夏休み子ども科学電話相談
テンプレート:基礎情報 ラジオ番組 夏休み子ども科学電話相談(なつやすみこどもかがくでんわそうだん)は、NHKのラジオ第1放送とNHKワールド・ラジオ日本で、1984年より毎年夏休みの学休期間[1]に放送されるラジオ番組である。
目次
概要
番組では、動・植物、天文・宇宙、科学、心と体の疑問点を電話や電子メールで全国の小・中学生から募集し、放送時間中にスタジオの専門家が電話でわかりやすく解説しながら回答する。
各放送日において設定された対象分野に合わせて質問が募集され、分野ごとに専門家が順次質問に対して回答していく。回答者は原則4人制であるため対象分野も通常4分野となる[2]。
回答分野は幅広くなってきており、2012年度から科学分野に新たに「放射線」の分野が新設された。
電話での募集は、原則として放送開始30分前から放送終了30分前までである[3]。特別編成や国会中継などやむをえない理由で短縮する場合はその開始・終了時間に合わせる。メールについては放送期間中、放送が休止となる日曜日(年度により土曜も)・高校野球開催期間を含め、24時間募集する[4]。また、電話で紹介された質問内容と同様の質問が別の人からも寄せられた場合、電話の後で「他に○○さんからも同様の質問が寄せられた」旨の紹介をする。
なお、この番組では全国各地の児童・生徒らと会場の先生とを直接電話回線をつないで相談してもらうことを目的としているため、スタッフからの連絡の都合上、会場直通の電話番号には出来るだけ公衆電話や携帯電話からではなく、家庭の加入電話から掛けるようにと呼びかけている[5]。
2004年の夏休みには8月4日から6日に午前の部に加え午後の部(13時台 - 15時台)も行われた。
2006年からは順次、日本放送出版協会(NHK出版)より単行本が出版されておりシリーズ化している。
2012年には白瀬矗による南極探検100周年を記念する特別企画として「北極・南極の自然」と「北極・南極の生物」の分野が設けられた[6]。また、2013年には国立科学博物館での特別展「深海- 挑戦の歩みと驚異の生き物たち -」(主催・国立科学博物館、海洋研究開発機構、読売新聞社、NHK、NHKプロモーション)の開催にあわせて「深海」の分野が設けられた。
30周年を迎える2013年には番組に出演して回答に当たっている専門家の所属する水族館や科学館などから中継も行われた[7]。2014年も中継が行われた。
なお、小・中学生からの数々の疑問に電話で専門家が答える番組としては2008年まで放送されたTBSラジオの『全国こども電話相談室』(JRN系列)があり、昆虫学者の矢島稔のように双方の番組で回答者を務めた専門家もいる[8]。『全国こども電話相談室』が文字通り全国ネットされていた往年の帯番組時代とは異なり、日曜朝の番組となった1997年10月以降は、全国でネットされていなかった[9]ため、ネットされなかった地方の子供たちにとっては、この番組が唯一の科学的な疑問の解決番組である[10]。
放送時間
放送時間は原則的に平日(月 - 金曜)の8:05ごろ - 11:50、土曜日の9:05ごろ - 11:50[11][12]であるため、通常放送の『すっぴん!』(平日)と『とっておきラジオ』・『真打ち競演(最終週はキャンパス寄席)』・『文芸選評』(土曜日[13])を休止する形で放送する。
なお、国際放送を通して日本国外にも放送されるが、短波での放送は午前8時台と11時台のみで、9・10時台は衛星ラジオ放送のみでの配信となる。
ちなみに、第1回放送は1984年8月21日(火曜日)で、この当時から2007年度までは9:05頃から11:50に放送[14]していたが、2008年度から2011年度までは平日の分は8:33ごろ、土曜日は8:35頃から放送と拡大になった[15]。
特別編成(高校野球中継等)による休止・短縮
期間中の毎週日曜日(年度により土曜日も)、および8月に行う阪神甲子園球場での全国高等学校野球選手権大会開催期間中は放送と電話での質問受付は休止する[16]。高校野球が雨天中止の場合、あるいは1日3試合以下の開催で試合開始までに時間の余裕がある日[17]は『すっぴん!』の過去のインタビューなどを中心にセレクション番組を放送する[18]。
