北九州市民球場
テンプレート:野球場情報ボックス 北九州市民球場(きたきゅうしゅうしみんきゅうじょう)は、福岡県北九州市小倉北区の三萩野公園内にある野球場。施設は北九州市が所有し、北九州野球株式会社が指定管理者として運営管理を行っている。日本プロ野球福岡ソフトバンクホークスの準本拠地球場であり、横浜DeNAベイスターズや読売ジャイアンツ二軍なども定期的に公式戦を開催している。
歴史
1950年代の小倉市内には小倉豊楽園球場があり、西鉄ライオンズ(現埼玉西武ライオンズ)を中心にプロ野球の試合が年間10試合前後開催されていたが、国鉄小倉駅の移転により取り壊しが決まったため、豊楽園に代わる新しい球場として建設され、1958年4月5日に開場した。当時の正式名称は小倉市営野球場(こくらしえいやきゅうじょう)、通称は小倉球場であった。こけら落としは西鉄ライオンズ対阪急ブレーブス1回戦。同年春は平和台野球場が改装工事を行っていたため、これが西鉄の開幕戦となった。試合は7-2で西鉄が勝った。また球場初本塁打は4月7日の同カードで、西鉄・仰木彬が阪急・梶本隆夫から放った。
1963年、合併による北九州市発足に伴い北九州市営小倉野球場(きたきゅうしゅうしえいこくらやきゅうじょう)に改称。その後も長らくライオンズの準本拠球場として年間最大で20試合近くを開催してきた。特に1965年は西鉄主管70試合(当時ペナントレースは140試合制)を当球場と平和台球場で35試合ずつ分け合って開催したことがある(野球協約では、専用球場で主管試合の半数以上開催することが義務付けられている)。しかし1973年にライオンズが福岡野球(太平洋クラブ→クラウンライター)に譲渡されて以後は経費削減の一環でそれまで20試合以上開催していた小倉での試合が5-8試合と大幅に削減された。
1978年秋、ライオンズは埼玉県に本拠地を移転し福岡を去った。この影響でプロ野球公式戦の開催数が激減したが、1988年秋にダイエーが南海ホークスを買収し、福岡に本拠地を移転する旨を発表。これを受けて北九州市は小倉球場を大規模改修し、翌1989年から球場名も現名称に改称した。同年以降、福岡ダイエーホークス(現福岡ソフトバンクホークス)が準本拠地として年間5試合前後の主催公式戦を開催してきた。
しかし、親会社のダイエーの経営再建に際し、2003年12月に福岡ドームおよびその興行権がコロニー・キャピタルに売却され、スタンドの収容人員が少ないことなどから主催試合の地方球場開催が減少。2004年シーズンとソフトバンクホークス元年の2005年シーズンは、当球場でのホークス主催試合は年間1試合に減少した。
2005年11月、球場の管理・運営を行ってきた北九州野球株式会社が市から球場の指定管理者に指定され、公式戦の誘致を積極的に行ったことから、2006年シーズンは公式戦の開催数が3試合に増加した。一軍公式戦はほとんどがソフトバンク主催で行われている(2-3連戦のうちの1試合を割り当てる。大抵は平日3連戦の中日・水曜の試合が多い)が、二軍では読売ジャイアンツ・横浜DeNAベイスターズがイースタン公式戦、ソフトバンクがウエスタン公式戦をそれぞれ年間1試合開催している。
また、近年下関市を一軍旧本拠地に、北九州市を二軍の旧本拠地にしていた横浜DeNAベイスターズが毎年オープン戦や公式戦を開催している。2008年と2012年には公式戦(交流戦)・ソフトバンク戦を1試合ベイスターズ主管で開催したことがあった。2011年もオープン戦にて同様のカードが開催された。
アマチュア野球では、全国高等学校野球選手権大会・福岡予選の県大会が2年に1回当球場でおこなわれている。これは1997年まで当球場と平和台野球場を隔年で使用していたが、平和台球場が老朽化と遺跡の発掘調査などのために閉鎖されたため、1998年からは当球場・大牟田市延命球場・春日公園野球場・久留米市野球場の4球場で受け持っている(南北各地区の年毎持ち回り制であるため、北部地区唯一の開催球場である北九州市民球場では2年に1回行われる)。
他に九州六大学野球連盟のリーグ戦など大学野球の試合にも利用される。
