宇野内閣
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概要
リクルート事件の責任を取って竹下登首相が辞任し、前の竹下内閣改造内閣は退陣した。間近に主要国首脳会議(サミット)を控えて、早急に次期総理総裁を決めなければならない中、自由民主党の有力者が軒並みリクルート事件に絡んでいたため、身動きがとれなくなっていた。そこで、竹下内閣改造内閣の外務大臣で、リクルート事件と関係も薄い宇野宗佑が、急遽自民党総裁に抜擢されて首相に就任し、組まれたのが宇野内閣である。閣僚には、リクルート事件と関係の薄い人を優先的に登用することで、世論のイメージアップも図られた。
しかし、就任間もない宇野首相自身に週刊誌報道による女性問題が発覚してしまう。この「首相の女性問題」に、先の「リクルート事件」、「消費税導入」の3点セットにより、同年7月に行われた第15回参議院議員通常選挙で、自由民主党は獲得議席数36議席と過半数を割り込み、結党以来の惨敗を喫した。
この責任を取って参議院選挙投票日翌朝に宇野は退陣を表明。翌月には海部俊樹が後継総裁に選出され、宇野内閣は僅か在任期間69日間の短命内閣に終わった。
この宇野宗佑内閣時代のトピックスとしては、
- 中国の北京で天安門事件が発生(6月4日)
- ビルマ連邦がミャンマーに国名を変更(6月18日)
- 美空ひばりに没後国民栄誉賞を授与(7月6日)
- 東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件容疑者の逮捕(7月23日に別件逮捕、その後本件で再逮捕)
が挙げられる。
大臣
- 内閣総理大臣 - 宇野宗佑
- 法務大臣 - 谷川和穂
- 外務大臣 - 三塚博
- 大蔵大臣 - 村山達雄
- 文部大臣 - 西岡武夫
- 厚生大臣 - 小泉純一郎
- 農林水産大臣 - 堀之内久男
- 通商産業大臣 - 梶山静六
- 運輸大臣 - 山村新治郎
- 郵政大臣 - 村岡兼造
- 労働大臣 - 堀内光雄
- 建設大臣 - 野田毅
- 自治大臣、国家公安委員会委員長 - 坂野重信
- 内閣官房長官 - 塩川正十郎
- 総務庁長官 - 池田行彦
- 北海道開発庁長官、沖縄開発庁長官 - 井上吉夫
- 防衛庁長官 - 山崎拓
- 経済企画庁長官 - 越智通雄
- 科学技術庁長官 - 中村喜四郎
- 環境庁長官 - 山崎竜男
- 国土庁長官 - 野中英二
政務次官
前内閣の政務次官が9名留任した。
- 法務政務次官 - 添田増太郎(留任)
- 外務政務次官 - 田中直紀
- 大蔵政務次官 - 吉村真事(留任)・高村正彦
- 文部政務次官 - 町村信孝
- 厚生政務次官 - 近岡理一郎
- 農林水産政務次官 - 水谷力(留任)・中川昭一
- 通商産業政務次官 - 出口広光(留任)・甘利明
- 運輸政務次官 - 森田一
- 郵政政務次官 - 月原茂皓
- 労働政務次官 - 宮島滉(留任)
- 建設政務次官 – 木村守男
- 自治政務次官 - 長野祐也
- 総務政務次官 - 若林正俊
- 北海道開発政務次官 - 工藤万砂美(留任)
- 防衛政務次官 - 鈴木宗男
- 経済企画政務次官 - 平林鴻三
- 科学技術政務次官 - 吉川芳男(留任)
- 環境政務次官 - 石井一二(留任)
- 沖縄開発政務次官 - 寺内弘子(留任)
- 国土政務次官 - 自見庄三郎
その他
- 宇野が中曽根派であったこと、総辞職した竹下内閣で外務大臣を務めていたことから、日本共産党の国会議員から「中曽根亜流竹下リモコン内閣」と評された。
- 辞任会見での「明鏡止水の心境であります」の一節は、当時流行語になった。
- 在任期間69日は東久邇宮内閣、第3次桂内閣、羽田内閣、石橋内閣に次ぐ史上5番目の短命である(2012年4月現在)。
- 宇野内閣から閣僚の妻子を含む資産公開が行われるようになった。これは、リクルート事件に絡み、リクルートの未公開株の名義が政治家の妻子となっていた事例が存在したことが影響している。