2005年度までは3回戦最終日[19]までは休止とし、準決勝[20]開催日は試合開始前までの短縮放送を行っていたが、2006年以後は高校野球決勝戦予定日まで放送を再開しない[21]。なお2011年の決勝戦開催日は東日本大震災による省エネのため午前9時半開始であったため放送休止、2012年も同じ理由で試合開始が午前10時半であったため短縮放送の形で放送されている。
また2013年度から高校野球準々決勝開催翌日は原則として休養日[22]となるが、この場合も高校野球中止時に準じた編成となるため、電話相談は放送されない。
また高校野球地方予選の中継を放送するために、電話相談が放送されないこともある[23]。ただし、高校野球地方予選の中継のない地域のラジオ第1放送またはNHKワールド・ラジオ日本[24]のどちらかが受信できる場合または「NHKネットラジオ らじる★らじる」を利用することで聴取可能。「NHKネットラジオ らじる★らじる」と「NHKワールド・ラジオ日本」では、高校野球地方予選の中継は東東京・西東京大会も含めて一切放送されていないため、高校野球地方予選の中継に関係なく放送される。
また、毎年8月6日は「広島原爆の日」に当たり、その日の8時から「広島平和記念式典」が総合テレビ・NHKワールドの各媒体と同時中継で行われるため、8時台後半の放送となって2年目の2009年以後[25]は、この式典終了後の9時台以後の放送に短縮して行っている。
国会中継などによる短縮・繰上げ
9:00から国会中継が放送される場合には8時台のみの放送となる。また時差の関係でヨーロッパ・アフリカ・アメリカ大陸で夏季オリンピックがあり、その競技中継が行われる場合にも短縮や休止処置を取ることがある。休止・短縮など、やむをえない事情での編成変更がある場合はホームページ掲載や放送を通して発表される。
- 過去事例
- 8:33頃、もしくは8:35頃からのスタートであった2011年までは状況によっては8:05頃からスタートする場合があった[26]。臨時国会が行われた2010年8月2日から8月5日、2011年の7月20日・21日(同年度の初日と2日目に当たる)までは8:05からの繰上放送となった。
出演者
進行役
原則として電話相談で休止となる番組を担当するアナウンサー・キャスターが司会進行を担当する。
- 2014年版
- 過去
回答者
2014年の回答者
専門分野 | 名前 | 備考(役職等) | |
---|---|---|---|
魚・動物 | 小菅正夫 | 旭川市立旭山動物園元園長 | |
勝俣悦子 | 鴨川シーワールド獣医 | ||
成島悦雄 | 井の頭自然文化園園長 | ||
林公義 | 横須賀市自然・人文博物館特別委員[27] | ||
昆虫 | 矢島稔 | 群馬県立ぐんま昆虫の森名誉園長・日本鳥類保護連盟理事[28] | |
高家博成 | 元・多摩動物公園昆虫飼育係長 東洋大学・和泉短期大学 非常勤講師 | ||
清水聡司 | 足立区生物園昆虫飼育担当 | ||
天文・宇宙 | 国司真 | 川崎市テンプレート:ルビと緑の科学館(川崎市青少年科学館)学芸員 | |
阪本成一 | JAXA宇宙科学研究所 | ||
永田美絵 | コスモプラネタリウム渋谷プラネタリウム解説員 | ||
渡部潤一 | 国立天文台副台長 | ||
野鳥 | 中村忠昌 | NPO法人生態教育センター主任指導員、葛西臨海公園鳥類園レインジャー | |
松田道生 | 日本野鳥の会理事[29] | ||
植物 | 高橋亘 | 農業・食品産業技術総合研究機構畜産草地研究所農学博士 | |
田中修 | 甲南大学理工学部教授 | ||
藤田智 | 恵泉女学園大学人間社会学部教授 | ||
科学 | (科学一般) | 藤田貢崇 | 法政大学教授 |
高柳雄一 | 多摩六都科学館館長 | ||
(地球) | 伊藤和明 | NPO法人防災情報機構会長[30] | |
(放射線衛生学) | 木村真三 | 獨協医科大学 准教授[31] | |
(恐竜) | 小林快次 | 北海道大学総合博物館准教授 | |
心と体 | 篠原菊紀 | 諏訪東京理科大学教授 | |
