学校職員の種類
学校職員の種類(がっこうしょくいんのしゅるい)においては、学校職員の種類について解説する。
目次
- 1 職位
- 1.1 総長
- 1.2 校長(学校長)・園長・学長
- 1.3 副校長・副園長・副学長
- 1.4 学部長・短期大学部長・研究科長(高等教育のみ)
- 1.5 学科長・課程長・専攻長(高等教育のみ)
- 1.6 教頭(高等教育を除く)
- 1.7 主任・主事(就学前教育から高等教育に共通)
- 1.8 教員(一般的な教員)
- 1.9 養護教諭・養護助教諭
- 1.10 養護職員・保健職員・医務職員
- 1.11 栄養教諭
- 1.12 学校栄養職員
- 1.13 学校医
- 1.14 学校歯科医
- 1.15 学校薬剤師
- 1.16 スクールカウンセラー・スクールアドバイザー
- 1.17 事務職員・学校事務職員・大学事務職員
- 1.18 技術職員
- 1.19 学校用務員
- 1.20 司書・司書補・学校司書・司書助手
- 1.21 調理師・調理員
- 1.22 寄宿舎指導員
- 2 関連項目
職位
総長
- 〔法令に規定がない職〕
総長とは、複数の学校(大学や高等学校など)や、複数の学校の設置者(学校法人等)が、連合体をなす場合におかれることがある。総長の職務は、各「学校の設置者」や、各「学校法人等のグループ」によって異なっている。 多くの場合、設置者のトップである学校法人の理事長職が就く。会社に例えれば、総長が会長または社長といった経営トップ、学長や校長は事業所長や工場長など現業機関の長となる。
なお、国立大学法人法においては国立大学法人の役員の長は学長であり、後述の学長の職務を行うとされているが、旧帝国大学における学長は、慣例から総長と自称している。しかし、公式の文書ではあくまで「学長」であり、「総長」という名詞は公文書には存在しない。
校長(学校長)・園長・学長
- 〔学校教育法が規定する職〕
- 〔大学および幼稚園を除く学校→校長、幼稚園→園長、大学→学長〕
校長(こうちょう)、園長(えんちょう)、学長(がくちょう)ともに学校・幼稚園・大学におかれる最上位の職員である。いずれも必置とされている。
校長とは、学校が行う業務(校務)をつかさどり、学校に所属する職員を監督する職員のことである。学校長とも呼称されることもあり、通常、職名は校長であるが、大学や短期大学では学長、幼稚園では園長という。なお、校長等を教員の一種とする用法もあるがあまり用いられてはいない[1]。
なお、学長は、高等教育における教員の最上位の職階となっている教授、もしくは専任の事務職員の中から選ばれることが多い。
副校長・副園長・副学長
- 〔学校教育法が規定する職〕
- 〔大学および幼稚園を除く学校→副校長、幼稚園→副園長、大学→副学長〕
- 〔注: 高等専門学校の副校長については、法令に規定なし。〕
副校長(ふくこうちょう)・副園長(ふくえんちょう)は、校長・園長を助け、命を受けて校務・園務をつかさどる学校職員である。教員の一種として考えられることもある。 なお、職位上は後述の教頭であっても、対外的に副校長と称している学校もある[2]。
副学長(ふくがくちょう)は、大学における学長の職務を助ける大学教員である。副学長は、学長と同じく、高等教育における教員の最上位の職階となっている教授もしくは専任の事務職員の中から学長によって選ばれる。
学部長・短期大学部長・研究科長(高等教育のみ)
- 〔研究科長を除いて学校教育法が規定する職、研究科長については法令に規定なし〕
- 〔注: 高等専門学校の副校長、短期大学部長については、法令に規定なし。〕
学部長(がくぶちょう)とは、学部に関する校務をつかさどる学校職員のことである。各学部の教授の中から選ばれることが通例である。教員である「教授」の昇格職ではなく、教授会構成員の者の中から学部内の教授会選挙で選任されるころが多い。学部長は、学長の委任を受けて、訓告、停学、放学等の懲戒処分を学生に対して行うことがある。ただし、放学には、大学の評議会の承認が必要であることが多い(国立大学法人の場合)。
高等専門学校には、学部を置かれないので学部長の職は設けられていない。
短期大学部長(たんきだいがくぶちょう)とは、法令に定めはないが、大学に併設される「短期大学部」と呼称される短期大学の場合、置かれることが役職のことである。短期大学部長も、学長の委任を受けて、学生に対して、訓告、停学、退学の処分をすることができると考えられている。
