤は東南東へ25cmずれた (#)。
- 町域にあるJR東日本(山田線)の駅のうち、陸中山田駅と織笠駅は、周辺地域の駅同様、駅舎などが流失あるいは焼失し、線路にも多大な被害が出た[5]。
- 3月17日 :IBC岩手放送(在・盛岡市)が、被災して難聴エリアとなっていた山田町と大槌町の一部地域に対応するため、山田町に臨時FM放送局「IBCやまださいがいエフエム」を開局[6]。
- 5月31日 :長期ボランティアに入っている茶人・為公史が、自分のトラックに搭載した移動茶室を用いて、山田町から他地域への情報発信を目的とした、インターネット放送局「光の茶会」を開局。Ustreamで20:00-21:00に毎晩、定時放送を行っているほか、昼間、解説つきで復興状況を詳しく報告している。山田町からの数少ない情報発信手段である。
行政区域の変遷(市町村制施行以後)
- 1889年(明治22年)4月1日:東閉伊郡内で町村制が施行される。[注 2]
- 1896年(明治29年)3月29日:東閉伊郡・北閉伊郡・中閉伊郡が合併し、下閉伊郡となる。
- 1955年(昭和30年)3月1日:山田町・船越村・織笠村・大沢村・豊間根村が合併し、新たに山田町となる。
行政
姉妹都市・友好都市
- 日本国内
かつて姉妹都市提携を結んでいた町
経済
漁業が中心的産業であるが、かつての勢いはなく、そのため、町の人口も漸減傾向にある。
山田道路の完成など自動車交通は充実するいっぽうで郊外化も進行しており、中心市街地は集客力を失い、衰退傾向が見て取れる。隣の宮古市・大槌町のような大型商業施設と呼べるものはないが、主に大沢地区に郊外型の店舗が集積するようになってきており、しまむらのような全国チェーンの進出も見られる。
漁業以外では、製造業の工場が、宮古市に隣接する豊間根地区にいくつか立地する。釜石市寄りの織笠・船越地区は目立った産業はないが、山と海に囲まれた自然豊かなロケーションを生かし、観光客向けの外食店や道の駅が営業している。
経済は退潮傾向にあるが、市町村合併の機運は小さい。北隣の宮古市は地理的距離があるうえ、宮古の経済も大きくないことから、依存度は総じて低い。南隣の大槌町は釜石市と緊密さを強めており、こちらも山田との関係性は薄い。
※以上、東日本大震災被災以前の状況。
産業
水産業
郵便局
- 山田郵便局(集配局)(津波被災によりプレハブ仮局舎営業)
- 豊間根郵便局
- 船越郵便局
- 織笠郵便局(津波被災閉鎖中)
- 岩手大沢簡易郵便局(津波被災閉鎖中)
- 大浦簡易郵便局
- 田の浜簡易郵便局(津波被災によりプレハブ仮局舎営業)
地域
人口
教育機関
幼稚園
小学校
- 山田町立山田南小学校
- 平成22年度の児童数は304名。2011年(平成23年)3月11日の東北地方太平洋沖地震では高台にある学校は津波の被害を免れた[7]。
- 山田町立山田北小学校
- 山田町立大沢小学校
- 山田町立大浦小学校
- 山田町立織笠小学校
- 山田町立船越小学校
- 山田町立轟木小学校
- 山田町立荒川小学校
- 山田町立豊間根小学校
中学校
- 山田町立山田中学校
- 山田町立豊間根中学校
高等学校
交通
鉄道
路線バス
- 岩手県北バス
- 夜行高速バス
- ※2011年12月より両路線ともに運行を開始した。
道路
高速道路
一般国道自動車専用道路
一般国道
県道
主要地方道
一般県道
名所・旧跡・観光
- 山田町船越地区にある博物館。学術的にも価値の高い世界最大級のマッコウクジラの骨格標本(体長17.6m)[8]を始めとして、主に様々な鯨の骨格標本を中心に、海洋の仕組みや海洋生物を展示している。
- 2011年(平成23年)3月11日の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)では津波の被害を受け、3階建ての建物の最上階(約5m)まで海水や泥が流れ込んだ。1階の展示室にあった世界最大級のマッコウクジラの骨格標本などは海水に浸かったものの、無事であった。[9][8]
出身著名人
- 明治生まれ
- 昭和生まれ
- 前田花英介 :元・十両力士。1940年(昭和15年)生まれ。
- 瀬川設男 :元・プロボクサー(元・ボクシング日本バンタム級・スーパーバンタム級チャンピオン)。1968年(昭和43年)生まれ。
- kaito:ヴィジュアル系ロックバンドWizardのボーカル。1980年(昭和55年)生まれ。
脚注
出典
外部リンク
- テンプレート:Cite web
- テンプレート:Cite web山田町観光協会公式サイト、観光情報、公式ブログあり。
- テンプレート:Cite web道の駅やまだ公式サイト、公式ブログあり。
- テンプレート:Cite web生活支援情報まとめサイト。
- テンプレート:Cite web山田町復興支援情報サイト。
- テンプレート:Cite web山田町震災情報サイト。
- 国土地理院、地形図閲覧システム
- テンプレート:Cite web
- ↑ 震災後も地殻変動続く 岩手・山田町で25センチ 朝日新聞社 2011年3月20日
- ↑ テンプレート:Cite web
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- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ 8.0 8.1 津波乗り越えたクジラの標本「復興の象徴」 岩手・山田 asahi.com(ウェブサイト)朝日新聞社 2011年4月11日
- ↑ 鯨と海の科学館 再開目指す NHKニュース(ウェブサイト)NHK 2011年4月11日
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