1990年代後半には、小倉南区長野(長野城址付近・現在長野緑地として整備されている)に新たな野球場・陸上競技場を整備する計画があり、着工に向けた準備も進められていたが、文化財保護団体の反対等により[1]計画は事実上撤回された。
2008年と2009年は、四国・九州アイランドリーグの福岡レッドワーブラーズが主催試合の一部を開催した。
施設
球場の造りはかつての平和台野球場と類似している箇所が多い。また、球場に隣接するマンションなどからも試合を観戦することができる。
広告看板もある。クラウンライター撤退後は大幅に減少し、一時期はフェンス・スタンドとも広告看板なしとなったが、1989年のダイエーが進出後広告看板が設置(スタンド広告文字は当時の平和台と同じように青緑色で統一)されたことがあった。現在スタンド看板はライトスタンドの1枚程度だけで、他の広告はフェンス看板のみである。ただし、年に数試合行うソフトバンク主管試合では外野スタンドなどにイオン(スーパー)の広告が掲げられることがある。 通常、ソフトバンク主管試合では、ホームのソフトバンクが1塁側ベンチ、ビジター(アウェイ)は3塁側ベンチを使用する。ただ、横浜が主管試合でソフトバンクと対戦した際には、3塁側ベンチを使用した(詳しくは後述)。 球状が狭くホームランの出やすい球場として有名だが、2014年シーズンよりフェンスの高さが3.2mから5.2mになる。
施設概要
- グラウンド面積:12,320m²
- 両翼:92m、中堅:119m
- 収容人員:18,760人(内野 11,760人 外野 7,000人)
- 照明:6基(バッテリー間 4,200Lx 内野 3,700Lx 外野2,600Lx )
- スコアボード:電光式(選手名表示部分で簡単なメッセージを表示できる。)
主なエピソード
- 1966年11月14日に行われた日米野球・読売ジャイアンツ対ロサンゼルス・ドジャース戦で王貞治は3ランホームランを放ったが、前の走者(柴田勲)を追い越してしまった為、アウトとなりホームランは取り消された。
- 1981年4月22日に行われた巨人対大洋ホエールズの公式戦で、新人の原辰徳が大洋の遠藤一彦からサヨナラホームランを放つ(これは原自身初のサヨナラ弾となる)。試合終了後、興奮した大量のファンが乱入した。
- 1998年3月28日に行われた広島東洋カープ対福岡ダイエーホークスのオープン戦では、広島・大野豊、ダイエー工藤公康の両エースの先発だったが、内之倉隆志の本塁打などで、広島は4-9と惨敗した。また、北九州初の広島主催試合である。
- 2000年8月18日に行われた福岡ダイエーホークス対千葉ロッテマリーンズ19回戦の5回裏、ダイエー・秋山幸二がロッテ先発・黒木知宏から左前安打を放ち、プロ野球28人目の通算2000本安打を達成した。奇しくもこの試合はプロ生活20年目を迎えた秋山の、通算2000試合目の出場試合。2000試合出場と2000本安打を同時に達成したのは日本プロ野球史上初めてのことだった。
- 2001年5月3日に行われたイースタン・リーグ公式戦、読売ジャイアンツ対西武ライオンズでは、佐々木明義二塁手が隠し球に成功したほか、本塁打を打つなど大活躍。また、投手である三澤興一が本塁打を打つなど二軍戦としては珍しくエピソードが多い試合となった。試合自体は、三井浩二の好投で西武が3-2で勝利を収めた。
- 2004年6月2日に行われた福岡ダイエーホークス対千葉ロッテマリーンズでは、黒木知宏が1061日ぶりの勝利を飾る。15-5でロッテが快勝する。
- 2007年3月5日に行われた横浜ベイスターズ対読売ジャイアンツのオープン戦で、同年巨人から横浜に移籍した仁志敏久が古巣・巨人と初顔合わせで、1番・二塁で出場。初回に三塁打を放つ。他にも、地元福岡県出身の吉村裕基がタイムリーを放ったり、フリーエージェントで横浜から巨人へ移籍した門倉健の好投、同じくトレードで横浜から巨人へ移籍した小田嶋正邦が7番・三塁で出場、ソフトバンクからトレードで巨人へ移籍した大道典嘉が6番・DHで九州に凱旋するなど話題が絶えない試合となった。結果は、3-2で横浜が巨人を下した。