研究科長(けんきゅうかちょう)は、大学院の組織である研究科に関する校務を行う職員のことである。学部の上級課程として設けられ、かつ、大学院重点化を行っている大学の研究科の場合は、基盤となる学部の学部長と兼務することが多い。研究部、研究院などという名称の大学院部局の場合は、名称に準じて、研究部長、研究院長等々の名称となる(教員の所属部局と院生の所属部局の名称が異なる場合は、院生の所属部局の長が教員の所属部局の長を兼任するのが通例とされる)。
学科長・課程長・専攻長(高等教育のみ)
- 〔法令に規定がない職〕
高等教育を行う教育機関におかれる学科長・課程長・専攻長は、いずれも教員のあて職として考えられている。
大学(短期大学を除く)においては、学部長・研究科長を助け、学科・課程・専攻に関する校務を整理する。
短期大学においては、学長(短期大学部長を置く短期大学にあっては、学長および短期大学部長)を助け、学科に関する校務を行う。
教頭(高等教育を除く)
教頭(きょうとう)とは、校長(副校長・副園長を置く学校・幼稚園にあつては、校長・園長および副校長・副園長)を助け、校務を整理し、および必要に応じ幼児の保育、または児童・生徒の教育をつかさどる学校職員のことである。教員の一種として考えられることが多い。副校長・副園長を置かない限り必置である。
主任・主事(就学前教育から高等教育に共通)
- 〔一部について学校教育法施行規則が規定する職〕
大学(短期大学および大学院を含む)および高等専門学校における主任は、教育研究の単位とされる講座・学科目や、それより規模が若干小さいものの教育研究の基盤となる研究室を代表する職などが知られている。
幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校においては、校務分掌における主任・主事として、通例、教諭、指導教諭があてられる。中学校を例に挙げれば、学校教育法施行規則では教務主任・学年主任・保健主事・生徒指導主事・進路指導主事について、それぞれの担当する校務を整理する主幹教諭を置かない限り、必置とされている。
教員(一般的な教員)
- 〔学校教育法が規定する職〕
教員は、学生、生徒、児童等に対して教育などを行う。就学前教育・初等教育・中等教育(初等中等教育、高等専門学校における教育を除く)の課程を担当する場合においては、原則として教員の免許状を有していなければならない。
就学前教育から中等教育においては、教諭および助教諭・講師が、高等教育においては教授・准教授および助教・助手・講師などの職階がこの職務を担当する。教諭は特別な事情があり代替に助教諭を置く場合以外は必置である。教授については必置であり、教育研究上の組織編成として適切と認められる際は准教授・助教・助手は置かなくてもよい。副校長・副園長・副学長、教頭・学部長・研究科長や養護教諭・栄養教諭なども教員の1つとされることが多い。
養護教諭・養護助教諭
- 〔学校教育法が規定する職〕
養護教諭および養護助教諭は、就学前教育から中等教育において、幼児・児童・生徒の養護をつかさどり、主に怪我や疾病の応急処置を行ったり、健康診断・身体測定など在校生の健康管理を行う職である。養護をつかさどる主幹教諭を置く場合もしくは、特別な事情があり代替に養護助教諭を置く場合以外は、養護教諭は必置である。
養護職員・保健職員・医務職員
- 〔学校関係の法令に規定なし〕
養護職員(ようごしょくいん)、保健職員(ほけんしょくいん)、医務職員(いむしょくいん)とは、学校の保健に関する業務に従事する職員のことである。
養護教諭や養護助教諭がおかれている学校では、養護教諭、養護助教諭の下で職務を行い、大学(短期大学を含む)や高等専門学校など、養護教諭が通例置かれず、かつ、常勤の学校医が置かれる場合は、学校医の下で職務を行う。
准看護師の免許・看護師の免許・助産師の免許を受けていることが多く、場合によっては保健師の免許を受けていることもある。 ただし、これらの資格がなくとも養護教諭になることは可能である。
栄養教諭
- 〔学校教育法が規定する職〕
栄養教諭とは児童・生徒の栄養の指導及び管理をつかさどる教員のことである。養護教諭と連携し、児童・生徒の発育において必要な栄養状態の管理や、栄養教育の推進を行う。2005年に新たに設けられた職である。 栄養教諭は正規教員であり、栄養教諭普通免許状(専修、一種、二種)を有していなければならず、栄養士資格を持つものでなければなることはできない(二種の場合。一種の場合は管理栄養士免許所持者または管理栄養士養成施設を卒業し栄養士資格を持つ者。)。 学校教育法では幼稚園・小・中・高等学校(中等教育学校も含む)に置くことができるが、実際には多くが小・中学校に非常勤としておかれ、市内の複数の小・中学校を1人ないしは2人で担当しているのが現状であり、その労働環境には様々な問題がある。
