松山港
松山港(まつやまこう)は愛媛県松山市にある港湾である。港湾管理者は愛媛県。港湾法上の重要港湾、港則法上の特定港に指定されている。万葉集に歌われた「熟田津」(にぎたつ)は松山港のうちの古三津に当たるとも考えられており、古くから瀬戸内海交通の重要拠点とされてきた。
現代においても長距離フェリーや国際コンテナ船などが多く寄港する主要港として発展を続けている。
港湾区域
松山市堀江町花見川河口左岸護岸突端(北緯33度54分2秒、東経132度44分30秒)から大ノ頭島(島頂)を経て興居島神崎鼻先端まで引いた線、松山市西垣生町重信川河口右岸堤防基部(北緯33度48分12秒、東経132度41分34秒)から270度800メートルの点を経て興居島黒崎鼻の先端まで引いた線及び陸岸により囲まれた海面のことをいう。ただし、高浜漁港及び泊漁港を除く。この中に堀江港、松山観光港、高浜港、三津浜港、松山外港、今出港がある。
主な施設
堀江港
堀江港(ほりえこう)には、かつて「仁堀航路」と呼ばれる国鉄連絡船が仁方港(最寄り駅は仁方駅)との間を結んでいた。それ以降は呉・松山フェリーの航路のみが阿賀港との間に運航されていたが、2009年6月30日をもって廃止となった。廃止直前の運航は1日9往復であった。
四国旅客鉄道予讃線堀江駅から徒歩5分。または、伊予鉄バス北条線堀江停留所から徒歩2分。
2013年、休憩施設や係留設備が整備されて海の駅「うみてらす」がオープンした[1]。
松山観光港
テンプレート:Infobox 松山観光港(まつやまかんこうこう)は高浜港(後述)がカーフェリーをはじめとした船舶の大型化に伴って手狭になったため、高浜港の北に新たに設けられたもので、当初は高浜新港と呼ばれた。現在の旅客ターミナルの建物は2000年10月7日にオープン[2]した二代目である。現在のターミナル建て替えにあたっては地方自治体(愛媛県・松山市)、地元交通企業および就航会社(伊予鉄道・石崎汽船・瀬戸内海汽船・関西汽船・ダイヤモンドフェリー)および金融機関(伊予銀行・愛媛銀行・愛媛県信用農業協同組合連合会)が出資[3]した第3セクターの松山観光港ターミナル株式会社が1998年に設立され、建て替え工事完成後は同ターミナルの管理・運営を行っている。
伊予鉄高浜線高浜駅より連絡バス約2分または徒歩約10分。高浜トンネル開通に伴い、トンネル経由の松山市内からの直行バス(車体に高速船をブルーでペイントした専用車両が投入され、「松山観光港リムジンバス」と称する)もある。なお高浜駅からの鉄道の延伸構想も以前からあるものの、多額の事業費を要することから具体的な計画に至っていない(本件に関しての詳細は伊予鉄道高浜線を参照のこと)。
イメージキャラクターとしてJINCO作の「まつやまかんこっこ」が採用されている。
- Matsuyama port (KANKO port) Ehime,JAPAN.jpg
ターミナルビルから見た岸壁。各航路の船舶が停泊している。
- Inside in Matsuyama port terminal (KANKO port) Ehime, JAPAN.jpg
ターミナルビル内部(船客待合所)
高浜港
高浜港(たかはまこう)は、明治20年代に開かれた港である(もともと、松山港は三津浜地区が藩政期からの港)。