- 2007年7月11日に行われたソフトバンク対東北楽天ゴールデンイーグルス戦でソフトバンク先発・新垣渚が暴投を1つ記録し、1998年にヤクルトスワローズ・石井一久が樹立したシーズン最多暴投のプロ野球記録20に並んだ。その後新垣はプロ野球ワースト記録となるシーズン25暴投を記録している。
- 2008年4月2日に行われたソフトバンク対北海道日本ハムファイターズ戦では、大隣憲司が6回2/3、までノーヒットピッチングでプロ入り初完封でソフトバンクが9-0で勝利。一方の日本ハムは、5年ぶりの北九州での公式戦も、地元・福岡県出身の吉川光夫が多村仁の3ランなどで4回途中で降板するなどいいところがなかった。また、試合終了後、ファンが大量にグラウンドに乱入した。
- 2008年5月29日の横浜ベイスターズ対ソフトバンク戦では、大隣憲司がレフト線へ本塁打を放った。前日には新大分球場でリック・ガトームソンが本塁打を放っており、2試合連続でパ・リーグの同一チームの投手が本塁打を放つのは史上初のこと。この試合は、元々当地を2軍の初代の本拠地としていたベイスターズの主催試合となったため、同球場を含む福岡県内を本来の保護区域としているホークスは、この日に限りビジターになった。
- 2009年5月13日のソフトバンク対ロッテ戦では福浦和也の今季初本塁打などでロッテが7-0と快勝。大嶺祐太がプロ初完投・初完封を達成し、ボビー・バレンタイン監督への良い誕生日プレゼントとなった。
- ホークス(かつてはジャイアンツ)の公式戦が終了するとその直後から、勝ち負けに関係なく、一部のファンがグラウンドに乱入し、警備員と追いかけっこになる光景が見られた。このため、2006年からは、場内アナウンスや球場内のポスターで「ファンがグラウンドに乱入すると、二度と開催出来なくなる可能性があるため、おやめください」と告知されていた。
- 2011年4月13日、開幕カードの九州シリーズである、巨人対東京ヤクルトスワローズの2回戦がナイターで開催。巨人主催の北九州での公式戦は1991年5月16日の対横浜大洋ホエールズ戦以来20年ぶり。試合はラミレス外野手と高橋由伸外野手の2本の本塁打などで3-0で巨人が勝利し、1975年からの北九州での公式戦の連勝を『11』に更新している。
- 2011年10月には社会人野球日本選手権大会(開催されれば第38回)を行う予定だったが東日本大震災のため中止となった。
- これは2010年からの同大会改革により、第1ステージ(1回戦)をこれまでの大阪ドーム(京セラドーム大阪)の1箇所ではなく、全国4-5箇所に分割して開催するというもので、2010年に使用された倉敷マスカットスタジアムに代わって、香川県営球場(レクザムスタジアム)とともに機能を移転して行うというものだった。
- 2012年から日本選手権は第1ステージも全部京セラドーム単一開催に戻すため、北九州では1試合も開催されないまま分割開催廃止となった。
近年の開催実績
- 一軍公式戦
- 2001年4月18日 ダイエー対ロッテ 10-3
- 2001年5月22日 ダイエー対日本ハム 9-3
- 2001年6月27日 ダイエー対オリックス 2-10
- 2001年7月29日 ダイエー対近鉄 3-6
- 2001年8月13日 ダイエー対西武 9-8
- 2002年4月2日 ダイエー対ロッテ 10-0
- 2002年4月26日 ダイエー対オリックス 2-5
- 2002年5月28日 ダイエー対西武 8-1
- 2002年8月27日 ダイエー対日本ハム 17-7
- 2003年4月8日 ダイエー対西武 4-6
- 2003年4月9日 ダイエー対西武 8-0
- 2003年4月22日 ダイエー対日本ハム 12-2
- 2004年6月2日 ダイエー対ロッテ 5-15
- 2005年4月19日 ソフトバンク対オリックス 12-0 観客:15,960人
- 2006年3月29日 ソフトバンク対西武 4-13 観客:14,245人