なお、栄養助教諭の職は規定されていない。
学校栄養職員
- 〔学校給食法が規定する職〕
学校栄養職員は、学校給食の栄養に関する専門的事項をつかさどり、栄養士または管理栄養士の免許を有していなければならない。近年、栄養教諭免許が創設されたことから、同免許の取得を目指す者もいる。
学校医
- 〔学校保健安全法が規定する職〕
学校医は、学校における保健管理に関する専門的事項に関し、全般的な技術及び指導に従事する。すべての学校におかれる。学校医は医師でなければならない。通常非常勤職員である。
学校歯科医
- 〔学校保健安全法が規定する職〕
学校歯科医は、学校における保健管理に関する専門的事項に関し、歯科に関する技術及び指導に従事する。大学を除く学校におかれる。学校歯科医は、歯科医師でなければならない。通常非常勤職員である。
学校薬剤師
- 〔学校保健安全法が規定する職〕
学校薬剤師は、学校における保健管理に関する専門的事項に関し、医薬品、毒物、劇物並びに保健管理に必要な用具及び材料の管理に関し技術及び指導に従事する。大学を除く学校におかれる。学校薬剤師は、薬剤師でなければならない。通常非常勤職員である。
スクールカウンセラー・スクールアドバイザー
- 〔法令に規定がないが制度化されている職〕
スクールカウンセラー等は、児童・生徒・学生をめぐる種々の問題の対応に当たり、高度な専門的知識によって心理相談業務に従事する心理職専門家として置かれる。
文部科学省主導事業におけるスクールカウンセラー(学校カウンセラー)、各地方自治体・教育委員会主導事業におけるスクールアドバイザーがあり、児童・生徒・学生本人との心理カウンセリングのほか、教職員や保護者への助言・援助などの心理コンサルテーションを主な職務とする。
公立初等中等教育機関への配置・派遣は2001年度以降制度化されており、文部科学省の任用規程は「臨床心理士」「精神科医」「大学教員」が資格要件である。
事務職員・学校事務職員・大学事務職員
- 〔学校教育法が規定する職〕
事務職員は、学校で事務(学校事務)に従事する。事務職員には、上級充て職として事務長や事務主任が設けられている。
担当する学校の種別に応じて、学校事務職員・大学事務職員などに分けて考えられることもある。
技術職員
- 〔学校教育法が規定する職〕
学校用務員
- 〔学校教育法施行規則に規定する職〕
学校用務員は、学校の環境の整備その他の用務に従事する。かつては「使丁」とよばれた。校務員ともいう。
司書・司書補・学校司書・司書助手
- 〔学校関係の法令に規定なし〕
司書(ししょ)または司書補(ししょほ)とは、図書館の業務に従事する職員のことである。この2つ職名は、独立した部署の職員として用いることが多い。
学校司書(がっこうししょ)とは、初等中等教育を行う学校において、司書教諭と協力して学校図書館の業務に従事する職員のことである。
司書助手(ししょじょしゅ)とは、司書または司書教諭の下で、図書館の業務に従事する職員のことである。
学校(高等教育を行う学校を含む)における司書・司書補・学校司書・司書助手となる資格については法令に規定されていないが、公共図書館の司書や司書補となる資格を有する者、教員免許状所持者で司書教諭講習を修了している者のいずれか、または双方の資格を有する者が多い。なお、学校(大学を含む)によっては、資格の有無によらず、実習助手、助手、教務職員(副手等)、事務職員、技術職員、学校用務員などに司書の業務を兼務させるところもある。
調理師・調理員
- 〔学校関係の法令に規定なし〕
調理師は、学校給食や食堂などにおける食事を調理する職員のことである。調理師の免許を受けている。
調理員は、調理師の免許を受けていないことが多いが、調理師が配置されている場合は、調理師の下で学校給食や食堂になどにおける食事を調理する。
寄宿舎指導員
- 〔学校教育法が規定する職〕
寄宿舎指導員は、学校の寄宿舎における児童、生徒又は幼児の日常生活上の世話及び生活指導に従事する。かつては「寮母」(りょうぼ)といった。また年数を積んだベテランの指導員は寄宿舎主任指導員に昇格し、寄宿舎の中の総務的な立場も兼ねる場合が多い。
関連項目
- ↑ 例えば学校教育法においては一貫して「校長及び教員」という表現が用いられている。
- ↑ テンプレート:Cite web