興居島を前面にした天然の良港であることから、1892年に伊予鉄道が高浜へ鉄道を伸ばした。ところが満足な港湾設備がなかったことからさしたる利用はなく、1902年に宇品航路が開設された際も三津浜港を寄港地としていた。伊予鉄道では同航路を誘致しようと高浜港に桟橋を建設し同航路の寄港地を高浜へ変更させることに成功したが、もともと高浜への鉄道延伸自体を快く思っていなかった三津浜町(松山市への合併前)の反撥を買った。その後、1906年に兵員輸送の必要性から軍の要請によって待合所・倉庫等の港湾施設が整備されるなど高浜港の充実に古くからの港町であった三津浜町は激しく反発。当時の伊予鉄道社長・井上要は進歩党の代議士でもあったことから政友会と進歩党との政界を巻き込んだ激しい争いとなり、三津浜派は1907年に伊予鉄道に対抗する形で松山電気軌道という新しい鉄道会社を設立し1911年の開業後、激しい客引き合戦を行った。新鉄道会社は運営に苦しみ、鉄道院の勧告もあって1921年に伊予鉄道が吸収合併している。
その後、瀬戸内海においてカーフェリーが普及してきたが高浜港は中型以上のカーフェリーに対応できにくい桟橋の構造であり柳井港との航路を有する三津浜港とは機能をすみわける形で共存してきた。さらに手狭になったこともあり関西、九州、広島方面などほとんどの航路は北の松山観光港へ移り現在、高浜港を利用するのは忽那諸島や興居島への旅客船・カーフェリーのみとなっている。
伊予鉄道高浜線の高浜駅が道を隔てたすぐ近くにある。フェリー乗降口の隣に駐車場(有料)があり、切符売り場兼待合所の建物も隣接している。
三津浜港
三津浜港(みつはまこう)は伊予鉄道高浜線三津駅より約1km、JR四国予讃線三津浜駅より約2km。
室町時代に対岸に城を築いて(港山城)水軍の拠点とした河野氏の頃まで遡り、松山港のなかでは最も古くから開かれた地区である。夏目漱石が松山に赴任する際に降り立ったのはこの港であり、小説『坊つちやん』の舞台ともなっている。もちろん当時は港の設備といっても東屋風の待合所があるのみで満足な船着き場もなく、沖合いに停泊した船に岸から小船で乗り移っていた。
今日では柳井港へのカーフェリーのほか、中島方面へのカーフェリーの発着する港となっている。
港の中は入り組んでおり、奥部には小型船が多数停泊している。また、北岸に小型の造船所がある。
松山外港
松山外港(まつやまがいこう)は商業港としての性格を有する。最西部の埋立地には外貿コンテナふ頭があり、国際定期コンテナ航路が寄航している。国際コンテナ船寄港数・国際貨物取扱量共に四国一を誇る。
- 釜山航路 - 週5便(興亜海運、高麗海運(共同配船) - 週2便、東南亜海運 - 週2便、南星海運 - 週1便)
- マニラ航路 - 週1便(東京船舶、愛媛オーシャンライン(共同配船) - 週1便)
- 台湾航路 - 週1便(東京船舶、愛媛オーシャンライン(共同配船) - 週1便)
- 上海航路 - 週1便(SITC - 週1便)
- 香港航路 - 週1便(OOCL - 週1便)
- 神戸航路 - 週3便(井本商運(内航フィーダー) - 週3便)
上記のほかに一般貨物航路(国内線)がある。
今出港
今出港(いまずこう)は松山港の最も南に位置しており、重信川河口に接している。木材団地があることから木材船の入港が多い。
旅客各港への交通
- 松山観光港
- 高浜港
- 三津浜港
- 伊予鉄バス三津港線 三津港バス停下車すぐ。
- 松山市駅より日中30分おきに発着している。
- 伊予鉄道高浜線 三津駅・伊予鉄バス 三津浜駅前バス停より徒歩15分。
- 横河原・松山市方面および高浜方面より日中15分おきに発着している。
- JR予讃線 三津浜駅より徒歩30分。
- 松山駅より毎時2、3本ほどが発着している。
脚注
外部リンク
- 松山港利用促進協議会
- 松山港湾・空港整備事務所 - 国土交通省四国地方整備局
- 松山観光港ターミナル
- 瀬戸内海汽船
- 石崎汽船
- フェリーさんふらわあ
- 防予フェリー株式会社(旧・防予汽船)
- 中島汽船
- ↑ まつやま・ほりえ海の駅「うみてらす」 松山市ホームページ
- ↑ 読売新聞、2000年10月21日
- ↑ 松山観光港ターミナル(会社概要)