- 2006年6月28日 ソフトバンク対オリックス 7x-6 観客:18,326人
- 2007年4月19日 ソフトバンク対ロッテ 5-9 観客:18,312人
- 2007年7月11日 ソフトバンク対楽天 10-11 観客:18,327人
- 2008年4月2日 ソフトバンク対日本ハム 9-0 観客:17,721人
- 2008年5月29日 横浜対ソフトバンク 5-6 観客:17,186人
- 2008年6月27日 ソフトバンク対楽天 3-2 観客:17,889人
- 2009年5月13日 ソフトバンク対ロッテ 0-7 観客:16,242人
- 2010年4月21日 ソフトバンク対西武 7-1 観客:16,746人
- 2010年6月23日 ソフトバンク対日本ハム 3-9 観客:17,763人
- 2011年4月13日 巨人対東京ヤクルト 3-0 観客:14,600人
- 2011年4月20日 ソフトバンク対楽天 10-3 観客:15,711人
- 2011年8月31日 ソフトバンク対オリックス 7-12 観客:19,214人
- 2012年4月11日 ソフトバンク対日本ハム 0-14 観客:16,546人
- 2012年5月31日 横浜対ソフトバンク 2-2 観客:10,310人
- 2013年4月10日 ソフトバンク対オリックス 2-4 観客:17,131人
- 2013年7月24日 ソフトバンク対楽天 4-9 観客:20,851人
- 2014年5月9日 ソフトバンク対西武 4-6 観客:18,383人
- 2014年7月22日 ソフトバンク対ロッテ 3-4 観客:21,005人
- オープン戦
- 1998年3月4日 ダイエー対オリックス
- 1998年3月7日 巨人対近鉄 3-3 観客:18,000人
- 1998年3月28日 広島対ダイエー 4-9
- 1999年3月4日 ダイエー対オリックス
- 1999年3月7日 巨人対日本ハム 5-6 観客:17,000人
- 2001年3月12日 ダイエー対広島
- 2002年3月10日 ダイエー対広島
- 2006年3月4日 横浜対中日 2-2 観客:6,748人
- 2007年3月5日 横浜対巨人 3-2 観客:4,486人
- 2011年3月10日 横浜対ソフトバンク 2-4 観客:4,310人
- 二軍公式戦
- 1998年5月3日 巨人対西武 5-4
- 1998年7月5日 ダイエー対中日 2-9
- 1999年5月3日 巨人対ヤクルト 4-3
- 2000年5月5日 巨人対ヤクルト 2-7
- 2000年7月2日 ダイエー対広島 0-3
- 2001年5月3日 巨人対西武 2-3
- 2001年6月3日 ダイエー対中日 6-0
- 2002年5月3日 巨人対ヤクルト 1-1
- 2003年5月5日 巨人対西武 1-4
- 2004年5月2日 巨人対西武 2-4
- 2005年8月28日 巨人対インボイス(西武二軍)12-2
- 2006年5月28日 ソフトバンク対巨人 6-2
- 2007年6月17日 湘南(横浜二軍)対ソフトバンク 5-4
- 2007年7月29日 ソフトバンク対中日 11-1
- 2009年7月18日 ソフトバンク対広島 3-2
- 2010年7月31日 ソフトバンク対広島 13-0
- 2011年8月12日 ソフトバンク対阪神 6-3 観客:3,828人
- 2012年7月31日 ソフトバンク対広島 4-12 観客:1,605人
- 2013年7月30日 ソフトバンク対巨人 10-6 観客:2,516人
交通
北九州野球
北九州野球株式会社は、地元企業47社の出資によって運営されている企業。以前から北九州市の委託を受けてプロ公式戦の興行や球場内レストランの運営など施設管理を行ってきた。
2005年11月に三萩野公園内の北九州市民球場・三萩野球場・三萩野少年野球場の3施設に指定管理者制度が導入された際、翌2006年4月からの3年契約で指定管理者に指定された。その後、2009年4月1日から2014年3月31日まで[2]の、北九州市民球場および三萩野球場[3]の指定管理者にも指定されている。