いのちの不思議 | 中村桂子 | JT生命誌研究館館長 |
過去の回答者
- 杉浦宏 - 動物分野
- 川口幸男 - 動物分野
- 佐々木洋 - 昆虫分野
- 藤本和典 - 野鳥分野
- 内田麻理香 - 科学一般分野
- 小出五郎 - 2011年度まで環境分野、2012年度・2013年度は科学一般を担当。
- 本山秀明 - 北極・南極の自然
- 白瀬矗による南極探検100周年を記念する特別企画として2012年8月23日のみ放送[32]。
- 渡辺佑基 - 北極・南極の生物
- 白瀬矗による南極探検100周年を記念する特別企画として2012年8月24日のみ放送[32]。
- 深海分野は国立科学博物館での特別展「深海- 挑戦の歩みと驚異の生き物たち -」(主催:国立科学博物館、海洋研究開発機構、読売新聞社、NHK、NHKプロモーション)の開催にあわせて2013年度に特別に設けられた。
タイムテーブル
時間 | 内容 |
---|---|
8:05頃 | 放送開始 |
8:27頃 | レコード音楽(放送地域によっては交通情報) |
8:30 | 全国ニュース[33] |
8:33頃 | 放送再開 |
8:55頃 | 地域ごとの放送(ニュース、交通情報、お知らせ等) |
9:00 | 全国ニュース |
9:05頃 | 放送再開 |
9:27頃 | レコード音楽(放送地域によっては交通情報) |
9:30 | 全国ニュース[33] |
9:33頃 | 放送再開 |
9:55 | 地域ごとの放送(ニュース、交通情報、お知らせ等) |
10:00 | 全国ニュース |
10:05頃 | 放送再開 |
10:27頃 | レコード音楽(放送地域によっては交通情報) |
10:30 | 全国ニュース[33] |
10:33頃 | 放送再開 |
10:55 | 地域ごとの放送(ニュース、交通情報、お知らせ等) |
11:00 | 全国ニュース |
11:05頃 | 放送再開 |
11:27頃 | レコード音楽(放送地域によっては交通情報) |
11:30 | 放送再開 |
11:50 | 放送終了 |
- 『すっぴん!』などの通常の番組同様、毎時27分頃を目処に放送を中断して音楽[34]を挿入し、毎時55分頃を目処に放送を中断し、地域ごとの放送(ニュース、交通情報、催し物のお知らせ等)に続いて、定時ニュースを各5分程度放送する。
- 2012年度以後は『おとおばけのぼうけん』というミニラジオドラマが編成される関係[35]で、平年より5分繰り上げた11:45終了の日が多い。
関連書籍
2006年から関連書籍がNHK出版より順次発行されている。いずれの書籍もNHKラジオセンター「子ども科学電話相談」制作班編。
- 2006年
- 「NHK子ども科学電話相談1」
- 「NHK子ども科学電話相談2」
- 2007年 「NHK子ども科学電話相談 教えて!生きものたちのひみつ」
- 2008年 「NHK子ども科学電話相談 ベストセレクション親子でわかる!科学おもしろQ&A」
- 2009年 「NHK子ども科学電話相談 いのちはふしぎがいっぱいだ!」
- 2010年 「NHK子ども科学電話相談 きいてみよう!自然と環境のふしぎ」
- 2011年 「NHK子ども科学電話相談 なるほど解決!地球のふしぎ65」
- 2012年 「NHK子ども科学電話相談 キッチンから宇宙まで ふしぎなんでもQ&A」
- 2013年
- 「NHK子ども科学電話相談スペシャル どうして?なるほど! 地球・宇宙のなぞ99」
- 「NHK子ども科学電話相談スペシャル どうして?なるほど! 生きもののなぞ99」
- 2014年 「NHK子ども科学電話相談 ときあかせ!宇宙や生きもののひみつ」
関連番組
イベント
- 上記『ラジオ深夜便』のインタビューに続く、当番組30周年記念の企画として、2013年9月28日に日本科学未来館(江東区)で開催される「NHKサイエンススタジアム2013」のイベントとして夏休み以外で初となる特別番組を公開録音の形で開催(放送:10月12日9:05頃-10:55)。
- ゲストは伊藤和明、小菅正夫、小林快次、永田美絵、矢島稔、司会進行は坪郷佳英子。
脚注
外部リンク
- NHK 夏休み 子ども科学電話相談 - 公式サイト